*13:01JST SBテク Research Memo(1):2023年3月期は売上高・営業利益・経常利益が過去最高を更新
■要約
SBテクノロジー<4726>は、ソフトバンク<9434>グループのICT事業中核会社である。「情報革命で人々を幸せに ~技術の力で、未来をつくる~」を理念として掲げ、国内企業と官公庁向けにクラウド・セキュリティの環境構築・システム開発及び運用サービスを中心に事業を展開している。
1. 2023年3月期の連結業績の概況
2023年3月期の連結業績は、売上高が67,227百万円(前期比1.6%増)、営業利益5,557百万円(同7.8%増)、経常利益5,499百万円(同7.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,497百万円(同3.7%減)、EBITDA7,217百万円(前期比7.7%増)だった。売上高・営業利益・経常利益ならびにEBITDAが過去最高を更新した。親会社株主に帰属する当期純利益についても、前期の特別利益に計上した投資有価証券売却益の影響(約6億円)を控除すれば、実質的に前期を上回る着地だった。公共とエンタープライズ向け案件が増加し、増収をけん引したほか、エンタープライズや通信で利益率が改善し、営業利益率は0.5ポイント上昇し8.3%となった。前期末及び当期に発生した自治体情報セキュリティクラウドにかかるインシデントについては、再発防止策も含めてすべての対応を期末までに終了。翌期以降に影響があると想定される引当金も期末に積み増し、引当内での収束を見込んでいる。また、中央省庁の大型運用案件を複数年分受注したことから、過去最高の受注高・受注残高となった。
2. 2024年3月期連結業績予想
2023年7月19日に連結子会社であるフォントワークス株式会社(以下「フォントワークス」)の株式譲渡とそれに伴う2024年3月期の業績予測修正を発表した。2024年3月期は、売上高68,000百万円(前期比1.1%増)、営業利益5,900百万円(同6.2%増)、経常利益5,750百万円(同4.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,200百万円(同134.5%増)を計画している。セキュリティやクラウドの需要が根強いエンタープライズは5,042百万円の増収、公共は777百万円の増収を見込んでいる。一方、通信が前期に続いて3,275百万円減収し、個人はNortonLifeLockの契約変更の影響やフォントワークスが株式譲渡に伴い第3四半期以降連結対象から外れることによる1,770百万円の減収を見込んでおり、全体では773百万円の増収を予想している。営業利益は、利益率の高いフォントワークスが連結対象外となるものの自社サービスの伸長や品質・生産性の向上により、営業利益率8.7%と前期より0.4ポイントの改善を見込んでいる。また、親会社株主に帰属する当期純利益はフォントワークスの株式譲渡影響により大幅な増益となる。
3. 第4次中期経営計画の進捗状況
第4次中期経営計画の経営指標では、2025年3月期の営業利益を80億円、営業利益率を9%台としていたが、営業利益率は現在の8.3%から、9%台まで引き上げる計画は変わらず、フォントワークスが連結対象から外れることにより営業利益のみ71億円へと変更した。そのうえで、カギとなるクラウド・セキュリティ&サービスの売上高目標を500億円超としている。企業のクラウドの利活用促進や、事業変革に向けたDX推進の動きは活発であり、エンタープライズ向けのクラウド・セキュリティの運用・サービスは順調に推移している。また、ソフトバンクのベンダーマネジメント案件を減少させることで、リソースをソフトバンクグループ各社のクラウド・セキュリティの運用・サービスに振り向けることもできるようになるなど、高付加価値な事業へ注力していく構造転換が着実に進展し、利益率も向上してきている。また、農林水産省から受注していた共通申請サービスシステム、デジタル地図システムも運用フェーズに入り、新たに複数年の受注を受けるとともに、同様のシステム基盤や培った知見を他省庁や自治体などに効率的に横展開していく展望も見えてきている。2024年3月期の59億円の営業利益目標を達成できれば、その先の71億円も見通せる事業基盤の構築が進んでいると弊社では考えている。
■Key Points
・2023年3月期は増収増益、売上高及び営業利益、経常利益は過去最高を更新
・業績と外部環境・他社との比較がわかりやすくなるように開示方針を変更
・農林水産省向け案件獲得や自治体向けクラウド運用で、過去最高の受注高・受注残高
・セキュリティ対策や監視運用、製造業向けシステム開発が堅調
・2024年3月期にはフォントワークスの株式譲渡により特別利益を計上予定
・クラウド・セキュリティ&サービス売上高500億円超を目指す
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<AS>
SBテクノロジー<4726>は、ソフトバンク<9434>グループのICT事業中核会社である。「情報革命で人々を幸せに ~技術の力で、未来をつくる~」を理念として掲げ、国内企業と官公庁向けにクラウド・セキュリティの環境構築・システム開発及び運用サービスを中心に事業を展開している。
1. 2023年3月期の連結業績の概況
2023年3月期の連結業績は、売上高が67,227百万円(前期比1.6%増)、営業利益5,557百万円(同7.8%増)、経常利益5,499百万円(同7.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,497百万円(同3.7%減)、EBITDA7,217百万円(前期比7.7%増)だった。売上高・営業利益・経常利益ならびにEBITDAが過去最高を更新した。親会社株主に帰属する当期純利益についても、前期の特別利益に計上した投資有価証券売却益の影響(約6億円)を控除すれば、実質的に前期を上回る着地だった。公共とエンタープライズ向け案件が増加し、増収をけん引したほか、エンタープライズや通信で利益率が改善し、営業利益率は0.5ポイント上昇し8.3%となった。前期末及び当期に発生した自治体情報セキュリティクラウドにかかるインシデントについては、再発防止策も含めてすべての対応を期末までに終了。翌期以降に影響があると想定される引当金も期末に積み増し、引当内での収束を見込んでいる。また、中央省庁の大型運用案件を複数年分受注したことから、過去最高の受注高・受注残高となった。
2. 2024年3月期連結業績予想
2023年7月19日に連結子会社であるフォントワークス株式会社(以下「フォントワークス」)の株式譲渡とそれに伴う2024年3月期の業績予測修正を発表した。2024年3月期は、売上高68,000百万円(前期比1.1%増)、営業利益5,900百万円(同6.2%増)、経常利益5,750百万円(同4.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,200百万円(同134.5%増)を計画している。セキュリティやクラウドの需要が根強いエンタープライズは5,042百万円の増収、公共は777百万円の増収を見込んでいる。一方、通信が前期に続いて3,275百万円減収し、個人はNortonLifeLockの契約変更の影響やフォントワークスが株式譲渡に伴い第3四半期以降連結対象から外れることによる1,770百万円の減収を見込んでおり、全体では773百万円の増収を予想している。営業利益は、利益率の高いフォントワークスが連結対象外となるものの自社サービスの伸長や品質・生産性の向上により、営業利益率8.7%と前期より0.4ポイントの改善を見込んでいる。また、親会社株主に帰属する当期純利益はフォントワークスの株式譲渡影響により大幅な増益となる。
3. 第4次中期経営計画の進捗状況
第4次中期経営計画の経営指標では、2025年3月期の営業利益を80億円、営業利益率を9%台としていたが、営業利益率は現在の8.3%から、9%台まで引き上げる計画は変わらず、フォントワークスが連結対象から外れることにより営業利益のみ71億円へと変更した。そのうえで、カギとなるクラウド・セキュリティ&サービスの売上高目標を500億円超としている。企業のクラウドの利活用促進や、事業変革に向けたDX推進の動きは活発であり、エンタープライズ向けのクラウド・セキュリティの運用・サービスは順調に推移している。また、ソフトバンクのベンダーマネジメント案件を減少させることで、リソースをソフトバンクグループ各社のクラウド・セキュリティの運用・サービスに振り向けることもできるようになるなど、高付加価値な事業へ注力していく構造転換が着実に進展し、利益率も向上してきている。また、農林水産省から受注していた共通申請サービスシステム、デジタル地図システムも運用フェーズに入り、新たに複数年の受注を受けるとともに、同様のシステム基盤や培った知見を他省庁や自治体などに効率的に横展開していく展望も見えてきている。2024年3月期の59億円の営業利益目標を達成できれば、その先の71億円も見通せる事業基盤の構築が進んでいると弊社では考えている。
■Key Points
・2023年3月期は増収増益、売上高及び営業利益、経常利益は過去最高を更新
・業績と外部環境・他社との比較がわかりやすくなるように開示方針を変更
・農林水産省向け案件獲得や自治体向けクラウド運用で、過去最高の受注高・受注残高
・セキュリティ対策や監視運用、製造業向けシステム開発が堅調
・2024年3月期にはフォントワークスの株式譲渡により特別利益を計上予定
・クラウド・セキュリティ&サービス売上高500億円超を目指す
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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