*12:24JST ギックス Research Memo(4):2023年6月期第3四半期決算は大幅増収増益
■業績動向
1. 2023年6月期第3四半期の業績概要
ギックス<9219>の2023年6月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比73.2%増の1,275百万円、営業利益が同619.2%増の338百万円、経常利益が同675.7%増の338百万円、四半期純利益が同721.7%増の231百万円となった。売上高については、大手クライアント企業において部内展開(縦)と社内展開(横)の2方向からなる縦横展開が奏功、DIコンサルティング及びDIプラットフォームの取扱高が増加した。既存クライアントでは、DIコンサルティングの需要が増進しており、新テーマや新部署での取り組み拡大に注力した。DIプロダクトの「マイグル」も好調で、JR西日本グループでの活用が堅調なほか、東日本エリアなどでも展開を推進している。同製品では、LINEミニアプリ版や観光ルート提案機能をリリースしており、今後は自治体・行政とのつながりも含めたより深い取り組みを推進する方針だ。コスト面では、売上原価率45.4%(前年同期比9.0ポイント低下)、販管費率28.0%(同11.2ポイント低下)と比率低下に成功。第3四半期以降、「マイグル」の機能拡張を中心としたDIプロダクトへの投資を加速させているが、研究開発活動の一部有償化に成功したことが売上原価率の低減に寄与した。売上原価の内訳としては、事業に関連した人件費・外注費が中心だ。また、販管費についても目標を上回る改善状況であり、売上原価及び販管費の両面で継続的に比率低下に努める方針だ。営業利益に関しては、研究開発活動の一部有償化に伴い大きく改善。上方修正した通期目標の達成に向けて好調に推移していると弊社では見ている。
2. 財務状況
2023年6月期第3四半期末の資産合計は、前期末比313百万円増の2,309百万円となった。流動資産は同305百万円増の2,189百万円であり、現金及び預金が170百万円、売掛金及び契約資産が127百万円増加した。固定資産は同7百万円増の120百万円であり、投資その他の資産が12百万円増加し、有形固定資産が4百万円減少した。
負債合計は、前期末比75百万円増の425百万円となった。流動負債は同113百万円増の332百万円であり、未払法人税等が65百万円、その他流動負債が47百万円増加した。固定負債は同37百万円減の93百万円であり、長期借入金が37百万円減少したこと等による。
純資産合計は同238百万円増の1,883百万円となった。四半期純利益の計上により利益剰余金が231百万円増加したこと等による。財務健全性は盤石であり、短期的な懸念事項は全くないものと弊社では見ている。
3. 研究開発投資の考え方
同社の研究開発は、社内外の人的リソースを活用しており、短期的な売上に貢献する有償案件と中長期的な事業成長に貢献する研究開発の、どちらを優先するかが経営上の重要判断となる。2023年6月期の上半期は、想定を上回る受注により研究開発を抑制していたが、下期については研究開発への工数投下を強化している。第3四半期における研究開発活動は計画どおりに進捗した一方で、一部の取り組みが有償案件化したことで売上高が上振れした。第4四半期では、研究開発投資をさらに加速・強化する方針だ。同社は、設備投資や資材購入などが必要ないビジネスモデルであることに加え、所属人材が「フロント機能」「研究開発機能」を兼ね備えているのが大きな特徴である。成長フェーズにある同社にとって、中長期的な成長に向けた研究開発は必須であり、下期の研究開発投資が翌期以降の事業成長に貢献していくものと弊社では考える。
4. 人的リソースの確保について
同社は、設備投資や資材購入などが不要である反面、成長フェーズにおいては人的リソースの確保が必須となる。社内外人材の増加による、リソース・キャパシティの拡大を目指しており、直近の強化領域として採用強化とパートナー開拓を挙げている。採用強化では、社内リソースや外部委託先を増員することで採用チームの体制強化を図るほか、採用リードタイムや応募者満足度等の各種KPIの見直し・再定義を行う。パートナー開拓では、プロフェッショナル人材ネットワークの構築・活用を進める。同社では、経営陣の人脈を中心に戦略コンサルタント経験、事業会社経営職経験者、トップコーダー、セールススペシャリスト等の独自ネットワークを構築しており、パートナー契約により同社プロジェクトへの参画を促す方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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1. 2023年6月期第3四半期の業績概要
ギックス<9219>の2023年6月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比73.2%増の1,275百万円、営業利益が同619.2%増の338百万円、経常利益が同675.7%増の338百万円、四半期純利益が同721.7%増の231百万円となった。売上高については、大手クライアント企業において部内展開(縦)と社内展開(横)の2方向からなる縦横展開が奏功、DIコンサルティング及びDIプラットフォームの取扱高が増加した。既存クライアントでは、DIコンサルティングの需要が増進しており、新テーマや新部署での取り組み拡大に注力した。DIプロダクトの「マイグル」も好調で、JR西日本グループでの活用が堅調なほか、東日本エリアなどでも展開を推進している。同製品では、LINEミニアプリ版や観光ルート提案機能をリリースしており、今後は自治体・行政とのつながりも含めたより深い取り組みを推進する方針だ。コスト面では、売上原価率45.4%(前年同期比9.0ポイント低下)、販管費率28.0%(同11.2ポイント低下)と比率低下に成功。第3四半期以降、「マイグル」の機能拡張を中心としたDIプロダクトへの投資を加速させているが、研究開発活動の一部有償化に成功したことが売上原価率の低減に寄与した。売上原価の内訳としては、事業に関連した人件費・外注費が中心だ。また、販管費についても目標を上回る改善状況であり、売上原価及び販管費の両面で継続的に比率低下に努める方針だ。営業利益に関しては、研究開発活動の一部有償化に伴い大きく改善。上方修正した通期目標の達成に向けて好調に推移していると弊社では見ている。
2. 財務状況
2023年6月期第3四半期末の資産合計は、前期末比313百万円増の2,309百万円となった。流動資産は同305百万円増の2,189百万円であり、現金及び預金が170百万円、売掛金及び契約資産が127百万円増加した。固定資産は同7百万円増の120百万円であり、投資その他の資産が12百万円増加し、有形固定資産が4百万円減少した。
負債合計は、前期末比75百万円増の425百万円となった。流動負債は同113百万円増の332百万円であり、未払法人税等が65百万円、その他流動負債が47百万円増加した。固定負債は同37百万円減の93百万円であり、長期借入金が37百万円減少したこと等による。
純資産合計は同238百万円増の1,883百万円となった。四半期純利益の計上により利益剰余金が231百万円増加したこと等による。財務健全性は盤石であり、短期的な懸念事項は全くないものと弊社では見ている。
3. 研究開発投資の考え方
同社の研究開発は、社内外の人的リソースを活用しており、短期的な売上に貢献する有償案件と中長期的な事業成長に貢献する研究開発の、どちらを優先するかが経営上の重要判断となる。2023年6月期の上半期は、想定を上回る受注により研究開発を抑制していたが、下期については研究開発への工数投下を強化している。第3四半期における研究開発活動は計画どおりに進捗した一方で、一部の取り組みが有償案件化したことで売上高が上振れした。第4四半期では、研究開発投資をさらに加速・強化する方針だ。同社は、設備投資や資材購入などが必要ないビジネスモデルであることに加え、所属人材が「フロント機能」「研究開発機能」を兼ね備えているのが大きな特徴である。成長フェーズにある同社にとって、中長期的な成長に向けた研究開発は必須であり、下期の研究開発投資が翌期以降の事業成長に貢献していくものと弊社では考える。
4. 人的リソースの確保について
同社は、設備投資や資材購入などが不要である反面、成長フェーズにおいては人的リソースの確保が必須となる。社内外人材の増加による、リソース・キャパシティの拡大を目指しており、直近の強化領域として採用強化とパートナー開拓を挙げている。採用強化では、社内リソースや外部委託先を増員することで採用チームの体制強化を図るほか、採用リードタイムや応募者満足度等の各種KPIの見直し・再定義を行う。パートナー開拓では、プロフェッショナル人材ネットワークの構築・活用を進める。同社では、経営陣の人脈を中心に戦略コンサルタント経験、事業会社経営職経験者、トップコーダー、セールススペシャリスト等の独自ネットワークを構築しており、パートナー契約により同社プロジェクトへの参画を促す方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 欠田耀介)
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