*15:31JST SBSHD Research Memo(1):国内3PLやEC物流事業の強化により収益拡大が続く見通し
■要約
SBSホールディングス<2384>は、3PL(物流一括受託サービス)の大手で、積極的なM&Aと物流施設の開発及び流動化による独自ビジネスモデルで成長を続けている。2018年にリコーロジスティクス(株)(現 SBSリコーロジスティクス(株))、2020年に東芝ロジスティクス(株)(現 SBS東芝ロジスティクス(株))を子会社化するなど大型M&Aを実現し、2017年12月期から2022年12月期までで売上規模は約3倍、営業利益は約3.5倍に急拡大している。
1. 2022年12月期の業績概要
2022年12月期の連結業績は売上高で前期比12.9%増の455,481百万円、営業利益で同5.5%増の21,844百万円となり、営業利益は5期連続で過去最高を更新した。主力の物流事業で海上・航空運賃の高騰等により海外事業が伸長したほか、国内事業が電子機器やEC関連を中心に堅調に推移したこと、2021年12月期末に子会社化したSBS古河物流(株)の売上が寄与したこと等が増収要因となった。利益面では燃料費・光熱費等の増加があったものの、増収効果でカバーした。
2. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は売上高で前期比0.3%増の457,000百万円、営業利益で同4.4%増の22,800百万円となる見通し。物流事業は、海上・航空運賃の下落による海外事業の減収分を国内3PLやEC物流事業の拡大による国内事業の増収でカバーし、若干ながらも増収増益を見込む。利益面では不動産事業における物流施設売却益が前期の約52億円から約69億円に増加することが増益要因となる。売却時期が上期に集中することもあり、営業利益は上期(前年同期比63.0%増の13,600百万円)偏重型となる。なお、宅配事業については、競合大手がコスト増を理由に相次いで値上げを発表しており、同社も値上げ要請を進めている。ただ、値上げ幅については競合よりも小幅に留めることが可能なようで、シェア拡大の好機となりそうだ。
3. 成長戦略
同社は新たに3ヶ年の中期経営計画を発表した。「LT(ロジスティクス・テクノロジー)×IT」で成長するメガベンチャーを標榜し、業界トップティアの地位を確固たるものとすることで企業価値の向上を目指す。重点施策としては、グループ各社の強みを生かし、3PLを中心とした企業間物流のさらなる強化を図るとともに、成長が見込まれるEC物流の加速、国際物流事業の拡大などを推進していく方針だ。特に、EC物流関連の売上高は現状の300億円規模から2030年に向け1,000億円上乗せする大幅伸長を目指す。顧客開拓施策として、2023年12月期より事業拡大に向けた物流施設の開発、並びに生産性向上のためのLT×IT分野への投資を積極化する。M&Aを除く3年間の総投資額は980億円と、直近3年間の実績(550億円)から1.8倍に増額する。経営数値目標は、2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円を掲げた。成長ドライバーとなるEC物流では、2023年1月にECビジネスのフルフィルメントサービスを提供するプラットフォーム「EC物流お任せくん」を立ち上げた。当面は中小EC事業者をターゲットに顧客を獲得し運営ノウハウと競争力を強化して、大規模EC事業者の獲得を目指す。物流施設の延床面積は2022年12月末の81万坪に対して、計画中の案件を含めると104万坪までの用地を確保済みで、これらが稼働すれば売上高目標である5,000億円の達成も十分可能となる。また、M&Aについても並行して検討しており、2030年12月期には売上高7,000億円を見据えている。株主還元方針としては、資金需要や収益動向も見極めながら、配当性向で現在の20%強の水準を将来的に30%程度まで引き上げていく意向のようだ。2023年12月期の1株当たり配当金は前期比4.0円増の65.0円(配当性向21.5%)を予定している。
■Key Points
・3PLと自社開発した物流施設の流動化を組み合わせた独自ビジネスモデルと積極的なM&Aにより成長を続ける
・2022年12月期の営業利益は、海外事業における海上・航空運賃の高騰や円安の影響、電子機器、EC関連などの国内物流量が堅調に推移。燃料・光熱費の高騰によるコスト上昇分を吸収し、5期連続で過去最高を更新
・SBS東芝ロジスティクスとのシナジー効果が顕在化し、2023年12月期も増収増益が続く見込み
・2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円を目指す中期経営計画を策定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NS>
SBSホールディングス<2384>は、3PL(物流一括受託サービス)の大手で、積極的なM&Aと物流施設の開発及び流動化による独自ビジネスモデルで成長を続けている。2018年にリコーロジスティクス(株)(現 SBSリコーロジスティクス(株))、2020年に東芝ロジスティクス(株)(現 SBS東芝ロジスティクス(株))を子会社化するなど大型M&Aを実現し、2017年12月期から2022年12月期までで売上規模は約3倍、営業利益は約3.5倍に急拡大している。
1. 2022年12月期の業績概要
2022年12月期の連結業績は売上高で前期比12.9%増の455,481百万円、営業利益で同5.5%増の21,844百万円となり、営業利益は5期連続で過去最高を更新した。主力の物流事業で海上・航空運賃の高騰等により海外事業が伸長したほか、国内事業が電子機器やEC関連を中心に堅調に推移したこと、2021年12月期末に子会社化したSBS古河物流(株)の売上が寄与したこと等が増収要因となった。利益面では燃料費・光熱費等の増加があったものの、増収効果でカバーした。
2. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は売上高で前期比0.3%増の457,000百万円、営業利益で同4.4%増の22,800百万円となる見通し。物流事業は、海上・航空運賃の下落による海外事業の減収分を国内3PLやEC物流事業の拡大による国内事業の増収でカバーし、若干ながらも増収増益を見込む。利益面では不動産事業における物流施設売却益が前期の約52億円から約69億円に増加することが増益要因となる。売却時期が上期に集中することもあり、営業利益は上期(前年同期比63.0%増の13,600百万円)偏重型となる。なお、宅配事業については、競合大手がコスト増を理由に相次いで値上げを発表しており、同社も値上げ要請を進めている。ただ、値上げ幅については競合よりも小幅に留めることが可能なようで、シェア拡大の好機となりそうだ。
3. 成長戦略
同社は新たに3ヶ年の中期経営計画を発表した。「LT(ロジスティクス・テクノロジー)×IT」で成長するメガベンチャーを標榜し、業界トップティアの地位を確固たるものとすることで企業価値の向上を目指す。重点施策としては、グループ各社の強みを生かし、3PLを中心とした企業間物流のさらなる強化を図るとともに、成長が見込まれるEC物流の加速、国際物流事業の拡大などを推進していく方針だ。特に、EC物流関連の売上高は現状の300億円規模から2030年に向け1,000億円上乗せする大幅伸長を目指す。顧客開拓施策として、2023年12月期より事業拡大に向けた物流施設の開発、並びに生産性向上のためのLT×IT分野への投資を積極化する。M&Aを除く3年間の総投資額は980億円と、直近3年間の実績(550億円)から1.8倍に増額する。経営数値目標は、2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円を掲げた。成長ドライバーとなるEC物流では、2023年1月にECビジネスのフルフィルメントサービスを提供するプラットフォーム「EC物流お任せくん」を立ち上げた。当面は中小EC事業者をターゲットに顧客を獲得し運営ノウハウと競争力を強化して、大規模EC事業者の獲得を目指す。物流施設の延床面積は2022年12月末の81万坪に対して、計画中の案件を含めると104万坪までの用地を確保済みで、これらが稼働すれば売上高目標である5,000億円の達成も十分可能となる。また、M&Aについても並行して検討しており、2030年12月期には売上高7,000億円を見据えている。株主還元方針としては、資金需要や収益動向も見極めながら、配当性向で現在の20%強の水準を将来的に30%程度まで引き上げていく意向のようだ。2023年12月期の1株当たり配当金は前期比4.0円増の65.0円(配当性向21.5%)を予定している。
■Key Points
・3PLと自社開発した物流施設の流動化を組み合わせた独自ビジネスモデルと積極的なM&Aにより成長を続ける
・2022年12月期の営業利益は、海外事業における海上・航空運賃の高騰や円安の影響、電子機器、EC関連などの国内物流量が堅調に推移。燃料・光熱費の高騰によるコスト上昇分を吸収し、5期連続で過去最高を更新
・SBS東芝ロジスティクスとのシナジー効果が顕在化し、2023年12月期も増収増益が続く見込み
・2025年12月期に売上高5,000億円、営業利益275億円を目指す中期経営計画を策定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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