*15:51JST 紀文食品 Research Memo(1):2024年3月期は好決算、中期的な再成長へ向けて弾み
■要約
1. 会社概要
紀文食品<2933>は、紀文ブランドを有する水産練り製品のトップメーカーで、主にスーパーマーケットやコンビニエンスストア向けに販売している。水産練り製品は蒲鉾や竹輪、さつま揚、はんぺんなどを総称した食品で、原材料となる魚が各地で異なるため、それぞれの地方で様々な種類の製品が作られてきた。同社は、いち早く日本各地の水産練り製品のフルライン化を進めるとともに、チルド物流や販売手法を確立したことで、約3,000億円と言われる国内水産練り製品市場でトップシェアを獲得した。こうした国内食品事業のノウハウを生かし、食品関連事業で外部企業にチルド物流サービスを提供しているほか、健康志向を背景に魚食化が進むアジアや欧米などで海外食品事業の拡大を進めている。
2. 同社の強み
紀文ブランドは、フルラインの水産練り製品、商品開発、チルド物流サービス、プロモーションといった同社の強みに裏付けられている。同社は、長年続けてきた魚肉・大豆・鶏卵・鶏肉畜肉の4つのタンパク特性の研究を基盤とした商品開発、それを生かす独創的な技術と柔軟な発想によって、フルラインの水産練り製品をはじめとする様々な製品を開発してきた。また、集荷から配送までの全工程で低温度管理を実現したチルド物流サービスによって、製品を確実に配送している。さらに、小売との直接取引が信頼関係につながっているほか、SNSやブランドサイトなどを活用したセールスプロモーションを積極的に展開している。こうした強みの集積が、顧客や消費者の信頼に足る強力なブランドの構築につながっているといえる。
3. 業績動向
2024年3月期第2四半期業績は、売上高が47,693百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益が45百万円(前年同期は786百万円の損失)と増収増益となった。米国の在庫調整や中国の市場混乱の影響で海外食品事業が苦戦したが、価格改定の浸透や原材料価格の落ち着きなどを背景に、国内食品事業・食品関連事業の業績が大きく回復したことが要因である。2024年3月期業績について同社は、売上高が106,963百万円(前期比1.2%増)、営業利益が3,707百万円(同83.4%増)と好決算を見込んでいる。なお、上期の好調に加え、12月の繁忙期に向けて採算の良いおでん種の伸びや堅調な正月おせち商品により下期業績が順調に推移すると見込まれることから、同社予想を上回る着地も期待できる。
4. 中期経営計画
同社は2021年5月に中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)を策定したが、新型コロナウイルス感染症の社会活動への影響の長期化や地政学リスクに伴うコスト上昇などマクロ的な状況変化により、2023年3月期業績が減益になるなど大きな影響を受けた。2024年3月期は業績が大きく回復する見込みであるが、当初計画した目標には届かない項目が出る可能性が高まっている。マクロ要素以外の環境認識や成長戦略は依然合理的と考えられることから、収益性向上と財務体質改善による「持続的成長サイクルの確立」を目指す基本戦略は踏襲される可能性が高いと考えられる。次期中期経営計画では現中期経営計画の定量目標に再チャレンジし、それを超えていってほしいと期待する。
■Key Points
・紀文ブランドを有する水産練り製品のトップメーカーで、商品開発などに強み
・2024年3月期業績は価格改定の浸透や原材料価格の落ち着きなどにより大きく回復する見込み
・現中期経営計画は未達の項目が出る可能性が高い見通しだが、2024年3月期の好決算を弾みに次期中期経営計画に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 会社概要
紀文食品<2933>は、紀文ブランドを有する水産練り製品のトップメーカーで、主にスーパーマーケットやコンビニエンスストア向けに販売している。水産練り製品は蒲鉾や竹輪、さつま揚、はんぺんなどを総称した食品で、原材料となる魚が各地で異なるため、それぞれの地方で様々な種類の製品が作られてきた。同社は、いち早く日本各地の水産練り製品のフルライン化を進めるとともに、チルド物流や販売手法を確立したことで、約3,000億円と言われる国内水産練り製品市場でトップシェアを獲得した。こうした国内食品事業のノウハウを生かし、食品関連事業で外部企業にチルド物流サービスを提供しているほか、健康志向を背景に魚食化が進むアジアや欧米などで海外食品事業の拡大を進めている。
2. 同社の強み
紀文ブランドは、フルラインの水産練り製品、商品開発、チルド物流サービス、プロモーションといった同社の強みに裏付けられている。同社は、長年続けてきた魚肉・大豆・鶏卵・鶏肉畜肉の4つのタンパク特性の研究を基盤とした商品開発、それを生かす独創的な技術と柔軟な発想によって、フルラインの水産練り製品をはじめとする様々な製品を開発してきた。また、集荷から配送までの全工程で低温度管理を実現したチルド物流サービスによって、製品を確実に配送している。さらに、小売との直接取引が信頼関係につながっているほか、SNSやブランドサイトなどを活用したセールスプロモーションを積極的に展開している。こうした強みの集積が、顧客や消費者の信頼に足る強力なブランドの構築につながっているといえる。
3. 業績動向
2024年3月期第2四半期業績は、売上高が47,693百万円(前年同期比1.9%増)、営業利益が45百万円(前年同期は786百万円の損失)と増収増益となった。米国の在庫調整や中国の市場混乱の影響で海外食品事業が苦戦したが、価格改定の浸透や原材料価格の落ち着きなどを背景に、国内食品事業・食品関連事業の業績が大きく回復したことが要因である。2024年3月期業績について同社は、売上高が106,963百万円(前期比1.2%増)、営業利益が3,707百万円(同83.4%増)と好決算を見込んでいる。なお、上期の好調に加え、12月の繁忙期に向けて採算の良いおでん種の伸びや堅調な正月おせち商品により下期業績が順調に推移すると見込まれることから、同社予想を上回る着地も期待できる。
4. 中期経営計画
同社は2021年5月に中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)を策定したが、新型コロナウイルス感染症の社会活動への影響の長期化や地政学リスクに伴うコスト上昇などマクロ的な状況変化により、2023年3月期業績が減益になるなど大きな影響を受けた。2024年3月期は業績が大きく回復する見込みであるが、当初計画した目標には届かない項目が出る可能性が高まっている。マクロ要素以外の環境認識や成長戦略は依然合理的と考えられることから、収益性向上と財務体質改善による「持続的成長サイクルの確立」を目指す基本戦略は踏襲される可能性が高いと考えられる。次期中期経営計画では現中期経営計画の定量目標に再チャレンジし、それを超えていってほしいと期待する。
■Key Points
・紀文ブランドを有する水産練り製品のトップメーカーで、商品開発などに強み
・2024年3月期業績は価格改定の浸透や原材料価格の落ち着きなどにより大きく回復する見込み
・現中期経営計画は未達の項目が出る可能性が高い見通しだが、2024年3月期の好決算を弾みに次期中期経営計画に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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