*15:06JST アウトソシング Research Memo(6):不安定な外部環境が続くなかでもすべてのセグメントで増収を確保(1)
■決算概要
1. 2022年12月期決算の概要
アウトソーシング<2427>の2022年12月期の業績(IFRS)は、売上収益が前期比21.2%増の6,898億円、営業利益が同8.1%減の220億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が102億円(前期は7億円の利益)と増収ながら営業減益となった。また、期初計画比では売上収益、利益ともに下回る結果となった。
長引く半導体不足をはじめ、サプライチェーンの混乱、インフレの進行などの影響により期初計画には届かなかったものの、すべてのセグメントで増収を確保することができた。
利益面では、雇用調整助成金の剥落※1や減損損失の増加※2、一過性費用※3等により営業減益となった。ただし、不安定な外部環境が続くなかでも、旺盛なエンジニア活用ニーズを背景として、国内・海外の技術系セグメントが業績を下支えしており、グローバル戦略及び業績平準化への取り組みが奏功した。一方、親会社の所有者に帰属する当期利益が前期比で大幅に改善したのは、海外子会社OTTOグループの完全子会社化に伴ってプットオプション関連の金融費用※4が減少したことが理由である。
※1 コロナ禍による雇用調整助成金の剥落により前期比26億円の減益要因となった。
※2 減損損失の計上額は約37億円(前期比23億円増)となった。なお、減損損失の内訳は、「国内技術系アウトソーシング事業」4.2億円、「国内製造系アウトソーシング事業」6.6億円、「国内サービス系アウトソーシング事業」1.5億円、「海外製造系及びサービス系事業」24.4億円となっている。「海外製造系及びサービス系事業」における減損損失が大きいのは、主に英国における政府向け事業の一時的な停滞(政府がエネルギー価格高騰への対応に追われた)や急激なインフレによるコスト増によるものである。
※3 「国内技術系アウトソーシング事業」における受注損失引当金(受託開発資材の納入遅延によるもの)の計上や、チリのグループ会社にて保守的な判断から一部費用処理を行ったものなど。
※4 完全子会化によりプットオプション負債(残余株式の買取債務)が消滅したことから、今後は本件に係る金融費用は発生しないこととなる。
財政状態については、増収により「営業債権等」が増加したことや、M&Aの実行※、円安に伴う換算差額(44億円)の発生による「のれん」の拡大により、資産合計は前期末比13.5%増の3,994億円に拡大した。一方、「親会社の所有者に帰属する持分」についても内部留保の積み増しにより同20.9%増の796億円に拡大し、その結果、「親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率に相当)」は19.9%(前期末は18.7%)に改善した。有利子負債は事業資金の借入により同24.6%増の1,888億円に増加したが、社債及び借入金(約1,300億円)についてはこれをピークに削減を図っていく方針としている。
※倉庫内業務を手掛ける人材派遣会社の子会社化(2022年4月4日付け)など。詳細は前回レポート(2022年10月21日発行)を参照いただきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<AS>
1. 2022年12月期決算の概要
アウトソーシング<2427>の2022年12月期の業績(IFRS)は、売上収益が前期比21.2%増の6,898億円、営業利益が同8.1%減の220億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が102億円(前期は7億円の利益)と増収ながら営業減益となった。また、期初計画比では売上収益、利益ともに下回る結果となった。
長引く半導体不足をはじめ、サプライチェーンの混乱、インフレの進行などの影響により期初計画には届かなかったものの、すべてのセグメントで増収を確保することができた。
利益面では、雇用調整助成金の剥落※1や減損損失の増加※2、一過性費用※3等により営業減益となった。ただし、不安定な外部環境が続くなかでも、旺盛なエンジニア活用ニーズを背景として、国内・海外の技術系セグメントが業績を下支えしており、グローバル戦略及び業績平準化への取り組みが奏功した。一方、親会社の所有者に帰属する当期利益が前期比で大幅に改善したのは、海外子会社OTTOグループの完全子会社化に伴ってプットオプション関連の金融費用※4が減少したことが理由である。
※1 コロナ禍による雇用調整助成金の剥落により前期比26億円の減益要因となった。
※2 減損損失の計上額は約37億円(前期比23億円増)となった。なお、減損損失の内訳は、「国内技術系アウトソーシング事業」4.2億円、「国内製造系アウトソーシング事業」6.6億円、「国内サービス系アウトソーシング事業」1.5億円、「海外製造系及びサービス系事業」24.4億円となっている。「海外製造系及びサービス系事業」における減損損失が大きいのは、主に英国における政府向け事業の一時的な停滞(政府がエネルギー価格高騰への対応に追われた)や急激なインフレによるコスト増によるものである。
※3 「国内技術系アウトソーシング事業」における受注損失引当金(受託開発資材の納入遅延によるもの)の計上や、チリのグループ会社にて保守的な判断から一部費用処理を行ったものなど。
※4 完全子会化によりプットオプション負債(残余株式の買取債務)が消滅したことから、今後は本件に係る金融費用は発生しないこととなる。
財政状態については、増収により「営業債権等」が増加したことや、M&Aの実行※、円安に伴う換算差額(44億円)の発生による「のれん」の拡大により、資産合計は前期末比13.5%増の3,994億円に拡大した。一方、「親会社の所有者に帰属する持分」についても内部留保の積み増しにより同20.9%増の796億円に拡大し、その結果、「親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率に相当)」は19.9%(前期末は18.7%)に改善した。有利子負債は事業資金の借入により同24.6%増の1,888億円に増加したが、社債及び借入金(約1,300億円)についてはこれをピークに削減を図っていく方針としている。
※倉庫内業務を手掛ける人材派遣会社の子会社化(2022年4月4日付け)など。詳細は前回レポート(2022年10月21日発行)を参照いただきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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