*14:31JST 紀文食品 Research Memo(1):営業利益が大きく改善、中期再成長に弾み
■要約
1. 会社概要
紀文食品<2933>は、紀文ブランドで定評のある水産練り製品のトップメーカーで、主にスーパーマーケットやコンビニエンスストア向けに販売している。水産練り製品は蒲鉾や竹輪、さつま揚、はんぺんなどを総称した食品で、原材料となる魚が各地で異なるため、それぞれの地方で様々な種類の製品が作られてきた。同社は、日本各地の水産練り製品のフルライン化をいち早く進めるとともに、チルド物流や販売手法を確立したことで、約3,000億円と言われる国内水産練り製品市場でトップシェアを獲得するに至った。こうした国内食品事業のノウハウを生かし、食品関連事業では外部企業にチルド物流サービスを提供、海外食品事業では健康志向を背景に魚食化が進むアジアや欧米で水産練り製品などの販売拡大に努めている。
2. 同社の強み
紀文ブランドは、フルラインの水産練り製品やチルド物流サービス、プロモーションなどの強みに裏付けられている。同社は、長年続けてきた魚肉・大豆・鶏卵・鶏肉畜肉の4つのタンパク特性の研究を基盤に、独創的な技術と柔軟な発想によって、他に真似のできない水産練り製品のフルライン化を実現したほか、様々なシーンに合った製品を開発してきた。また、集荷から配送までの全工程で低温度管理を実現したチルド物流サービスによって、製品を素早く安全に全国へ配送している。さらに、直接取引によってスーパーマーケットやコンビニエンスストアなど様々な小売店と信頼関係を深めてきたほか、SNSやブランドサイトなどを活用したプロモーションを通じて消費者にも積極的に訴求している。こうした強みの集積が、揺るぎない紀文ブランドの構築につながったといえる。
3. 業績動向
繁忙期の年末年始を含む2024年3月期第3四半期の業績は、売上高が82,063百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益が3,869百万円(同144.2%増)と好調に推移した。景気回復に加え、価格改定の浸透や原材料価格の落ち着き、積極的なプロモーションによって国内の事業が堅調に推移し、インフレなどで苦戦した海外食品事業をカバーしたことが要因である。2024年3月期業績について同社は、売上高106,963百万円(前期比1.2%増)、営業利益4,502百万円(同122.6%増)と見込んでいる。第3四半期業績の好調を受け、営業利益予想を期初計画に対して794百万円上方修正した。この結果、営業利益は過去最高を更新、2023年3月期時点でビハインドしていた中期経営計画の目標にも限りなく近づく見込みとなった。
4. 次期中期経営計画
同社は収益性向上と財務体質改善による「持続的成長サイクルの確立」を目指すことを基本戦略に、2021年5月に中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)を策定した。ところが、新型コロナウイルス感染症や原材料価格高騰など想定外のマクロ的な状況変化により、2023年3月期業績が減益になるなど大きな影響を受け、当初計画した定量目標に届かない項目も出てくる可能性が高まった。しかし、マクロ要素以外の環境認識や成長戦略は、2024年3月期の営業利益の著しい回復や定性面の進捗などから有効に機能していると判断でき、このため次期中期経営計画でも踏襲される可能性が高くなったと考えられる。なお、営業利益の回復ぶりを考えると、次期中期経営計画では、現中期経営計画の定量目標を超えて再成長していくことが期待される。
■Key Points
・紀文ブランドを有する水産練り製品のトップメーカー。フルラインの品揃えなどに強み
・2024年3月期業績は価格改定の浸透や原材料価格の落ち着きなどにより大きく回復へ
・次期中期経営計画では、現中期経営計画の定量目標を超えて再成長することを期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<AS>
1. 会社概要
紀文食品<2933>は、紀文ブランドで定評のある水産練り製品のトップメーカーで、主にスーパーマーケットやコンビニエンスストア向けに販売している。水産練り製品は蒲鉾や竹輪、さつま揚、はんぺんなどを総称した食品で、原材料となる魚が各地で異なるため、それぞれの地方で様々な種類の製品が作られてきた。同社は、日本各地の水産練り製品のフルライン化をいち早く進めるとともに、チルド物流や販売手法を確立したことで、約3,000億円と言われる国内水産練り製品市場でトップシェアを獲得するに至った。こうした国内食品事業のノウハウを生かし、食品関連事業では外部企業にチルド物流サービスを提供、海外食品事業では健康志向を背景に魚食化が進むアジアや欧米で水産練り製品などの販売拡大に努めている。
2. 同社の強み
紀文ブランドは、フルラインの水産練り製品やチルド物流サービス、プロモーションなどの強みに裏付けられている。同社は、長年続けてきた魚肉・大豆・鶏卵・鶏肉畜肉の4つのタンパク特性の研究を基盤に、独創的な技術と柔軟な発想によって、他に真似のできない水産練り製品のフルライン化を実現したほか、様々なシーンに合った製品を開発してきた。また、集荷から配送までの全工程で低温度管理を実現したチルド物流サービスによって、製品を素早く安全に全国へ配送している。さらに、直接取引によってスーパーマーケットやコンビニエンスストアなど様々な小売店と信頼関係を深めてきたほか、SNSやブランドサイトなどを活用したプロモーションを通じて消費者にも積極的に訴求している。こうした強みの集積が、揺るぎない紀文ブランドの構築につながったといえる。
3. 業績動向
繁忙期の年末年始を含む2024年3月期第3四半期の業績は、売上高が82,063百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益が3,869百万円(同144.2%増)と好調に推移した。景気回復に加え、価格改定の浸透や原材料価格の落ち着き、積極的なプロモーションによって国内の事業が堅調に推移し、インフレなどで苦戦した海外食品事業をカバーしたことが要因である。2024年3月期業績について同社は、売上高106,963百万円(前期比1.2%増)、営業利益4,502百万円(同122.6%増)と見込んでいる。第3四半期業績の好調を受け、営業利益予想を期初計画に対して794百万円上方修正した。この結果、営業利益は過去最高を更新、2023年3月期時点でビハインドしていた中期経営計画の目標にも限りなく近づく見込みとなった。
4. 次期中期経営計画
同社は収益性向上と財務体質改善による「持続的成長サイクルの確立」を目指すことを基本戦略に、2021年5月に中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)を策定した。ところが、新型コロナウイルス感染症や原材料価格高騰など想定外のマクロ的な状況変化により、2023年3月期業績が減益になるなど大きな影響を受け、当初計画した定量目標に届かない項目も出てくる可能性が高まった。しかし、マクロ要素以外の環境認識や成長戦略は、2024年3月期の営業利益の著しい回復や定性面の進捗などから有効に機能していると判断でき、このため次期中期経営計画でも踏襲される可能性が高くなったと考えられる。なお、営業利益の回復ぶりを考えると、次期中期経営計画では、現中期経営計画の定量目標を超えて再成長していくことが期待される。
■Key Points
・紀文ブランドを有する水産練り製品のトップメーカー。フルラインの品揃えなどに強み
・2024年3月期業績は価格改定の浸透や原材料価格の落ち着きなどにより大きく回復へ
・次期中期経営計画では、現中期経営計画の定量目標を超えて再成長することを期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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