今週は、米金利の上昇を巡り、大きな動きがなければ、レンジは27200~27800円

著者:出島 昇
投稿:2023/02/20 17:52

先週は、一時27200円台へブレるが、27400~28000円のレンジ内の動き

先週の予測では、前週末の日銀次期総裁人事で植田元審議委員の起用方針を受けて、市場がどう反応するかということと、国内外の重要イベントを控えていることで、それを消化しながら様子見的な動きになるとし、先週も前週に引き続き27400~28000円のレンジ内の動きを想定し、下げた場合でも27200円台にある75日移動平均線、200日移動平均線にサポートされることになるとしました。

結果的に週始めにザラ場では、27266円まで下げましたが、終値では27427円となり、上値は27700円台でしたのでレンジ幅は27300~27800円となりました。終値ベースでは27400~27800円の上値の重い動きでした。

週始めの13日(月)は、米国でナスダックが3日続落していたことで、半導体中心に売られ、日銀総裁人事も一時的な乱高下もあったことで、日経平均は一時▲404円の27266円まで下落しましたが、売り一巡後は円安歩調もあって下げ渋り、▲243円の27427円で引けました。
14日(火)は、前日の米国株式は長期金利の低下を受け、3指標そろって大幅高となったことで、また円安にもサポートされ、半導体関連株中心に買われ、一時△294円の27721円まで上昇するものの、円安一服となって終値は△175円の27602円でした。

15日(水)は、前日の米国市場では、注目の1月消費者物価指数が予想を上回ったことで、利上げ打ち止め期待が後退し、NYダウが3日ぶり反落となり、時間外のナスダック先物も下落したことで、一時▲158円の27444円まで下げ、終値では▲100円の27501円となりました。

16日(木)は、前日の米国市場で1月小売売上高が予想を上回る強い結果となったことで、利上げの長期化懸念からNYダウは、一時▲256ドルまで下げるものの、終値では△38ドルと反発し、主要3指標そろって上昇したことで、日経平均は、一時△225円の27727円まで上昇し、終値では△194円の27696円でした。

16日の米国市場では、1月の卸売物価指数が予想を上回る伸びとなり、前日の消費者物価指数に続いてインフレ高進が示されたことで、早期利上げ停止期待が後退し、新規失業保険申請件数も予想を下回って雇用の強さが明らかになったことや、さらにセントルイス連銀総裁はFOMCで0.5%の利上げを支持する可能性を示したこともあり、NYダウは▲431ドル、ナスダック▲214P、S&P500は▲57Pと3指標が大幅反落となりました。

17日(金)は、米国の金融引締め長期化懸念から長期金利が上昇し、つれて株式が大幅安となりました。これを受けて日経平均は一時▲229円の27466円まで下げましたが、円安で一時▲87円の27608円まで戻すものの、ここでの円安は日本経済にとってのプラス材料ばかりではないため、後場は無視されアジア株安、米株先物安が重しとなって、▲183円の27513円で引けました。結局、今週は27500円をはさんだ狭い範囲でのもみあいとなりました。

日本市場の引け後の米国市場では、10年債利回りが昨年11月以来の水準の3.92%まで上昇したことで、NYダウは一時▲179ドルまで下げましたが、ディフェンシブ株中心に買い戻され△129ドルの33826ドルで引けました。シカゴ日経先物は△45円の27505円でした。

今週は、米金利の上昇を巡り、大きな動きがなければ、レンジは27200~27800円

先週は、米国市場で経済指標がインフレ圧力を示すことになり、早期金融引締めの後退が明確になり米株が大きく下げる場面がありましたが、日本株は円安の進行が日経平均を支えることになりました。日経平均は弱含みながらも27500円よりやや高い水準での動きとなりました。

米国の年後半の利下げ転換という楽観的なシナリオが崩れた形となっており、前回のFOMCでの0.25%の利上げは不十分だったという声も上がっていることで、インフレ圧力が強いままなら3月のFOMC(21~22日)に向け、0.5%の見通しも出てくる可能性があります。前回のFOMCの議事録公表は注目といえます。こういう状況の中で、24日に実施される次期日銀総裁内定の植田和男氏の所信聴取を為替市場が植田氏を「試す」動きも考えられるので最大の焦点となります。

本決算発表済みの12月決算企業の今期予想の為替前提は、平均で1ドル=129円となっており、これに対して先週末の為替は134円台です。このまま円安・ドル高が続くのであれば、輸出企業の収益拡大余地が生まれて株価の上昇が期待できることになります。

今週の日本市場は、23日の祝日を挟んでおり、米金利を巡る警戒感が円安を支えられるのかがポイントとなります。レンジは先週と同じように27200~27800円とします。

今週も流れとしては、28000円を目指す中にありますが、上値が重くなっています。海外投資家は、2月第2週(2月6日~10日)まで5週連続で買い越しており、1月中旬からのリバウンド相場をサポートしてきましたが、2月になってその効果が薄れてきており、一方で年金マネーを扱う「信託銀行」は昨年11月から現物株を13週連続で売り越し、日本株の上値を重くしています。重くなって下げても27200円水準を維持していれば、上昇相場にあるとみてよく、ここを切ると調整入りの可能性があります。

(指標)日経平均

先週の動き

先週の予測では、27400~27800円のレンジ内の動きとし、下げても27200円台としました。
2月13日(月)は、前週末のナスダックの3日続落を嫌気し、米半導体中心に売りが先行し、時間外のナスダック先物安で、一時▲404円の27266円までザラ場で下げ、終値では▲243円の27427円で引けました。14日(火)は、前日の米国市場の大幅高を受け、一時△294円の27721円まで上昇し、終値は△175円の27602円でした。

15日(水)は、米国の1月消費者物価指数が予想を上回り、利上げ打ち止め期待が後退し、一時▲158円の27444円まで下げ、終値では▲100円の27501円でした。16日(木)は、米国株式の上昇を受け、さらに為替が1ドル=133円台の円安となったこともあり、一時△225円の27727円まで上昇し、終値は△194円の27696円でした。

17日(金)は、前日の米国株式が1月消費者物価指数に続いて1月卸売物価指数も予想を上回る伸びとなり、インフレ高進を示したことで早期利上げ停止期待が後退し、米株全面安でNYダウは▲431ドルでした。これを受けて日経平均は、一時▲229円の27466円まで下げましたが、その後は27500円水準のもみあいとなり▲183円の27513円で引けました。

今週の見通し

今週も流れとしては、28000円を目指す中にありますが、上値が重くなっています。海外投資家は、2月第2週(2月6日~10日)まで5週連続で買い越しており、1月中旬からのリバウンド相場をサポートしてきましたが、2月になってその効果が薄れてきており、一方で年金マネーを扱う「信託銀行」は昨年11月から現物株を13週連続で売り越し、日本株の上値を重くしています。重くなって下げても27200円水準を維持していれば、上昇相場にあるとみてよく、ここを切ると調整入りの可能性があります。レンジは先週と同じように27200~27800円を想定。

(指標)NYダウ

先週の動き

先週は、注目すべき経済指標が発表されるとしました。
13日(月)は、1月消費者物価指数を翌日に控え、NY連銀のインフレ予想が低下したことで主要3指標そろって大幅高でNYダウは△376ドルの34245ドルでした。14日(火)は、注目の1月消費者物価指数が予想を上回り、利上げ打ち止め期待の後退で、NYダウは▲418ドルまで下げましたが、その後下げ幅を縮小し、▲156ドルでした。

15日(水)は、1月小売売上高は予想を上回る強い結果でインフレ圧力が高いことが示され、NYダウは一時▲256ドルまで下げるが、切り返して終値は△38ドルの34128ドルでした。16日(木)は、1月卸売物価指数も予想を上回る伸びで、1月消費者物価指数に続いてインフレ高進を示し米株式全面安となり、NYダウ▲431ドルでした。週末17日(金)は、10年債利回りが一時、昨年11月以来の高さまで上昇したことで、▲179ドルまで下げましたが、△129ドルと反発して終了しました。

今週の見通し

今週は、FRBは前回のFOMCで市場の予想通り、0.25%の利上げを決定し、その後の会見で、パウエル議長はディスインフレの初期の兆候が見られると言及し、利上げ停止を期待した買いが相場を押し上げました。一方で、議長は仮に雇用の強さが持続した場合、ピーク金利を引き上げる可能性にも言及したことで、また、クリーブランド連銀のメスター総裁やセントルイス連銀のブラード総裁が前回の会合で0.5%の利上げを支持していたことを表明し、ブラード総裁は3月のFOMCで0.5%の利上げの可能性を除外しないとも述べており、議事録公開が注目となり、利上げペースを再び加速させることになると売り材料となります。

まだ、FOMCまでは時間がありますので、今は雇用関連や主要企業の収益で株価は上下動することが想定されます。

経済指標では、10-12月期GDP改定値、週次新規失業保険申請件数、1月個人所得支出、ミシガン大消費者信頼感指数などが発表予定となります。また、FOMC議事録の公表もありますので、結果によって不安定な相場となりそうです。

(指標)ドル/円

先週の動き

前週は、インフレピークアウト期待もあり、利上げの停止期待が高まってドルが売られ130円を割る場面もありました。しかし、先週はインフレ指標(1月消費者物価指数、1月卸売物価指数)が予想を上回ったことで、インフレ圧力が強いいうことで、利上げの停止期待が後退し、ドル買いが強まりました。14日(火)は133.30円まで上昇、15日(水)は134.36円、16日(木)は1月6日につけた年初来高値の134.77円を上放れる場面もありました。

今週の見通し

先週末は、リッチモンド総裁が小幅利上げを支持し、現時点で大幅利上げの必要性を否定したことで、長期金利が低下に転じ、ドル買いも後退しました。17日には一時135.10円まで上昇しましたが、ここから上値重く132~134円のレンジでのもみあいとなりそうです。

配信元: みんかぶ株式コラム