フルサト・マルカHD Research Memo(1):機械・工具と建設資材が主力の技術商社

配信元:フィスコ
投稿:2024/03/15 13:51
*13:51JST フルサト・マルカHD Research Memo(1):機械・工具と建設資材が主力の技術商社 ■要約

フルサト・マルカホールディングス<7128>は、フルサト工業(株)と(株)マルカが2021年10月に共同株式移転の方法によって設立した持株会社である。機械・工具や建設資材を主力とする技術商社としてグループのシナジーを高め、他にはない独自の解決策を生み出すユニーク・ソリューション・カンパニーを目指している。また、グループ全体のサービスや商品を統括するブランドを「UNISOL(ユニソル)」(ユニーク(UNIQUE)とソリューション(SOLUTIONS)を組み合わせた造語)とした。

1. 「モノづくり」市場におけるソリューション力が強み
セグメント区分は機械・工具、建設資材、建設機械、IoTソリューション(従来のセキュリティを2023年12月期より名称変更)の4区分としている。機械・工具は単なる機械・工具の仕入・卸売ではなく、国内外の「モノづくり」市場において産業機械・工具類などを幅広く提供し、それらを組み合わせて顧客の生産ラインの省力化・省エネ化・効率化を実現する提案・設計・構築力、特に顧客の生産現場の課題を顕在化させて解決策を提案するソリューション力などを強みとしている。さらにAI・センシング・クラウドなど、先端テクノロジーを駆使したスマートファクトリーにも対応して「モノづくり」現場を幅広くサポートしている。建設資材は国内の鉄骨建築と工場配管の市場を中心に、鉄構資材・配管資材などの製造・販売を展開している。特に、倉庫・工場などの鉄骨建築の骨組みに使用される自社製造製品のフルブレースなどが高い市場シェアを誇っている。建設機械は高所作業車や油圧ショベルなどの建設機械の販売・レンタルを展開しており、高所作業車をオペレーター(操縦者)付きでレンタルしていることなどを特徴としている。IoTソリューションは防犯・監視カメラなどセキュリティ機器販売・システム導入などを展開している。従来は機器販売が中心だったが、トータルソリューションを推進するとともに、モニタリングやセンシングなどIoT分野へ領域を広げ、グループとして注力しているスマートファクトリー事業において重要な役割を担っている。

2. 2023年12月期は小幅営業・経常減益となったがおおむね計画水準で着地
2023年12月期の連結業績は、売上高が前期比6.5%増の172,980百万円、営業利益が同3.2%減の5,705百万円、経常利益が同5.7%減の6,652百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.7%増の4,698百万円と小幅営業・経常減益となった。下期に入って事業環境がやや悪化したため建設資材の生産稼働率が低下したことに加え、資材・エネルギー価格上昇や競争激化も影響して売上総利益率が低下した。さらに、人員増や処遇改善による人件費の増加、行動制限緩和による旅費・交通費の増加、物流費の増加なども影響した。ただし主力の機械・工具の堅調推移が牽引し、おおむね前回予想(2023年8月8日付で上方修正、売上高171,000百万円、営業利益6,000百万円、経常利益6,830百万円、親会社株主に帰属する当期純利益4,700百万円)の水準で着地した。なお営業利益の前期比190百万円減の要因分析は、売上増加が同1,709百万円増、利益率低下が同993百万円減、営業費が同25百万円増、人的資本投資(人件費等)が同435百万円増、経費が同446百万円増だったとしている。

3. 2024年12月期は不透明感を考慮して減益予想だが下期回復基調
2024年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比0.6%増の174,000百万円、営業利益が同3.6%減の5,500百万円、経常利益が同5.3%減の6,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.6%減の4,200百万円、不透明感やコスト増加を考慮して減益予想としている。なお半期別に見ると、上期は売上高83,500百万円、営業利益2,300百万円、経常利益2,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,800百万円、下期は売上高90,500百万円、営業利益3,200百万円、経常利益3,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,400百万円で下期偏重の予想としている。上期は期首の受注残高が減少していることなど不透明感を考慮して同1.9%減収、同27.8%営業減益だが、下期は緩やかな需要回復を想定して同3.1%増収、同27.0%営業増益の見込みとしている。コスト面では人件費の増加に加え、新物流センター稼働やシステム投資により、減価償却費など販管費が増加することも想定している。会社予想は全体として保守的な印象が強く、上振れ余地があるだろうと弊社では考えている。

4. 10年後のありたい姿と中期経営計画「UNISOL」
同社は10年後のありたい姿として売上高4,000億円規模、営業利益200億円以上、時価総額1,500億円の目標を掲げ、この長期目標達成に向けた中期経営計画「UNISOL」(2022年12月期~2026年12月期)では、最終年度2026年12月期の目標を売上高2,000億円、営業利益100億円、営業利益率5.0%、調整後EBITDA(=営業利益+減価償却費+のれん償却費+その他の一過性収益・費用)115億円、ROE8.5%としている。ロードマップとしては前半の2年を基盤構築の1stステージ、後半の3年を成長加速化の2ndステージと位置付け、持続的成長を支える経営基盤確立に向けた基本戦略は、既存事業領域での差別化「深掘」、新たな事業領域への展開「挑戦」、SDGsへの取組強化「サステナビリティ」としている。さらに重点戦略には統合シナジーの極大化、プラットフォーム戦略の深化、グループ機能融合による新ソリューションの創出、スマートファクトリーへの取組を掲げている。統合シナジーの極大化は、短期シナジーの具現化としての協働4本柱(産業機械シェアアップ、機器工具拡大、エンジニアリング事業強化、海外売上増強)と、中長期シナジーの追求としての戦略5分野(EV推進、自動化・省力化、環境・省エネ、食品関連、グローバル)を掲げている。

5. グループシナジー極大化戦略の進展に注目
同社が主力とする機械・工具や建設資材の分野は、設備投資関連のため景気変動の影響を受けるだけでなく、卸売を中心とする利益率の低さも要因として、株式市場における投資家の関心度は決して高いとは言えない。しかし同社は「モノづくり」市場において、顧客の生産ラインの省力化・省エネ化・効率化を実現する提案・設計・構築力、特に顧客の生産現場の課題を顕在化させて解決策を提案するソリューション力などを強みとしており、さらにグループのシナジーを高め、他にはない独自の解決策を生み出すユニーク・ソリューション・カンパニーを目指している。利益率の向上が課題となるが、中期経営計画「UNISOL」で掲げたグループシナジー極大化戦略を着実に推進することにより中長期的に利益率が高まれば、投資家の関心度が高まる可能性があるだろうと弊社では評価している。したがって当面はグループシナジー極大化戦略の進捗状況に注目したいと弊社では考えている。

■Key Points
・機械・工具や建設資材を主力とする技術商社
・「モノづくり」市場におけるソリューション力が強み
・2023年12月期は営業・経常減益となったがおおむね計画水準で着地
・2024年12月期は不透明感を考慮して減益予想だが下期回復基調
・中期経営計画「UNISOL」でグループシナジー極大化を推進
・中長期的に利益率が高まる可能性、グループシナジー極大化戦略の進展に注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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