*12:05JST ジーニー Research Memo(5):2023年3月期は売上収益・売上総利益が実質ベースで前期比30%超増(2)
■業績動向
3. 財政状況
ジーニー<6562>の2023年3月期における流動資産は、前期末比1,869百万円増の5,671百万円となった。これは主に、現金及び現金同等物の増加1,399百万円、営業債権及びその他の債権の増加416百万円によるものである。非流動資産は、前期末比8,325百万円増の12,183百万円となった。投資活動によるキャッシュ・フローで取得した株式5,128百万円、段階取得に係る差益の計上1,623百万円などによるのれんが7,892百万円増と大きく膨らんだほか、使用権資産が266百万円増加したことによるものである。これにより、資産合計は前期末比10,195百万円増加の17,855百万円となった。
負債合計は、前期末比8,046百万円増加の12,821百万円となった。これは主に、借入金の増加6,037百万円、その他の流動負債の増加292百万円、リース負債の増加200百万円によるものである。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,389百万円(前期は1,235百万円の獲得)となった。これは主に、税引前利益2,279百万円、減価償却費及び償却費の計上641百万円、段階取得に係る差益の計上1,623百万円、営業債権及びその他の債権の減少308百万円、営業債務及びその他の債務の減少341百万円によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,967百万円(前期は1,202百万円の使用)となった。これは前述のとおり、子会社株式の取得による支出5,128百万円と無形資産の取得による支出649百万円によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,926百万円(前期は316百万円の獲得)となった。これは主に、短期借入金の純増額5,728百万円、長期借入れによる収入1,050百万円、長期借入金の返済による支出528百万円、自己株式の取得による支出31百万円によるものである。
4. トピックス
(1) Zeltoの子会社化
2023年2月に米国Zeltoを子会社化した。Zeltoは拠点をインドに置き、アジア、北米を中心にインターネット広告収益最適化サービスを提供している。サービスの内容は、AIを用いてユーザーごとにウェブサイトコンテンツと広告枠のレイアウト、広告サイズ、広告タイプを最適化し、インターネットメディアの収益を向上させるものである。同社にとっては、広告プラットフォーム事業における「GENIEE SSP」などとの連携・機能拡充とともに、海外のインターネットメディア向けに価値を届けることが可能になるなど、大きなシナジーが期待できると弊社では考えている。なお同社発表によると、Zeltoは「Financial Times」の「米国で最も急成長している民間企業リスト」で2021年に19位、2022年に33位となった。
Zeltoは、2021年12月期及び2022年12月期は6~8億円程度の安定した営業利益を計上した。2024年3月期(決算期は3月に変更)は米国のリセッションの影響により広告収益単価が減退しているため、減収減益を見込んでいる。しかし2025年3月期以降はリセッションからの回復、同社との連携により増収増益基調に戻ると予想している。買収費用は概算で67億円と大きく、その資金を短期の借入金で調達した。同社は借入金を営業活動によるキャッシュ・フローで返済していくこととしており、2024年3月期の計画でも税引前利益19億円と減価償却費で合計20億円以上のキャッシュを創出し、返済財源とする計画である。
(2) 「JAPAN AI株式会社」の設立
2023年4月に、AIを活用したプロダクトを開発・販売する子会社JAPAN AI(株)(資本金40百万円)を設立した。従来、同社ではプロダクト開発において積極的に AI 技術を活用してきた。ChatGPT を用いた「GENIEE CHAT」 「GENIEE SFA/CRM」では、顧客の業務効率化や生産性向上を目的とした新機能を開発・提供している。同社内でもコーポレート部門の業務効率化のために活用している。こうした技術を子会社に継承し、新しいプロダクトの開発・販売やAI技術関連に関わる導入コンサルティング、AIに関する研究開発を推進し、同社や顧客の事業拡大に貢献するねらいである。
同年4月には米国OpenAI が提供する最新バージョンの API を搭載した社内AIアシスタント製品「JAPAN AI Chat」をリリースした。各社ごとにカスタマイズしたAI対話環境を構築することで、従業員の業務効率化や生産性向上を実現するツールである。各企業専用の環境下で利用するため、データが漏洩するリスクが小さい。企業が社内に保有する独自データを活用した社内FAQや検索機能として需要が拡大すると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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3. 財政状況
ジーニー<6562>の2023年3月期における流動資産は、前期末比1,869百万円増の5,671百万円となった。これは主に、現金及び現金同等物の増加1,399百万円、営業債権及びその他の債権の増加416百万円によるものである。非流動資産は、前期末比8,325百万円増の12,183百万円となった。投資活動によるキャッシュ・フローで取得した株式5,128百万円、段階取得に係る差益の計上1,623百万円などによるのれんが7,892百万円増と大きく膨らんだほか、使用権資産が266百万円増加したことによるものである。これにより、資産合計は前期末比10,195百万円増加の17,855百万円となった。
負債合計は、前期末比8,046百万円増加の12,821百万円となった。これは主に、借入金の増加6,037百万円、その他の流動負債の増加292百万円、リース負債の増加200百万円によるものである。
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,389百万円(前期は1,235百万円の獲得)となった。これは主に、税引前利益2,279百万円、減価償却費及び償却費の計上641百万円、段階取得に係る差益の計上1,623百万円、営業債権及びその他の債権の減少308百万円、営業債務及びその他の債務の減少341百万円によるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、5,967百万円(前期は1,202百万円の使用)となった。これは前述のとおり、子会社株式の取得による支出5,128百万円と無形資産の取得による支出649百万円によるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,926百万円(前期は316百万円の獲得)となった。これは主に、短期借入金の純増額5,728百万円、長期借入れによる収入1,050百万円、長期借入金の返済による支出528百万円、自己株式の取得による支出31百万円によるものである。
4. トピックス
(1) Zeltoの子会社化
2023年2月に米国Zeltoを子会社化した。Zeltoは拠点をインドに置き、アジア、北米を中心にインターネット広告収益最適化サービスを提供している。サービスの内容は、AIを用いてユーザーごとにウェブサイトコンテンツと広告枠のレイアウト、広告サイズ、広告タイプを最適化し、インターネットメディアの収益を向上させるものである。同社にとっては、広告プラットフォーム事業における「GENIEE SSP」などとの連携・機能拡充とともに、海外のインターネットメディア向けに価値を届けることが可能になるなど、大きなシナジーが期待できると弊社では考えている。なお同社発表によると、Zeltoは「Financial Times」の「米国で最も急成長している民間企業リスト」で2021年に19位、2022年に33位となった。
Zeltoは、2021年12月期及び2022年12月期は6~8億円程度の安定した営業利益を計上した。2024年3月期(決算期は3月に変更)は米国のリセッションの影響により広告収益単価が減退しているため、減収減益を見込んでいる。しかし2025年3月期以降はリセッションからの回復、同社との連携により増収増益基調に戻ると予想している。買収費用は概算で67億円と大きく、その資金を短期の借入金で調達した。同社は借入金を営業活動によるキャッシュ・フローで返済していくこととしており、2024年3月期の計画でも税引前利益19億円と減価償却費で合計20億円以上のキャッシュを創出し、返済財源とする計画である。
(2) 「JAPAN AI株式会社」の設立
2023年4月に、AIを活用したプロダクトを開発・販売する子会社JAPAN AI(株)(資本金40百万円)を設立した。従来、同社ではプロダクト開発において積極的に AI 技術を活用してきた。ChatGPT を用いた「GENIEE CHAT」 「GENIEE SFA/CRM」では、顧客の業務効率化や生産性向上を目的とした新機能を開発・提供している。同社内でもコーポレート部門の業務効率化のために活用している。こうした技術を子会社に継承し、新しいプロダクトの開発・販売やAI技術関連に関わる導入コンサルティング、AIに関する研究開発を推進し、同社や顧客の事業拡大に貢献するねらいである。
同年4月には米国OpenAI が提供する最新バージョンの API を搭載した社内AIアシスタント製品「JAPAN AI Chat」をリリースした。各社ごとにカスタマイズしたAI対話環境を構築することで、従業員の業務効率化や生産性向上を実現するツールである。各企業専用の環境下で利用するため、データが漏洩するリスクが小さい。企業が社内に保有する独自データを活用した社内FAQや検索機能として需要が拡大すると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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