株式会社CICS(リゾートトラスト株式会社の連結子会社) BNCTの特定臨床研究に関する契約を江戸川病院と締結 ~FDG-PET陽性の浅在性腫瘍に対する研究にBNCT用装置に関する技術を提供~

配信元:PR TIMES
投稿:2024/07/10 14:17

 リゾートトラスト株式会社の連結子会社である株式会社CICS(代表取締役社長:古川哲也、本社:東京都江東区、以下「CICS」)は、社会福祉法人仁生社 江戸川病院(東京都江戸川区)で実施される浅在性腫瘍を対象とした研究者主導の特定臨床研究※1(以下「本研究」)への協力に関する契約を締結したことをお知らせします。CICSは、BNCT(Boron Neutron Capture Therapy:ホウ素中性子捕捉療法)用中性子照射装置に関する技術の提供を通じて本研究に協力します。

※1 臨床研究について
「臨床研究」は「医薬品等を人に対して用いることにより、当該医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究(治験に該当するものその他厚生労働省令で定めるものを除く。)」と臨床研究法で定められています。
「特定臨床研究」は臨床研究のうち、医薬品等製造販売業者又はその特殊関係者(=子会社)から研究資金等の提供を受けて実施する臨床研究(当該事業者が製造販売をし、又はしようとする医薬品等を用いるものに限る)や未承認又は適応外の医薬品等を用いる臨床研究を指します。(厚生労働省「臨床研究法について」)

 本研究は、ブドウ糖に似た成分「FDG」が取り込まれる腫瘍に対する、BNCTの有効性と安全性を評価することを目的としています。また、BNCTにおける事前有効性評価としての「FDG-PET」の有用性を検討します。
 対象は、悪性腫瘍と確定診断された患者様で、皮膚表面から6cm以内の悪性腫瘍があり※2、FDGの取り込みが認められる腫瘍が1つ以上存在する患者様です。
 江戸川病院には、CICSが国立がん研究センター中央病院に設置し開発を進めているものと同型の中性子照射装置が導入されており、本研究では、この装置とステラファーマ株式会社(大阪市中央区)のBNCT用ホウ素医薬品を組み合わせて使用されます。
 CICSは本研究の趣旨に賛同し、CICSのBNCT用中性子照射装置に関する技術を提供します。なお、本件に関する今期当社連結業績への影響は、軽微です。

 BNCTはホウ素化合物「BPA」ががん細胞に特異的に取り込まれるという原理を利用して、がん細胞を選択的に死滅させる治療法です。現在は、BPAをPET検査で用いる薬剤に応用した「FBPA」という薬剤を用いて、がん細胞を狙い撃ちするために必要なBPAががん細胞にどれだけ集積するかを確認する検査「FBPA-PET」の開発が進められています。この検査は、治療前にBNCTの治療効果を予測することに役立つと考えられています。しかし、FBPA-PETは保険診療となっていないため、施行できる施設が限られているという課題もあります。

 一方で、FDGを用いる検査「FDG-PET」はすでにがん診療において浸透しており、施行できる施設数が多いという利点があります。FDG-PETは、がん細胞が正常な細胞に比べてブドウ糖を多く必要とする原理を利用した検査で、がん細胞に取り込まれたブドウ糖の分布を画像化することで、がんの有無や広がりなどを調べます。
 
 がんにおけるFDGの集積はFBPAの集積と有意に相関しているというデータもあるため、FDG-PETがFBPA-PETの代替として有用な可能性があると考えられています。日常診療で行われているFDG-PETでBNCTの効果推測ができれば、より多くの患者様にBNCTが適応される可能性があると期待されます。

※2 BNCTの治療効果を得られるのは皮膚表面から6-7cmの深さまでに限られています

 リゾートトラストグループは、1994年にメディカル事業に参入し、会員制医療倶楽部の運営を開始。山中湖クリニックにて当時研究用装置であった陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography、以下「PET」)をがん検診に導入しました(FDG-PET)。国内のPET普及に大きく貢献したほか、大学病院と画像診断や先制医療等の研究活動も推進してきました。現在は検診はもちろん、治療におけるソリューションを拡大し、当社グループでがん先端免疫治療の施設も運営支援しています。

 リゾートトラストグループは、「ご一緒します、いい人生」というブランド・アイデンティティのもと、「人生100年時代の健康長寿・ウェルビーイングへの貢献」をスローガンに掲げています。また、「がんで大切な人を亡くさない社会を作りたい」という思いから、がん検診・治療に関わってまいりました。BNCTへの取り組みを通じて、より豊かでしあわせな時間(とき)を創造するお手伝いをするとともに、がん治療に新たな光をもたらしていきたいと考えています。

【BNCTについて】
BNCTは放射線治療の一種であり、新しいがんの治療方法です。
患者様にホウ素化合物を投与すると、ホウ素(10B)ががん細胞に集まります。その後、患部に体外から中性子線を照射します。照射する中性子線は、非常にエネルギーが小さく、人体への影響はほとんどありませんが、ホウ素(10B)とぶつかると核反応を起こし、放射線(アルファ線と7Li核)が発生します。BNCTは、この放射線によってがん細胞を選択的に破壊する治療法です。
また、原則1回の中性子線の照射で治療が完了し、身体への負担が少ない治療法として期待されています。




【CICSの照射装置について】
CICSが開発した加速器型の中性子捕捉治療装置です。RFQ(高周波四重極)直線加速器で加速した陽子をリチウムターゲットに衝突させることで中性子を生成するもので、人体への悪影響の大きい高速中性子の混在が少ないことが特徴です。また生成する中性子のエネルギーが800keV以下と低いため、BNCTに適した10keV程度のエネルギーに減速するための減速体系の小型化が可能となりました。

■機器に関するお問い合わせ先
株式会社CICS
〒135-0063 東京都江東区有明3-5-7 TOC有明ウエストタワー17F 
Tel:03-3529-6301 Mail:tec@cics.jp
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