*13:27JST CSSHD Research Memo(7):中期経営計画は順調に推移し、新中期経営計画の策定に着手(2)
■中長期の成長戦略__N+B15:B41EW_LINE__
2) “人材育成の強化”について
CSSホールディングス<2304>は多くの従業員を抱えることから、彼らの能力やモチベーションを高めることを目指している。実施状況は次のとおり。
人財像の浸透では、i) ミッション “Support the Hospitality”、 ビジョン“Create Together”、 バリュー“Go Beyond!”を浸透させるメッセージ(社内報、社長メッセージ、本社ビルチャイム)の頻出、ii) 従業員・社長対談により“Go Beyond!”マインドを深掘りし、ロールモデルとして広報する、などの実績があった。
人財獲得・育成では、i) 卒業生が活躍する大学・専門学校・外国語学校などとの積極的なコミュニケーション、ii) 学生・学校との接点づくりとして、武蔵野調理師専門学校『環境と食』カリキュラムにてSDGsテーマの企業授業での社長講義、大阪農業園芸・食テクノロジー専門学校の企業プロジェクト『売れる商品づくりを学ぶ』カリキュラムに入賞メニューの店舗提供パートナーとして審査参画、玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科の学生たちが参加するプロジェクト型授業「ビジネスコンテンツ」大会に参加し、同社事業による社会問題の解決アイデアプレゼンを実施、東京聖栄大学の管理栄養士養成を目的に、臨地実習・事業所現場実習・本社衛生栄養管理室実習など、栄養士として実際の業務体験をサポート、iii) ダイバシティ & インクルージョンやIT・DX、財務・会計など専門的なリテラシーを有する社内外の人物を講師としたCSSアカデミアの開校、iV) 40周年記念イベント、グループ人事、スキル・成果発表アワード、会社横断の小集団プロジェクトなどの実施推進などの実績上げた。
3) “ESG課題への取り組み推進”について
社会的課題への取り組みを推進することで企業価値の向上を目指す。実施状況は次のとおり。
環境課題への対応では、i) カフェ・コンビニエンスストアで繰り返し利用できるドリンク容器のシェアリングサービス“Re & Go”のような環境課題を構造的に解決しようとする取り組みなど、同社グループの持つアセットを生かせる場面を深掘り、ii) 外部のパートナーや異業種と積極的な情報交換を行い、新たな価値の兆しを掴み育成する、iii) 環境問題対する意識が高いホテルや観光、レジャー、飲食といった業界のクライアントが持つ悩みや課題に寄り添い、根本となる原因にアプローチする、などの実績を上げている。
社会的課題への対応では、多くの人的資本に基づいて成り立っている同社グループの事業環境において、公平(EQUITY)性の担保や偏見の解消など、身近な問題に対する継続的なコミュニティ運営を実施している。例えば、スチュワード事業では従業員の1割程度を占める外国人従業員対応として、教育マニュアルの充実を図っている。また、ロボットによる業務支援の実験にも取り組んでいる。そのほか永年勤続表彰の実施、多言語マニュアルの整備、各種研修の実施なども実施している。
ガバナンス体制の強化では、事業子会社の経営管理を強化するために1) 同社はグループの本社機能、子会社は事業の現場機能の役割を明確化、2) 子会社別に資本コストを考慮した目標利益を設定、3) 同社が子会社から徴収するキャッシュは運営管理料を撤廃し配当に一体化、4) グループのシェアードサービスのフィー体系を現状に則り見直しを行っている。
また役員報酬に業績連動の短期インセンティブを導入した。1) 資本コストを考慮した目標利益を超過した一部を役員報酬に、2) 事業子会社トップは自社の、同社役員は連結ベースの目標利益超過が条件としている。
株式報酬は引き続き検討とし、監査等委員会の機能性向上では、取締役会の実効性評価をベースにブラッシュアップするなどの実績を上げている。
このように同社グループでは、業績目標達成のための事業戦略だけでなく、社会的課題にも積極的に取り組み、企業価値の向上を目指している。欧州投資家を中心に、世界的に企業のESGへの取り組みを考慮した株式投資が拡大しており、我が国でも近年はESG投資が急拡大していることから、今後も同社グループの取り組みが注目される。
3. 次期中期経営計画の概要
現在策定中の次期中期経営計画でも、“基軸事業の強化による収益力の向上”“人財育成の強化”“ESG課題への取り組み推進”“グループシナジーや外部リソース活用による価値創出”の4つの骨太方針は変わらない。コロナ禍にスタートした現中期経営計画では、“基軸事業の強化による収益力の向上”に大きな重心がかかっていた。すなわち、コロナ禍により落ち込んだ業務の立て直しに注力する内容だった。次期中期経営計画では“基軸事業の強化による収益力の向上”と同様に“グループシナジーや外部リソース活用による価値創出”にも注力することが重要であると考え、この2つの方針を両輪としてバランスよく推進することが大きなテーマになるとしている。
同社にとっては、1984年の創業から最初の20年が第1の創業期であり、続く20年は事業多角化を進める第2の創業期となった。そして、次期中期計画からは第3の創業期に入る。主要顧客であるホテルからの要望が拡大するなかで、同社グループがどれだけ新たな価値を提供できるか、どこまで大きな絵を描けるかを検討中である。そのために、2023年10月には、同社で新たにX-valueユニットという組織を立ち上げ、推進すべき内容をモニタリングしている。また、“人財育成の強化”“ESG課題への取り組み推進”は、同社を中心として全体のグループ経営を支える土台部分として堅実に推進するとしている。
次期中期経営計画は現在策定中であるが、既存の事業スキームの伸びしろに加えて、期待されるニーズへの価値提供の可能性や同社の強みによる新たなマーケット創造という多軸の議論を進めている。X-valueの推進によるグループシナジーの創出や、既存の発想にとらわれない外部リソースの積極活用による提携、M&Aを模索することで、成り行きにプラスα(上乗せ)を目指す方針である。次期中期経営計画の業績目標と事業戦略の内容が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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2) “人材育成の強化”について
CSSホールディングス<2304>は多くの従業員を抱えることから、彼らの能力やモチベーションを高めることを目指している。実施状況は次のとおり。
人財像の浸透では、i) ミッション “Support the Hospitality”、 ビジョン“Create Together”、 バリュー“Go Beyond!”を浸透させるメッセージ(社内報、社長メッセージ、本社ビルチャイム)の頻出、ii) 従業員・社長対談により“Go Beyond!”マインドを深掘りし、ロールモデルとして広報する、などの実績があった。
人財獲得・育成では、i) 卒業生が活躍する大学・専門学校・外国語学校などとの積極的なコミュニケーション、ii) 学生・学校との接点づくりとして、武蔵野調理師専門学校『環境と食』カリキュラムにてSDGsテーマの企業授業での社長講義、大阪農業園芸・食テクノロジー専門学校の企業プロジェクト『売れる商品づくりを学ぶ』カリキュラムに入賞メニューの店舗提供パートナーとして審査参画、玉川大学工学部マネジメントサイエンス学科の学生たちが参加するプロジェクト型授業「ビジネスコンテンツ」大会に参加し、同社事業による社会問題の解決アイデアプレゼンを実施、東京聖栄大学の管理栄養士養成を目的に、臨地実習・事業所現場実習・本社衛生栄養管理室実習など、栄養士として実際の業務体験をサポート、iii) ダイバシティ & インクルージョンやIT・DX、財務・会計など専門的なリテラシーを有する社内外の人物を講師としたCSSアカデミアの開校、iV) 40周年記念イベント、グループ人事、スキル・成果発表アワード、会社横断の小集団プロジェクトなどの実施推進などの実績上げた。
3) “ESG課題への取り組み推進”について
社会的課題への取り組みを推進することで企業価値の向上を目指す。実施状況は次のとおり。
環境課題への対応では、i) カフェ・コンビニエンスストアで繰り返し利用できるドリンク容器のシェアリングサービス“Re & Go”のような環境課題を構造的に解決しようとする取り組みなど、同社グループの持つアセットを生かせる場面を深掘り、ii) 外部のパートナーや異業種と積極的な情報交換を行い、新たな価値の兆しを掴み育成する、iii) 環境問題対する意識が高いホテルや観光、レジャー、飲食といった業界のクライアントが持つ悩みや課題に寄り添い、根本となる原因にアプローチする、などの実績を上げている。
社会的課題への対応では、多くの人的資本に基づいて成り立っている同社グループの事業環境において、公平(EQUITY)性の担保や偏見の解消など、身近な問題に対する継続的なコミュニティ運営を実施している。例えば、スチュワード事業では従業員の1割程度を占める外国人従業員対応として、教育マニュアルの充実を図っている。また、ロボットによる業務支援の実験にも取り組んでいる。そのほか永年勤続表彰の実施、多言語マニュアルの整備、各種研修の実施なども実施している。
ガバナンス体制の強化では、事業子会社の経営管理を強化するために1) 同社はグループの本社機能、子会社は事業の現場機能の役割を明確化、2) 子会社別に資本コストを考慮した目標利益を設定、3) 同社が子会社から徴収するキャッシュは運営管理料を撤廃し配当に一体化、4) グループのシェアードサービスのフィー体系を現状に則り見直しを行っている。
また役員報酬に業績連動の短期インセンティブを導入した。1) 資本コストを考慮した目標利益を超過した一部を役員報酬に、2) 事業子会社トップは自社の、同社役員は連結ベースの目標利益超過が条件としている。
株式報酬は引き続き検討とし、監査等委員会の機能性向上では、取締役会の実効性評価をベースにブラッシュアップするなどの実績を上げている。
このように同社グループでは、業績目標達成のための事業戦略だけでなく、社会的課題にも積極的に取り組み、企業価値の向上を目指している。欧州投資家を中心に、世界的に企業のESGへの取り組みを考慮した株式投資が拡大しており、我が国でも近年はESG投資が急拡大していることから、今後も同社グループの取り組みが注目される。
3. 次期中期経営計画の概要
現在策定中の次期中期経営計画でも、“基軸事業の強化による収益力の向上”“人財育成の強化”“ESG課題への取り組み推進”“グループシナジーや外部リソース活用による価値創出”の4つの骨太方針は変わらない。コロナ禍にスタートした現中期経営計画では、“基軸事業の強化による収益力の向上”に大きな重心がかかっていた。すなわち、コロナ禍により落ち込んだ業務の立て直しに注力する内容だった。次期中期経営計画では“基軸事業の強化による収益力の向上”と同様に“グループシナジーや外部リソース活用による価値創出”にも注力することが重要であると考え、この2つの方針を両輪としてバランスよく推進することが大きなテーマになるとしている。
同社にとっては、1984年の創業から最初の20年が第1の創業期であり、続く20年は事業多角化を進める第2の創業期となった。そして、次期中期計画からは第3の創業期に入る。主要顧客であるホテルからの要望が拡大するなかで、同社グループがどれだけ新たな価値を提供できるか、どこまで大きな絵を描けるかを検討中である。そのために、2023年10月には、同社で新たにX-valueユニットという組織を立ち上げ、推進すべき内容をモニタリングしている。また、“人財育成の強化”“ESG課題への取り組み推進”は、同社を中心として全体のグループ経営を支える土台部分として堅実に推進するとしている。
次期中期経営計画は現在策定中であるが、既存の事業スキームの伸びしろに加えて、期待されるニーズへの価値提供の可能性や同社の強みによる新たなマーケット創造という多軸の議論を進めている。X-valueの推進によるグループシナジーの創出や、既存の発想にとらわれない外部リソースの積極活用による提携、M&Aを模索することで、成り行きにプラスα(上乗せ)を目指す方針である。次期中期経営計画の業績目標と事業戦略の内容が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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