「逃げ足は速く」を心掛けながら…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2023/08/08 11:11

◆ 一転して“巻き戻し”先行… - 本日に入って“143円台”へ


週明けとなった昨日は、米雇用統計後で発生した動きに対して“巻き戻し”が目立ちました。

キッカケは下落していた日経平均がプラス圏で引けたことを背景に、「リスクセンチメントの改善」が目立ったからでした。
ただ短期金融市場における「米年内利上げ確率:約30%」で概ね維持されたことも、影響したと見られるところです。
この影響から低下していた米10年債利回りは上昇に転じ、つれてドル円も“142円半ば”へと押し戻されていきました。

ただその後は『2024年序盤の利下げはあり得る(ウィリアムズNY連銀総裁)』発言にて値を落とし、しかし『追加利上げが必要となる可能性(ボウマンFRB理事)』発言にて押し戻されるという乱高下を演じました。
それでも基本的には“巻き戻し”が優勢となる中、そのままの水準にて昨日の取引を終えると、本日に入ってから“143円台”へと駆け上がるに至っています。

◆ 「利下げ後のドル売り」を織り込むには、やはり時期尚早…!


前記したように、昨日は「米金融政策を巡る思惑」が割れましたが、それでも「利上げ停止後はしばらくターミナル・レートで据え置く」との方針をFRBは打ち出しているのが実状です。
つまり「利上げ停止時期」も定かではない中で、「利下げ後のドル売り」を織り込みにかかるというのは、やはり時期尚早といわざるを得ないところです。

◆ いわゆる「真空地帯」の中、どこまで…?


“143円台”には主だった上値メドが存在しない「真空地帯」に当たりますので、テクニカル的には“8/3高値(143.894円)”まで上値を伸ばしてもおかしくないことになります。
ただ現在の動きは“日足・一目均衡表先行スパン上限(142.541円)”を突破したことによる“ストップロス”の可能性が高く、そうなると“一巡すれば反落”といった可能性もゼロではないことに…?

“もう一段のドル買い(戻し)”は入ってしかるべしとは考えますが、「逃げ足は速く」を心掛けておきたいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しています。

144.195(7/7高値)
144.095(+2σ)
144.000(大台)
143.894(8/3高値、ピボットハイブレイクアウト)
143.332(8/3~8/7の76.4%戻し)
上値5:143.252(ピボット2ndレジスタンス)
上値4:142.984(8/3~8/7の61.8%戻し、大台)
上値3:142.877(8/4高値、ピボット1stレジスタンス)
上値2:142.704(8/3~8/7の50%戻し)
上値1:142.574(8/7高値、日足・一目均衡表先行スパン上限)
前営業日終値:142.486(+1σ)
下値1:142.000(大台)
下値2:141.808(ピボット1stサポート)
下値3:141.513(8/7安値)
下値4:141.380(50日移動平均線)
下値5:141.155(週足・一目均衡表転換線、ピボット2ndサポート)
140.981(7/28~8/3の50%押し、日足・一目均衡表基準線/転換線、大台)
140.806(20日移動平均線)
140.683(7/31安値、ピボットローブレイクアウト)
140.293(7/28~8/3の61.8%押し)

《10:50》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想