*12:39JST ティア Research Memo(9):マルチブランド戦略でシェア拡大とTLD事業の育成、M&Aの早期実現へ(2)
■今後の見通し
(3) 葬儀付帯業務の内製化拡大と、行動力と分析能力を高めたM&A
ティア<2485>はここ数年、葬儀付帯業務の内製化を推進することで売上原価率の低減に取り組んできたが、内製化率の引き上げ余地はFC店舗も含めてまだあると見ており、今後も継続的に取り組む方針だ。具体的には、中部地区、関西地区において葬儀運営スタッフとなるセレモニーアシスタントやセレモニーガードの派遣エリアを拡大していくほか、生花事業の取り扱い店舗の拡大や湯灌・エンバーミングの業務エリアを拡大していく。また、ティアサービスがベンリーコーポレーションにFC加盟したのを契機に、既存会館の定期清掃・営繕業務の請負を開始している。
一方、M&Aについては今までも検討を進めてきたが、条件に適う案件が見つからず成約までに至らなかった。立地などは良くても相手先の財務が痛んでおり、買収リスクを払しょくできなかったためだが、ただ今回、リスク許容度を従来よりも緩和して候補先を探索していくことを明らかにした。また、M&A会社も新たに大手と契約し、情報ネットワークを拡大した。葬儀業界は競争が激化していることや後継者不足の問題もあって、売却案件そのものは増加傾向にあるため、2025年9月期までにM&Aが実行される可能性は従来よりも高まったと弊社では見ている。同社は現在、関東圏を優先的に探索しているようで、今後の動向が注目される。
(4) 計画に則した人財確保・育成と次世代基幹システムの構築
人財戦略のうち、新卒採用に関しては3年間で75名程度の採用を計画している。2023年春の入社は予定していた35名を下回る29名となったため、2024年春の採用予定を当初計画の20名から35~40名に引き上げた。人財育成にあたって、新卒社員には早期育成を目的とした12ヶ月間の教育プログラムを実施しており、既存社員については施行品質の向上を目的とした研修に加えて、管理職候補育成のための研修を実施している。教育研修施設「THRC」の開設以降は、従来葬儀会館で行っていた模擬研修を専用施設で行えるようになり、効率的で質の高い人財育成を行うことが可能となっており、今後も研修データを活用しながらた。人財育成システムの効率化に取り組む方針だ。
また、新たな取り組みとして多様な働き方の実現を目指す人事制度改革プロジェクト「みんなのシン・ティアプロジェクト」を2022年9月期の後半から開始している。中長期的な企業価値向上につながる新人事制度を2024年4月に導入する予定となっている。主な改正内容としては、等級制度の見直し(細分化)や報酬・評価制度の見直し、専門職制や定年延長制度の導入、福利厚生の拡充等が挙げられる。新人事制度の導入による効果として、離職率の改善や勤続年数の延長、採用計画の効率化や採用費・教育研修費用の抑制に加えて、専門職の導入や報酬制度の見直し等により人的資本の再配分が可能となり、生産性の向上につながるものと同社では見込んでいる。
ICT戦略としては、次世代基幹システムの構築を2023年9月期からスタートする。ハード・ソフトの充実による多様な働き方への対応や、重大インシデントにつながりかねない出来事や状況を早期に発見できる検知システムの導入、情報セキュリティ対策の強化などに取り組んでいく。また、情報セキュリティに関する専門知識を有する人財の確保や、情報セキュリティ体制強化に向け、社員に対する教育なども実施していく。
(5) 事業リスク
事業リスクとしては、葬儀単価の動向が挙げられる。核家族化や少子化の進展により葬儀スタイルも家族葬など小規模に済ませるケースが今後も増加する可能性があり、こうした領域では顧客獲得競争も激しいため、葬儀単価が回復しないリスクも想定しておく必要がある。ただ、葬儀を単なる「哀悼の儀式」としてだけではなく、「哀悼と感動のセレモニー」として顧客に感謝される「究極のサービス」を提供していくことで他社との差別化は可能と弊社では考えている。実際、同社の葬儀件数(FC含む)は国内全体の葬儀件数の伸びを上回って成長を続けている。また、葬儀単価についても今後、エンバーミングや大型冷蔵施設での遺体の一時保管サービス※の需要が増えてくれば平均単価の上昇要因となる。
※2025年に名古屋市内の火葬場の1つが再整備のために一時的に閉鎖することが決まっており、当該エリアにおいて火葬場の処理能力が不足することが予見され、その対応策として大型冷蔵施設を設置した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(3) 葬儀付帯業務の内製化拡大と、行動力と分析能力を高めたM&A
ティア<2485>はここ数年、葬儀付帯業務の内製化を推進することで売上原価率の低減に取り組んできたが、内製化率の引き上げ余地はFC店舗も含めてまだあると見ており、今後も継続的に取り組む方針だ。具体的には、中部地区、関西地区において葬儀運営スタッフとなるセレモニーアシスタントやセレモニーガードの派遣エリアを拡大していくほか、生花事業の取り扱い店舗の拡大や湯灌・エンバーミングの業務エリアを拡大していく。また、ティアサービスがベンリーコーポレーションにFC加盟したのを契機に、既存会館の定期清掃・営繕業務の請負を開始している。
一方、M&Aについては今までも検討を進めてきたが、条件に適う案件が見つからず成約までに至らなかった。立地などは良くても相手先の財務が痛んでおり、買収リスクを払しょくできなかったためだが、ただ今回、リスク許容度を従来よりも緩和して候補先を探索していくことを明らかにした。また、M&A会社も新たに大手と契約し、情報ネットワークを拡大した。葬儀業界は競争が激化していることや後継者不足の問題もあって、売却案件そのものは増加傾向にあるため、2025年9月期までにM&Aが実行される可能性は従来よりも高まったと弊社では見ている。同社は現在、関東圏を優先的に探索しているようで、今後の動向が注目される。
(4) 計画に則した人財確保・育成と次世代基幹システムの構築
人財戦略のうち、新卒採用に関しては3年間で75名程度の採用を計画している。2023年春の入社は予定していた35名を下回る29名となったため、2024年春の採用予定を当初計画の20名から35~40名に引き上げた。人財育成にあたって、新卒社員には早期育成を目的とした12ヶ月間の教育プログラムを実施しており、既存社員については施行品質の向上を目的とした研修に加えて、管理職候補育成のための研修を実施している。教育研修施設「THRC」の開設以降は、従来葬儀会館で行っていた模擬研修を専用施設で行えるようになり、効率的で質の高い人財育成を行うことが可能となっており、今後も研修データを活用しながらた。人財育成システムの効率化に取り組む方針だ。
また、新たな取り組みとして多様な働き方の実現を目指す人事制度改革プロジェクト「みんなのシン・ティアプロジェクト」を2022年9月期の後半から開始している。中長期的な企業価値向上につながる新人事制度を2024年4月に導入する予定となっている。主な改正内容としては、等級制度の見直し(細分化)や報酬・評価制度の見直し、専門職制や定年延長制度の導入、福利厚生の拡充等が挙げられる。新人事制度の導入による効果として、離職率の改善や勤続年数の延長、採用計画の効率化や採用費・教育研修費用の抑制に加えて、専門職の導入や報酬制度の見直し等により人的資本の再配分が可能となり、生産性の向上につながるものと同社では見込んでいる。
ICT戦略としては、次世代基幹システムの構築を2023年9月期からスタートする。ハード・ソフトの充実による多様な働き方への対応や、重大インシデントにつながりかねない出来事や状況を早期に発見できる検知システムの導入、情報セキュリティ対策の強化などに取り組んでいく。また、情報セキュリティに関する専門知識を有する人財の確保や、情報セキュリティ体制強化に向け、社員に対する教育なども実施していく。
(5) 事業リスク
事業リスクとしては、葬儀単価の動向が挙げられる。核家族化や少子化の進展により葬儀スタイルも家族葬など小規模に済ませるケースが今後も増加する可能性があり、こうした領域では顧客獲得競争も激しいため、葬儀単価が回復しないリスクも想定しておく必要がある。ただ、葬儀を単なる「哀悼の儀式」としてだけではなく、「哀悼と感動のセレモニー」として顧客に感謝される「究極のサービス」を提供していくことで他社との差別化は可能と弊社では考えている。実際、同社の葬儀件数(FC含む)は国内全体の葬儀件数の伸びを上回って成長を続けている。また、葬儀単価についても今後、エンバーミングや大型冷蔵施設での遺体の一時保管サービス※の需要が増えてくれば平均単価の上昇要因となる。
※2025年に名古屋市内の火葬場の1つが再整備のために一時的に閉鎖することが決まっており、当該エリアにおいて火葬場の処理能力が不足することが予見され、その対応策として大型冷蔵施設を設置した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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