*17:58JST 国内株式市場見通し:米経済指標睨みのなか、円高加速が重しとなり35000円の攻防に
■米景気減速懸念が再燃し円高加速
今週の日経平均は週間で2256.28円安(-5.84%)の36391.47円と大幅下落。3日の8月ISM製造業景気指数や4日のJOLTS求人件数が相次いで市場予想を下回ったことから、景気減速懸念が再燃し米国株は下落。為替も円高ドル安に振れ、東京市場も主力株を中心に売り圧力の強い地合いとなった。半導体大手エヌビディアやフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の大幅下落などを受けて、国内で値がさ半導体株が売られたことも下げ要因に。5日の米サービス業PMIは市場予想を上回ったものの、ADP雇用者数が9.9万人増と2021年1月以来の低い水準に留まったことから、週末の米8月雇用統計への警戒感が強まり、為替市場で1ドル=142円台に突入し、週末の日経平均は4日続落で終値ベースでは8月13日以来の水準まで下落した。
なお、8月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を2370億円売り越したほか、TOPIX先物を917億円買い越し、225先物は791億円売り越したことから、合計2244億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を1057億円売り越すなど合計で1048億円売り越し。なお、信託は現物を2024億円買い越した。
■石破氏が金融所得課税の強化に意欲を示す
事実上次の首相を決める自民党総裁選の公示日(9月12日、投開票は27日)が近づいており、市場関係者の関心も高まっている。
4日、日経平均は今年3番目の下落幅(1638.70円安)を記録したが、米株安、円高の外部環境以外では、有力候補者である石破氏が金融所得課税の強化に意欲を示したことがネガティブ視された。2021年、就任当初の岸田首相が金融所得課税の大幅な見直し実施を試みたが、株式市場は増税を嫌気して大幅下落の反応を示した。結果、岸田首相は株式市場の混迷を回避するため見直しを棚上げし、「1億円の壁」などはそのままとなっている。石破氏はこの領域に踏み込んだわけだが、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度枠組み変更などを中心とした「投資立国日本」の流れに逆行するとの見方が市場では強い。
石破氏が自民党総裁となり首相に就任し、正式に政策発表するまでその実現の有無は不透明だが、米国株安、為替の円高で下方向に動きやすい相場付きだったこともあり、市場はネガティブな反応を示した。また、茂木氏も防衛増税見送りを主張し防衛関連銘柄の一角が弱くなるなど、政策関連で買われていた銘柄やセクターは有力候補者の政策に左右されやすい地合いが続きそうだ。
■日経平均はマドを伴い75日線を下放れ
日経平均は、マド(3日安値38531.55円-4日高値38080.02円)を空けて75日移動平均線を下放れた後、25日移動平均線が位置する36947円水準も下回った。6日の米国市場は下落。ダウ平均は前日比410.34ドル安(-1.01%)の40345.41ドル、ナスダックは同436.83ポイント安(-2.55%)の16690.83、S&P500は同94.99ポイント安(-1.73%)の5408.42で取引を終了した。6日の大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比1210円安の35150円で取引を終えた。週明けの日経平均は、米国株安、円高進行という弱い外部環境を材料に心理的な節目である35000円の攻防を迎えそうな状況だ。
8月米雇用統計をクリアしたが、ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅利下げの可能性を言及したことで、市場は流動的な状況にある。17-18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、19-20日に日本銀行による金融政策決定会合がそれぞれ開催されることで、日米中銀会合イベント待ちの地合いとなろう。FOMCでは利下げ実施が確定路線で、利下げ幅の0.25%か0.5%かが争点となっており、日銀会合では現状の金融政策維持がコンセンサスのなか、植田日銀総裁が年内の追加利上げ実施の有無に言及するかがポイントだろう。11日には8月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。ジャクソンホール会議にてパウエルFRB議長はこれまでの「インフレ重視型」から「インフレと雇用のバランス重視型」への転換を示唆したことで、CPIの重要性はやや低下した。とはいえ、9月FOMC前の重要な経済指標であることは間違いないため注目されよう。米経済指標に振らされやすい地合いは今しばらく続くと考える。
■11日に米CPI発表
来週は、日本では9日に7月国際収支、4-6月GDP改定値、8月景気ウォッチャー調査、10日に8月マネーストックM2、12日に7-9月景況判断BSI、8月国内企業物価、13日に7月鉱工業生産(確報値)などが予定されている。
海外では9日に中・8月生産者物価指数、CPI、米・7月卸売在庫(確報値)、10日に中・8月貿易収支、独・8月CPI(確報値)、英・7月ILO失業率、8月雇用統計、11日に英・7月月次GDP、鉱工業生産指数、製造業生産高、貿易収支、米・8月CPI、週次原油在庫、12日に欧・ECB理事会、米・8月生産者物価指数、週次新規失業保険申請件数、13日に欧・7月鉱工業生産指数、米・9月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。なお、10日には、民主党候補ハリス氏と共和党候補トランプ氏による初のテレビ討論会が実施される。
<FA>
今週の日経平均は週間で2256.28円安(-5.84%)の36391.47円と大幅下落。3日の8月ISM製造業景気指数や4日のJOLTS求人件数が相次いで市場予想を下回ったことから、景気減速懸念が再燃し米国株は下落。為替も円高ドル安に振れ、東京市場も主力株を中心に売り圧力の強い地合いとなった。半導体大手エヌビディアやフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)の大幅下落などを受けて、国内で値がさ半導体株が売られたことも下げ要因に。5日の米サービス業PMIは市場予想を上回ったものの、ADP雇用者数が9.9万人増と2021年1月以来の低い水準に留まったことから、週末の米8月雇用統計への警戒感が強まり、為替市場で1ドル=142円台に突入し、週末の日経平均は4日続落で終値ベースでは8月13日以来の水準まで下落した。
なお、8月第4週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を2370億円売り越したほか、TOPIX先物を917億円買い越し、225先物は791億円売り越したことから、合計2244億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は現物を1057億円売り越すなど合計で1048億円売り越し。なお、信託は現物を2024億円買い越した。
■石破氏が金融所得課税の強化に意欲を示す
事実上次の首相を決める自民党総裁選の公示日(9月12日、投開票は27日)が近づいており、市場関係者の関心も高まっている。
4日、日経平均は今年3番目の下落幅(1638.70円安)を記録したが、米株安、円高の外部環境以外では、有力候補者である石破氏が金融所得課税の強化に意欲を示したことがネガティブ視された。2021年、就任当初の岸田首相が金融所得課税の大幅な見直し実施を試みたが、株式市場は増税を嫌気して大幅下落の反応を示した。結果、岸田首相は株式市場の混迷を回避するため見直しを棚上げし、「1億円の壁」などはそのままとなっている。石破氏はこの領域に踏み込んだわけだが、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の制度枠組み変更などを中心とした「投資立国日本」の流れに逆行するとの見方が市場では強い。
石破氏が自民党総裁となり首相に就任し、正式に政策発表するまでその実現の有無は不透明だが、米国株安、為替の円高で下方向に動きやすい相場付きだったこともあり、市場はネガティブな反応を示した。また、茂木氏も防衛増税見送りを主張し防衛関連銘柄の一角が弱くなるなど、政策関連で買われていた銘柄やセクターは有力候補者の政策に左右されやすい地合いが続きそうだ。
■日経平均はマドを伴い75日線を下放れ
日経平均は、マド(3日安値38531.55円-4日高値38080.02円)を空けて75日移動平均線を下放れた後、25日移動平均線が位置する36947円水準も下回った。6日の米国市場は下落。ダウ平均は前日比410.34ドル安(-1.01%)の40345.41ドル、ナスダックは同436.83ポイント安(-2.55%)の16690.83、S&P500は同94.99ポイント安(-1.73%)の5408.42で取引を終了した。6日の大証ナイト・セッションの日経225先物は、通常取引終値比1210円安の35150円で取引を終えた。週明けの日経平均は、米国株安、円高進行という弱い外部環境を材料に心理的な節目である35000円の攻防を迎えそうな状況だ。
8月米雇用統計をクリアしたが、ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)が大幅利下げの可能性を言及したことで、市場は流動的な状況にある。17-18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、19-20日に日本銀行による金融政策決定会合がそれぞれ開催されることで、日米中銀会合イベント待ちの地合いとなろう。FOMCでは利下げ実施が確定路線で、利下げ幅の0.25%か0.5%かが争点となっており、日銀会合では現状の金融政策維持がコンセンサスのなか、植田日銀総裁が年内の追加利上げ実施の有無に言及するかがポイントだろう。11日には8月の米消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。ジャクソンホール会議にてパウエルFRB議長はこれまでの「インフレ重視型」から「インフレと雇用のバランス重視型」への転換を示唆したことで、CPIの重要性はやや低下した。とはいえ、9月FOMC前の重要な経済指標であることは間違いないため注目されよう。米経済指標に振らされやすい地合いは今しばらく続くと考える。
■11日に米CPI発表
来週は、日本では9日に7月国際収支、4-6月GDP改定値、8月景気ウォッチャー調査、10日に8月マネーストックM2、12日に7-9月景況判断BSI、8月国内企業物価、13日に7月鉱工業生産(確報値)などが予定されている。
海外では9日に中・8月生産者物価指数、CPI、米・7月卸売在庫(確報値)、10日に中・8月貿易収支、独・8月CPI(確報値)、英・7月ILO失業率、8月雇用統計、11日に英・7月月次GDP、鉱工業生産指数、製造業生産高、貿易収支、米・8月CPI、週次原油在庫、12日に欧・ECB理事会、米・8月生産者物価指数、週次新規失業保険申請件数、13日に欧・7月鉱工業生産指数、米・9月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。なお、10日には、民主党候補ハリス氏と共和党候補トランプ氏による初のテレビ討論会が実施される。
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