*15:46JST アーバネット Research Memo(6):2023年6月期は好調な販売環境を背景として、計画を上回る増収増益を実現
■業績動向
2. 2023年6月期の業績概要
アーバネットコーポレーション<3242>の2023年6月期の業績は、売上高が前期比3.4%増の20,264百万円、営業利益が同9.3%増の2,429百万円、経常利益が同7.8%増の2,139百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.1%増の1,447百万円と計画を上回る増収増益を実現した。
主力の「不動産事業」における1) 不動産開発販売が大きく伸長した。投資用ワンルームマンションの販売戸数が11棟584戸(前期は11棟658戸)とほぼ計画どおりに着地したことに加え、その一部に都心優良物件が含まれていたことや、適切なタイミングと価格による販売戦略が奏功したことで売上高全体を押し上げた。引き続き内外投資家等による都心の投資用物件に対する需要は根強く、販売した11棟のうち5棟はファンドへの1棟一括直接販売となったようだ。一方、2) 不動産仕入販売については、中古分譲マンションの買取再販1戸(前期は6戸)にとどまったほか、3) その他(不動産仲介及び不動産賃貸業等)は若干減収となったものの、賃貸収益物件の安定稼働により底堅く推移した。
「ホテル事業」については、国内旅行需要の回復やインバウンドの増加等により、客室単価・稼働率とも安定的に推移し大幅な増収を確保した。損益分岐点を上回る水準に至らなかったものの、足元では単月黒字化を実現しており、通期での黒字化も視野に入ってきた。
利益面では、原価率が80.1%(前期は81.9%)に改善した。建設資材や工事関連人件費の増加など工事原価の高止まりが続いたものの、ゼネコン各社と協力しながらその抑制に努めるともに、利益率の高いプロジェクトが原価改善に寄与した。また、販管費も人的資本投資(人件費や研修費等)などにより若干増加したものの、売上総利益の伸びでカバーしたことで大幅な営業増益を実現し、営業利益率も12.0%(前期は11.3%)に改善した。
財政状態については、内部留保の積み増しにより自己資本は前期末比5.9%増の13,551百万円となった一方、積極的な用地購入に伴う棚卸資産(仕掛販売用不動産)の増加により、総資産は同16.1%増の44,237百万円となり、自己資本比率は30.6%(前期末は33.6%)に若干低下した。有利子負債も長期借入金を中心に同25.3%増の26,235百万円になったものの、支払能力を示す流動比率は361.5%と高い水準を確保しており、財務の安全性に懸念はない。
キャッシュ・フローの状況については、1) 棚卸資産の増加により営業活動によるキャッシュ・フローが大きくマイナスになったほか、2) 投資活動によるキャッシュ・フローについても不動産開発目的のM&Aによりマイナスとなった。一方、3) 財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入金により大きくプラスとなり、その結果、2023年6月期末の現金及び現金同等物は9,131百万円(前期末比645百万円増)となった。
3. パイプラインの状況
今後の成長につながるパイプライン(開発物件)の状況については、積極的な用地仕入れにより、2024年6月期の販売予定分(651戸)に加えて、2025年6月期以降の販売予定分についてもすでに800戸~900戸程度(弊社推定)を確保しているようだ。
4. 2023年6月期の総括
以上から、2023年6月期を総括すると、厳しい収益環境が続くなかでも、計画を上回る増収増益を達成することができたところは評価すべきポイントであり、投資用ワンルームマンションに対する購入意欲の根強さや、同社開発物件の優位性の高さを改めて確認することができたと言える。また、今後に向けた用地仕入れについても、都心好立地における用地取得が困難な状況にあるなかで、独自の用地情報収集や有効活用案件への取り組み等により一定の積み上げを達成した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 2023年6月期の業績概要
アーバネットコーポレーション<3242>の2023年6月期の業績は、売上高が前期比3.4%増の20,264百万円、営業利益が同9.3%増の2,429百万円、経常利益が同7.8%増の2,139百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同10.1%増の1,447百万円と計画を上回る増収増益を実現した。
主力の「不動産事業」における1) 不動産開発販売が大きく伸長した。投資用ワンルームマンションの販売戸数が11棟584戸(前期は11棟658戸)とほぼ計画どおりに着地したことに加え、その一部に都心優良物件が含まれていたことや、適切なタイミングと価格による販売戦略が奏功したことで売上高全体を押し上げた。引き続き内外投資家等による都心の投資用物件に対する需要は根強く、販売した11棟のうち5棟はファンドへの1棟一括直接販売となったようだ。一方、2) 不動産仕入販売については、中古分譲マンションの買取再販1戸(前期は6戸)にとどまったほか、3) その他(不動産仲介及び不動産賃貸業等)は若干減収となったものの、賃貸収益物件の安定稼働により底堅く推移した。
「ホテル事業」については、国内旅行需要の回復やインバウンドの増加等により、客室単価・稼働率とも安定的に推移し大幅な増収を確保した。損益分岐点を上回る水準に至らなかったものの、足元では単月黒字化を実現しており、通期での黒字化も視野に入ってきた。
利益面では、原価率が80.1%(前期は81.9%)に改善した。建設資材や工事関連人件費の増加など工事原価の高止まりが続いたものの、ゼネコン各社と協力しながらその抑制に努めるともに、利益率の高いプロジェクトが原価改善に寄与した。また、販管費も人的資本投資(人件費や研修費等)などにより若干増加したものの、売上総利益の伸びでカバーしたことで大幅な営業増益を実現し、営業利益率も12.0%(前期は11.3%)に改善した。
財政状態については、内部留保の積み増しにより自己資本は前期末比5.9%増の13,551百万円となった一方、積極的な用地購入に伴う棚卸資産(仕掛販売用不動産)の増加により、総資産は同16.1%増の44,237百万円となり、自己資本比率は30.6%(前期末は33.6%)に若干低下した。有利子負債も長期借入金を中心に同25.3%増の26,235百万円になったものの、支払能力を示す流動比率は361.5%と高い水準を確保しており、財務の安全性に懸念はない。
キャッシュ・フローの状況については、1) 棚卸資産の増加により営業活動によるキャッシュ・フローが大きくマイナスになったほか、2) 投資活動によるキャッシュ・フローについても不動産開発目的のM&Aによりマイナスとなった。一方、3) 財務活動によるキャッシュ・フローは長期借入金により大きくプラスとなり、その結果、2023年6月期末の現金及び現金同等物は9,131百万円(前期末比645百万円増)となった。
3. パイプラインの状況
今後の成長につながるパイプライン(開発物件)の状況については、積極的な用地仕入れにより、2024年6月期の販売予定分(651戸)に加えて、2025年6月期以降の販売予定分についてもすでに800戸~900戸程度(弊社推定)を確保しているようだ。
4. 2023年6月期の総括
以上から、2023年6月期を総括すると、厳しい収益環境が続くなかでも、計画を上回る増収増益を達成することができたところは評価すべきポイントであり、投資用ワンルームマンションに対する購入意欲の根強さや、同社開発物件の優位性の高さを改めて確認することができたと言える。また、今後に向けた用地仕入れについても、都心好立地における用地取得が困難な状況にあるなかで、独自の用地情報収集や有効活用案件への取り組み等により一定の積み上げを達成した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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