【QAあり】フランスベッドHD、中計の売上高・ROE目標を達成 新中計では売上高650億円に向けてレンタルビジネス拡大へ
エグゼクティブサマリー
長田明彦氏(以下、長田):フランスベッドホールディングスの長田です。本日はお忙しい中、2024年3月期の決算説明並びに中期経営計画の発表機会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は多くのみなさまにご参加いただきたく、ライブ配信形式での開催としました。何卒ご了承のほどお願い申し上げます。
まず、エグゼクティブサマリーをご説明します。業績の推移については、2024年3月期は増収・増益。各利益段階において、フランスベッドホールディングス設立以来の最高益を更新することができました。
次に、2024年3月期に終了した中期経営計画に対しては、売上高目標であった590億円、ROE目標であった8.0パーセントをクリアすることができました。
また、株主還元では4期連続での増配、さらに前3ヶ年中期経営計画期間において、総額33億円の自己株式取得と、27億円の自己株式消却を行っています。
そして、2025年3月期から2027年3月期までの中期経営計画を策定しました。前中期経営計画での実績と課題を踏まえ、テーマとして「シルバービジネスへの経営資源集中の継続と深化」「レンタルビジネス拡大」によるサステナブル経営を掲げています。
目次
先ほどのサマリーの内容を踏まえ、本日の説明会の内容と進め方についてご説明します。
まず私より2024年3月期の業績報告、中期経営計画、2025年通期の業績見通しについてご説明し、その後、社長の池田より今後の主な取り組みについてお話しします。
トピック
前回の決算発表から2024年3月期の決算発表までのトピックについてご説明します。
2024年2月27日に開示したとおり、2029年満期のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債を発行し、総額50億円を調達しました。そのうち約20億円を今年2月28日に行った自己株式取得に使用しています。
なお、残りの30億円については、福祉用具貸与事業の拡大を支えるサービスセンター等の増強、およびレンタル資産取得のための設備投資の他、福祉用具貸与事業者および保有する顧客の譲り受けなど、M&Aに積極的に活用していく予定です。
次に、今年5月15日には中期経営計画策定に関するお知らせをリリースしました。この詳細は後ほどご説明します。
連結業績(2024年3月)
2024年3月期の業績についてご説明します。2024年3月期の連結業績は、売上高が591億5,100万円、前期比プラス0.9パーセント、5億7,200万円の増収です。経常利益が46億5,700万円、前期比プラス3.8パーセント、1億7,200万円の増益でした。
なお、特別利益に投資有価証券売却益など2億2,200万円を、特別損失に固定資産の除却損など1億7,100万円を計上した結果、当期純利益は31億3,400万円と前期比プラス15.9パーセント、4億3,200万円の増益となりました。
1株当たり当期純利益は、前期の74円80銭から87円28銭へ、ROEは7.1パーセントから8.2パーセントに上昇しました。
連結業績(営業利益増減要因)
スライドのグラフは、連結業績の営業利益について、前期から当期にかけての増減要因を示したものです。
売上面では、新型コロナウイルス5類への移行に伴う消費行動の変化に物価上昇が加わり、インテリア健康事業が減収となる中、メディカルサービス事業のレンタルは堅調に推移し、全体で5億7,200万円の増収になりました。
また、両事業とも原価率が低減し、売上総利益において前期比プラス2.2パーセント、6億9,500万円の増益を確保しました。
賃上げに伴う人件費、レンタル品のメンテナンス費用、運賃の増加などにより、販管費は前期比プラス2.2パーセント、5億8,900万円の増加となったものの、これを補い営業損益は1億500万円の増益となっています。
セグメント別業績(2024年3月)
セグメント別の業績についてご説明します。事業拡大を図るメディカルサービス事業では、売上高が前期比プラス2.1パーセントの388億6,200万円、経常利益は前期比プラス4.8パーセントの35億2,600万円で、増収・増益となりました。
一方、インテリア健康事業は、売上高が前期比マイナス1.0パーセントの197億4,000万円、経常利益は前期比マイナス1.7パーセントの11億2,100万円で、減収・減益となっています。
メディカルサービス事業の概況
メディカルサービス事業の業績の内訳についてご説明します。繰り返しになりますが、メディカルサービス事業については、増収・増益でした。売上面では、主力の福祉用具貸与事業の他、病院・施設向け卸販売事業、リネンサプライ事業等のすべてで増収となりました。
しかし、コロナ禍では旺盛だった在宅から、介護施設などへの入所等による解約や引き上げなどの増加、さらには2024年物流問題に起因する配送力不足が加わったことなどにより、レンタルの伸長率が鈍化しました。そのため、売上高は前期比プラス2.1パーセント、8億900万円の増収にとどまりました。
利益面では、営業、メンテナンス人員の採用や配送など、継続的なレンタル拡大のための費用投下に対し、レンタル資産の在庫適正化による投下抑制とメンテナンス人員増強によるレンタル稼働率向上により、原価率が低減しました。これらが費用増を補ったことにより、経常損益は前期比プラス4.8パーセント、1億6,200万円の増益となっています。
メディカルサービス事業の経常利益増減要因
こちらのスライドはメディカルサービス事業の経常利益増減要因をグラフで示したものですが、先ほどの説明と重複するため割愛します。
インテリア健康事業の概況
インテリア健康事業は減収・減益となりました。売上面では、ホテル向け販売は国内旅行者やインバウンド需要の回復に伴い設備投資が活発化したことに加え、エコマーク認定商品などの販売が好調で増収となりました。
一方で、家具小売店向け販売においては、外出型消費への移行に物価上昇が加わり、自社ショールーム、催事を含め、前年までの客数を確保できない状況でした。
そのような状況の中、第4四半期に75周年記念モデルの投入により巻き返しを図ったものの、2022年10月の値上げ前駆け込み特需を補うには至らず、売上高は前期比マイナス1.0パーセント、2億800万円の減収となりました。
利益面では、引き続き除菌等複数の機能を持つマットレスや、電動ベッドなど高価格、高付加価値商品の販売シェア増加により、粗利率は上昇しました。しかし、賃上げによる人件費増加等により、経常利益は前期比マイナス1.7パーセント、2,000万円の減益となりました。
インテリア健康事業の経常利益増減要因
スライドにインテリア健康事業の経常利益増減要因をグラフで示しています。売上高の減少に対し、高価格帯商品のシェア増加から販売本数は減少しましたが、平均単価は10パーセント程度上昇しています。
これにより原価率が低減し、売上総利益段階では増益となりましたが、先ほどもお話しした賃上げによる人件費と販管費の増加を補うには至らず減益となりました。
連結賃借対照表の状況
2024年3月末の比較貸借対照表です。2024年3月末の負債総資産合計は685億7,500万円、前期末比で38億9,500万円の増加です。
主な増減項目として、現預金、短期有価証券が38億4,600万円増加しました。有利子負債は長・短期合わせて39億8,600万円増加であり、ユーロ円建転換社債50億円の発行により、現預金と有利子負債が増加しています。
連結キャッシュ・フローの状況
2024年3月期の連結キャッシュ・フローの状況は、現金及び現金同等物の期末残高が前期末と比較して28億4,600万円増加し、132億200万円となりました。
なお、キャッシュ・フロー計算上で現金同等物とみなされていない、3ヶ月超の短期運用資産と有価証券を加味した実質的な現預金の増減については、38億4,600万円の増加です。
前中期経営計画の振り返り
続いて、2025年3月期を期初とした中期経営計画についてご説明します。
まず、前中期経営計画の結果についてご説明します。当社グループは2021年度を期初とした中期経営計画において、超高齢社会における課題解決に向けて、グループが保有する経営資源をシルバービジネスに集中するとともに、持続可能な社会の実現に向けたESG経営を推進するという基本方針のもと、企業価値の向上に取り組んできました。
成果として、経営資源を集中したメディカルサービス事業の福祉用具貸与事業においては、東京都小平市でのメンテナンスセンター新設による供給体制の増強や、M&Aなどにより事業規模を拡大しました。
インテリア健康事業においては、付加価値の高い中・高級品ゾーンへのシフトを加速した結果、物価上昇等の価格転嫁も受け入れられ、当初計画を上回る利益を計上することができました。
中期経営計画達成状況(連結業績推移)
あらためて、これまでの連結業績推移です。売上高では、コロナ禍の2021年3月期は若干の減収となったものの、右肩上がりの増収基調を継続しました。経常利益は5期連続の増益となりました。
経常利益は2019年3月期の23億6,100万円から、倍増の46億5,700万円までに拡大することができました。
中期経営計画達成状況(セグメント別業績推移)
セグメント別の業績推移です。メディカルサービス事業では、拡大する福祉用具貸与事業に対し、営業増員を最重要テーマとして顧客対応力の引き上げを図るとともに、M&Aによる規模拡大やサービスセンターの増強を進めてきました。
前中期経営計画の最終年度であった2024年3月期は、コロナ禍収束に伴う在宅から医療機関などへの入院などの増加や、物流の2024年問題への対応が迫られる中、配送力不足が顕在化してきたことなどによりレンタル売上の鈍化がみられました。
しかし、売上高は2019年3月期の300億円弱から、2024年3月期には400億円弱までに拡大し、セグメント利益も2019年3月期比で1.5倍の約35億円まで拡大しています。
一方、インテリア健康事業では、2019年当時の経常損失の状態から、工場の集約やメディカル事業への人員のシフトを敢行しました。また、商品施策でも商品アイテムを絞り込んだ上で、高額品へシフトしました。良質な眠りを求める方のニーズを捉え、売上高を大きく減らすことなく、経常利益11億円を計上するまでに改善ができています。
計画策定の背景と課題
以上を踏まえ、2025年3月期を起点とし、2027年3月期を最終期とする新中期経営計画の概略についてご説明します。
新中期経営計画のテーマは、「シルバービジネスへの経営資源集中の継続と深化」、および「レンタルビジネスの拡大」です。
これまで伸ばしてきた福祉用具貸与事業のさらなる深化と、全社を挙げたレンタル売上の獲得に取り組み、レンタル売上高の構成比率を増やすことで、持続的な企業運営と限りある資源を有効活用する循環型経済への貢献を目指します。
国民の5人に1人が後期高齢者となる超高齢社会の中で、在宅・施設でのニーズに応えるとともに、良質な眠りの提供による健康社会の実現、地球環境に配慮した商品・サービスの提供に継続的に取り組んでいきます。
新中期経営計画最終年度目標(連結業績)
新中期経営計画の最終年度目標です。売上高は650億円で2024年3月期実績比でプラス9.8パーセント、営業利益は54億2,000万円でプラス18.1パーセント、経常利益は54億円でプラス15.9パーセント、当期純利益は34億6,000万円でプラス10.4パーセントとなります。
ROEは2024年3月期実績の8.2パーセントから、2027年3月期で8.5パーセント以上を目標としています。
新中期経営計画最終年度目標(セグメント別業績)
各セグメント別の目標数値はスライドのとおりです。メディカルサービス事業では売上高430億円、経常利益40億円、インテリア健康事業では売上高210億円、経常利益14億円を計画しています。
メディカルサービス事業
続いてメディカルサービス事業における主な施策についてご説明します。前述のとおり、2025年には国民の5人に1人が後期高齢者となり、特に都市部への人口集中が見込まれます。当社では営業員の強化を継続し、特に都市部での対応力強化を図ります。
また、昨今の福祉用具貸与市場では、後継者問題などから顧客や事業そのものを売却する案件が増えています。1人でも多くの利用者に当社のサービスをご利用いただくためにも、今までにない規模の資金を用意し、M&Aや顧客譲り受けに積極的に取り組んでいきます。
また、前中期経営計画期間の課題として認識した配送体制の強化については、物流の2024年問題からも、単純な配送車両の増車のみでは乗り切れないことは明確です。そこで、AIを活用した配送ルート最適化ツールを導入し、1車あたりの配送件数を増やす施策に着手しています。
また、レンタル増加に伴いメンテナンス量も大幅に増加するため、福祉用具の洗浄、消毒、メンテナンスを行うサービスセンターの拡充とともに、メンテナンス機器の導入、倉庫作業の自動化に向けた設備投資など、インフラ整備に取り組んでいきます。
インテリア健康事業
インテリア健康事業における主な施策についてご説明します。当社は近年、戦略商品や付加価値の高い商品についてお客さまに丁寧にご説明するため、自社グループショールームを全国の主要都市に設置してきました。
主要な中核都市への出店は完了しましたが、地方の家具店などの倒産や廃業も少なからず発生していることから、引き続き採算性が見込めるエリアへの新規出店を進めていきます。
また、今回新たに韓国のソファブランド「JAKOMO」と提携し、ソファを中心としたリビング商品のみを取り揃えたショールームを六本木に開設します。
ベッドとともに時代に合った暮らしの提案を行い、今後3年間でショールームを全国に拡大し、リビング売上の倍増を計画しています。
さらにインバウンドなどによる活況な宿泊施設に対し、電動ベッドやパーソナルチェアなど、客室の付加価値が高まる商材のレンタル提案により、レンタル需要を取り込んでいきます。
株主還元
株主還元のうち、配当については引き続き安定配当を基本方針とし、連結配当性向50パーセント程度を目安に、総合的な判断によって配当水準の向上を目指していきます。また、新中期経営計画期間においても、引き続き機動的に自己株式の取得を実施していきます。
2025年3月期 連結業績見通し(中計初年度)
2025年3月期通期の連結業績の見通しです。新中期経営計画初年度である2025年3月期の連結業績については、売上高は610億円、前期比でプラス3.1パーセント、18億4,900万円の増収を見込んでいます。
経常利益は48億円、前期比プラス3.0パーセントで1億4,300万円の増益、当期純利益は30億円、前期比マイナス4.2パーセントで1億3,400万円の減益を見込んでいます。前期に計上した有価証券売却益のような特別利益を計算していないため、若干の減益となっています。
2025年3月期 セグメント別損益見通し(中計初年度)
2025年3月期のセグメント別損益見通しです。メディカルサービス事業では、売上高は402億円、前期比プラス3.4パーセントで13億3,800万円の増収、経常利益は36億6,000万円、前期比プラス3.8パーセントで1億3,400万円の増益の計画です。
インテリア健康事業では、売上高は202億円、前期比プラス2.3パーセントで4億6,000万円の増収、経常利益は11億4,000万円、前期比プラス1.6パーセントで1,900万円の増益を見込んでいます。
2025年3月期 設備投資の状況(中計初年度)
設備投資の状況についてご説明します。2024年3月期の設備投資実績は49億500万円、介護関連レンタル資産への投資が32億1,900万円となりました。
2023年3月期比ではほぼ横ばいですが、北海道千歳市に所有する土地の再活用計画に伴い、新たに建設した千歳サービスセンターへの建設投資が約8億円増加しました。
一方で、レンタル商品の有効活用への取り組みとして新規レンタル投下の抑制に努めた結果、レンタル資産への投資が約5億円減少しています。
なお、2025年3月期には総額42億円程度の設備投資を計画しており、そのうち介護関連商品の需要に応えるためのレンタル資産への投資は約36億円を計画しています。その他、東名阪を中心に拡大するレンタル需要に応えるべく、積極的な設備投資を行っていきます。
以上が今回策定した新中期経営計画の概要です。続いて社長の池田より今後の主な取り組みについてご説明します。
今後の主な取り組み_レンタルサービス
池田茂氏(以下、池田):フランスベッドホールディングスの池田です。私からは今後の主な取り組みについてご説明します。
当社グループはこれまで主力の福祉用具貸与事業に経営資源を集中的に投下し、着実に事業を伸ばしてきました。今後もシルバービジネスについては、事業を深化させることで伸ばしていきます。
また、インテリア健康事業では売上の横ばいが続いており、今後も国内市場で売上を大きく伸ばしていくことはハードルが高い状況です。しかし、付加価値の高い商品を開発し、国内外の市場に投入することで継続した利益を創出していきます。
さらに、制度ビジネスに依存しているだけでは制度変更リスクもあることから、介護保険以外のレンタル売上を拡大することによって、持続的で安定的に成長する企業運営を目指していきます。
このような考え方から、今後当社グループは、自社の強みであり、資源を有効活用できるレンタルを全事業において拡大することで、持続可能な社会の実現に向けたサステナブルな経営を進めていきます。
そのために、メディカルサービス事業での介護保険対象レンタルサービスに加え、介護保険対象レンタル以外のレンタルサービスを拡大していきます。
今後の主な取り組み_レンタルサービス
5年以内の中期的な目標として、当社グループの連結売上高に占めるレンタル売上高比率を、2024年3月末の44.2パーセントから50パーセント以上へと引き上げていきたいと考えています。
介護保険対象レンタル以外のレンタルサービス①
介護保険対象レンタル以外のレンタルサービスについてご説明します。1つ目は、サービス付き高齢者住宅向け「家具・家電レンタル」サービスの展開エリア拡大です。
このサービスは、高齢者施設へ入居するにあたって用意しなければならない家具や家電をレンタルするサービスです。昨年から試験的に東京都限定でサービスを展開し、19法人と契約することができました。
今年は神奈川県と埼玉県でのサービス展開を計画しており、累計50法人との契約を目指します。今後は都市部を中心にさらにサービス展開エリアを拡大していきます。
介護保険対象レンタル以外のレンタルサービス②
2つ目は、病院・高齢者施設などの法人向けニーズ対応型のメディカル商品レンタルサービスの拡充です。このサービスは、病院や高齢者施設向けに高機能なベッドやエアマットレスをレンタルするサービスです。
従来、病院や高齢者施設では一般の介護ベッド80台、超低床のベッド20台など、2割は重度者を想定した備品を用意しています。
しかし、入居者の介護度や症状が重い入居者が多くなると、必要な機能を持った備品が不足し、新たに購入する必要があります。
そのような課題に対応するために、一部の備品ではレンタルを活用いただき、入所する利用者の介護度に合わせて高機能な介護ベッドや体圧分散性の高いエアマットレスなどを柔軟に調整できるといった、ニーズ対応型サービスです。
このような需要は今後さらに拡大していくと考えており、レンタルのメリットを最大限に訴求していきます。
介護保険対象レンタル以外のレンタルサービス③
3つ目は、旅行客向けメディカル商品の短期レンタルサービス推進です。このサービスは、国内旅行者やインバウンドを対象に、旅行期間中、車椅子や電動シニアカーをレンタルするサービスです。
コロナ禍の収束に伴い、インバウンド数や国内旅行客数は好調に推移しています。そのような背景もあり、最近は外国人が宿泊するホテルなどから滞在期間中の車いすのレンタルに関する問い合わせが増えてきています。
現在サービス開始に向け準備を進めており、まずは東京や大阪でサービスを開始する予定です。全国でレンタルサービスを展開している当社ならではの強みを活かし、京都や北海道などインバウンドに人気があるエリアでのサービス展開を計画していきます。
介護保険対象レンタル以外のレンタルサービス④
4つ目は、宿泊施設向けインテリアの商材レンタルサービス拡大です。このサービスは、国内のホテルや旅館に、客室向けの電動ベッドや健康機器などのインテリア商材をレンタルするサービスです。
インバウンド数が好調に推移し、国内のホテルや旅館業界の収益が大きく回復しています。その中で、ツインルームをトリプルユースにするためのエキストラベッドや、客室の付加価値を高める電動ベッド、健康機器のインテリア商材などのレンタルを進めることにより、活発なホテル・旅館業界でのレンタル売上を積み上げていきます。
今後の主な取り組み_新たなマーケットの開拓
最後に、新たなマーケット開拓の取り組みについてご説明します。国内のインテリア健康事業を取り巻く環境は、物価上昇や消費行動の変化により、家具販売店への来店客数の減少が続いています。また、大手家具店、販売店の寡占化や中小家具店の廃業、インターネットでの購入増加など、流通構造も大きく変化しています。
このような競争環境の変化に対応するため、引き続き付加価値の高い商品開発や、自社ショールームを活用した展示販売会などにより売上を作り出していきます。
加えて、日本国内で培った技術を活かし、中・高級品の電動ベッドや通気性の高いスプリングマットレスを武器に、将来の成長ドライバーとして高いGDP成長率を遂げているベトナムなどの新たなマーケットの開拓に取り組みます。
質疑応答:インテリア健康事業における減収要因と来期の増収計画について
司会者:「インテリア健康事業における2024年3月期の減収主因は、前年度のハードルが高かったことなのか、あるいは需要が弱かったことなのでしょうか? インテリア用品への需要は足元で改善の兆しはありますか? また、来期のインテリア健康事業で増収を計画している要因は何でしょうか?」というご質問です。
長田:まず、2024年3月期での減収の要因として、少しずつ消費が外出消費型に変わっていることから、弱さが出てきていることは否めません。ただし、我々が扱っている高級品ゾーンは大きく減退していません。
しかし、2022年10月の値上げ前に実施したキャンペーンでは、駆け込み需要が非常に大きな売上高となりました。前期はそのような特需が完全に蒸発してしまったということです。
それは第3四半期の出来事でしたが、第4四半期はおおむね前年並みの売上高を確保できたため、高級品ゾーンについては一定のニーズは継続しているものと捉えています。
また、インテリア用品の需要については足元は横ばいの認識です。決して増えていくようなことはありませんが、大きく減るものでもないと我々は考えています。
来期のインテリア事業における増収要因についても、やはりベッドだけでは業績への変化は見込めないと考えていることから、今後はそれ以外の商材としてソファを攻め、伸ばしていくことに主眼を置いています。
ソファを家具小売店で伸ばしていきながら、ホテルの需要をしっかり獲得しようと考えており、次期計画を組んでいます。
質疑応答:キャッシュの使途、自己株式取得の考え方について
司会者:「キャッシュの使途についておうかがいします。M&Aも検討されているとのことですが、使途の優先順位についてお聞かせください。また、自己株式取得についてのお考えを、あらためてお聞かせください」というご質問です。
長田:キャッシュの使途は2点です。先ほどご説明したように、福祉用具貸与事業の拡大に振り向けていくことに加え、サービスセンターの増強も進めていきます。
東名阪の中で必要な措置にはしっかり取り組んでいきたいと考えていますが、全額を振り分けるわけではありません。当然M&Aも進めていきます。
したがってキャッシュの使途としては、おおむねこの2点にしっかり取り組むことになるかと思います。不足分については手元資金や調達した30億円を使いながら、メンテナンス事業、配送のAI化、M&Aにも大きく振り向けていきたいと考えています。
また、自己株式取得については、決していつ何をするということではなく、株価の動向などいろいろなものを見定めながら機動的に実施していきたいと考えています。
質疑応答:診療報酬・介護報酬改定による、メディカルサービス事業への影響について
司会者:「2024年度の診療報酬・介護報酬改定による、メディカルサービス事業への影響についてお聞かせください。また、今後中期的に改定や国の医療・介護政策により、御社が受ける中期的なプラス・マイナス影響についてお考えをお聞かせください」というご質問です。
長田:今回の改正は比較的軽度者を対象とする部分であるため、当社の主力となるものはなく、また、レンタルと販売、どちらかの選択制となっています。
どちらが選ばれていくかは、当社としては予測ができないものですが、レンタルが給付に変わったとしても、当期や新中期経営計画期間への影響は比較的軽微なものだと考えています。
また、国の医療・介護政策による中期的なプラスとマイナスの影響について、社会保障費用の逼迫は我々も十二分に認識するところです。それが介護保険の世界でも大きく変わってくる時には、我々の事業も大きなダメージを受けるものだと思っています。
ただし、将来的には避けては通れないことですので、先ほど池田からお伝えしたように、介護保険に頼らないビジネスも推進していきます。
我々がすでに保有しているレンタルという仕組みの比重をいち早く上げることで事前に手を打ち、社会保障費用の逼迫から来る、保険制度の改定などによる影響を縮めていくべく事業運営を行ってまいります。
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