*14:01JST ステップ Research Memo(1):持続的成長を実現すべく教師の給与引き上げなど人的資本への投資を強化
■要約
ステップ<9795>は神奈川県内で小学5~高校3年生を対象とした学習塾「STEP」を展開している。教師のプロ化による質の高い学習指導力に定評があり、高校受験においては「トップ校」と呼ばれる県内公立進学校(19校)の合格者数で、2位の学習塾を2倍以上引き離し独走状態となっている。2023年4月末の校舎数は小中学生部門142スクール、高校生部門15校、個別指導部門1校のほか、学童保育部門「STEPキッズ」4校及び2022年4月に新設した「ステップジュニアラボ」1校の計163校(前期末比5校増)となっており、在籍生徒数は3万人を超える。
1. 2023年9月期第2四半期業績の概要
2023年9月期第2四半期(2022年10月~2023年3月)の業績は、売上高で前年同期比10.0%増の7,520百万円、営業利益で同13.2%増の2,285百万円と会社計画(売上高7,362百万円、営業利益2,214百万円)を上回る増収増益となった。前期から適用となった新収益認識会計基準等の適用により312百万円の増収増益要因となっており、同要因を除けば売上高は5%増、営業利益は同2%減益だったことになる。人件費が賞与増額やインフレ手当の支給等により同259百万円増加したものの、生徒数増加による増収効果等で吸収した。期中平均生徒数は前年同期比3.6%増となり、小中学生部門、高校生部門ともに堅調に推移した。校舎展開については、2023年3月に小中学生部門で4スクール、学童部門で1校を開校し、それぞれ順調な立ち上がりを見せている。
2. 2023年9月期の業績見通し
2023年9月期の業績は売上高で前期比6.5%増の14,534百万円、営業利益で同14.5%減の3,127百万円と期初計画(売上高14,456百万円、営業利益3,862百万円)から修正した。売上高は第2四半期までの状況を反映し、若干増額修正としたが、営業利益においては教師給与の引き上げや増員を図ること、教育環境の整備を目的とした設備投資を実施することなどにより当初計画に対して約7.5億円の費用増となることが減額要因となる。営業利益率は期初計画の26.7%から21.5%に低下することになる。同社では持続的な成長を実現するには、質の良い教師の採用・育成と教育環境の充実が重要と考え、2024年9月期以降も教師の給与アップを継続する。このため当面の営業利益率は21%前後の水準が続くものと想定している。同社は、少子化が進むなかで中長期的に見れば学習塾の淘汰が進むのは必至で、生き残りのカギを握るのは教務力(=教師の質)であると考えている。同社の給与水準は学習塾業界のなかでもトップクラスと見られるが、さらにその水準を引き上げていくことで優秀な教師を数多く揃え成長につなげる考えだ。なお、学習塾業界のなかでは人件費の上昇等により値上げを実施する競合も多い。同社では現段階で具体的に決まったものはないが、エリアの状況なども見ながら今後様々な角度から検討する考えだ。
3. 今後の成長戦略
成長戦略として、小中学生部門はシェア拡大余地のある横浜、川崎エリアを中心に年間3~4校ペースでスクールを開校し、安定成長を目指す。横浜・川崎エリアでシェア15%※を獲得できれば生徒数は現状の1.4倍まで拡大できる可能性がある(藤沢市のシェアは2021年10月時点で24%)。高校生部門についてはブランド力がここ数年で高まっており、既存校舎の増床・移転と教師の増員を図りながら着実な成長を目指す。学童保育部門については新たに横浜市内に開設した教室の収益化の目途が立てば、県内全域に展開することを視野に入れている。「STEPキッズ」は知的好奇心を育む様々な学習プログラムを用意していることが特徴で、生徒や保護者からも好評を博している。多拠点展開できるようになれば、生徒数のさらなる拡大が期待できるため、今後の動向が注目される。
※圏内のSTEP生÷市立中学校生徒数
4. 株主還元策
株主還元策として、従来は配当性向30%を目安に連続増配を実施してきたが、今回配当性向を50%に引き上げることを発表した。これにより、2023年9月期の通期配当は従来予想の48.0円から70.0円(配当性向50.0%)と大幅に引き上がった。株主優待制度については従来と同様で、毎年9月末の株主に対して保有株式数と継続保有期間に応じてオリジナルQUOカード(500~4,000円分)を贈呈している。
■Key Points
・2023年9月期第2四半期業績は生徒数増加により会社計画を超過
・2023年9月期は新たな経営方針による先行投資により業績計画を修正
・中長期的な成長を実現するため教師の給与引き上げに取り組み、人材基盤を強みとして競争力をさらに高める方針
・配当性向の目安を30%から50%に引き上げ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ステップ<9795>は神奈川県内で小学5~高校3年生を対象とした学習塾「STEP」を展開している。教師のプロ化による質の高い学習指導力に定評があり、高校受験においては「トップ校」と呼ばれる県内公立進学校(19校)の合格者数で、2位の学習塾を2倍以上引き離し独走状態となっている。2023年4月末の校舎数は小中学生部門142スクール、高校生部門15校、個別指導部門1校のほか、学童保育部門「STEPキッズ」4校及び2022年4月に新設した「ステップジュニアラボ」1校の計163校(前期末比5校増)となっており、在籍生徒数は3万人を超える。
1. 2023年9月期第2四半期業績の概要
2023年9月期第2四半期(2022年10月~2023年3月)の業績は、売上高で前年同期比10.0%増の7,520百万円、営業利益で同13.2%増の2,285百万円と会社計画(売上高7,362百万円、営業利益2,214百万円)を上回る増収増益となった。前期から適用となった新収益認識会計基準等の適用により312百万円の増収増益要因となっており、同要因を除けば売上高は5%増、営業利益は同2%減益だったことになる。人件費が賞与増額やインフレ手当の支給等により同259百万円増加したものの、生徒数増加による増収効果等で吸収した。期中平均生徒数は前年同期比3.6%増となり、小中学生部門、高校生部門ともに堅調に推移した。校舎展開については、2023年3月に小中学生部門で4スクール、学童部門で1校を開校し、それぞれ順調な立ち上がりを見せている。
2. 2023年9月期の業績見通し
2023年9月期の業績は売上高で前期比6.5%増の14,534百万円、営業利益で同14.5%減の3,127百万円と期初計画(売上高14,456百万円、営業利益3,862百万円)から修正した。売上高は第2四半期までの状況を反映し、若干増額修正としたが、営業利益においては教師給与の引き上げや増員を図ること、教育環境の整備を目的とした設備投資を実施することなどにより当初計画に対して約7.5億円の費用増となることが減額要因となる。営業利益率は期初計画の26.7%から21.5%に低下することになる。同社では持続的な成長を実現するには、質の良い教師の採用・育成と教育環境の充実が重要と考え、2024年9月期以降も教師の給与アップを継続する。このため当面の営業利益率は21%前後の水準が続くものと想定している。同社は、少子化が進むなかで中長期的に見れば学習塾の淘汰が進むのは必至で、生き残りのカギを握るのは教務力(=教師の質)であると考えている。同社の給与水準は学習塾業界のなかでもトップクラスと見られるが、さらにその水準を引き上げていくことで優秀な教師を数多く揃え成長につなげる考えだ。なお、学習塾業界のなかでは人件費の上昇等により値上げを実施する競合も多い。同社では現段階で具体的に決まったものはないが、エリアの状況なども見ながら今後様々な角度から検討する考えだ。
3. 今後の成長戦略
成長戦略として、小中学生部門はシェア拡大余地のある横浜、川崎エリアを中心に年間3~4校ペースでスクールを開校し、安定成長を目指す。横浜・川崎エリアでシェア15%※を獲得できれば生徒数は現状の1.4倍まで拡大できる可能性がある(藤沢市のシェアは2021年10月時点で24%)。高校生部門についてはブランド力がここ数年で高まっており、既存校舎の増床・移転と教師の増員を図りながら着実な成長を目指す。学童保育部門については新たに横浜市内に開設した教室の収益化の目途が立てば、県内全域に展開することを視野に入れている。「STEPキッズ」は知的好奇心を育む様々な学習プログラムを用意していることが特徴で、生徒や保護者からも好評を博している。多拠点展開できるようになれば、生徒数のさらなる拡大が期待できるため、今後の動向が注目される。
※圏内のSTEP生÷市立中学校生徒数
4. 株主還元策
株主還元策として、従来は配当性向30%を目安に連続増配を実施してきたが、今回配当性向を50%に引き上げることを発表した。これにより、2023年9月期の通期配当は従来予想の48.0円から70.0円(配当性向50.0%)と大幅に引き上がった。株主優待制度については従来と同様で、毎年9月末の株主に対して保有株式数と継続保有期間に応じてオリジナルQUOカード(500~4,000円分)を贈呈している。
■Key Points
・2023年9月期第2四半期業績は生徒数増加により会社計画を超過
・2023年9月期は新たな経営方針による先行投資により業績計画を修正
・中長期的な成長を実現するため教師の給与引き上げに取り組み、人材基盤を強みとして競争力をさらに高める方針
・配当性向の目安を30%から50%に引き上げ
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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