【QAあり】ピックルスHD、「ご飯がススム」増量キャンペーン効果等により通期は増収増益 コンビニ向け製品の販売も好調に推移
2024年2月期連結決算ハイライト
影山直司氏:本日はお忙しいところ、決算説明会にご参加いただきありがとうございます。ピックルスホールディングス代表取締役社長の影山です。ただいまから決算説明会を開催します。
決算概要をご説明します。売上高は430億2,800万円、前期比4.8パーセント増となりました。新型コロナウイルス感染症拡大時の巣ごもり需要による反動減の影響が落ち着いたことや、コンビニエンスストアにおけるフェアなどに当社製品が採用されたこと、そして11月と2月に合わせて2回実施した「ご飯がススムキムチ」の増量キャンペーンの効果もあり、増収となりました。
営業利益は16億6,800万円、前期比8.4パーセント増となりました。調味料や包装材などの原材料費が高騰した影響を受けたものの、増収となったことにより増益となりました。
連結品目別・販路別売上高(対前年同期比)
連結売上高について、品目別・販路別にご説明します。ここでご説明する製品とは、浅漬、キムチ、惣菜などの自社で製造しているものを指します。また、商品とは、自社で製造していない、たくあんや梅干しなどの、当社のベンダー機能により他社から仕入れて得意先へ販売するものを指します。
なお、当社グループのフードレーベルは、基本的に自社工場を持たない、ファブレスの事業形態をとっており、同社の売上高は商品として計上しています。
製品売上高は、コンビニにおけるフェアにより、惣菜製品の売上が伸びています。商品売上高は、業務用の梅干しなどの売上が伸びています。
販路別の売上高について、量販店向けは325億3,700万円、前期比3.9パーセント増、コンビニ向けは66億6,300万円、前期比5.7パーセント増、外食向けは38億2,700万円、前期比11.3パーセント増となりました。
売上総利益率と野菜価格の状況
野菜価格の状況についてご説明します。白菜は、夏の猛暑の影響で昨年10月の出荷量が減少したため、市場価格が高騰しています。しかしながら、当社への影響は大きくなく、年間で見ると2023年2月期並みの価格で推移しました。
胡瓜は、10月頃の猛暑の影響で価格が高騰しました。この影響もあり、年間での購入価格も2023年2月期より高くなっています。
販管費の状況
販管費についてご説明します。人件費が減少していますが、これは2023年2月期に退職金の計算を簡便法から原則法に変更したことで、一時的に人件費が増加したものの、今期はその影響がなくなったためです。
なお、収益認識基準の影響により、2023年2月期から、それまで物流費に含まれていた販売先の配送センター費などをあらかじめ売上高から控除しているため、物流費が減少しています。
連結営業利益変動要因
営業利益は16億6,800万円、営業利益率は3.9パーセントとなりました。前期実績に対する利益の変動要因をご説明します。プラス要因としては、製品売上高増加による売上総利益の増加、販管費の減少が挙げられます。マイナス要因としては、調味料や包装材などの原材料費の上昇が挙げられます。
連結貸借対照表、連結キャッシュ・フロー
連結貸借対照表についてご説明します。総資産は277億1,300万円となり、前期比で14億500万円増加しています。流動資産は、現金及び預金が増えたため増加しました。固定資産は、茨城工場の建設仮勘定により増加しています。
流動負債は、未払法人税等の増加はありますが、1年以内に返済予定の長期借入金が減ったため減少しています。固定負債は、長期借入金が増えたため増加しています。有利子負債残高は、4億8,500万円増加し31億4,000万円となっています。
キャッシュ・フローについてご説明します。営業活動の結果、得られた資金は27億1,800万円となりました。主な要因は、当期純利益及び減価償却費です。
投資活動の結果、使用した資金は9億5,000万円となりました。主な要因は、有形固定資産の取得です。
財務活動の結果、増加した資金は4,500万円となりました。主な要因は、長期借入れによる収入です。この結果、残高は77億5,400万円となりました。
2025年2月期連結業績予想
2025年2月期業績予想についてご説明します。売上高は435億円、前期比1.1パーセント増を見込んでいます。営業利益は17億円、前期比1.9パーセント増を見込んでいます。
EBITDAの推移
キャッシュベースの継続的な業績を評価する指標として、EBITDAの推移をご説明します。2021年2月期及び2022年2月期は、コロナ禍の巣ごもり需要などで営業利益が増えたため増加しています。しかし、2023年2月期は、その反動で営業利益が減ったため減少しています。
以降は増加傾向になっています。前期は26億800万円となり、今期は27億6,600万円を計画しています。今後は茨城県の新工場の減価償却が発生するため、EBITDAについてもご説明していきたいと思っています。
連結品目別・販路別売上高(対前期比)
連結売上高について、品目別・販路別にご説明します。製品売上高は293億9,600万円、商品売上高は141億300万円を計画しています。前期の上期まで販売していた長芋を使用した製品は、原料高騰の影響により販売を停止していました。今期は、下期から販売を再開したいと考えています。
販路別の売上高について、量販店向けは328億3,400万円、コンビニ向けは68億7,000万円、外食向けは37億9,500万円を計画しています。コンビニ向けについては、前期実施されたフェア企画が、今期も実施されることを前提として計画を策定しています。
連結営業利益変動要因(対前期比)
今期の連結営業利益は17億円を見込んでいます。営業利益の変動要因についてご説明します。前期実績に対する変動要因を分析すると、プラス要因としては、商品原価の改善及び商品・製品売上高の増加による売上総利益の増加を見込んでいます。マイナス要因としては、販管費の増加を見込んでいます。これは広告宣伝費や物流費の増加を見込んでいるためです。
物流費については今期、売上比で0.2ポイントの上昇を見込んでいます。いわゆる物流の2024年問題への対応として、当社では店舗別仕分けから総数納品への納品方法の変更に伴う積載効率の向上や、配送便の集約、新規配送業者への切り替え、茨城県の新工場稼働に伴うグループ内の物流網再構築により、物流の効率を高めていきます。
株主還元
株主還元についてご説明します。配当金については、安定した配当を継続的に実施していくことを基本方針としています。前期は1株当たり24円を予定しています。ピックルスコーポレーションとしての上場時も含めると、10期連続の増配となります。
今期は1株当たり24円を計画しています。また、株主還元策を重視し、今期から中間配当も行う予定です。M&Aや設備投資もあるため、しっかりと内部留保を確保しつつ、今後も安定した配当を行っていきたいと考えています。
今後の戦略
外部環境と今後の主な施策です。当社の強みを活かした今後の戦略を4点、それぞれご説明していきます。1つ目は製品開発の強化、2つ目は販売エリアの拡大、3つ目は販売先の拡大、4つ目は新規事業です。
1.製品開発 漬物業界について
漬物業界の市場規模と業界の見通しについてご説明します。漬物業界の市場規模は、現在3,160億円と縮小気味です。縮小の割合は、お米の消費の縮小の割合とほぼ同じような傾向だと思っています。
このような中で、健康志向、惣菜化、機能性を訴求した付加価値のある商品が求められています。市場のPOSデータでは昨年9月から今年2月まで、漬物全体の売上が前年を下回って推移しています。
買い上げの単価は前年を上回って推移していますが、買い上げの数量は減少しています。これは、物価上昇に伴う消費者の買い上げ点数の減少、バスケットに入れる点数が減っていることの影響を受けていると考えています。
そのような中で、当社の主力商品である浅漬、キムチの主要動向も同じような傾向にあると捉えています。
1.製品開発 -1-キムチ製品
今後の戦略の1つ目となる、製品開発についてご説明します。はじめに、主力製品の「ご飯がススムキムチ」シリーズです。2024年2月期は、冬場白菜の生育状況が比較的安定していたこともあり、積極的な販促活動を行いました。
「ご飯がススムキムチ」の2024年2月期の売上高は、2023年2月期をやや上回る結果となりました。今期はさらに販売を強化し、売上高84億4,700万円、前期比2.6パーセント増を計画しています。
前期は「ご飯がススム辛口キムチ」のリニューアルを実施しています。刻々と変化するお客さまの嗜好のトレンドに対し、適宜定番商品のブラッシュアップを行っています。
また、昨今のフードロス問題への関心の高まりから、賞味期間延長の取り組みも進めており、品質改善の観点からも重要な案件であると考えています。このような部分にも取り組んでいきたいと思っています。
1.製品開発 -2-浅漬製品
浅漬製品の開発についてご説明します。箸休めの一品として、元来の食シーンを想定した定番商品をはじめ、旬の野菜を使用した季節限定商品や、おつまみ需要に対応した商品などを開発しています。
また、従来の箸休めとして食べる食シーンだけではなく、浅漬を料理に使用することで簡単に主食となるメニューや、おかずの1品としてお召し上がりいただくご提案を強化しています。
ピックルスコーポレーションのホームページでは、浅漬を利用した料理のレシピを公開しています。さらに、あけてすぐ食べられる簡便性を訴求した「液切りいらず」シリーズとして、ふりかけで有名な三島食品とコラボした「三島のゆかり使用 白菜漬」を販売しました。
キムチは、そのまま食べる以外にも鍋や炒め物など、さまざまな料理に活用することができます。一方で、食シーン幅の狭い浅漬については、カテゴリ全体がダウントレンドになっているため、既存の枠にとらわれないアイデアから、新たな需要の掘り起こしを含め、新製品の開発に取り組んでいきます。
1.製品開発 惣菜業界について
惣菜市場についてご説明します。日本チェーンストア協会の調査では、スーパーの惣菜市場は1兆2,000億円以上となっています。簡便性志向の高まりから、年々市場規模は拡大しており、この傾向は今後も続くものと考えています。
1.製品開発 -3-惣菜製品
当社の惣菜製品は、売上高が100億円を超える新しい事業の柱に育っています。今後は、家飲み需要に合致した商品や、健康志向に考慮した商品の開発などを通して、手軽に野菜を摂取できることを訴求するとともに、新たな売れ筋商品となる製品の開発を続けていきます。
今期の売上高は、113億5,700万円、前期比1パーセント増を計画しています。
1.製品開発 -4-新規分野
新規分野の製品についてご説明します。現在世間では、時短メニューや食品ロスの削減に効果があることから、冷凍食品の売上が伸びています。
当社は、新規分野として冷凍食品の開発に取り組み、冷凍「ご飯がススムキムチ鍋」や、冷凍トップシール惣菜などを一部の量販店向けに販売開始しています。また、近年の冷凍原材料の需要の高まりから、惣菜商品を冷凍し、業務用惣菜として供給しています。
当社ではロングライフ惣菜の開発も行っています。ガス置換技術により、従来の消費期限3日から賞味期限60日のロングライフ商品を実現させています。具体的には「ご飯がススム」ブランドを拡張し、「ご飯がススム和のおかず」シリーズとして、切干大根、ひじき煮、卯の花、きんぴらなどの惣菜を量販店で販売しています。
2.全国を網羅した生産・物流体制
今後の戦略の2つ目となる、販売エリアの拡大についてご説明します。当社グループでは、北海道から九州まで、製造・物流拠点を整備しています。全国にインフラを持つ企業は、漬物業界では当社のみとなっており、各地区での商品開発や特産品の漬物を商社機能で仕入れて販売するなど、各エリアに根ざした商品展開が可能なところを強みとしています。
2.販売エリア拡大:地域別売上高
地域別売上高についてご説明します。スライドの上段のグラフは日本の地域別人口比率で、下段のグラフは当社の地域別売上高割合です。
当社売上構成比のうち、関東地区は50パーセントであるのに対し、近畿地区は15.3パーセント、中国・四国地区は4.5パーセント、九州地区は5.5パーセントとなっています。関東地区と比較するとまだ割合が低く、西日本エリアの人口比率と比較しても低い状態です。そのため、今後は西日本エリアの売上高割合の目標を30パーセント以上とし、販売を拡大していきます。
2024年2月期は、東日本の売上も増加したため、西日本エリアの比率は変わっていません。グループ会社別に見ると、前期比ベースで、ピックルスコーポレーション関西が3パーセント増、兵庫県姫路市の手柄食品が8パーセント増、九州地方のピックルスコーポレーション西日本が14パーセント増と、着実に売上を伸ばしています。
3.販売先拡大:既存分野以外の売場への商品展開
今後の戦略の3つ目となる、販売先の拡大についてご説明します。直近では、冷凍「ご飯がススムキムチ鍋」や冷凍トップシール惣菜を、スーパーの冷凍食品売場向けに販売開始しました。従来の漬物・惣菜売場だけにとどまらず、スーパー店内での当社シェアを高めていくことで、さらなる売上拡大を図っていきます。
4.新規事業-1-
今後の戦略の4つ目となる、新規事業についてご説明します。当社は埼玉県飯能市で外食・小売事業の施設として「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を運営しており、2023年10月に3周年を迎えることができました。
この事業は、当社グループ新商品のテスト販売の場として活用することで、事業会社間のグループシナジーを追求する役割を担っています。
新たな施策として、今年3月に天然酵母を使用したベーカリーショップ「飯能ベーカリー POCO-POCO」をオープンしています。
4.新規事業-2-
新規事業の農業部門についてご説明します。現在、ピックルスファームでは、埼玉県所沢市など3つの農場で、小松菜やさつまいもの生産を行っています。
今後の取り組みとして、さつまいもの生産量をさらに増やしていくための準備を進めています。加えて、今期はさつまいも用の作業場や保管庫などの建設も行っていきます。
4.新規事業-3-
2023年9月にAsue社との合弁会社として設立したベジパルについてご説明します。当社の食品製造におけるノウハウと、Asue社の貿易における経験など、両社の強みを活かして、さつまいもやさつまいもの加工品を国内外で販売していきます。
今後の取り組みとしては、干し芋やさつまいもチップス、ペットフードなど、さつまいもを使用した商品開発を行い、当社とAsue社の販路を活かした販売を行っていきたいと考えています。
収益向上・品質改善の取り組み
収益向上・品質改善の取り組みについてご説明します。基本的には、販売価格の見直しと製造原価の低減が重要となります。遅れが生じていましたが、今期は「ご飯がススムキムチ」などの主力製品の値上げや量目の調整等、時期は未定ですが見直しを行っていきます。
現状、全国の工場で年間約2,000アイテム以上を生産しています。今までは売上成長を優先した面もありましたが、今後は利益体質へと転換させていくため、アイテム集約化の取り組みを進めていきます。また、製造技術の研究開発では、既存商品の賞味期間の延長を目指しています。
物流等の事務作業においても、自動化ツールなどを活用することで作業の効率化を図っています。人件費の上昇は今後も続いていくことが見込まれるため、生産工程の機械化や省力化で対応していきたいと考えています。
中期経営目標(業績)-1-
中期経営目標についてご説明します。当社は中期経営目標を毎年ローリングしています。今年も新しい3年間の目標として、見直しを行いました。2027年2月期の目標は、売上高445億円、営業利益17億4,000万円です。
なお、2026年2月期は茨城工場の減価償却の負担が発生するため、減益となる計画です。
中期経営目標(設備投資)-2-
設備投資計画は、今後3年間で77億円を予定しています。
今期は茨城工場の建設を予定しています。また、従来は関西工場の新設を検討していましたが、建築費の高騰や今後の当社グループの事業環境を考慮し、新設ではなくM&Aや既存の工場の取得を含めて検討していきたいと考えています。したがって、関西工場の設備投資計画は今回から外しています。
(株)ピックルスコーポレーション茨城工場(仮称)
新設する茨城の工場についてご説明します。この工場では、キムチ等の白菜製品の製造工程を機械化・自動化していきます。これにより、労務費の改善によるコストダウンを実施することが狙いです。
新工場に現在のキムチ製造ラインを移管することで、既存工場のスペースが空きます。今後はこのスペースを活用し、収益改善に向けて夜間生産を日勤にし、新たな収益源となる製品を生産していきたいと考えています。
投資金額は50億5,000万円の計画です。2023年10月に着工済みで、2024年12月に引き渡しの予定となっています。今期は立ち上げの一時費用として、6,000万円から7,000万円程度を見込んでいます。
新工場の減価償却費について、今期は第4四半期から始まるため、3ヶ月分の1億3,000万円、2026年2月期は5億500万円、2027年2月期は4億3,000万円を予定しています。
新工場では、スライドの図にお示ししているとおり、自動化機械を導入することで、既存工場の2倍以上の生産能力を見込んでいます。将来的には、キムチ製品以外にも、白菜の新商品を生産する工場として活用していきたいと考えています。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について-1-
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応についてご説明します。当社は、コロナ禍の巣ごもり需要などもあり、業績は好調に推移したため、2022年2月期までは、PBRは1倍以上で推移していました。現在は、巣ごもり需要の反動減もあり、PBRは1倍割れで推移しています。
当社の株主資本コストは、5.5パーセントから7パーセント程度と推定しています。ROEは、2022年2月期までは8パーセントを上回って推移していましたが、その後は8パーセントを下回って推移している状態です。今後は以前の8パーセントを超える水準まで戻していきたいと考えています。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について-2-
当社はPBRの改善に取り組み、1倍以上を目指しています。そのために、昨年開示した「上場維持基準への適合に向けた計画」に記載した基本方針、課題及び取り組み内容を実行していきます。
具体的には、スライドに記載の5つの取り組みを行っていきます。1つ目の中期経営目標達成に向けた取り組みは、先ほどご説明した内容となります。
2つ目のIR活動の充実では、従来の決算説明会や個人投資家向け説明会の開催に加え、ご参加いただけなかった方も内容を確認できるように動画や書き起こしの記事を活用しています。
3つ目のサステナビリティ活動の充実は、ホームページを通した情報開示の拡充や、健康経営の取り組みに注力しています。
4つ目の株主還元の強化は、増配の継続を維持するとともに、自己株式取得を通じた資本効率の向上も検討していきたいと考えています。
5つ目の流通株式数の増加は、従業員持株会の奨励金の見直しを行い、持株会の活性化に取り組んでいます。
プライム市場上場維持基準への適合について
最後に、プライム市場上場維持基準への適合状況についてご説明します。2023年2月期末時点で、当社の流通株式時価総額は100億円以下となり、2023年5月に「上場維持基準への適合に向けた計画」を開示しています。その後、2024年4月12日に開示したとおり、2024年2月末時点で、流通株式時価総額は100億円を超え、プライム市場の上場維持基準にすべて適合しました。
今後も継続して上場維持基準に適合するための取り組みを行い、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に努めていきたいと考えています。
ご説明は以上となります。
質疑応答:不採算アイテムの見直しについて
「不採算アイテムの見直しについて教えてください。現在2,000アイテムあるうち、不採算アイテムはどの程あるのでしょうか?」というご質問です。
主力製品の「ご飯がススムキムチ」はこれまで価格を据え置いてきました。また、季節商品は、季節ごとに規格を変更しながら、商品と価格の見直しを実施してきました。
当社の売れ筋商品については、規格の変更をあまり実施できていなかったため、値上げのタイミングを逃しているところがあります。売れ筋商品の利益率が良くないということもあり、今回は思い切ってこちらも見直しを進めていきます。
2,000アイテムについては、得意先別に商品の対応を行っています。そのような背景から、生産効率が落ちている部分がありますので、このあたりの不採算アイテムをかなり大きな数字で減らしていく想定です。
質疑応答:PBR1倍割れについて
「PBR1倍割れは収益性の低さを示しており、粗利の低下が懸念されます」というご意見です。
自己株式の取得については、昨年実施しましたが、今後はどのようなかたちで取得するかを含めて検討していきたいと思います。
配当については、配当性向が25.5パーセントとなっていますが、株主の方からご満足いただける数字だとは思っていません。こちらはさらに向上させていきたいと考えています。
質疑応答:白菜の価格について
「昨年は白菜の価格が安定していましたが、今年はいかがでしょうか?」というご質問です。
今年3月から4月頭にかけて、野菜売り場で白菜の価格が非常に高騰しており、1玉1,000円、2,000円になっているというニュースも流れていました。こちらの影響について、みなさまも心配されているのではないかと思います。
通常は、春白菜というかたちで4月から市場に出てきます。しかしながら、春白菜は非常に目方が軽く、品質も漬物にするにはあまり適していないため、当社は冬場の2月くらいの白菜を冷蔵庫へ貯蔵し、3月、4月分を手当しています。このような準備があるため、今のところは大きな影響を受けていません。
ただし、天候不順による暖冬や冷え込みなど、いろいろな要因から、白菜だけではなく、野菜の産地リレーがうまくつながらない状況の中で、価格の高騰は起きています。こちらについては、産地分散などを実施しながら対応していく想定です。
質疑応答:関西への販売拡大について
「西日本への販売を拡大していくということですが、具体的な取り組みについて教えてください」というご質問です。
西日本エリアには、ピックルスコーポレーション関西、手柄食品、ピックルスコーポレーション西日本の3つの会社と4つの工場があり、こちらにはまだ製造キャパシティがあります。生産をしっかりと行いながら営業活動を進めて、売上を増やし、数字を伸ばしていきたいと思っています。
関東と同じものが売れるわけではありませんので、関西、西日本向けの商品を開発していきながら進めていきます。当社は関東を中心に40数年事業を行ってきた会社であり、関西に進出してからは時間も浅いため、多少時間はかかりますが、西日本の売上を拡大させていきたいと考えています。
質疑応答:「ご飯がススムキムチ」の価格改定を織り込んだ業績予想について
「『ご飯がススムキムチ』を価格改定されるということですが、こちらは業績予想に織り込まれていますか?」というご質問です。
フードレーベルが「牛角韓国直送キムチ」を値上げしたところ、売上がだいぶ落ちました。値上げすると数字が下がることは認識していますので、そのあたりを踏まえ、お客さまへの販促活動と併せて価格の改定を行いたいと考えています。
キムチ製品の売上も伸ばしていくために、いろいろなリニューアルも含めて、キャンペーンを行います。値上げしながらも、売上を確保していけるように努力していきます。ただし、白菜の原料事情などにより、非常に厳しい部分もあるため、そのあたりを見極めながら併せて計画していきたいと思います。
先ほど市場のPOSのデータのお話をしましたが、売上点数自体は漬物業界の中で伸びていません。しかしながら、当社の「ご飯がススムキムチ」は、昨年値上げをしなかったにもかかわらず、売上点数を増やし、売上額も増やしています。そのような意味では価格を据え置いたことによるメリットはあったと考えています。
ただし、これはいつまでも続くことではありません。いろいろな資材も価格が上がっており、今後は電気料金などの助成もなくなります。また、人件費や物流費も上がっていく中で値上げを行い、価値に見合った価格をご提案していくことに取り組んでいきたいと思っています。
質疑応答:円安の影響について
「御社に円安など為替の影響はありますか?」というご質問です。
輸入している商品があるため、やはり為替の影響は避けられません。その都度、値上げしていかなければならないという状況もあります。
ただし、当社の中で輸入商品の占めるウェイトはさほど大きくはないため、影響はあるものの、非常に大きなものではないと思っています。
質疑応答:中期経営目標の営業利益率について
「中期経営目標の営業利益率に変化がない理由を教えてください」というご質問です。
大きな売上の計画は立てていません。なぜかと言うと、アイテムの集約化やキムチ製品の値上げなど、売上が減少する可能性のある政策を打つためです。これにより、売上高は影響を受けると考えています。アイテム集約化の中でカットするアイテムも、今まで売上に影響していましたので、それがなくなる部分については、売上増にはなりません。
ただし、方向性としては、売上ではなく、利益を優先する方針をしっかりと持っています。また、新規事業がどのようなかたちで伸びていくかによって、売上の伸びもあると考えています。現在は、業務用の部分や外食の部分が比較的好調ですので、そちらをしっかりと伸ばし、売上を伸ばしていきたいと思います。
質疑応答:配当性向について
「配当性向の水準が低いと感じますが、どのようにお考えでしょうか?」というご質問です。
現状のままで良いとは思っていませんので、今後は配当性向を上げていけるように努力していきたいと思います。
質疑応答:茨城工場が業績に与える影響について
少ない人数でものを作ることができる、生産能力の高い工場を想定していますので、製造原価を下げることで、営業利益を確保できるかたちにしていきたいと思っています。
稼働についても、最初のうちはかなり余裕があります。現在「ご飯がススムキムチ」に続く白菜製品を開発しているところですので、白菜のキムチ製品だけではなく、新製品を作っていくことで、当工場の稼働をさらに上げていきます。
当工場はさまざまな機械を導入しているため、人手が少なくても白菜製品の加工が可能です。これをキムチの味付けではなく、浅漬のかたちで商品を作っていくということです。
物流面のコストダウン効果として、現在は各工場から販売先に向けて出荷していますが、場合によっては、当工場から直接販売先に向けて配送することも検討しています。どのような物流が当社にとってプラスとなるのか考えているところです。
今回、茨城工場には非常に大きな投資をしています。新たな白菜の商品を作っていくことで、当工場の売上が業績に対しプラスの貢献をしていくと思います。
既存工場は、現在、生産のキャパシティがかなりいっぱいのため、日勤だけでは作りきれず、夜勤生産を実施している工場も少なくありません。夜勤は非常に労務費等も高くなりますので、こちらを日勤にシフトしていくことで、既存工場の労務費削減も可能になるのではないかと思います。
さらに、各工場のスペースが空きますので、そちらを活用しながら、新しい事業で進めていく冷凍食品やロングライフの惣菜などを作っていけるようなかたちになれば、新しい売上が創出できるはずです。ここは、茨城工場ができることに加えて、既存工場でできることも増えていくことで、売上がプラスになっていけば良いと思っています。
現在は非常にアイテム数が多く、多品種少量生産で手間をかけています。これをある程度集中生産にしていきながら、どこのチェーン店でもピックルスのブランド商品を売っていけるようなかたちに切り替えていきたいと考えています。そのあたりは、これを進めていけば、生産効率が上がっていくのではないかと考えています。
影山氏からのご挨拶
配当性向について、いくつかご質問をいただきましたが、現状で良いとは思っていません。今後は利益体質にしていくため、そのような部分を改善していけるように努めていきます。
当社は現在、新しい工場への投資準備を進めています。この工場が完成すれば、既存工場にもプラスの部分が出てくると思いますので、こういったところをしっかりと活用し、グループ全体でお客さまに喜んでいただける商品を提供できるように進めていきたいと思います。
当社がこれから進む道は、なかなか厳しい道だとは思います。しかしながら、新しい事業の種も蒔いています。これから育てていくことで、広がっていくと考えていますので、投資家のみなさまには今後とも当社をご支援いただければ幸いです。
本日は、いろいろなご質問をいただきありがとうございました。当社はこれからもがんばっていきますので、どうぞよろしくお願いします。本日はご清聴ありがとうございました。
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