*14:41JST 日ピストン Research Memo(11):2023年10月2日付でリケンと経営統合して共同持株会社設立
■成長戦略
5. リケンと経営統合して共同持株会社設立
2022年7月27日付で発表したリケンとの経営統合については、2023年5月2日付で公正取引委員会への届出及び審査手続がすべて終了し、2023年5月23日付で共同持株会社設立による経営統合に関する最終契約書を締結した。また、2023年6月23日開催の両社の定時株主総会において、2023年10月2日付で共同株式移転により共同持株会社リケンNPRを設立することに関する株式移転計画について、それぞれ承認可決された。株式移転比率は、日本ピストンリング<6461>普通株式1株に対して共同持株会社の普通株式1.02株、リケンの普通株式1株に対して共同持株会社の普通株式2株を割当交付する。同社及びリケンの株式は2023年9月28日付で上場廃止となり、共同持株会社リケンNPRが2023年10月2日付でプライム市場へ新規上場予定である。
統合の背景・目的および現時点で想定されるシナジーについては以下のとおりである。
背景・目的としては、両社はともにピストンリングなど内燃機関部品を中心に事業を展開し、世界のモータリゼーションの発展に貢献してきた。そして今後も、地球環境に優しいエンジン部品の開発が両社に課せられた使命であり、同時に、内燃機関周辺部品にとらわれず、SDGs や ESG、脱炭素といったグローバルな潮流を捉えた新たな事業領域への投資を拡大していく必要があるものと認識している。このため、今後の発展の第一歩として、経営統合により長年培った両社のブランドを生かし、統合したガバナンスのもとで経営資源配分や次なるコア事業育成などを推進する。その結果、大きな相乗効果を出しつつ脱炭素実現に向けた取り組みの加速が可能になり、全く新たな事業体に進化し、持続的成長と企業価値向上を実現できる。経営統合が両社株主、従業員やすべてのステークホルダーに最適な選択であると確信し、経営統合に関する最終契約書を締結した。
経営統合によって見込まれるシナジー効果としては、(1) 経営リソースシフトによる既存事業の強化・次なるコア製品開発の早期実現、(2) スピードを増す脱炭素化への対応力強化、(3) インフラを含むリソースの共同利用によるコスト削減、(4) 製品相互補完等による生産効率化を通じた製造コスト削減及び供給責任への適時適切な対応、(5) 人や技術の交流を通じた人的スキル高度化、を挙げている。
(1) 経営リソースシフトによる既存事業の強化・次なるコア製品開発の早期実現
設備投資の濃淡の調整、広範囲の生産最適化などを進めることで、既存事業の効率化と開発力の深化を図り、キャッシュ・フロー創出力を強化する。また、既存事業の効率化を通じ、次なるコア事業・新製品分野に経営リソースをシフトし、新製品開発の早期実現を目指す。具体的には、同社は新製品事業(医療機器事業、電動化・ロボット事業、モータ事業)の育成・確立を、リケンは次世代コア製品(熱エンジニアリング事業、EMC事業、水素・新エネルギー事業、次世代新事業(非ICE))の芽の多数創出を目指している。
(2) スピードを増す脱炭素化への対応力強化
これまで培ってきた両社の製品、生産に関する技術やリソースを持ち寄り展開することで、環境技術分野を発展させ製品の脱炭素化を加速するとともに、サプライチェーン全体を視野に入れたCO2排出量の削減にも積極的に取り組み、サステナブルな社会の実現に貢献する。具体的には、環境性能に優れた製品によってICEの燃費(環境負荷)低減に貢献するとともに、同社の高効率パワートレインシステム実現ソリューションの提供、リケンでの新世代ICE対応部品の開発などに取り組む。
(3) インフラを含むリソースの共同利用によるコスト削減
サプライチェーン全体における生産性向上や、両社の内製プロセス共通化による外部流出費用の削減、共同購買による調達費用の削減、重複するシステムや間接業務などの効率化を進めることで、競争優位性を確保する。
(4) 製品相互補完等による生産効率化を通じた製造コスト削減及び供給責任への適時適切な対応
従来の枠を超えた工場の相互利用や生産拠点の最適化を進め、大幅な生産性改善、高品質品を供給できる体制の拡充、固定費削減の実現を目指す。また、サステナブルな生産体制の確立を通じ、顧客への供給責任を適時適切に果たす。
(5) 人や技術の交流を通じた人的スキル高度化
知見や技術の積極的な交流を通じて「新しいアイデア」が生まれる機会を様々な分野や職階で提供するとともに、従業員エンゲージメントがよりいっそう高まる職場環境の実現を目指す。
6. 株主還元
同社は、株主への適切かつ安定的な利益配分を行うことを経営の重要課題の1つと位置付けており、業績の動向や将来の事業展開等を総合的に判断して実施するとしている。この基本方針に基づいて、2023年3月期の配当は前期と同額の70円(中間20円、期末50円)とした。配当性向は30.1%だった。2024年3月期の配当については、中間配当35円を公表した。前期比15円増配予想である。期末配当については現時点では未定とし、共同持株会社リケンNPRとして改めて公表する予定である。
7. 弊社の注目点
自動車エンジン部品業界はEV化の流れで厳しい事業環境が警戒されているが、一気にEV化が進むわけではなく、前述のようにエンジン生き残りのシナリオも想定できる。同社はリケンとの経営統合により、既存のエンジン部品分野において低燃費化への技術貢献に取り組むだけでなく、両社のリソースを相互活用した効率化や新製品・新事業への展開を加速する方針である。経営統合後に公表される新たな経営方針では、持続的成長と企業価値向上に向けた意欲的な成長戦略が打ち出される可能性があり、その内容に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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5. リケンと経営統合して共同持株会社設立
2022年7月27日付で発表したリケンとの経営統合については、2023年5月2日付で公正取引委員会への届出及び審査手続がすべて終了し、2023年5月23日付で共同持株会社設立による経営統合に関する最終契約書を締結した。また、2023年6月23日開催の両社の定時株主総会において、2023年10月2日付で共同株式移転により共同持株会社リケンNPRを設立することに関する株式移転計画について、それぞれ承認可決された。株式移転比率は、日本ピストンリング<6461>普通株式1株に対して共同持株会社の普通株式1.02株、リケンの普通株式1株に対して共同持株会社の普通株式2株を割当交付する。同社及びリケンの株式は2023年9月28日付で上場廃止となり、共同持株会社リケンNPRが2023年10月2日付でプライム市場へ新規上場予定である。
統合の背景・目的および現時点で想定されるシナジーについては以下のとおりである。
背景・目的としては、両社はともにピストンリングなど内燃機関部品を中心に事業を展開し、世界のモータリゼーションの発展に貢献してきた。そして今後も、地球環境に優しいエンジン部品の開発が両社に課せられた使命であり、同時に、内燃機関周辺部品にとらわれず、SDGs や ESG、脱炭素といったグローバルな潮流を捉えた新たな事業領域への投資を拡大していく必要があるものと認識している。このため、今後の発展の第一歩として、経営統合により長年培った両社のブランドを生かし、統合したガバナンスのもとで経営資源配分や次なるコア事業育成などを推進する。その結果、大きな相乗効果を出しつつ脱炭素実現に向けた取り組みの加速が可能になり、全く新たな事業体に進化し、持続的成長と企業価値向上を実現できる。経営統合が両社株主、従業員やすべてのステークホルダーに最適な選択であると確信し、経営統合に関する最終契約書を締結した。
経営統合によって見込まれるシナジー効果としては、(1) 経営リソースシフトによる既存事業の強化・次なるコア製品開発の早期実現、(2) スピードを増す脱炭素化への対応力強化、(3) インフラを含むリソースの共同利用によるコスト削減、(4) 製品相互補完等による生産効率化を通じた製造コスト削減及び供給責任への適時適切な対応、(5) 人や技術の交流を通じた人的スキル高度化、を挙げている。
(1) 経営リソースシフトによる既存事業の強化・次なるコア製品開発の早期実現
設備投資の濃淡の調整、広範囲の生産最適化などを進めることで、既存事業の効率化と開発力の深化を図り、キャッシュ・フロー創出力を強化する。また、既存事業の効率化を通じ、次なるコア事業・新製品分野に経営リソースをシフトし、新製品開発の早期実現を目指す。具体的には、同社は新製品事業(医療機器事業、電動化・ロボット事業、モータ事業)の育成・確立を、リケンは次世代コア製品(熱エンジニアリング事業、EMC事業、水素・新エネルギー事業、次世代新事業(非ICE))の芽の多数創出を目指している。
(2) スピードを増す脱炭素化への対応力強化
これまで培ってきた両社の製品、生産に関する技術やリソースを持ち寄り展開することで、環境技術分野を発展させ製品の脱炭素化を加速するとともに、サプライチェーン全体を視野に入れたCO2排出量の削減にも積極的に取り組み、サステナブルな社会の実現に貢献する。具体的には、環境性能に優れた製品によってICEの燃費(環境負荷)低減に貢献するとともに、同社の高効率パワートレインシステム実現ソリューションの提供、リケンでの新世代ICE対応部品の開発などに取り組む。
(3) インフラを含むリソースの共同利用によるコスト削減
サプライチェーン全体における生産性向上や、両社の内製プロセス共通化による外部流出費用の削減、共同購買による調達費用の削減、重複するシステムや間接業務などの効率化を進めることで、競争優位性を確保する。
(4) 製品相互補完等による生産効率化を通じた製造コスト削減及び供給責任への適時適切な対応
従来の枠を超えた工場の相互利用や生産拠点の最適化を進め、大幅な生産性改善、高品質品を供給できる体制の拡充、固定費削減の実現を目指す。また、サステナブルな生産体制の確立を通じ、顧客への供給責任を適時適切に果たす。
(5) 人や技術の交流を通じた人的スキル高度化
知見や技術の積極的な交流を通じて「新しいアイデア」が生まれる機会を様々な分野や職階で提供するとともに、従業員エンゲージメントがよりいっそう高まる職場環境の実現を目指す。
6. 株主還元
同社は、株主への適切かつ安定的な利益配分を行うことを経営の重要課題の1つと位置付けており、業績の動向や将来の事業展開等を総合的に判断して実施するとしている。この基本方針に基づいて、2023年3月期の配当は前期と同額の70円(中間20円、期末50円)とした。配当性向は30.1%だった。2024年3月期の配当については、中間配当35円を公表した。前期比15円増配予想である。期末配当については現時点では未定とし、共同持株会社リケンNPRとして改めて公表する予定である。
7. 弊社の注目点
自動車エンジン部品業界はEV化の流れで厳しい事業環境が警戒されているが、一気にEV化が進むわけではなく、前述のようにエンジン生き残りのシナリオも想定できる。同社はリケンとの経営統合により、既存のエンジン部品分野において低燃費化への技術貢献に取り組むだけでなく、両社のリソースを相互活用した効率化や新製品・新事業への展開を加速する方針である。経営統合後に公表される新たな経営方針では、持続的成長と企業価値向上に向けた意欲的な成長戦略が打ち出される可能性があり、その内容に注目したいと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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