*14:15JST ナガイレーベ Research Memo(5):2023年8月期第3四半期は営業減益も、売上総利益率は予想を上回って進捗
■業績動向
1. 2023年8月期第3四半期の連結業績概要
ナガイレーベン<7447>の2023年8月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比3.2%減の13,187百万円、営業利益が同10.2%減の3,540百万円、経常利益が同10.4%減の3,598百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同17.4%減の2,480百万円となった。
原材料や加工賃の上昇に伴い、2023年2月から製品の価格改定を進めてきたが、一部でこの交渉が難航したことなどから期ずれ案件が発生した。これにより、数量ベースの売上高は予想を下回り、結果として前年同期比で減収となった。一方で売上総利益率は、円安に対する先物予約の効果や海外物流費が一時期よりも落ち着いてきたこと、2023年2月からの価格改定効果が出始めたこと、比較的高採算の製品の比率が高まったことなどから、43.8%となった。販管費は、コロナ禍からの回復により営業活動が活発化したことなどから広告宣伝費や旅費交通費が増加し、同4.2%増となったが、予算の範囲内であった。この結果、営業利益は同10.2%減となったが、ほぼ計画線であったようだ。
市場環境としては、新型コロナウイルス感染症の分類が2023年5月から5類へ変更されたこともあり、混乱状態からは脱却し安定期に入りつつあると言える。しかしインフレによる医療機関の経営圧迫が懸念されているが、この影響が第3四半期の売上低迷(期ずれ案件発生)に影響した可能性も否定はできない。また、2022年4月からの診療報酬改定によって診療報酬が+0.43%、薬価等が-1.37%となったほか、看護職員・介護職員の処遇改善により平均賃金が引き上げられた(2022年2月から+1.0%、10月から+3%)が、同社製品への発注には現時点では大きな影響は出ていないようだ。
(1) アイテム別、市場別売上高
コア市場では前年同期に大型更新物件を受注したことの反動もあり、第3四半期累計の売上高は前年同期比4.1%減の9,759百万円となった。アイテム別では、ヘルスケアウェアが同3.0%減の7,355百万円、ドクターウェアが同3.7%減の1,987百万円、ユーティリティウェア・他が同21.4%減の415百万円となった。
注力している周辺市場では、第1四半期はリネンサプライヤーの新規資材購入の一時的な投資抑制の影響を受けたが、第2四半期に入ってからは回復傾向となり、第3四半期累計の売上高は前年同期比0.5%増の3,286百万円となった。アイテム別では、患者ウェアが同2.3%増の2,103百万円、手術ウェアが同2.6%減の1,183百万円となった。海外市場の売上高は同17.0%減の141百万円となった。
財務内容は堅固、手元の現金及び預金は264億円と高水準。自己資本比率は90.9%
2. 財務状況
財務状況は引き続き安定している。2023年8月期第3四半期末の資産合計は47,083百万円となり、前期末比264百万円減少した。流動資産は38,669百万円となり同233百万円減少したが、主な要因は現金及び預金の減少2,105百万円、電子記録債権を含む受取手形及び売掛金の増加1,045百万円、棚卸資産の増加800百万円などによる。棚卸資産が増加したのは既述のように一部で期ずれ案件が発生したためであり、特に懸念される内容ではない。一方で、固定資産は8,414百万円となり同31百万円減少したが、主な要因は減価償却による有形固定資産の減少116百万円、投資その他の資産の増加83百万円などによる。
負債合計は4,293百万円となり前期末比799百万円減少した。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加191百万円、未払法人税等の減少470百万円などによる。純資産合計は42,789百万円となり同534百万円増加したが、主な要因は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加545百万円などによる。この結果、2023年8月期第3四半期末の自己資本比率は90.9%(前期末は89.2%)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2023年8月期第3四半期の連結業績概要
ナガイレーベン<7447>の2023年8月期第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比3.2%減の13,187百万円、営業利益が同10.2%減の3,540百万円、経常利益が同10.4%減の3,598百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同17.4%減の2,480百万円となった。
原材料や加工賃の上昇に伴い、2023年2月から製品の価格改定を進めてきたが、一部でこの交渉が難航したことなどから期ずれ案件が発生した。これにより、数量ベースの売上高は予想を下回り、結果として前年同期比で減収となった。一方で売上総利益率は、円安に対する先物予約の効果や海外物流費が一時期よりも落ち着いてきたこと、2023年2月からの価格改定効果が出始めたこと、比較的高採算の製品の比率が高まったことなどから、43.8%となった。販管費は、コロナ禍からの回復により営業活動が活発化したことなどから広告宣伝費や旅費交通費が増加し、同4.2%増となったが、予算の範囲内であった。この結果、営業利益は同10.2%減となったが、ほぼ計画線であったようだ。
市場環境としては、新型コロナウイルス感染症の分類が2023年5月から5類へ変更されたこともあり、混乱状態からは脱却し安定期に入りつつあると言える。しかしインフレによる医療機関の経営圧迫が懸念されているが、この影響が第3四半期の売上低迷(期ずれ案件発生)に影響した可能性も否定はできない。また、2022年4月からの診療報酬改定によって診療報酬が+0.43%、薬価等が-1.37%となったほか、看護職員・介護職員の処遇改善により平均賃金が引き上げられた(2022年2月から+1.0%、10月から+3%)が、同社製品への発注には現時点では大きな影響は出ていないようだ。
(1) アイテム別、市場別売上高
コア市場では前年同期に大型更新物件を受注したことの反動もあり、第3四半期累計の売上高は前年同期比4.1%減の9,759百万円となった。アイテム別では、ヘルスケアウェアが同3.0%減の7,355百万円、ドクターウェアが同3.7%減の1,987百万円、ユーティリティウェア・他が同21.4%減の415百万円となった。
注力している周辺市場では、第1四半期はリネンサプライヤーの新規資材購入の一時的な投資抑制の影響を受けたが、第2四半期に入ってからは回復傾向となり、第3四半期累計の売上高は前年同期比0.5%増の3,286百万円となった。アイテム別では、患者ウェアが同2.3%増の2,103百万円、手術ウェアが同2.6%減の1,183百万円となった。海外市場の売上高は同17.0%減の141百万円となった。
財務内容は堅固、手元の現金及び預金は264億円と高水準。自己資本比率は90.9%
2. 財務状況
財務状況は引き続き安定している。2023年8月期第3四半期末の資産合計は47,083百万円となり、前期末比264百万円減少した。流動資産は38,669百万円となり同233百万円減少したが、主な要因は現金及び預金の減少2,105百万円、電子記録債権を含む受取手形及び売掛金の増加1,045百万円、棚卸資産の増加800百万円などによる。棚卸資産が増加したのは既述のように一部で期ずれ案件が発生したためであり、特に懸念される内容ではない。一方で、固定資産は8,414百万円となり同31百万円減少したが、主な要因は減価償却による有形固定資産の減少116百万円、投資その他の資産の増加83百万円などによる。
負債合計は4,293百万円となり前期末比799百万円減少した。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加191百万円、未払法人税等の減少470百万円などによる。純資産合計は42,789百万円となり同534百万円増加したが、主な要因は親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加545百万円などによる。この結果、2023年8月期第3四半期末の自己資本比率は90.9%(前期末は89.2%)となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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