山田コンサル Research Memo(5):2025年3月期は売上高が減収となるも営業利益は過去最高を見込む(2)

配信元:フィスコ
投稿:2024/06/25 12:45
*12:45JST 山田コンサル Research Memo(5):2025年3月期は売上高が減収となるも営業利益は過去最高を見込む(2) ■今後の見通し

2. 中期経営計画
山田コンサルティンググループ<4792>は2024年3月期に3ヶ年の中期経営目標を掲げた。最終年度となる2026年3月期に売上高227億円、売上総利益178億円、営業利益42億円の達成を目指す。コンサルティング事業が安定的に成長する一方で、ボラティリティの高い投資事業は、投資残高を一定金額以上に維持することで収益を安定化する意向である。ただし、ボラティリティの高い投資事業でのイグジット件数が増減するため、2025年3月期は売上高・営業利益が減少する計画である。2024年3月期中期経営目標の期初予想である売上高21,800百万円、売上総利益15,520百万円、営業利益3,500百万円に対し、2024年3月期の業績において、売上高は計画比1.7%増の22,177百万円、売上総利益は同4.9%増の16,283百万円、営業利益は同4.6%増の3,662百万円と目標を上回った。

(1) 主要事業別の基本方針
「経営コンサルティング事業」(「事業再生コンサルティング事業」含む)は、2026年3月期の目標売上総利益を7,530百万円とし、量的拡充から質的拡充への転換を目指す。具体的には、上場企業向けコンサルティング、組織戦略と人材戦略のコンサルティング、DXコンサルティングなどのサービスの拡充と強化、幅広いソリューションの提供による顧客との長期的な関係構築の促進、案件協働や知識・ノウハウ共有の強化により拠点及び案件における品質の均一化を促す。

(2) DXコンサルティングの推進
2024年3月期よりDX推進事業室を立ち上げ、これまでコンサルタントが個々で行ってきたDXコンサルティングの知識・ノウハウを集約し発展させ、組織として均質なサービスを提供できる体制を推進している。「経営コンサルティング事業」の売上高のうち、DXコンサルティングの売上構成を2023年3月期の5%から2026年3月期には20%まで引き上げ、プロジェクトマネージャー(PM)も2023年3月期の30人から2026年3月期には100人まで増員する計画は継続する予定である。

(3) 海外コンサルティングの拡大
同社は2009年から海外コンサルティング事業を展開し、顧客企業の海外進出を支援するために、200名以上の専門チームと世界30ヶ国以上のネットワークを活用し、現地情報の収集から実行支援までを行っている。各国拠点が協力し、顧客中心のサービスを提供する基本方針のもと、顧客の海外進出支援を強化している。

また同社は自社拠点の展開にこだわることで、海外の現地から一次情報を取得し、戦略策定から実行支援までをサポートをする独自の体制を構築している。マーケットリサーチにおいては20年以上の実績があり、自社拠点を活用して海外の現地スタッフが情報を収集し、ボトムアップアプローチやインタビュー調査を通じて市場調査と戦略策定を行う。アジアを中心にシンガポール、インドネシア、インド、タイ、ベトナム、韓国、マレーシア、中国、米国、UAEに拠点を展開している。一方で、グリーンフィールドリサーチのリソースと経験を活かし、実行支援やアライアンス構築も行う。パートナーサーチや条件交渉、アライアンスの交渉・実行などをサポートし、社内外の専門家と連携して総合的な支援を提供する。

事業は3つのフェーズに分かれており、第1フェーズでは日系企業の海外展開を支援し、特定の業種やセグメントに焦点を当てている。第2フェーズでは、ローカル社員が自国企業の成長に寄与する形での支援を行い、最終的に第3フェーズでは、現地企業の海外展開を各国拠点が相互に支援することで、グローバルな規模での成長を促進している。これらの段階的アプローチにより、海外コンサルティング事業は顧客企業だけでなく、自社の持続的成長にも寄与している。

同社は自社拠点を基本にアジア各地に展開し、2024年4月には米国でTakenaka Partnersを子会社化するなど、グローバルなネットワークを強化している。欧州では、地元提携先とともにM&Aを核としたサービス提供を行い、国際的な業務拡大を進めている。同社の強みは、175名のローカル社員(海外事業本部238名のうち)が現地言語で取得する一次情報のリサーチ力と、戦略策定から実行支援までを手掛ける本社派遣メンバーによるサポート体制である。各国の拠点が協力し合い、現地企業の国際展開に対しても最適なプラクティスを提供することで、顧客のグローバルな成長を助けている。

(4) 海外不動産投資事業の推進
国内の富裕層や優良法人は、国内の人口減少を発端とする空き家の増加・レジデンスの減少などから、今後は国内の不動産投資に偏りすぎず、海外不動産を一部保有する長期ポートフォリオを考えることが必要になる。そのため、同社は従来の節税やTAXニーズを目的とした海外不動産投資から、投資目的に向いたアメリカの不動産開発案件を提案することに注力する。同社は丸紅<8002>及びCrow Holdingsと共同企業体を組み、日本のメガバンクと提携していくつかの州で不動産担保に円キャリー取引※のシステムを構築しており、5年以内に日本の富裕層や法人向けの海外不動産の資産化をビジネスの柱にする計画である。加えて、より幅広い資産運用ニーズに応えるために、不動産関連を中心とするファンド等への投資機会の提案にも取り組む。現時点では、為替の状況を見ながら投資するタイミングを見計らう顧客が多いが、同社は米国に不動産担当の従業員を送り込むなど積極的に事業を推進している。

※投資家が低金利通貨である円を借り入れて、それを高金利通貨に投資する取引のこと。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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配信元: フィスコ

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