*15:54JST 神戸物産 Research Memo(4):2023年10月期は、すべての事業セグメントで過去最高業績を更新
■業績動向
1. 2023年10月期の業績概要
神戸物産<3038>の2023年10月期の連結業績は、売上高で前期比13.5%増の461,546百万円、営業利益で同10.4%増の30,717百万円、経常利益で同6.7%減の29,970百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.3%減の20,560百万円となった。為替変動に伴うデリバティブ評価損の計上により経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となったものの、売上高及び営業利益は会社計画(売上高440,000百万円、営業利益29,700百万円)を上回る増収増益となり、すべての事業セグメントで過去最高業績を更新した。
売上高はすべての事業セグメントで2ケタ増収となるなど主力の業務スーパー事業を中心に好調に推移した。「業務スーパー」の既存店向け商品出荷額伸び率が想定の1~2%増に対して前期比7.7%増と大きく伸長したことが上振れ要因となった。2023年4月以降、業界全体でNB商品の値上げが相次ぎ、消費者の節約志向が高まるなか「業務スーパー」の来店客数が増加し、PB商品の販売が伸長した。また、同社もNB商品の値上げを実施したが、スケールメリットを生かした価格交渉力により、優位性の高い価格設定ができたことでPB商品以上に好調だ。
期中平均為替レートが前期の127円/米ドルから139.19円/米ドルとなり、輸入商品の仕入れコストが上昇したが一部値上げを実施するなどして吸収した。また、前期は原材料コストの上昇などにより収益が悪化した国内グループ会社についても、値上げ効果や生産性向上などに取り組んだことで2023年10月期は総じて収益が回復したようで、売上原価率も88.6%と前期(88.5%)とほぼ同水準となった。販管費率は前期の4.6%から4.8%に上昇したが、「プレミアムカルビ」の出店拡大に伴う人件費や光熱費、賃借料などの増加によるものである。物流費率は、コンテナ運賃の下落や国内物流センターの体制強化により、前期比0.1ポイント低下の1.7%となった。
経常利益の減益要因は、為替変動に伴うデリバティブ評価損益の悪化によるもので、前期は478百万円の評価益を計上したのに対して、2023年10月期は4,082百万円の評価損を計上した。また、為替差益も前期の2,790百万円から2,156百万円に減少し、5,194百万円の減益要因となった。一方で、金融収支は現預金が積み上がったこともあって前期比621百万円の増益要因となった。なお、前期はグループ会社の農場や工場について減損損失994百万円を計上したが、2023年10月期は大きな特別損失はなかったため、親会社株主に帰属する当期純利益は小幅な減益にとどまった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2023年10月期の業績概要
神戸物産<3038>の2023年10月期の連結業績は、売上高で前期比13.5%増の461,546百万円、営業利益で同10.4%増の30,717百万円、経常利益で同6.7%減の29,970百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.3%減の20,560百万円となった。為替変動に伴うデリバティブ評価損の計上により経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となったものの、売上高及び営業利益は会社計画(売上高440,000百万円、営業利益29,700百万円)を上回る増収増益となり、すべての事業セグメントで過去最高業績を更新した。
売上高はすべての事業セグメントで2ケタ増収となるなど主力の業務スーパー事業を中心に好調に推移した。「業務スーパー」の既存店向け商品出荷額伸び率が想定の1~2%増に対して前期比7.7%増と大きく伸長したことが上振れ要因となった。2023年4月以降、業界全体でNB商品の値上げが相次ぎ、消費者の節約志向が高まるなか「業務スーパー」の来店客数が増加し、PB商品の販売が伸長した。また、同社もNB商品の値上げを実施したが、スケールメリットを生かした価格交渉力により、優位性の高い価格設定ができたことでPB商品以上に好調だ。
期中平均為替レートが前期の127円/米ドルから139.19円/米ドルとなり、輸入商品の仕入れコストが上昇したが一部値上げを実施するなどして吸収した。また、前期は原材料コストの上昇などにより収益が悪化した国内グループ会社についても、値上げ効果や生産性向上などに取り組んだことで2023年10月期は総じて収益が回復したようで、売上原価率も88.6%と前期(88.5%)とほぼ同水準となった。販管費率は前期の4.6%から4.8%に上昇したが、「プレミアムカルビ」の出店拡大に伴う人件費や光熱費、賃借料などの増加によるものである。物流費率は、コンテナ運賃の下落や国内物流センターの体制強化により、前期比0.1ポイント低下の1.7%となった。
経常利益の減益要因は、為替変動に伴うデリバティブ評価損益の悪化によるもので、前期は478百万円の評価益を計上したのに対して、2023年10月期は4,082百万円の評価損を計上した。また、為替差益も前期の2,790百万円から2,156百万円に減少し、5,194百万円の減益要因となった。一方で、金融収支は現預金が積み上がったこともあって前期比621百万円の増益要因となった。なお、前期はグループ会社の農場や工場について減損損失994百万円を計上したが、2023年10月期は大きな特別損失はなかったため、親会社株主に帰属する当期純利益は小幅な減益にとどまった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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