*15:36JST ハウスコム Research Memo(6):DX推進でビジネスモデルを変革、アフターデジタルでの優位性を確立する(2)
■中長期の成長戦略
3. DX推進によるビジネスモデルの変革とアフターデジタルに向けたノウハウの蓄積
賃貸業界でもDXが進み、5年後には「業界の壁が崩壊」し、「体験が軸になる」と言われている。そのような業界環境変遷のなかでハウスコム<3275>は「データを制する者が未来を制す」という考えのもと、DXを活用したビジネスモデルの変革を積極的に推進している。このような未来に向けたDX戦略の取り組みが評価され、2022年3月には「DX認定事業者」の認定を取得した。
同社はDXによるビジネスモデルの変革として、データと統計手法を駆使した顧客への物件情報の提供に向けた準備を着実に進めている。具体的には、データを活用した顧客ニーズによりマッチした情報の提供や、多視点クラスタリングという統計手法を用いて顧客自身も気付いていなかった潜在的なニーズを顕在化し、顧客満足度の高い情報の提供を目指す。これらの取り組みにより顧客は従来よりも購買意欲(賃貸契約を結ぶことに対する意欲)の高い状態で来店することが想定され、成約率の向上が期待できる。
また、社内の活動に対しても積極的にITを活用し、コスト効率や生産性の向上を実現している。例えば、各ポータルサイト(SUUMOなどの物件情報を一覧できるサイトのこと)のデータと同社来店以降のデータを組み合わせることによって顧客ニーズの高いエリアを選定したうえで、成約率が高いことが見込まれるエリアに効率的に物件情報を掲載し、広告宣伝費の効率化を実現している。さらに、事務処理のRPA・ペーパーレス化、オンライン内見、IT重説(重要事項説明をオンライン上で行うこと)などの各種施策によって従業員1人当たりの生産性も向上している状況だ。
4. 店舗数増加による規模の拡大と売買仲介への参入
2023年3月期において、売買事業への参入に向けた基盤整備は順調に進んだ。具体的には、東京と大阪に売買事業を扱う店舗を構え、中期経営計画の「2023年3月期までに店舗数2店舗」の目標を達成した。一方、店舗数に関しては2023年9月末時点で237店舗(ハウスコム直営店198店舗、ハウスコムFC1店舗、クラスモFC38店舗)となっており、ハウスコム直営店は2022年3月末の206店舗をピークに2023年3月末は203店舗、9月末は198店舗へと減少しているが、シーアールエヌの子会社化によりグループ全体の店舗数は拡大している。同社では従来、店舗数増加による規模の拡大を最重要課題の1つとしていたが、2023年3月期からその方針を軌道修正しており、1店舗当たりの収益性の向上と、従業員1人当たり売上高の拡大などより収益性に重視を置いた戦略に転換している。DX化の進展などによる効率化に伴い、1店舗当たりの従業員数も減少させることで収益性の向上に努めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
<SI>
3. DX推進によるビジネスモデルの変革とアフターデジタルに向けたノウハウの蓄積
賃貸業界でもDXが進み、5年後には「業界の壁が崩壊」し、「体験が軸になる」と言われている。そのような業界環境変遷のなかでハウスコム<3275>は「データを制する者が未来を制す」という考えのもと、DXを活用したビジネスモデルの変革を積極的に推進している。このような未来に向けたDX戦略の取り組みが評価され、2022年3月には「DX認定事業者」の認定を取得した。
同社はDXによるビジネスモデルの変革として、データと統計手法を駆使した顧客への物件情報の提供に向けた準備を着実に進めている。具体的には、データを活用した顧客ニーズによりマッチした情報の提供や、多視点クラスタリングという統計手法を用いて顧客自身も気付いていなかった潜在的なニーズを顕在化し、顧客満足度の高い情報の提供を目指す。これらの取り組みにより顧客は従来よりも購買意欲(賃貸契約を結ぶことに対する意欲)の高い状態で来店することが想定され、成約率の向上が期待できる。
また、社内の活動に対しても積極的にITを活用し、コスト効率や生産性の向上を実現している。例えば、各ポータルサイト(SUUMOなどの物件情報を一覧できるサイトのこと)のデータと同社来店以降のデータを組み合わせることによって顧客ニーズの高いエリアを選定したうえで、成約率が高いことが見込まれるエリアに効率的に物件情報を掲載し、広告宣伝費の効率化を実現している。さらに、事務処理のRPA・ペーパーレス化、オンライン内見、IT重説(重要事項説明をオンライン上で行うこと)などの各種施策によって従業員1人当たりの生産性も向上している状況だ。
4. 店舗数増加による規模の拡大と売買仲介への参入
2023年3月期において、売買事業への参入に向けた基盤整備は順調に進んだ。具体的には、東京と大阪に売買事業を扱う店舗を構え、中期経営計画の「2023年3月期までに店舗数2店舗」の目標を達成した。一方、店舗数に関しては2023年9月末時点で237店舗(ハウスコム直営店198店舗、ハウスコムFC1店舗、クラスモFC38店舗)となっており、ハウスコム直営店は2022年3月末の206店舗をピークに2023年3月末は203店舗、9月末は198店舗へと減少しているが、シーアールエヌの子会社化によりグループ全体の店舗数は拡大している。同社では従来、店舗数増加による規模の拡大を最重要課題の1つとしていたが、2023年3月期からその方針を軌道修正しており、1店舗当たりの収益性の向上と、従業員1人当たり売上高の拡大などより収益性に重視を置いた戦略に転換している。DX化の進展などによる効率化に伴い、1店舗当たりの従業員数も減少させることで収益性の向上に努めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
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