防災と保険に関する意識調査を実施~46%のご家庭で自然災害に対する十分な備えなし~

配信元:PR TIMES
投稿:2024/08/28 20:47
 損害保険ジャパン株式会社(代表取締役社長:石川 耕治、以下「損保ジャパン」)は、9月1日の「防災の日」に先立ち、防災と保険に関する意識調査を実施しました。調査結果と合わせて、損保ジャパンの自然災害への備えに関する取組みについてご案内します。


1.調査実施の背景
 「防災の日」の由来となった関東大震災の発生から、今年で101年が経過します。現在も日本では、地震や台風等の自然災害は多発し、各地で甚大な被害が発生しています。9月1日の「防災の日」を迎えるにあたり、自然災害への備えについて考えるきっかけにしていただくことを目的に、防災と保険に関する意識調査を実施しました。

2.調査結果のポイント
・74%の方がお住まいの地域で自然災害の発生する確率が高まっていると感じている一方で、自然災害への備えをしている方は54%にとどまり、約半数が自然災害に対して十分な備えができていないことが分かった。
・自然災害発生時に必要となる情報の中に入手方法が分からないものがあると考える方が60%いるものの、この1年間で防災について学ぶ機会を持てた方は55%にとどまり、約半数が十分な学びの場を持てていないことが分かった。
・台風や洪水、大雪による被害が火災保険の補償対象になることを知らない方が45%、地震による建物の損壊や火災が地震保険に加入しないと補償されないことを知らない方が41%と、保険に対して十分な知識が持てていない方も多いことが分かった。
・被災経験のある方のうち、保険代理店や保険会社に連絡する前に修理業者から火災保険の利用についてアプローチを受けたことがある方は28%にものぼった。


3.調査概要


4.調査結果
 設問および分析結果は、以下の通りです。(n=回答者数)
Q1.9月1日が「防災の日」ということを知っていますか。(単一回答、n=1,000)
・72%の方が「知っている」と回答し、「防災の日」が浸透していることが分かった。





Q2.あなたがお住まいの地域では、地震や台風、大雨など大きな自然災害が発生する確率が年々高まっていると感じますか。(単一回答、n=1,000)
・「とても感じる」、「ある程度感じる」と回答した方は74%と2023年6月の調査※1(75%)と同程度となった。引き続き多くの方が自然災害の発生する確率が高まっていると感じている。
・地域別では、中部地方が「とても感じる」、「ある程度感じる」と回答した方の割合が81%と最も多かった。





Q3.現在あなたのご家庭では自然災害への備えをしていますか。(複数回答、n=1,000)
・46%の方が自然災害への備えを「特に何もしていない」と回答し、2023年6月の調査(44%)と同程度となった。
・地域別では、「地震や津波の発生に備えている」、「大雨や洪水の発生に備えている」と回答した方は東北地方で最も多く、50%の方が「地震や津波の発生に備えている」と回答し、32%の方が「大雨や洪水の発生に備えている」と回答した。「台風の発生に備えている」と回答した方は九州地方で最も多く38%となった。





Q4.あなたが自然災害に備え、ご自宅で行なっている対策は何ですか。(複数回答、n=541、Q3で何らかの自然災害に備えていると回答した方)
・「非常食や水を備蓄している」、「懐中電灯やモバイルバッテリーを準備している」と回答した方は73%にのぼり、2023年6月の調査(70%)と同程度となった。
・46%の方が「ハザードマップ等で自宅周辺の災害リスクを確認している」と回答したが、「避難時のルートを決めている」と回答した方は16%にとどまった。
・「火災保険に加入している」、「地震保険に加入している」と回答した方の割合は、賃貸住宅よりも持ち家に住む方の方が高かった。





Q5.この1年間で、自然災害への対策にいくら支出しましたか。(複数回答、n=541、Q3で何らかの自然災害に備えていると回答した方)
・48%の方が「0円」または「1円~1万円未満」と回答し、2023年6月調査(33.4%)と比べても自然災害への対策に関する支出が抑えられていることが分かった。
・地域別では、1万円以上支出した方は、中国地方で最も多く52%だった。3万円以上支出したと回答した割合は、四国地方の21%が最も多かった。
・一方で「0円」と回答した方は、北海道と中国地方で最も多くどちらも14%だった。





Q6.この1年間で、自然災害への対策に支出した項目は何ですか。(複数回答、n=541、Q3で何らかの自然災害に備えていると回答した方)
・「水」への支出が最も多く、次いで「非常食」、「電池やモバイルバッテリー」、「懐中電灯」との回答が多かった。
・「その他」の項目では、保険、樹木の伐採、ブルーシートなどの回答があった。





Q7.この1年で防災について学ぶ機会はありましたか。それはどのような場ですか。(複数回答、n=1,000)
・45%の方が「学ぶ機会はなかった」と回答し、2023年6月の調査(47%)と同程度となった。
・学ぶ機会については、「テレビ番組」が30%と最も多く、次いで15%の方が「SNSやインターネット動画」(15%)と回答した。





Q8.災害が発生した時に必要となる情報で、入手方法がわからない情報はありますか。(複数回答、n=1,000)
・「特にない」と回答した方は38%にとどまり、60%以上の方が何らかの情報の入手方法がわからないと回答した。
・27%の方が「交通・物流情報」の入手方法がわからない、26%の方が「避難所の開設情報」の入手方法がわからないと回答した。





Q9.火災保険で台風や洪水、大雪による被害が補償の対象になることをご存知ですか。(単一回答、n=1,000)
・「知っている」と回答した方は55%にとどまった。
・地域別では、「知らない」と回答した割合は、九州地方で最も高く51%にものぼった。
・住まい別では、持ち家よりも賃貸に住む方の方が「知らない」と回答した割合が高かった。
・「火災保険に加入している」と回答した方のうち25%の方が「知らない」と回答した。





Q10.地震や津波による建物の損壊や火災は、火災保険では補償されないことをご存知ですか。(単一回答、n=1,000)
・「知っている」と回答した方は59%にとどまった。
・地域別では、「知らない」と回答した割合が東北地方で50%と最も高かった。
・住まい別では、持ち家に住む方よりも賃貸に住む方の方が「知らない」と回答した割合が高かった。
・「火災保険に加入している」と回答した方のうち25%の方が「知らない」と回答した。





Q11.自然災害の被害にあった際に保険金請求するための連絡先は分かりますか。(単一回答、n=1,000)
・「分かる」と回答した方は48%にとどまった。
・「火災保険に加入している」と回答した方のうち28%の方が「分からない」と回答した。
・「地震保険に加入している」と回答した方のうち27%の方が「分からない」と回答した。





Q12.「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」や「保険金が出るようサポートする」など、「保険金が使える」と勧誘する業者がいることをご存じですか。(単一回答、n=1,000)
・「知っている」と回答した方は20%にとどまった。「聞いたことはあるが詳しくは知らない」と回答した方を合わせても、52%となった。
・地域別では、「知らない」と回答した方の割合が四国地域で64%ともっとも高かった。





Q13.建物が自然災害の被害にあった際に、保険代理店や保険会社に連絡する前に、修理業者から火災保険の利用をアプローチされたことがありますか。(単一回答、Q4で火災保険に加入していると回答した方、n=292)
・「ある」と回答した方は、全体の12%となった。「自然災害の被害にあったことがない」という方を除くと20%の方が「ある」と回答した。
・地方別では、「ある」と回答した方の割合が中国地方と九州地方で18%と最も高かった。
・住まい別では、賃貸よりも持ち家に住む方の方が「ある」と回答した割合が高かった。





※1 2023年6月に実施した「防災と保険に関するアンケート」


5.損保ジャパンの自然災害への備えに関する取組み
 損保ジャパンでは、自然災害による被害を少しでも減らすために防災の取組みを展開しています。


<防災ジャパンダプロジェクト>
 損保ジャパンは、子どもたちとその保護者を対象として、災害から身を守るための知識や安全な行動を身に付けてもらうことを目的とした防災教育プログラムを実施しています。NPO法人プラス・アーツと愛知人形劇センターの企画協力のもと、防災を学ぶ「体験型防災ワークショップ」と「防災人形劇」」をはじめとした全14コンテンツを提供しています※2。
 体験型防災ワークショップでは、災害で発生するトラブルの解決方法について考える防災カードゲーム、水害で避難する際に適した服装や持ち物を学ぶ水害きせかえゲーム、ケガをした際に身の回りにあるものを活用し臨機応変に行う応急手当の方法や搬送方法、備えておきたい避難用品を暗記するクイズ、幼児でも楽しみながら避難行動を身に付けられる紙芝居、紙食器やポンチョの作り方を学べるコンテンツなどを提供しています。
 防災人形劇「さんびきのこぶた危機一髪!」は、オオカミが引き起こすさまざまな災害に対して、こぶたの3兄弟が協力して災害を乗り切る物語「さんびきのこぶた危機一髪!」で、子ども向けのワークシートと保護者や先生向けの解説資料を提供しています。いつでも、どこでも、だれでも防災について学ぶことができます。
※2 一部のコンテンツは動画でも提供しています。
   https://www.sompo-japan.co.jp/csr/environment/eco/bousai/



<SOMPO流「逃げ地図」づくりワークショップ>
 「逃げ地図」※3とは、自然災害時に避難場所までたどり着ける経路を3分ごとに色分けしながら図示した手づくりの地図です。想定する自然災害のハザードマップを確認しながら被害発生予想地域や避難場所を白地図に書き込み、避難場所までの経路をその場所にたどり着くまでの時間により色鉛筆で塗り分けながら作ります。
 損保ジャパンは、災害に強い地域社会づくりを目指し、認定NPO法人日本都市計画家協会により設立された「逃げ地図研究会」に参画し、2023年12月からSOMPO流「逃げ地図」づくりワークショップを全国で実施しています。地域住民をはじめとした参加者同士が話し合いながらひとつの地図を作りあげるワークショップの開催を通じて、地域で助け合う共助と災害時の避難を自分事化し命を守る自助の形成に貢献しています。
※3 「逃げ地図」は株式会社日建設計の登録商標です。



<個人用火災総合保険「地震危険等上乗せ特約」>
 損保ジャパンは、火災、落雷、風災・雹災・雪災など自然災害をはじめとするさまざまな災害から日常生活の思いもよらないリスクまでを補償する火災保険を提供しています。地震保険も合わせてセットすることで、地震を原因とする損害を受けた場合に備えることも可能です。
 一般的に、地震保険の保険金額は、最大で火災保険金額の50%です。損保ジャパンでは、地震等による損害が生じた場合の補償を充実させたいというお客さまの声に応え、地震保険金額と合わせて最大で火災保険金額の100%までを補償する「地震危険等上乗せ特約」も提供しています。


<家屋の優良修理業者紹介サービス>
 損保ジャパンは、株式会社Speee(代表取締役:大塚 英樹)と共同で、災害時に被害を受けた家屋の早期復旧をサポートするサービス「みんなのリペア」※4を提供しています。早期に被災地で施工可能かつ優良な修理業者をお客さまに紹介します。修理業者の品質をモニタリングする仕組みが組み込まれたサービスで、被災された方が1日でも早く平穏な生活を取り戻すことができるようサポートします。
※4 詳細は、Speee社のニュースリリースを確認ください。
   https://speee.jp/news/21378/

<個人用火災総合保険「住宅修理トラブル弁護士費用特約」>
 損保ジャパンは、火災保険の特約として、悪質な住宅修理業者との住宅修理トラブルの際に弁護士による対応や法律相談にかかる費用を補償する特約を提供しています。保険の対象に建物が含まれている契約の際には、本特約が自動でセットされます。災害に便乗する悪質な住宅修理業者によるトラブルが急増している※5ことを受け、2023年10月に新設した特約です。
※5 一般財団法人日本損害保険協会からも注意喚起のお知らせが掲載されています。
   https://sonpo.or.jp/news/caution/syuri.html

6.専門家のコメント
SOMPOリスクマネジメント株式会社
BCMコンサルティング部 主任コンサルタント 花田学のコメント


 2024年1月1日の能登半島地震では、津波、液状化、家屋倒壊、火災等により甚大な人的・物的被害が生じ、半島という地理的な条件の影響もあり、現在も復旧・復興が思うように進んでいません。8月8日には、宮崎県沖にある南海トラフ地震の想定震源域で地震が発生し、気象庁より臨時情報(巨大地震注意)が発表されたことで、お盆休みを前にした多くの方々の間で不安と危機感が高まりました。
 また、気象庁※1によれば、2024年7月の平均気温は北日本で1946年の統計開始以降1位を記録する等、全国的に記録的な高温が続いており、熱中症等の健康被害、豪雨や洪水被害が頻発しています。気候変動に伴う自然災害リスクの高まりを肌身で感じている方も多いと思います。
 一昔前まで「災害は忘れた頃にやってくる」という戒めの言葉がありましたが、現在は「災害は忘れる前にやってくる」という状況にあるといえるでしょう。7割超の回答者が「自然災害の発生確率が年々高まっていると感じている」というアンケート結果(Q2)は、これを反映したものといえるでしょう。
 一方、半数近くが「自然災害への備えをしていない」と回答しており(Q3)、具体的な対策行動につながっていないことには懸念を抱きました。
 これだけ多くの方がリスクを認知しているにもかかわらず対策を行わないということは、自分だけは大丈夫だろうと思ってしまう正常性バイアスという人間の心理的特性が働いている可能性があります。正常性バイアスは、災害が差し迫った際には逃げ遅れにつながるなど、命にもかかわるため、人間が本来持つこのような特性も含めて、防災・減災について学ぶ機会を持つことが重要と考えます。半数近くが「この1年防災について学ぶ機会がなかった」(Q7)という状況(結果としての個々の知識の不十分さ(Q8~11))の改善が望まれます。
 自宅で行っている対策内容(Q4)やそのための支出(Q6)については、「非常食や水の備蓄」、「懐中電灯やモバイルバッテリーを準備している」との回答が多くなっています。これは、能登半島地震での広範囲での停電、断水とその長期化に苦しむ方々を目の当たりにしたことも影響しているかもしれません。水や食料、電力の備蓄は災害対策としてとても大切なことではありますが、これらは全て無事に生き残った後に必要になるものです。
 阪神淡路大震災における兵庫県内の死因の7割超は窒息・圧死※2、能登半島地震の石川県内の死因の6割超は圧死(4割超)および窒息・呼吸不全圧死(2割超)※3となっており、地震のような突発性の災害に対しては、家屋の耐震性に加えて家具の固定等を行う、水害等の予兆型の災害に対しては、平時からハザードマップ※4を確認し、どこにどのような危険があるかを知っておくといった具合に、命を守る対策についても目を向けていただきたいと思います。


※1:7月の天候, 気象庁, https://www.jma.go.jp/jma/press/2308/01b/tenko2307.html
※2: 阪神・淡路大震災の死者にかかる調査について(平成17年12月22日記者発表), 兵庫県, https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk42/pa20_000000016.html
※3:2024年1月31日の各種報道
※4:ハザードマップポータルサイト, 国土交通省, http://disaportal.gsi.go.jp/index.html
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