*13:18JST ティア Research Memo(8):M&A資金として70億円の銀行借入を実施、成長投資と位置づけ
■ティア<2485>の業績動向
3. 財務状況と経営指標
2023年9月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比1,209百万円増加の15,376百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が139百万円減少し、売掛金及び契約資産が135百万円増加した。固定資産は新規出店に伴い有形固定資産が988百万円増加したほか、無形固定資産が94百万円増加した。
一方、負債合計は前期末比490百万円増加の4,740百万円となった。未払法人税等が100百万円減少した一方で、有利子負債が482百万円、資産除去債務が351百万円それぞれ増加した。有利子負債の増加は本社隣接地に開設した「ティア・デザイン・ラボ(以下、TDL)」の設備投資資金(約4億円)が主な目的となっており、新規出店も増やしたことで2023年9月期の設備投資額は全体で1,355百万円(前期実績909百万円)と過去最高水準となった。純資産合計は前期末比378百万円増加の7,879百万円となった。主に親会社株主に帰属する当期純利益789百万円の計上と配当金支出449百万円による。
経営指標を見ると、自己資本比率は前期末比1.7ポイント低下の51.2%、有利子負債比率は同4.8ポイント上昇の31.6%となった。旺盛な設備投資需要を背景に有利子負債を積み増したことが要因だ。また、2023年11月には後述するM&Aによる株式取得資金のため70億円の銀行借入を実施しており、2024年9月期においては一時的に自己資本比率で50%を割れ、ネットキャッシュもマイナスになることが予想される。ただ、同社では事業拡大の必要資金として捉えており、収益の拡大によって有利子負債を削減し、財務体質の改善を図る。
収益性に関して見れば2020年9月期を底にして、売上高営業利益率、ROE、ROAともに改善傾向が続いている。ROEは2020年9月期の3.9%から2023年9月期は10.3%まで上昇した。この要因を分解すると、売上高純利益率が2.9%から5.6%に、財務レバレッジが1.50倍から1.92倍に、総資産売上回転率は0.89倍から0.95倍にそれぞれ良化しており、財務レバレッジを効かせながら事業規模の拡大と同時に収益性も改善していることがうかがえる。今回、純資産額とほぼ同規模のM&Aを実行することで、一時的に財務内容や見かけ上の収益性が悪化(のれん償却の計上による)するが、飛躍的な成長を遂げるために必要な投資期間と弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 財務状況と経営指標
2023年9月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比1,209百万円増加の15,376百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では現金及び預金が139百万円減少し、売掛金及び契約資産が135百万円増加した。固定資産は新規出店に伴い有形固定資産が988百万円増加したほか、無形固定資産が94百万円増加した。
一方、負債合計は前期末比490百万円増加の4,740百万円となった。未払法人税等が100百万円減少した一方で、有利子負債が482百万円、資産除去債務が351百万円それぞれ増加した。有利子負債の増加は本社隣接地に開設した「ティア・デザイン・ラボ(以下、TDL)」の設備投資資金(約4億円)が主な目的となっており、新規出店も増やしたことで2023年9月期の設備投資額は全体で1,355百万円(前期実績909百万円)と過去最高水準となった。純資産合計は前期末比378百万円増加の7,879百万円となった。主に親会社株主に帰属する当期純利益789百万円の計上と配当金支出449百万円による。
経営指標を見ると、自己資本比率は前期末比1.7ポイント低下の51.2%、有利子負債比率は同4.8ポイント上昇の31.6%となった。旺盛な設備投資需要を背景に有利子負債を積み増したことが要因だ。また、2023年11月には後述するM&Aによる株式取得資金のため70億円の銀行借入を実施しており、2024年9月期においては一時的に自己資本比率で50%を割れ、ネットキャッシュもマイナスになることが予想される。ただ、同社では事業拡大の必要資金として捉えており、収益の拡大によって有利子負債を削減し、財務体質の改善を図る。
収益性に関して見れば2020年9月期を底にして、売上高営業利益率、ROE、ROAともに改善傾向が続いている。ROEは2020年9月期の3.9%から2023年9月期は10.3%まで上昇した。この要因を分解すると、売上高純利益率が2.9%から5.6%に、財務レバレッジが1.50倍から1.92倍に、総資産売上回転率は0.89倍から0.95倍にそれぞれ良化しており、財務レバレッジを効かせながら事業規模の拡大と同時に収益性も改善していることがうかがえる。今回、純資産額とほぼ同規模のM&Aを実行することで、一時的に財務内容や見かけ上の収益性が悪化(のれん償却の計上による)するが、飛躍的な成長を遂げるために必要な投資期間と弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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