*14:41JST ランドコンピュ Research Memo(1):人的資本への戦略投資が収益構造を改善
■要約
ランドコンピュータ<3924>は、2021年1月に創立50周年を迎えた独立系中堅システムインテグレータである。安定事業基盤のシステムインテグレーション・サービスとインフラソリューション・サービスに加え、成長分野と位置付けるパッケージベースSI・サービスが積極的なM&Aにより急拡大している。
1. 業績動向 - 2024年3月期は3期連続の最高益更新を予想
2023年3月期は連結売上高が前期比20.7%増の11,578百万円、営業利益が同40.2%増の1,222百万円となり、売上高営業利益率は念願の10%超を実現した。パッケージベースSI・サービスが成長を牽引しており、過去2期に連続して企業買収したこともあり、同サービスの売上高は3期前比約2.4倍となり、売上高構成比が18.0%から33.5%に上昇した。M&Aは、単に規模の拡大を狙うのではなく、買収先の機能を活かしてグループ内で相乗効果を発揮するよう経営戦略を採っている。2024年3月期の連結業績は、売上高及び営業利益が3期連続して過去最高を更新すると予想されている。
2. 人的資本への戦略投資
ITサービス会社にとってエンジニアが経営資源の中核となるため、人的資本への戦略的投資が成長や持続的な企業価値向上を推進する。デジタル技術を活用したビジネスプロセスやビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)やクラウドサービスの利活用を第一義とするクラウドファーストの投資需要が旺盛だ。同社の最大顧客である富士通<6702>は、パートナー企業の中からDX人財の育成に積極的に取り組む同社を評価して2021年度の「Top Technology Company賞」の第1位に選んだ。同社は、変化を先取りした社員教育に注力しており、DXビジネス推進のためアジャイル開発の自社標準の確立に注力し、ローコード開発に関連する資格取得者数を2022年度末の16名から2023年度末までに50名へ増やす計画でいる。また、会計パッケージの開発元であるスーパーストリーム(株)より、2022年度の「Cloud Business Award」を受賞した。改正した電子帳簿保存法の2年間の宥恕期間が終了し、2024年1月より電子取引に関する紙の出力保存が禁止され、データ保存が義務化される。また、2023年10月にインボイス制度の導入が始まる。前期は仕込み時期であったが、今期は収穫時期となろう。
M&Aでは専業である買収した子会社が開発した教育ツールを利用し、同社の技術者がより上位の資格認定を得た。戦略的投資と社内教育による従業員の技能向上が対価(単金)の上昇と付加価値の増加という結果をもたらした。それが社員の報酬として還元され、学習意欲の高まりが社内に波及している。
3. 配当政策
同社は株主還元策を強化してきた。2021年11月に配当性向の基準を30%以上から40%以上に引き上げ、同年10月1日付で1:1.5の株式分割を実施した。持続的な増益傾向を反映して、1株当たり配当金は2021年3月期の16.6円(株式分割調整後)と比べ、2023年3月期は35円と倍以上になった。2024年3月期は、年間配当金を40円(中間20円、期末20円)とし、配当性向40.3%を計画している。ITサービス業界に見られるアセットライト経営により、無借金の堅固な財務体質、高収益による15%超のROE、DXやクラウドファーストなどの成長機会を取り込む成長戦略を採っているうえ、増配により予想配当利回りは未だ高水準にある。
■Key Points
・2024年3月期は最高益更新を予想
・人的資本への戦略的投資が持続的企業価値向上を生む
・2024年3月期の1株当たり配当金は年40円と増配を計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<YI>
ランドコンピュータ<3924>は、2021年1月に創立50周年を迎えた独立系中堅システムインテグレータである。安定事業基盤のシステムインテグレーション・サービスとインフラソリューション・サービスに加え、成長分野と位置付けるパッケージベースSI・サービスが積極的なM&Aにより急拡大している。
1. 業績動向 - 2024年3月期は3期連続の最高益更新を予想
2023年3月期は連結売上高が前期比20.7%増の11,578百万円、営業利益が同40.2%増の1,222百万円となり、売上高営業利益率は念願の10%超を実現した。パッケージベースSI・サービスが成長を牽引しており、過去2期に連続して企業買収したこともあり、同サービスの売上高は3期前比約2.4倍となり、売上高構成比が18.0%から33.5%に上昇した。M&Aは、単に規模の拡大を狙うのではなく、買収先の機能を活かしてグループ内で相乗効果を発揮するよう経営戦略を採っている。2024年3月期の連結業績は、売上高及び営業利益が3期連続して過去最高を更新すると予想されている。
2. 人的資本への戦略投資
ITサービス会社にとってエンジニアが経営資源の中核となるため、人的資本への戦略的投資が成長や持続的な企業価値向上を推進する。デジタル技術を活用したビジネスプロセスやビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)やクラウドサービスの利活用を第一義とするクラウドファーストの投資需要が旺盛だ。同社の最大顧客である富士通<6702>は、パートナー企業の中からDX人財の育成に積極的に取り組む同社を評価して2021年度の「Top Technology Company賞」の第1位に選んだ。同社は、変化を先取りした社員教育に注力しており、DXビジネス推進のためアジャイル開発の自社標準の確立に注力し、ローコード開発に関連する資格取得者数を2022年度末の16名から2023年度末までに50名へ増やす計画でいる。また、会計パッケージの開発元であるスーパーストリーム(株)より、2022年度の「Cloud Business Award」を受賞した。改正した電子帳簿保存法の2年間の宥恕期間が終了し、2024年1月より電子取引に関する紙の出力保存が禁止され、データ保存が義務化される。また、2023年10月にインボイス制度の導入が始まる。前期は仕込み時期であったが、今期は収穫時期となろう。
M&Aでは専業である買収した子会社が開発した教育ツールを利用し、同社の技術者がより上位の資格認定を得た。戦略的投資と社内教育による従業員の技能向上が対価(単金)の上昇と付加価値の増加という結果をもたらした。それが社員の報酬として還元され、学習意欲の高まりが社内に波及している。
3. 配当政策
同社は株主還元策を強化してきた。2021年11月に配当性向の基準を30%以上から40%以上に引き上げ、同年10月1日付で1:1.5の株式分割を実施した。持続的な増益傾向を反映して、1株当たり配当金は2021年3月期の16.6円(株式分割調整後)と比べ、2023年3月期は35円と倍以上になった。2024年3月期は、年間配当金を40円(中間20円、期末20円)とし、配当性向40.3%を計画している。ITサービス業界に見られるアセットライト経営により、無借金の堅固な財務体質、高収益による15%超のROE、DXやクラウドファーストなどの成長機会を取り込む成長戦略を採っているうえ、増配により予想配当利回りは未だ高水準にある。
■Key Points
・2024年3月期は最高益更新を予想
・人的資本への戦略的投資が持続的企業価値向上を生む
・2024年3月期の1株当たり配当金は年40円と増配を計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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