*16:31JST ウェーブロックHD Research Memo(1):金属調加飾フィルムが自動車向けに採用相次ぎ、今後の成長ドライバーに
■要約
ウェーブロックホールディングス<7940>は、防虫網や農業用、建設資材用各種シートを手掛けるマテリアルソリューション事業と、金属調加飾フィルムを中心としたアドバンストテクノロジー事業を展開する樹脂加工メーカーである。環境関連ビジネスとして地中熱エネルギーシステムの育成にも取り組んでいる。2023年6月には既存事業の基盤強化を目的に、同業のアァルピィ東プラ(株)(以下、RP東プラ)の株式の20.32%を取得し、持分法適用関連会社とした。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.3%増の23,559百万円、営業利益で同12.0%増の387百万円と2期連続の増収、営業利益は4期ぶりの増益となった。売上高は、食品用包材や北米自動車メーカー向け金属調加飾フィルムのパーツ成形販売、液晶テレビモニター向け導光板の仕入販売が伸長し増収となった。営業利益は自動車向けフィルムの販売減や償却負担増によりアドバンストテクノロジー事業が減益となったものの、原材料コスト上昇に伴う売価転嫁や不採算品の見直しにより収益性の改善が進んだマテリアルソリューション事業の増益でカバーした。
2. 新中期経営計画の概要
同社は2027年3月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画を発表した。業績目標は売上高で年率8%成長の29,500百万円、営業利益で同50%成長の1,300百万円、ROEで6.3%とした。利益成長のけん引役は、海外の自動車メーカー向けに採用が相次いでいる金属調加飾フィルム関連で、パーツ成形品も含めた売上高は2024年3月期の約32億円から3年後に約2倍に急拡大する見込みで、アドバンストテクノロジー事業の営業利益も同41百万円から700百万円となる見通し。自動車向けビジネスは2~3年先までの部材の選定がほぼ確定しているため、少なくとも売上目標達成の蓋然性は高いと弊社では見ている。一方、成熟分野となるマテリアルソリューション事業は稼ぐ力の再構築をテーマに、低成長・低収益分野の構造改革と地中熱ビジネスの育成に取り組むことで、年率10%の利益成長を目指す。また、M&Aも既存事業の拡大や周辺ビジネスの獲得につながる案件などを対象に検討を進める方針だ。
3. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は売上高で前期比8.2%増の25,500百万円、営業利益で同8.4%増の420百万円を計画している。売上高はマテリアルソリューション事業で同7.1%増、アドバンストテクノロジー事業で同11.3%増といずれも増収となる見通し。成長分野の金属調加飾フィルム関連が拡大するほか、地中熱ビジネスも91百万円から330百万円に成長する見込み。利益面では原材料価格の上昇や賃上げによる人件費増、拡販に向けた戦略的費用の増加によりマテリアルソリューション事業が同6.7%減の950百万円となるものの、増収効果などによりアドバンストテクノロジー事業が同258.9%増の150百万円に拡大すると見ている。なお、株主還元方針は連結配当性向35%以上を目安に、安定的な配当を維持することにしており、2025年3月期の1株当たり配当金は前期と同額の30.0円(配当性向57.5%)を予定している。業績が新中期経営計画どおりに進捗すれば、2026年3月期以降は配当性向が35%を下回り、増配を検討することになる。
■Key Points
・2024年3月期業績はマテリアルソリューション事業の収益改善で4期ぶりの営業増益に転じる
・2027年3月期に売上高29,500百万円、営業利益1,300百万円を目指す新中期経営計画を策定
・2025年3月期業績はアドバンストテクノロジー事業がけん引し、増収、営業増益となる見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ウェーブロックホールディングス<7940>は、防虫網や農業用、建設資材用各種シートを手掛けるマテリアルソリューション事業と、金属調加飾フィルムを中心としたアドバンストテクノロジー事業を展開する樹脂加工メーカーである。環境関連ビジネスとして地中熱エネルギーシステムの育成にも取り組んでいる。2023年6月には既存事業の基盤強化を目的に、同業のアァルピィ東プラ(株)(以下、RP東プラ)の株式の20.32%を取得し、持分法適用関連会社とした。
1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比4.3%増の23,559百万円、営業利益で同12.0%増の387百万円と2期連続の増収、営業利益は4期ぶりの増益となった。売上高は、食品用包材や北米自動車メーカー向け金属調加飾フィルムのパーツ成形販売、液晶テレビモニター向け導光板の仕入販売が伸長し増収となった。営業利益は自動車向けフィルムの販売減や償却負担増によりアドバンストテクノロジー事業が減益となったものの、原材料コスト上昇に伴う売価転嫁や不採算品の見直しにより収益性の改善が進んだマテリアルソリューション事業の増益でカバーした。
2. 新中期経営計画の概要
同社は2027年3月期を最終年度とする3ヶ年の新中期経営計画を発表した。業績目標は売上高で年率8%成長の29,500百万円、営業利益で同50%成長の1,300百万円、ROEで6.3%とした。利益成長のけん引役は、海外の自動車メーカー向けに採用が相次いでいる金属調加飾フィルム関連で、パーツ成形品も含めた売上高は2024年3月期の約32億円から3年後に約2倍に急拡大する見込みで、アドバンストテクノロジー事業の営業利益も同41百万円から700百万円となる見通し。自動車向けビジネスは2~3年先までの部材の選定がほぼ確定しているため、少なくとも売上目標達成の蓋然性は高いと弊社では見ている。一方、成熟分野となるマテリアルソリューション事業は稼ぐ力の再構築をテーマに、低成長・低収益分野の構造改革と地中熱ビジネスの育成に取り組むことで、年率10%の利益成長を目指す。また、M&Aも既存事業の拡大や周辺ビジネスの獲得につながる案件などを対象に検討を進める方針だ。
3. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は売上高で前期比8.2%増の25,500百万円、営業利益で同8.4%増の420百万円を計画している。売上高はマテリアルソリューション事業で同7.1%増、アドバンストテクノロジー事業で同11.3%増といずれも増収となる見通し。成長分野の金属調加飾フィルム関連が拡大するほか、地中熱ビジネスも91百万円から330百万円に成長する見込み。利益面では原材料価格の上昇や賃上げによる人件費増、拡販に向けた戦略的費用の増加によりマテリアルソリューション事業が同6.7%減の950百万円となるものの、増収効果などによりアドバンストテクノロジー事業が同258.9%増の150百万円に拡大すると見ている。なお、株主還元方針は連結配当性向35%以上を目安に、安定的な配当を維持することにしており、2025年3月期の1株当たり配当金は前期と同額の30.0円(配当性向57.5%)を予定している。業績が新中期経営計画どおりに進捗すれば、2026年3月期以降は配当性向が35%を下回り、増配を検討することになる。
■Key Points
・2024年3月期業績はマテリアルソリューション事業の収益改善で4期ぶりの営業増益に転じる
・2027年3月期に売上高29,500百万円、営業利益1,300百万円を目指す新中期経営計画を策定
・2025年3月期業績はアドバンストテクノロジー事業がけん引し、増収、営業増益となる見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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