*15:21JST デイトナ Research Memo(1):アジアは好調でインドネシア周辺国への事業展開も視野に入る
■要約
デイトナ<7228>は、二輪車部品・用品を中心に企画・開発及び卸販売、並びに小売販売を行うメーカーである。世界にバイクカスタマイズの楽しさを発信すると同時に、世界から吸収した新しい世界観を日本のライダーに提案し、バイク文化創造へチャレンジを続けているクリエイティブな企業である。独自の企画力、開発力を発揮し、世界のバイクライダーのニーズに対応する商品・サービスを提供することで、世界で最も支持されるブランドを目指している。
1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
2023年12月期第2四半期の連結業績は、売上高6,745百万円(前年同期比3.2%減)、営業利益892百万円(同7.8%減)、経常利益868百万円(同13.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益582百万円(同15.2%減)となった。期初に設定した第2四半期計画に対しては、売上高6.7%減、営業利益3.1%減、経常利益3.0%減、親会社株主に帰属する四半期純利益4.5%減となり、売上高・各利益ともに進捗は計画を下回った。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う行動制限の緩和・解除により、旅行・飲食など余暇時間の利用や消費行動の選択肢が広がり、客足の鈍った流通各社が在庫調整に動いたため、国内拠点卸売事業及び小売事業は減収、減益となった。一方、アジア拠点卸売事業は、インドネシアでの販売網の整備による商品供給の拡大とブランドの認知が進み、大幅な増収、増益となった。
2. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、売上高13,894百万円(前期比4.7%減)、営業利益1,697百万円(同17.5%減)、経常利益1,729百万円(同18.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,151百万円(同19.7%減)を見込んでいる。昨年来、半導体不足による欠品や価格改定前の駆け込み需要対策として、流通各社は予備在庫を積み上げていたため、現在その調整圧力が強く、同社への発注の動きは鈍い状態だ。また、円安によるコスト上昇も懸念されるため、期初には前期比で増収、増益を予想していたものの、2023年8月に減収減益に下方修正した。期初予想に対しては、売上高で6.7%減、営業利益で3.1%減、経常利益で3.0%減、親会社株主に帰属する四半期純利益で4.6%減となった。流通各社による在庫調整は第3四半期まで続く見通しであるが、EC販売は堅調に推移しており、コロナ禍で増加したユーザーに支持される新商品やリニューアル品を提供することで、シェアの伸長を目指す。一方、インドネシアにおける売上高は10億円以上が見込まれ、今後はアジア周辺国への事業展開も視野に入れる方針である。
3. 中期経営計画
同社は2022年4月に創立50周年を迎えたことを踏まえ、3ヶ年(2023年12月期~2025年12月期)の中期経営計画を策定した。市場の変化に柔軟に対応できる「ファブレス型」メーカーの特徴を最大限活用し、既存の二輪事業で勝ち残り、事業の多角化や新事業へのチャレンジを継続することで、次の50年も発展し続ける企業を目指している。数値目標としては、2025年12月期連結売上高17,500百万円(単体売上高10,800百万円)、経常利益2,500百万円を掲げた。経営方針としては、同社が属する二輪車関連市場の成熟化や衰退といった将来の経営リスクを考慮し、新規事業へのチャレンジ・事業化として新領域での事業展開やM&Aを推進する。二輪車アフターパーツ販売を除く事業領域において、売上構成比25%以上を確保し、2025年12月期には売上高1,300百万円以上の達成を目指す。また、国内市場での商品力・ブランド力を強化し、ユーザー支持率No.1ブランドとしての地位を確立するほか、インドネシアを中心とする海外市場への展開を進め、世界のバイクライダーに認知・支持されるブランド・グループを目指す。さらに、共感・相互成長が期待できる、同業のみならず異業種企業とのグループ化や資本業務提携等により、特に「趣味」の領域でシナジー効果を発揮し、連結売上高200億円以上を現実的に達成できる状態を目指す。
4. SDGsへの取り組み
同社はSDGs(持続可能な開発目標)に対しても積極的に取り組んでおり、化石燃料に代わる、または化石燃料使用量を減らすことにより環境への貢献ができる代替エネルギーの研究と、それを実用化するための商品開発を行っている。一例を挙げると、再生可能エネルギー事業の一環として自社太陽光発電設備で発電した電力を活用し、同社及びグループ企業で使用する電力を2021年度内に100%再生可能エネルギーで賄う取り組みを実行した。2032年にFIT(再生可能エネルギーの普及を目的とした固定価格買取制度)が終了する同社本社の太陽光発電設備を継続運用することにより、「本社電力オフグリッド」を目指す。このほか、2021年11月には気候変動テックで脱炭素社会に貢献するアスエネ(株)と連携し、2022年6月に同社グループの全使用電力の脱炭素化を実現した。
■Key Points
・二輪事業を基幹に、電動乗物事業やエネルギー事業などの新規領域に事業拡大
・2023年12月期第2四半期は客足の鈍った流通各社の在庫調整により国内は減収、減益
・インドネシアの販売網の整備が進み、アジアは大幅な増収、増益。アジア周辺国への展開も視野に入る
・2023年12月期は期初計画を下方修正もインドネシア好調で保守的な計画
・2025年12月期連結売上高17,500百万円、経常利益2,500百万円を計画
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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デイトナ<7228>は、二輪車部品・用品を中心に企画・開発及び卸販売、並びに小売販売を行うメーカーである。世界にバイクカスタマイズの楽しさを発信すると同時に、世界から吸収した新しい世界観を日本のライダーに提案し、バイク文化創造へチャレンジを続けているクリエイティブな企業である。独自の企画力、開発力を発揮し、世界のバイクライダーのニーズに対応する商品・サービスを提供することで、世界で最も支持されるブランドを目指している。
1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
2023年12月期第2四半期の連結業績は、売上高6,745百万円(前年同期比3.2%減)、営業利益892百万円(同7.8%減)、経常利益868百万円(同13.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益582百万円(同15.2%減)となった。期初に設定した第2四半期計画に対しては、売上高6.7%減、営業利益3.1%減、経常利益3.0%減、親会社株主に帰属する四半期純利益4.5%減となり、売上高・各利益ともに進捗は計画を下回った。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴う行動制限の緩和・解除により、旅行・飲食など余暇時間の利用や消費行動の選択肢が広がり、客足の鈍った流通各社が在庫調整に動いたため、国内拠点卸売事業及び小売事業は減収、減益となった。一方、アジア拠点卸売事業は、インドネシアでの販売網の整備による商品供給の拡大とブランドの認知が進み、大幅な増収、増益となった。
2. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、売上高13,894百万円(前期比4.7%減)、営業利益1,697百万円(同17.5%減)、経常利益1,729百万円(同18.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,151百万円(同19.7%減)を見込んでいる。昨年来、半導体不足による欠品や価格改定前の駆け込み需要対策として、流通各社は予備在庫を積み上げていたため、現在その調整圧力が強く、同社への発注の動きは鈍い状態だ。また、円安によるコスト上昇も懸念されるため、期初には前期比で増収、増益を予想していたものの、2023年8月に減収減益に下方修正した。期初予想に対しては、売上高で6.7%減、営業利益で3.1%減、経常利益で3.0%減、親会社株主に帰属する四半期純利益で4.6%減となった。流通各社による在庫調整は第3四半期まで続く見通しであるが、EC販売は堅調に推移しており、コロナ禍で増加したユーザーに支持される新商品やリニューアル品を提供することで、シェアの伸長を目指す。一方、インドネシアにおける売上高は10億円以上が見込まれ、今後はアジア周辺国への事業展開も視野に入れる方針である。
3. 中期経営計画
同社は2022年4月に創立50周年を迎えたことを踏まえ、3ヶ年(2023年12月期~2025年12月期)の中期経営計画を策定した。市場の変化に柔軟に対応できる「ファブレス型」メーカーの特徴を最大限活用し、既存の二輪事業で勝ち残り、事業の多角化や新事業へのチャレンジを継続することで、次の50年も発展し続ける企業を目指している。数値目標としては、2025年12月期連結売上高17,500百万円(単体売上高10,800百万円)、経常利益2,500百万円を掲げた。経営方針としては、同社が属する二輪車関連市場の成熟化や衰退といった将来の経営リスクを考慮し、新規事業へのチャレンジ・事業化として新領域での事業展開やM&Aを推進する。二輪車アフターパーツ販売を除く事業領域において、売上構成比25%以上を確保し、2025年12月期には売上高1,300百万円以上の達成を目指す。また、国内市場での商品力・ブランド力を強化し、ユーザー支持率No.1ブランドとしての地位を確立するほか、インドネシアを中心とする海外市場への展開を進め、世界のバイクライダーに認知・支持されるブランド・グループを目指す。さらに、共感・相互成長が期待できる、同業のみならず異業種企業とのグループ化や資本業務提携等により、特に「趣味」の領域でシナジー効果を発揮し、連結売上高200億円以上を現実的に達成できる状態を目指す。
4. SDGsへの取り組み
同社はSDGs(持続可能な開発目標)に対しても積極的に取り組んでおり、化石燃料に代わる、または化石燃料使用量を減らすことにより環境への貢献ができる代替エネルギーの研究と、それを実用化するための商品開発を行っている。一例を挙げると、再生可能エネルギー事業の一環として自社太陽光発電設備で発電した電力を活用し、同社及びグループ企業で使用する電力を2021年度内に100%再生可能エネルギーで賄う取り組みを実行した。2032年にFIT(再生可能エネルギーの普及を目的とした固定価格買取制度)が終了する同社本社の太陽光発電設備を継続運用することにより、「本社電力オフグリッド」を目指す。このほか、2021年11月には気候変動テックで脱炭素社会に貢献するアスエネ(株)と連携し、2022年6月に同社グループの全使用電力の脱炭素化を実現した。
■Key Points
・二輪事業を基幹に、電動乗物事業やエネルギー事業などの新規領域に事業拡大
・2023年12月期第2四半期は客足の鈍った流通各社の在庫調整により国内は減収、減益
・インドネシアの販売網の整備が進み、アジアは大幅な増収、増益。アジア周辺国への展開も視野に入る
・2023年12月期は期初計画を下方修正もインドネシア好調で保守的な計画
・2025年12月期連結売上高17,500百万円、経常利益2,500百万円を計画
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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