*12:02JST サイバーコム Research Memo(2):旺盛なIT投資を背景に2023年12月期も過去最高業績を更新する見通し
■要約
サイバーコム<3852>は、富士ソフト<9749>を親会社とするシステム開発会社で、通信分野で培った技術力を基盤としたソフトウェア開発事業を主力に、SI(システムインテグレーション:サーバ/ネットワーク構築、保守・運用、評価検証)サービスや自社プロダクトの販売などサービス事業も展開している。主要顧客はNEC<6701>グループで売上構成比の約3割を占める。2022年4月の東京証券取引所(以下、東証)市場区分見直しにより、スタンダード市場へ移行した。
2. 2022年12月期の業績概要
2022年12月期の業績は、売上高で前期比7.1%増の16,628百万円、営業利益で同10.6%増の1,054百万円といずれも期初計画(売上高16,300百万円、営業利益1,000百万円)を上回り、連続で過去最高を更新した。売上高は主力のソフトウェア開発事業のうち、通信ソフトウェア開発が5G基地局案件の一巡により減収となったものの、制御ソフトウェア開発及び業務ソフトウェア開発が好調に推移した。また、サービス事業もクラウド移行・ネットワーク構築案件、5G基地局検証案件などが好調に推移し増収となった。費用面では、旺盛な受注に対応するため外注費が増加したほか、販売力強化費用や研究開発費用が増加したものの増収効果で吸収し、営業利益率も前期の6.1%から6.3%に上昇した。
3. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の業績は、売上高で前期比5.8%増の17,600百万円、営業利益で同13.8%増の1,200百万円と増収増益が続く見通し。2023年5月に発表した第1四半期業績は、売上高で前年同期比3.1%増の4,284百万円、営業利益で同13.2%増の507百万円と順調な滑り出しとなった。「ビジネス拡大」を基本方針に掲げ、DXへの対応力強化、好調分野への集中投資、高付加価値ビジネスの拡大に取り組んでいく。また、技術者不足解消に向けた新卒及び経験者の採用や、高度最先端技術分野への展開に向けた技術者育成、業務効率の向上などを進め、営業利益率も6.8%まで引き上げていく。売上面では制御ソフトウェア開発及び業務ソフトウェア開発やSIサービスの伸長が見込まれるほか、自社プロダクトについても拡大が期待できる。2022年にリリースした位置情報ソリューション「Cyber Position Navi」シリーズの引き合いが製造業や物流業向けに活発化していることに加えて、テレワーク環境を簡単に実現できる「楽々セキュアコネクト」が(株)東証コンピュータシステムのサービスメニューの1つ(東証コンピュータシステム いつでもテレワークセット)として採用されたことで、導入拡大が期待されるためだ。自社プロダクトの売上はサービス事業の1割程度とまだ小さいものの、利益率が高く収益性向上にもつながるだけに今後の動向が注目される。
4. 中期計画の進捗状況
2023年12月期までの3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」では、成長戦略としてソフトウェア開発事業で「ビジネス拡大」、サービス事業で「高付加価値ビジネスの拡大」をテーマに掲げ、営業の効率化も進めながら持続的な収益成長に取り組んでいる。計画策定時点の2023年12月期業績目標は売上高で16,100百万円、営業利益で970百万円としていたが、DX投資拡大の追い風が吹くなかで毎期、計画を上回る業績を達成し、2023年12月期も当初計画を上方修正する格好となった。また、2023年3月の株主総会で代表取締役社長に富士ソフト出身の新井世東(あらいせと)氏(前 取締役副社長執行役員)が就任し、新たな経営体制に移行した。新井氏は前社長と同様、富士ソフトの事業を長くけん引してきた人物で、アライアンス戦略などで多くの実績を挙げている。基本的な事業戦略は大きく変わらないと見られるが、自社プロダクトを今後どのように育成していくかが注目される。なお、株主還元については、2023年12月期の1株当たり配当金を前期に比べ8.0円増配となる30.0円としている。ここ数年は1~2円のペースで増配を続けてきたが、中期計画最終年度の利益が当初計画を上回る見通しとなったことで、株主への利益還元を充実させることにした。今後も将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、「安定した配当」を継続する方針に変わりなく、収益成長とともに着実な増配を目指していく。
■Key Points
・高い技術開発力と高品質サービスに加えて、幅広い協力企業と良好な関係を構築している点が強み
・良好な受注環境を背景に、2022年12月期業績は連続過去最高を更新
・DXへの対応力強化、好調分野への集中投資、高付加価値ビジネスの拡大により、 2023年12月期も増収増益を目指す
・3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」は順調に進捗、業績は当初目標を上回る見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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サイバーコム<3852>は、富士ソフト<9749>を親会社とするシステム開発会社で、通信分野で培った技術力を基盤としたソフトウェア開発事業を主力に、SI(システムインテグレーション:サーバ/ネットワーク構築、保守・運用、評価検証)サービスや自社プロダクトの販売などサービス事業も展開している。主要顧客はNEC<6701>グループで売上構成比の約3割を占める。2022年4月の東京証券取引所(以下、東証)市場区分見直しにより、スタンダード市場へ移行した。
2. 2022年12月期の業績概要
2022年12月期の業績は、売上高で前期比7.1%増の16,628百万円、営業利益で同10.6%増の1,054百万円といずれも期初計画(売上高16,300百万円、営業利益1,000百万円)を上回り、連続で過去最高を更新した。売上高は主力のソフトウェア開発事業のうち、通信ソフトウェア開発が5G基地局案件の一巡により減収となったものの、制御ソフトウェア開発及び業務ソフトウェア開発が好調に推移した。また、サービス事業もクラウド移行・ネットワーク構築案件、5G基地局検証案件などが好調に推移し増収となった。費用面では、旺盛な受注に対応するため外注費が増加したほか、販売力強化費用や研究開発費用が増加したものの増収効果で吸収し、営業利益率も前期の6.1%から6.3%に上昇した。
3. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の業績は、売上高で前期比5.8%増の17,600百万円、営業利益で同13.8%増の1,200百万円と増収増益が続く見通し。2023年5月に発表した第1四半期業績は、売上高で前年同期比3.1%増の4,284百万円、営業利益で同13.2%増の507百万円と順調な滑り出しとなった。「ビジネス拡大」を基本方針に掲げ、DXへの対応力強化、好調分野への集中投資、高付加価値ビジネスの拡大に取り組んでいく。また、技術者不足解消に向けた新卒及び経験者の採用や、高度最先端技術分野への展開に向けた技術者育成、業務効率の向上などを進め、営業利益率も6.8%まで引き上げていく。売上面では制御ソフトウェア開発及び業務ソフトウェア開発やSIサービスの伸長が見込まれるほか、自社プロダクトについても拡大が期待できる。2022年にリリースした位置情報ソリューション「Cyber Position Navi」シリーズの引き合いが製造業や物流業向けに活発化していることに加えて、テレワーク環境を簡単に実現できる「楽々セキュアコネクト」が(株)東証コンピュータシステムのサービスメニューの1つ(東証コンピュータシステム いつでもテレワークセット)として採用されたことで、導入拡大が期待されるためだ。自社プロダクトの売上はサービス事業の1割程度とまだ小さいものの、利益率が高く収益性向上にもつながるだけに今後の動向が注目される。
4. 中期計画の進捗状況
2023年12月期までの3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」では、成長戦略としてソフトウェア開発事業で「ビジネス拡大」、サービス事業で「高付加価値ビジネスの拡大」をテーマに掲げ、営業の効率化も進めながら持続的な収益成長に取り組んでいる。計画策定時点の2023年12月期業績目標は売上高で16,100百万円、営業利益で970百万円としていたが、DX投資拡大の追い風が吹くなかで毎期、計画を上回る業績を達成し、2023年12月期も当初計画を上方修正する格好となった。また、2023年3月の株主総会で代表取締役社長に富士ソフト出身の新井世東(あらいせと)氏(前 取締役副社長執行役員)が就任し、新たな経営体制に移行した。新井氏は前社長と同様、富士ソフトの事業を長くけん引してきた人物で、アライアンス戦略などで多くの実績を挙げている。基本的な事業戦略は大きく変わらないと見られるが、自社プロダクトを今後どのように育成していくかが注目される。なお、株主還元については、2023年12月期の1株当たり配当金を前期に比べ8.0円増配となる30.0円としている。ここ数年は1~2円のペースで増配を続けてきたが、中期計画最終年度の利益が当初計画を上回る見通しとなったことで、株主への利益還元を充実させることにした。今後も将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、「安定した配当」を継続する方針に変わりなく、収益成長とともに着実な増配を目指していく。
■Key Points
・高い技術開発力と高品質サービスに加えて、幅広い協力企業と良好な関係を構築している点が強み
・良好な受注環境を背景に、2022年12月期業績は連続過去最高を更新
・DXへの対応力強化、好調分野への集中投資、高付加価値ビジネスの拡大により、 2023年12月期も増収増益を目指す
・3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」は順調に進捗、業績は当初目標を上回る見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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