*16:43JST オーバル Research Memo(3):2024年3月期第2四半期は、センサ部門がけん引し大幅な増収増益決算
■業績動向
1. 2024年3月期第2四半期の業績概要
オーバル<7727>の2024年3月期第2四半期累計における世界経済は、欧米ではインフレ長期化や金融引き締めにより不安定な状況が続き、中国では不動産投資開発に始まる内外需要の低迷から景気は減速した。わが国では、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が鎮静化し、経済活動正常化による個人消費やインバウンド需要、設備投資が持ち直し、景気は緩やかな回復を続けているものの、エネルギー価格や原材料価格の高騰による物価高が続いており、先行きは不透明な状況である。
このような経済環境下、同社グループでは「中期経営計画『Imagination 2025』」を着々と推進している。その結果、2024年3月期第2四半期累計の連結業績は、受注高8,774百万円(前年同期比33.5%増)、売上高6,976百万円(同13.6%増)と前年同期を大きく上回る結果となった。増収は、好調なセンサ部門がけん引したことによる。利益面では、増収効果に伴い人件費などの固定費の比率が下がり、売上原価率が2.7ポイント改善し、販管費率も1.0ポイント改善した。収益性の高いセンサ事業が伸びたうえ、材料費が高騰したものの購買部門の営業努力により値上げの影響を最小限に抑制した成果であった。こうした増収効果と固定費比率低下の結果、営業利益798百万円(同68.2%増)、経常利益852百万円(同49.7%増)親会社株主に帰属する四半期純利益550百万円(同86.8%増)と大幅な増収増益決算であった。中期経営計画の折り返し点であるが、2025年3月期の数値目標達成に向けて順調な決算であった。
事業部門別の業績を見ると、センサ部門では、受注高は6,284百万円(前年同期比36.5%増)であった。これは、国内は石油関連業界向けが低迷しているが、半導体関連業界向けの在庫確保を目的とした前倒し受注が好調であったほか、化学関連業界向けが堅調だったため。また、海外も中国・韓国の子会社で電気自動車など電池関連業界向け販売など好調を維持したことによる。売上高も5,043百万円(同22.7%増)と好調であった。これは、受注高と同様に、国内では半導体関連及び化学関連業界向けが好調だったこと、海外も中国・韓国で電池関連業界向け販売が好調だったことによる。加えて、海外ではオーストリアAnton Paarとのライセンス契約に基づき、知的財産のライセンスの対価である契約一時金収受に伴う受注高・売上高の計上があり、収益確保に寄与している。なお、センサ部門の売上高が、2021年3月期第2四半期に大きく落ち込んだのは、コロナ禍での先行き不透明感による設備投資先送りの影響を大きく受けたものだ。
システム部門では、受注高は1,128百万円(同48.1%増)と大幅に増加した。これは、海外は低迷した一方、国内では国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産業技術総合研究所)への「石油流量標準設備 更新・点検整備・改修作業」や、食品関連業界向けの大口案件受注があったことによる。特に産業技術総合研究所からの受注については、同社がJCSS事業者で、国家標準による校正・試験サービスを安定かつ継続的に行う技術力が高く評価された結果である。一方、売上高は608百万円(同27.0%減)に留まった。これは、国内は前期の受注高低迷の影響から、また海外も東南アジア地域におけるコロナ禍の落ち込みが底打ちとなっているが回復が限定的であったことによる。
サービス部門では、受注高は1,361百万円(同13.1%増)、売上高は1,324百万円(同10.9%増)と前年同期を上回った。これは、主要顧客の石油関連業界では、業界再編、脱炭素社会に向けたエネルギー置換など厳しい市場環境が続くなか、保全計画サポートサービスなど地道できめ細かいメンテナンス活動を継続していることによる。また、他商品のメンテナンス事業や校正事業の強化の一環として、2023年1月に京浜計測(株)の全株式を取得し、第1四半期より損益計算書を連結したことも増収に寄与した。なお、サービス部門の売上高が2021年3月期第2四半期に落ち込んだのは、主要顧客の石油関連業界が、原油価格の下落、業界再編など厳しい市場環境にあったことが影響したものだ。ただ、サービス部門はセンサ部門やシステム部門に比べて安定した売上高を計上しており、景気に大きく左右されない部門である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<SO>
1. 2024年3月期第2四半期の業績概要
オーバル<7727>の2024年3月期第2四半期累計における世界経済は、欧米ではインフレ長期化や金融引き締めにより不安定な状況が続き、中国では不動産投資開発に始まる内外需要の低迷から景気は減速した。わが国では、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が鎮静化し、経済活動正常化による個人消費やインバウンド需要、設備投資が持ち直し、景気は緩やかな回復を続けているものの、エネルギー価格や原材料価格の高騰による物価高が続いており、先行きは不透明な状況である。
このような経済環境下、同社グループでは「中期経営計画『Imagination 2025』」を着々と推進している。その結果、2024年3月期第2四半期累計の連結業績は、受注高8,774百万円(前年同期比33.5%増)、売上高6,976百万円(同13.6%増)と前年同期を大きく上回る結果となった。増収は、好調なセンサ部門がけん引したことによる。利益面では、増収効果に伴い人件費などの固定費の比率が下がり、売上原価率が2.7ポイント改善し、販管費率も1.0ポイント改善した。収益性の高いセンサ事業が伸びたうえ、材料費が高騰したものの購買部門の営業努力により値上げの影響を最小限に抑制した成果であった。こうした増収効果と固定費比率低下の結果、営業利益798百万円(同68.2%増)、経常利益852百万円(同49.7%増)親会社株主に帰属する四半期純利益550百万円(同86.8%増)と大幅な増収増益決算であった。中期経営計画の折り返し点であるが、2025年3月期の数値目標達成に向けて順調な決算であった。
事業部門別の業績を見ると、センサ部門では、受注高は6,284百万円(前年同期比36.5%増)であった。これは、国内は石油関連業界向けが低迷しているが、半導体関連業界向けの在庫確保を目的とした前倒し受注が好調であったほか、化学関連業界向けが堅調だったため。また、海外も中国・韓国の子会社で電気自動車など電池関連業界向け販売など好調を維持したことによる。売上高も5,043百万円(同22.7%増)と好調であった。これは、受注高と同様に、国内では半導体関連及び化学関連業界向けが好調だったこと、海外も中国・韓国で電池関連業界向け販売が好調だったことによる。加えて、海外ではオーストリアAnton Paarとのライセンス契約に基づき、知的財産のライセンスの対価である契約一時金収受に伴う受注高・売上高の計上があり、収益確保に寄与している。なお、センサ部門の売上高が、2021年3月期第2四半期に大きく落ち込んだのは、コロナ禍での先行き不透明感による設備投資先送りの影響を大きく受けたものだ。
システム部門では、受注高は1,128百万円(同48.1%増)と大幅に増加した。これは、海外は低迷した一方、国内では国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産業技術総合研究所)への「石油流量標準設備 更新・点検整備・改修作業」や、食品関連業界向けの大口案件受注があったことによる。特に産業技術総合研究所からの受注については、同社がJCSS事業者で、国家標準による校正・試験サービスを安定かつ継続的に行う技術力が高く評価された結果である。一方、売上高は608百万円(同27.0%減)に留まった。これは、国内は前期の受注高低迷の影響から、また海外も東南アジア地域におけるコロナ禍の落ち込みが底打ちとなっているが回復が限定的であったことによる。
サービス部門では、受注高は1,361百万円(同13.1%増)、売上高は1,324百万円(同10.9%増)と前年同期を上回った。これは、主要顧客の石油関連業界では、業界再編、脱炭素社会に向けたエネルギー置換など厳しい市場環境が続くなか、保全計画サポートサービスなど地道できめ細かいメンテナンス活動を継続していることによる。また、他商品のメンテナンス事業や校正事業の強化の一環として、2023年1月に京浜計測(株)の全株式を取得し、第1四半期より損益計算書を連結したことも増収に寄与した。なお、サービス部門の売上高が2021年3月期第2四半期に落ち込んだのは、主要顧客の石油関連業界が、原油価格の下落、業界再編など厳しい市場環境にあったことが影響したものだ。ただ、サービス部門はセンサ部門やシステム部門に比べて安定した売上高を計上しており、景気に大きく左右されない部門である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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