*15:41JST 平山 Research Memo(11):ものづくり支援オンリーワン企業として売上規模1,000億円を目指す
■今後の見通し
3. 成長戦略
平山ホールディングス<7781>は中期業績目標として、2024年6月期に売上高400億円、営業利益率4%を目指す方針を掲げてきたが、コロナ禍の影響が長引いたことや、M&Aの実行並びに人員体制の拡大ペースが想定をやや下回ったこともあり、当初の計画には届かない見通しだ。ただ、成長戦略の取り組みについては着実に進んでおり、今後も年率2ケタ成長を目指す方針に変わりない。現在、2025年6月期から始まる中長期計画「VISION平山2030」を策定中で、2024年6月期下期中に発表する予定である。従来の成長戦略をさらに推進し、「新たな高付加価値サービスを提供するものづくり支援オンリーワン企業」として、長期的に売上高1,000億円企業を目指す。
弊社では、1) 今後国内に生産回帰する企業に対して、新工場の立ち上げ支援から稼働後の派遣・請負サービスまでワンストップで提供できる同社の強みが発揮されること、2) 将来的に雇用拡大が期待される半導体・電子部品業界向けを強化すべく、研修センターを開設しフィールドエンジニアの育成に注力していること、3) 外国人労働者の受入れ拡大が進むなかで、介護サービスなど対応可能な業種を広げながら事業規模の拡大を図ること、などが今後の高成長を実現していくうえでのポイントになると見ている。また、M&A戦略についても継続して推進する方針だ。
なお、成長戦略としては以下の5点を掲げている。
(1) 新規事業と既存事業の融合による高付加価値サービスの創造
主力のインソーシング・派遣事業では製造現場の請負を中心に展開してきたが、事業領域を工場のインフラ部門やバックオフィス部門のほか、非製造業分野の流通・店舗運営部門へと拡大する。また、新工場立ち上げから派遣・請負サービスの提供までワンストップで提供可能なサービスも開始しており、新たな成長エンジンとして期待される。なお、事業領域の拡大にあたっては、従来の強みである現場改善力に加えて、AIやIoT、RPAといったITソリューションを組み合わせるなど付加価値の高いサービスを組み合わせて提供することで、競合他社との差別化を図る戦略だ。
(2) エンジニア派遣の領域拡大に伴う高付加価値人材の育成と多様な人材採用
技術者派遣事業では、フィールドエンジニアや機電系人材、ソフトウェア組み込み系人材、RPAを活用する人材、ITインフラエンジニア、AI開発人材など様々な領域のスペシャリストの採用・育成に取り組んでいく。特に、AIやIoT、ローカル5Gなどの先進技術を活用したフィールドワーク支援ソリューションの市場に関しては、2021年度の504億円から2027年度は2,700億円と年率30%以上の高成長が予測されており、同領域のエンジニア育成を強化する。
人材については国内で慢性的な不足が続いていることから、海外からの受入れも積極的に進める。従来はミャンマーの提携大学を通じて学生を受入れてきたが、政権が変わってからはストップした状況が続いており、打開策としてヤンゴンに教育施設を開設して育成した人材の受入れを徐々に進めている。国内においては、中小規模のエンジニア派遣会社のM&Aも視野に入れている。ITソリューションを製造現場で上手く活用し、導入効果を高めていくためにはエンジニアだけでは難しく、製造現場を熟知している同社のような存在が一緒になり考えることでより効果が発揮できる。エンジニア派遣事業の強化によって、インソーシング・派遣事業とのシナジーが今後より一層発揮されるものと期待される。
なお、2024年6月期の人員採用については国内の新卒採用(専門学校・大学)で年間705名(中期目標1,000名)、中途正社員で2,400名(同3,000名)とし、外国籍技術者については、機電系やソフトウェアのエンジニアなど合わせて100名の採用(前期末48名)を目標としている。
(3) 外国人労働者の受入管理受託サービスを全職種で展開
子会社の平山GSで展開する外国人労働者受入管理受託サービスを全職種で展開し、事業規模のさらなる拡大を目指す。2019年に入国管理法が改正され、人材不足が深刻な14業種※を対象に一定の技能と日本語能力のある外国人に日本での就労(上限5年)を認める特定技能制度が実施されたことにより、外国人労働者の受入れ拡大が進むと見られている。国内における労働力人口の減少傾向が続くなかで、2030年には約640万人分の労働力が不足するという予測があり、こうした不足分を外国人労働者で一定数まかなっていく必要があるためだ。
※特定技能1号要件となる業種は、介護業、ビルクリーニング業、宿泊業、建設業、外食業、自動車整備業、飲食料品製造業、電気・電子情報関連産業、素材系産業、産業機械製造業、農業、漁業、航空業、造船・舶用工業の14業種。
同社は、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、インドネシアの4ヶ国で現地の送り出し機関と提携しており、これら提携先を通じて送り出され外国人労働者を、受入れ先となる中堅・中小企業などに紹介しているほか、グループ内でも活用している。入国前・入国後の教育・研修について平山GSで実施しているほか、受入れ先企業に対して労務管理業務受託サービスを提供している。また、受入れた外国人労働者の帰国後の就職支援等も行っている。
今後、技能実習及び特定技能の業種を全職種に拡大することで外国人労働者の受入れ数を拡大するとともに、受入れ先企業の開拓も進めながら同事業の拡大を目指す。外国人サービス提供者数については、2022年6月期の814名から2023年6月期は1,067名となり、2024年6月期は1,500名を目標としている。今後も外国人労働者の受入れ数が拡大する可能性は高く、成長余地は大きい。
(4) 国内の人材ビジネスパッケージを横展開(タイ)
国内で約30年にわたり蓄積してきた製造請負・派遣、現場改善コンサルティング、人材教育等のノウハウをパッケージ化して、タイに横展開していく。
(5) サービス事業(小売、物流、介護等)顧客の拡大
FUN to FUNでは現在、食品加工業界向けが売上高の約6割を占めているが、今後は人材不足感が強い物流倉庫や都市型ミニスーパー、ホテル向けを強化する方針であり、外国人労働者を積極活用しながら顧客の開拓と売上拡大を図る戦略である。既述のとおりコロナ禍により、外国人労働者の採用環境が悪化し苦戦していたが、直近は採用環境も好転し始めており、収益増に貢献するものと期待される。
また、平山では2022年6月期より介護派遣サービスを開始している。大松サービシーズで運営する介護施設をベースに、東南アジアから受入れた外国人の教育研修を行い、平山において派遣することになる。現在は数名程度でマーケティング段階ではあるものの、将来的に介護スタッフの人材不足が見込まれる※ことから成長ポテンシャルは大きいと見ており、当面の目標として300名の外国人スタッフの育成を掲げている。
※厚生労働省が2021年7月に発表した資料によると、介護職員の必要数は高齢化社会の進展に伴い、2019年度の約211万人から2023年度に約233万人(2019年度比約22万人増)、2025年度に約243万人(同約32万人増)、2040年度に約280万人(同約69万人増)まで増加すると試算しており、介護職員の増員施策の1つとして外国人材の受入環境整備を挙げている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 成長戦略
平山ホールディングス<7781>は中期業績目標として、2024年6月期に売上高400億円、営業利益率4%を目指す方針を掲げてきたが、コロナ禍の影響が長引いたことや、M&Aの実行並びに人員体制の拡大ペースが想定をやや下回ったこともあり、当初の計画には届かない見通しだ。ただ、成長戦略の取り組みについては着実に進んでおり、今後も年率2ケタ成長を目指す方針に変わりない。現在、2025年6月期から始まる中長期計画「VISION平山2030」を策定中で、2024年6月期下期中に発表する予定である。従来の成長戦略をさらに推進し、「新たな高付加価値サービスを提供するものづくり支援オンリーワン企業」として、長期的に売上高1,000億円企業を目指す。
弊社では、1) 今後国内に生産回帰する企業に対して、新工場の立ち上げ支援から稼働後の派遣・請負サービスまでワンストップで提供できる同社の強みが発揮されること、2) 将来的に雇用拡大が期待される半導体・電子部品業界向けを強化すべく、研修センターを開設しフィールドエンジニアの育成に注力していること、3) 外国人労働者の受入れ拡大が進むなかで、介護サービスなど対応可能な業種を広げながら事業規模の拡大を図ること、などが今後の高成長を実現していくうえでのポイントになると見ている。また、M&A戦略についても継続して推進する方針だ。
なお、成長戦略としては以下の5点を掲げている。
(1) 新規事業と既存事業の融合による高付加価値サービスの創造
主力のインソーシング・派遣事業では製造現場の請負を中心に展開してきたが、事業領域を工場のインフラ部門やバックオフィス部門のほか、非製造業分野の流通・店舗運営部門へと拡大する。また、新工場立ち上げから派遣・請負サービスの提供までワンストップで提供可能なサービスも開始しており、新たな成長エンジンとして期待される。なお、事業領域の拡大にあたっては、従来の強みである現場改善力に加えて、AIやIoT、RPAといったITソリューションを組み合わせるなど付加価値の高いサービスを組み合わせて提供することで、競合他社との差別化を図る戦略だ。
(2) エンジニア派遣の領域拡大に伴う高付加価値人材の育成と多様な人材採用
技術者派遣事業では、フィールドエンジニアや機電系人材、ソフトウェア組み込み系人材、RPAを活用する人材、ITインフラエンジニア、AI開発人材など様々な領域のスペシャリストの採用・育成に取り組んでいく。特に、AIやIoT、ローカル5Gなどの先進技術を活用したフィールドワーク支援ソリューションの市場に関しては、2021年度の504億円から2027年度は2,700億円と年率30%以上の高成長が予測されており、同領域のエンジニア育成を強化する。
人材については国内で慢性的な不足が続いていることから、海外からの受入れも積極的に進める。従来はミャンマーの提携大学を通じて学生を受入れてきたが、政権が変わってからはストップした状況が続いており、打開策としてヤンゴンに教育施設を開設して育成した人材の受入れを徐々に進めている。国内においては、中小規模のエンジニア派遣会社のM&Aも視野に入れている。ITソリューションを製造現場で上手く活用し、導入効果を高めていくためにはエンジニアだけでは難しく、製造現場を熟知している同社のような存在が一緒になり考えることでより効果が発揮できる。エンジニア派遣事業の強化によって、インソーシング・派遣事業とのシナジーが今後より一層発揮されるものと期待される。
なお、2024年6月期の人員採用については国内の新卒採用(専門学校・大学)で年間705名(中期目標1,000名)、中途正社員で2,400名(同3,000名)とし、外国籍技術者については、機電系やソフトウェアのエンジニアなど合わせて100名の採用(前期末48名)を目標としている。
(3) 外国人労働者の受入管理受託サービスを全職種で展開
子会社の平山GSで展開する外国人労働者受入管理受託サービスを全職種で展開し、事業規模のさらなる拡大を目指す。2019年に入国管理法が改正され、人材不足が深刻な14業種※を対象に一定の技能と日本語能力のある外国人に日本での就労(上限5年)を認める特定技能制度が実施されたことにより、外国人労働者の受入れ拡大が進むと見られている。国内における労働力人口の減少傾向が続くなかで、2030年には約640万人分の労働力が不足するという予測があり、こうした不足分を外国人労働者で一定数まかなっていく必要があるためだ。
※特定技能1号要件となる業種は、介護業、ビルクリーニング業、宿泊業、建設業、外食業、自動車整備業、飲食料品製造業、電気・電子情報関連産業、素材系産業、産業機械製造業、農業、漁業、航空業、造船・舶用工業の14業種。
同社は、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、インドネシアの4ヶ国で現地の送り出し機関と提携しており、これら提携先を通じて送り出され外国人労働者を、受入れ先となる中堅・中小企業などに紹介しているほか、グループ内でも活用している。入国前・入国後の教育・研修について平山GSで実施しているほか、受入れ先企業に対して労務管理業務受託サービスを提供している。また、受入れた外国人労働者の帰国後の就職支援等も行っている。
今後、技能実習及び特定技能の業種を全職種に拡大することで外国人労働者の受入れ数を拡大するとともに、受入れ先企業の開拓も進めながら同事業の拡大を目指す。外国人サービス提供者数については、2022年6月期の814名から2023年6月期は1,067名となり、2024年6月期は1,500名を目標としている。今後も外国人労働者の受入れ数が拡大する可能性は高く、成長余地は大きい。
(4) 国内の人材ビジネスパッケージを横展開(タイ)
国内で約30年にわたり蓄積してきた製造請負・派遣、現場改善コンサルティング、人材教育等のノウハウをパッケージ化して、タイに横展開していく。
(5) サービス事業(小売、物流、介護等)顧客の拡大
FUN to FUNでは現在、食品加工業界向けが売上高の約6割を占めているが、今後は人材不足感が強い物流倉庫や都市型ミニスーパー、ホテル向けを強化する方針であり、外国人労働者を積極活用しながら顧客の開拓と売上拡大を図る戦略である。既述のとおりコロナ禍により、外国人労働者の採用環境が悪化し苦戦していたが、直近は採用環境も好転し始めており、収益増に貢献するものと期待される。
また、平山では2022年6月期より介護派遣サービスを開始している。大松サービシーズで運営する介護施設をベースに、東南アジアから受入れた外国人の教育研修を行い、平山において派遣することになる。現在は数名程度でマーケティング段階ではあるものの、将来的に介護スタッフの人材不足が見込まれる※ことから成長ポテンシャルは大きいと見ており、当面の目標として300名の外国人スタッフの育成を掲げている。
※厚生労働省が2021年7月に発表した資料によると、介護職員の必要数は高齢化社会の進展に伴い、2019年度の約211万人から2023年度に約233万人(2019年度比約22万人増)、2025年度に約243万人(同約32万人増)、2040年度に約280万人(同約69万人増)まで増加すると試算しており、介護職員の増員施策の1つとして外国人材の受入環境整備を挙げている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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