・2024年の日経平均はどうなるか。史上最高を更新して、すでに4万円は超えており、次は5万円が射程に入ろう。その条件は、当然ながら企業の業績が伸びることにある。
・昨年12月末の日経平均は33464円、この時のPBRは1.30倍、PERは14.74倍、ROEは8.82%であった。3/22時点では40888円、PBR 1.57倍=ROE 9.03%×PER 17.38であった。
・株価はEPS×PERであるから、PERが15倍とすれば、EPSが年10%伸びると見込めるなら、3年で5万円が実現できよう。2024年は、3.6万円~4.3万円のゾーンで推移しよう。
・今後の変動要因は、1)為替、2)人手不足、3)戦争、4)天変地異、5)政争にある。昨年末の円ドルレートは141.4円であった。日米の金融政策からみて、円安はピークアウトしており、150円を大きく超える可能性は低い。
・むしろ、日米金利差の変化を織り込みながら、どこまで円高が進むのかに注目が集まっている。FRBの金融緩和が具体化し、日本のゼロ金利政策の正常化がスタートすれば、いずれ130円台の方向に進もう。
・どちらの金融当局もマーケットとの対話を重視しているので、マーケットにサプライズを与えないように動くはずであるが、読みと期待には絶えずギャップが生じるので、一時的な変動はありうる。
・日銀の異次元緩和からの正常化は、データとしてのインフレ率に対して、人々の期待インフレ率をどこまで織り込んでいけるかにかかっている。CPIで1~2%が定着して、賃金上昇率も2%程度が見込めるなら、セロ金利政策は変更されよう。金利のある世界がみえてくるようになる。
・国内は人手不足である。人材がいないので、需要があっても対応できないという企業が続出している。何が問題なのか。人口減少は長期的な構造的課題である。出生率を高めて、それが効果を発揮するには30年を要する。
・出生率を上げるには、若い人々が子どもを持って育てることが、人生にとって楽しいという状況を作り出す必要がある。子育てが辛いだけでは、誰も子どもを持とうとしない。そもそも、十分な所得がなければ、子どもを育てようがない。
・100万人×100万円/人として年間1兆円、これが20年続くとして、年間20兆円の子育て支援が必要になる。年間110兆円の国家予算に対して20年後をどのように想定していくのか。容易ではないが、手を打つ必要がある。
・当面の人手不足には、どのように対応するのか。まず企業間の人材争奪戦が始まっている。コロナ前と同じようなつもりで、正規、非正規の働き手を採用しようとしても、すでに通用しない。もはや転職は当たり前になっている。
・人材は流動化しつつある。これから加速しよう。働き甲斐のある職場には人が集まるが、先が見えない組織から、人はどんどん去っていく。それによって、人材不足倒産が増加しよう。
・企業がやっていけなくなっても、次の職場はあるので、働き手にとって問題はない。もちろん、地域によって、年代によって、働く場所や処遇が十分でないという問題は常につきまとう。
・新しい人材を雇うには、能力を正当に評価して処遇し、将来が描けるような人的資本の仕組みを提示する必要がある。人材を人財へ、それを育てて活かす仕組みの競争が始まっている。
・所得をあげるには、業績を伸ばす必要がある。人件費は費用ではなく付加価値であり、人材投資の源泉である。この人材投資コストを上回り、リターンを付加価値として稼ぐ必要がある。そのためには、1人当たり付加価値を上げることが必須である。
・人手をかけずに生産性を上げるには、自動化を進めることが有力な策である。製造業の生産現場だけでなく、サービス業の現場でも、本社部門でも、ロボット、AIの導入による省人化が本格化しよう。
・もう1つは、高付加価値化の推進である。安売りは続かない、低収益では会社が持たない。製品やサービスの価格を1.5倍、2倍にすることを想定すると何がおきるか。それがマーケットで通用しないとすれば、どこに根本原因があるのか。
・ここが問われている。インフレの世界では、値上げは当たり前である。適正な価格競争を追求する企業が注目されよう。
・グローバルビジネスにおいては、戦争による地政学的リスクが決定的なダメージをもたらす。ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・パレスチナ戦争は、まさに悲劇ではあるが、覇権争いの余波が、エネルギー資源価格の高騰や防衛産業の台頭に及んでいる。
・中国は台湾を必ず攻めると公言している。スキをみせれば紛争が戦争になり、半導体産業へのダメージを通して世界に大きな影響をもたらそう。
・気候変動や地震などによる天変地異は予測不可能で不可避であるというが、本当だろうか。いつ起きるかはわからないが予兆はある。発生した時に手を打つシミュレーションはできる。準備をし、訓練し、BCPを現実化している企業は強みをもっている。
・政争はどうか。各国での代表選びの選挙が続く。米国の大統領は十分信頼できるのか。日本の岸田首相は、なぜこれほど人気がないのか。日本の政策実行能力はかなり危うい。
・これらのリスク要因を抱えながら、2024年の株式市場は楽観的な期待先行で展開するものと予想する。予測可能なことを注視しつつ、NISAを活用しながら、投資戦略を立てていきたい。
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