*12:04JST ダイキアクシス Research Memo(4):環境機器関連事業が売上高の約5割、利益の7割強を稼ぐ(1)
■事業概要
1. 環境機器関連事業
環境機器関連事業は、2023年12月期第2四半期において売上高の51.5%、調整額控除前営業利益の74.2%を占める主力事業となる。
(1) 国内事業
ダイキアクシス<4245>の設立は2005年であるが、1965年にFRP製浄化槽1号機を完成させるなど、ダイキ時代から数えれば半世紀以上にわたり各種排水処理装置の開発・設計・製造・施工・販売・メンテナンスを行ってきた。同事業において、上水、中水(排水再利用システム)、下水(家庭用浄化槽、地域集落排水処理システム、産業排水処理施設)の全てに対応している。2022年12月期の環境機器関連事業の売上構成比は、地下水飲料化の上水事業が4.4%、中水システムが0.2%、下水では国内小型合併処理浄化槽が7.0%とマンション、食品加工工場、病院、電機・メッキ加工工場などの排水処理システムが62.6%、メンテナンス等が25.8%であった。
環境機器関連事業の国内事業は、29拠点で全国の主要都市をカバーしている。自社の製造工場は4ヶ所にあり、自社工場から遠隔地の顧客には協業先の大栄産業(株)のネットワークを活用することで輸送の効率化を図っている。
同事業の特長は、排水処理施設に関する一貫体制を取っていることである。メンテナンス業務により顧客との継続的なコンタクトが可能になり、改修・増設工事の受注に結び付く。現場で収集したユーザーニーズを研究開発にフィードバックしている。メンテナンスは、専属部門が24時間監視やスポット対応など顧客ニーズに合わせたサービスを提供できるよう体制を整えている。
安定的な収入源となるストックビジネスの強化を成長戦略としており、DCMグループ店舗の店舗浄化槽設備工事とメンテナンス、店舗管理業務(清掃・消防・電気等点検業務)を請け負っている。全国規模の大手コンビニエンスストアチェーン、大手外食チェーンの店舗及びセントラルキッチンにおける排水処理設備・浄化槽メンテナンスの一括受注を拡大している。従来の業者が個別サービス対応で地元特化型であるのに対し、同社はコスト削減だけでなく全国規模で均質の役務提供をすることで差別化を図る。多数の店舗を運営する事業者(顧客)にとって、浄化槽の法定検査や点検記録、排水処理設備の点検記録などの管理は煩雑な業務になる。
メンテナンス事業としてそれらの業務を請け負う同社は、新ITシステムの導入によりクライアントニーズに対応した法定点検の管理システムを更新した。ITシステムを活用したメンテナンスに関する日報の集約・集計は、チェーン本部のガバナンスを高めるだけでなく事務作業の負担を軽減する。ITシステムを競争優位性として、チェーン本部の攻略を進める。また、データを基軸とした施設・施工・協力業者の管理により、生産性と収益性の向上を図る。
家庭用合併処理浄化槽は、需要が新設住宅着工戸数とリンクするため国内市場は飽和状態である。シェアを堅持し、海外展開に向けた最新技術をフォローアップする。産業排水処理は、有機系処理と無機系処理に分かれる。食品加工工場や病院などの有機系では生物処理を、電機・メッキ加工工場などの無機系では化学処理を施す。
(2) 海外展開
国内市場の事業環境は、人口減少や水質改善により新規案件が減少傾向にある。一方、新興国における水環境の汚染は放置できない状況になっており、下水道普及率が低い国での市場拡大が見込まれる。水インフラビジネスは、主要3業務で構成される。部材・部品・機器製造と、装置設計・組立・施工・運転、事業運営・保守・管理(水売り)である。海外の水メジャーは全ての領域を網羅する。一方、日系企業は水処理機器、エンジニアリング、オーガナイザーなど各分野に特化している。同社グループは、中小規模の排水処理をターゲットとすることから、水メジャーと棲み分けることに加え、主要3業務を一貫して提供する機能を持つことが日系企業に対する差別化となり、生活排水処理・事業場排水処理、公共水域浄化のいずれにも対応できる。この中小規模の排水処理で、ASEANやインド、アフリカでの市場拡大に際して、同社は先行者利得を得る可能性が大きい。
成長戦略の筆頭に挙げられている「海外展開の加速」は、SDGsの6番目の「安全な水とトイレを世界中に」に深く関わっている。アジアやアフリカの新興国では、水質汚濁による環境汚染が看過できない状態となっていることから、新しい排水処理基準が導入されている。同社が手掛ける中小規模の排水処理関連分野では、現地の企業が厳格化された基準をクリアできる技術水準にない。また、高い技術力を有する海外企業も、未開拓の市場においては現地の水事情に適合したコスト競争力のある製品を供給できていない。同社は、それぞれの国や地域の水事業に適合する製品開発、厳格化された規制水準をクリアしていることを証明する実証実験と認証を取得することを心掛けている。現地で受け入れられるコストを実現するため、主要な市場において子会社や合弁企業の設立、外部への生産委託、自社による現地組立及び一貫生産など、地域と市場の発展に適した生産形態を採っている。
2025年12月期の海外売上高は4,000百万円を計画している。うち、半分をインドが占める見込みだ。インドは、2023年に人口が中国を抜き世界一となった。2022年の実質国内総生産(GDP)成長率が6.7%と伸び率が中国を上回った。ドルベースの名目GDPは約3兆3,800億米ドル(約460兆円)と英国を抜き世界5位となり、日本の8割に迫った。インドの人口は約14億人と日本の11倍、国土面積が世界7位の328万km2と、日本の37万km2(62位)の約9倍の大きさである。2021年7月時点の人口の中位年齢は、日本の48.4歳に対しインドが27.6歳と若い。インドは、人口ボーナス期にあり、今後高い経済成長が見込まれ、下水道などの社会資本を整備する時期にあたる。
海外事業は、中国に3拠点(営業2拠点、製造合弁1拠点)、インドネシア3拠点(製造1拠点・営業2拠点)、インド2拠点(営業・製造)、シンガポール2拠点(統括1拠点、営業1拠点)、ケニア1拠点(営業)、スリランカ1拠点(営業・製造)の拠点展開となる。販売代理店数は、インドが23社、インドネシアが3社、残りのベトナム、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール、スリランカ、パキスタン、ケニアが各1社である。現地のニーズ及び市場の発展及びリスクに応じて、事業展開は独資・合弁・買収、生産委託・自社生産、組立・一貫生産などを適切な形態を選択する。
中国市場には、中大型浄化槽の需要に対しインドネシア工場から製品を供給している。小型製品に関しては、合弁企業から供給を受ける。同社が、合弁企業に金型などの製造設備の提供と技術指導を行った。工場は、合弁先の敷地内に建設されており初期投資は大きくない。インドネシアは、現地企業を買収後に新工場を建て日本生産方式を導入した。インドでは、まず販売代理店の1社に生産委託をすることで現地生産を開始した。委託工場は西部のムンバイにある。インドの2番目となる自社工場は、北部のデリー近郊に建設した。新工場は、委託生産工場で製造しているカプセルタイプだけでなく、インドネシアからの輸入に頼っていた円筒タイプも製造する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 環境機器関連事業
環境機器関連事業は、2023年12月期第2四半期において売上高の51.5%、調整額控除前営業利益の74.2%を占める主力事業となる。
(1) 国内事業
ダイキアクシス<4245>の設立は2005年であるが、1965年にFRP製浄化槽1号機を完成させるなど、ダイキ時代から数えれば半世紀以上にわたり各種排水処理装置の開発・設計・製造・施工・販売・メンテナンスを行ってきた。同事業において、上水、中水(排水再利用システム)、下水(家庭用浄化槽、地域集落排水処理システム、産業排水処理施設)の全てに対応している。2022年12月期の環境機器関連事業の売上構成比は、地下水飲料化の上水事業が4.4%、中水システムが0.2%、下水では国内小型合併処理浄化槽が7.0%とマンション、食品加工工場、病院、電機・メッキ加工工場などの排水処理システムが62.6%、メンテナンス等が25.8%であった。
環境機器関連事業の国内事業は、29拠点で全国の主要都市をカバーしている。自社の製造工場は4ヶ所にあり、自社工場から遠隔地の顧客には協業先の大栄産業(株)のネットワークを活用することで輸送の効率化を図っている。
同事業の特長は、排水処理施設に関する一貫体制を取っていることである。メンテナンス業務により顧客との継続的なコンタクトが可能になり、改修・増設工事の受注に結び付く。現場で収集したユーザーニーズを研究開発にフィードバックしている。メンテナンスは、専属部門が24時間監視やスポット対応など顧客ニーズに合わせたサービスを提供できるよう体制を整えている。
安定的な収入源となるストックビジネスの強化を成長戦略としており、DCMグループ店舗の店舗浄化槽設備工事とメンテナンス、店舗管理業務(清掃・消防・電気等点検業務)を請け負っている。全国規模の大手コンビニエンスストアチェーン、大手外食チェーンの店舗及びセントラルキッチンにおける排水処理設備・浄化槽メンテナンスの一括受注を拡大している。従来の業者が個別サービス対応で地元特化型であるのに対し、同社はコスト削減だけでなく全国規模で均質の役務提供をすることで差別化を図る。多数の店舗を運営する事業者(顧客)にとって、浄化槽の法定検査や点検記録、排水処理設備の点検記録などの管理は煩雑な業務になる。
メンテナンス事業としてそれらの業務を請け負う同社は、新ITシステムの導入によりクライアントニーズに対応した法定点検の管理システムを更新した。ITシステムを活用したメンテナンスに関する日報の集約・集計は、チェーン本部のガバナンスを高めるだけでなく事務作業の負担を軽減する。ITシステムを競争優位性として、チェーン本部の攻略を進める。また、データを基軸とした施設・施工・協力業者の管理により、生産性と収益性の向上を図る。
家庭用合併処理浄化槽は、需要が新設住宅着工戸数とリンクするため国内市場は飽和状態である。シェアを堅持し、海外展開に向けた最新技術をフォローアップする。産業排水処理は、有機系処理と無機系処理に分かれる。食品加工工場や病院などの有機系では生物処理を、電機・メッキ加工工場などの無機系では化学処理を施す。
(2) 海外展開
国内市場の事業環境は、人口減少や水質改善により新規案件が減少傾向にある。一方、新興国における水環境の汚染は放置できない状況になっており、下水道普及率が低い国での市場拡大が見込まれる。水インフラビジネスは、主要3業務で構成される。部材・部品・機器製造と、装置設計・組立・施工・運転、事業運営・保守・管理(水売り)である。海外の水メジャーは全ての領域を網羅する。一方、日系企業は水処理機器、エンジニアリング、オーガナイザーなど各分野に特化している。同社グループは、中小規模の排水処理をターゲットとすることから、水メジャーと棲み分けることに加え、主要3業務を一貫して提供する機能を持つことが日系企業に対する差別化となり、生活排水処理・事業場排水処理、公共水域浄化のいずれにも対応できる。この中小規模の排水処理で、ASEANやインド、アフリカでの市場拡大に際して、同社は先行者利得を得る可能性が大きい。
成長戦略の筆頭に挙げられている「海外展開の加速」は、SDGsの6番目の「安全な水とトイレを世界中に」に深く関わっている。アジアやアフリカの新興国では、水質汚濁による環境汚染が看過できない状態となっていることから、新しい排水処理基準が導入されている。同社が手掛ける中小規模の排水処理関連分野では、現地の企業が厳格化された基準をクリアできる技術水準にない。また、高い技術力を有する海外企業も、未開拓の市場においては現地の水事情に適合したコスト競争力のある製品を供給できていない。同社は、それぞれの国や地域の水事業に適合する製品開発、厳格化された規制水準をクリアしていることを証明する実証実験と認証を取得することを心掛けている。現地で受け入れられるコストを実現するため、主要な市場において子会社や合弁企業の設立、外部への生産委託、自社による現地組立及び一貫生産など、地域と市場の発展に適した生産形態を採っている。
2025年12月期の海外売上高は4,000百万円を計画している。うち、半分をインドが占める見込みだ。インドは、2023年に人口が中国を抜き世界一となった。2022年の実質国内総生産(GDP)成長率が6.7%と伸び率が中国を上回った。ドルベースの名目GDPは約3兆3,800億米ドル(約460兆円)と英国を抜き世界5位となり、日本の8割に迫った。インドの人口は約14億人と日本の11倍、国土面積が世界7位の328万km2と、日本の37万km2(62位)の約9倍の大きさである。2021年7月時点の人口の中位年齢は、日本の48.4歳に対しインドが27.6歳と若い。インドは、人口ボーナス期にあり、今後高い経済成長が見込まれ、下水道などの社会資本を整備する時期にあたる。
海外事業は、中国に3拠点(営業2拠点、製造合弁1拠点)、インドネシア3拠点(製造1拠点・営業2拠点)、インド2拠点(営業・製造)、シンガポール2拠点(統括1拠点、営業1拠点)、ケニア1拠点(営業)、スリランカ1拠点(営業・製造)の拠点展開となる。販売代理店数は、インドが23社、インドネシアが3社、残りのベトナム、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール、スリランカ、パキスタン、ケニアが各1社である。現地のニーズ及び市場の発展及びリスクに応じて、事業展開は独資・合弁・買収、生産委託・自社生産、組立・一貫生産などを適切な形態を選択する。
中国市場には、中大型浄化槽の需要に対しインドネシア工場から製品を供給している。小型製品に関しては、合弁企業から供給を受ける。同社が、合弁企業に金型などの製造設備の提供と技術指導を行った。工場は、合弁先の敷地内に建設されており初期投資は大きくない。インドネシアは、現地企業を買収後に新工場を建て日本生産方式を導入した。インドでは、まず販売代理店の1社に生産委託をすることで現地生産を開始した。委託工場は西部のムンバイにある。インドの2番目となる自社工場は、北部のデリー近郊に建設した。新工場は、委託生産工場で製造しているカプセルタイプだけでなく、インドネシアからの輸入に頼っていた円筒タイプも製造する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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