*14:35JST ティアンドエス Research Memo(5):全カテゴリー好調で、2ケタの増収増益(1)
■業績動向
1. 2022年11月期の業績概要
ティアンドエス<4055>の2022年11月期の業績は、売上高が前期比19.2%増の3,256百万円、営業利益が同49.6%増の617百万円、経常利益が同49.3%増の626百万円、当期純利益が同49.5%増の440百万円だった。売上高、各段階利益ともに過去最高を更新し、前期に引き続き好調な業績だった。売上高が19.2%増と2ケタの急伸を見せたのは、各カテゴリーが好調だったことが要因だ。在宅勤務やオンラインミーティングの活用、クラウドサービスの活用、DXの推進など、顧客企業がIT投資やDX推進を活発化するなか、すべてのカテゴリーが前期比増収を達成した。営業利益に関しては、売上高の伸びを上回る成長を見せた。優良単価で案件を獲得したこと、単価交渉が順調だったこと、採算性の観点から受注を精査したこと等が利益の伸びに寄与した。加えて、人材採用費用が当初の想定ほどかからなかったことも影響した。優良単価での案件獲得や単価交渉の成功などは、同社の強みの1つである「大手顧客との長年にわたる信頼関係」があるからこそ実現したものであり、同社の強みが高い収益性に結びついていることが見て取れる。これらを受け、営業利益率は、前期比3.9ポイント増の19.0%まで高まっている。また、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は、それぞれ期初の予想を156百万円、67百万円、69百万円、49百万円上回って着地した。
(1) ソリューションカテゴリー
ソリューションカテゴリーの売上高は、前期比15.6%増(328百万円増)の2,429百万円だった。IT化やDXの流れを受け、主要顧客であるキオクシアグループ、東芝グループ、日立グループからの受託開発案件の受注が好調だった。特に、キオクシアグループ工場内の生産管理システムリプレースに関連する大型開発案件が寄与した。同案件は、今後複数年にわたって同社に安定した収益をもたらすことが期待されるものである。
(2) 半導体カテゴリー
半導体カテゴリーの売上高は、前期比26.0%増(120百万円増)の584百万円だった。好調な半導体市場を背景に、主要取引先からの継続的な受注が順調だった。加えて、増員要請があったことにより、半導体工場における保守・運用サービスに係る派遣エンジニア数が堅調に推移し、業績を押し上げた。
(3) 先進技術ソリューションカテゴリー
同社が成長分野として位置づける先端技術ソリューションカテゴリーの売上高は、前期比44.9%増(75百万円増)の242百万円と急伸した。AI関連の研究開発支援サービス、画像処理アルゴリズム開発において継続受注を獲得できたほか、新規の外観検査システム開発が順調に推移した。特に、前期に続き堅調なNEC等の既存取引先からの案件に加えて、オムロンとの取り引きが増えたことも業績の急伸に寄与した。継続して受注を獲得することができたのは、顧客が求める高度な技術を同社が保有していたからであり、同社が顧客にとって付加価値の高いサービスを提供できていることがわかる。これらを受け、全体の売上高に占める割合は、前期比1.3ポイント増の7.4%まで高まっている。同カテゴリーは、付加価値型ビジネスモデルへの転換に向けて鍵となるカテゴリーであり、売上高が順調に推移していることは、ビジネスモデル転換が順調に進んでいることの証左と言える。
2022年11月期のトピックスとしては、2022年7月に熊本事業所を開設したことが挙げられる。同地域でTSMC(台湾積体電路製造)が2024年末から半導体の生産を開始するのに併せて、多くの半導体関連企業が進出するなか、新規顧客開拓に向けて新たな事業所を開設した格好だ。既に新規顧客として、Sonyグループと新たな取り引きを開始している。同社は中期的な戦略の1つとして「ユーザーエリアの拡大」を掲げ、キオクシアグループ、東芝グループ、日立グループに次ぐ、第4の顧客基盤を構築する方針である。新規顧客の獲得と業績のさらなる拡大に向けて、同事業所が貢献することが期待される。
2. KPI(Key Performance Indicator)の達成状況
同社が設定しているKPIの達成率(2022年11月期末時点)は、先進技術ソリューションカテゴリーの「年間受注工数」が93%、半導体カテゴリーの「派遣エンジニア数」が101%、ソリューションカテゴリーの「エンジニア数」が92%となった。2つのカテゴリーのKPIが未達となったものの、総じて順調な結果と弊社は見ている。
先進技術ソリューションカテゴリー、ソリューションカテゴリー双方において、同社のニーズに合致する人材を採用することができなかったことがKPI未達の要因だ。人材関して同社は、2023年11月期に投資を積極化することを計画している。新規の採用に加えて、既存社員の教育にも注力することで、顧客ニーズに対応できる人材リソースに厚みをもたせていく構えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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1. 2022年11月期の業績概要
ティアンドエス<4055>の2022年11月期の業績は、売上高が前期比19.2%増の3,256百万円、営業利益が同49.6%増の617百万円、経常利益が同49.3%増の626百万円、当期純利益が同49.5%増の440百万円だった。売上高、各段階利益ともに過去最高を更新し、前期に引き続き好調な業績だった。売上高が19.2%増と2ケタの急伸を見せたのは、各カテゴリーが好調だったことが要因だ。在宅勤務やオンラインミーティングの活用、クラウドサービスの活用、DXの推進など、顧客企業がIT投資やDX推進を活発化するなか、すべてのカテゴリーが前期比増収を達成した。営業利益に関しては、売上高の伸びを上回る成長を見せた。優良単価で案件を獲得したこと、単価交渉が順調だったこと、採算性の観点から受注を精査したこと等が利益の伸びに寄与した。加えて、人材採用費用が当初の想定ほどかからなかったことも影響した。優良単価での案件獲得や単価交渉の成功などは、同社の強みの1つである「大手顧客との長年にわたる信頼関係」があるからこそ実現したものであり、同社の強みが高い収益性に結びついていることが見て取れる。これらを受け、営業利益率は、前期比3.9ポイント増の19.0%まで高まっている。また、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は、それぞれ期初の予想を156百万円、67百万円、69百万円、49百万円上回って着地した。
(1) ソリューションカテゴリー
ソリューションカテゴリーの売上高は、前期比15.6%増(328百万円増)の2,429百万円だった。IT化やDXの流れを受け、主要顧客であるキオクシアグループ、東芝グループ、日立グループからの受託開発案件の受注が好調だった。特に、キオクシアグループ工場内の生産管理システムリプレースに関連する大型開発案件が寄与した。同案件は、今後複数年にわたって同社に安定した収益をもたらすことが期待されるものである。
(2) 半導体カテゴリー
半導体カテゴリーの売上高は、前期比26.0%増(120百万円増)の584百万円だった。好調な半導体市場を背景に、主要取引先からの継続的な受注が順調だった。加えて、増員要請があったことにより、半導体工場における保守・運用サービスに係る派遣エンジニア数が堅調に推移し、業績を押し上げた。
(3) 先進技術ソリューションカテゴリー
同社が成長分野として位置づける先端技術ソリューションカテゴリーの売上高は、前期比44.9%増(75百万円増)の242百万円と急伸した。AI関連の研究開発支援サービス、画像処理アルゴリズム開発において継続受注を獲得できたほか、新規の外観検査システム開発が順調に推移した。特に、前期に続き堅調なNEC等の既存取引先からの案件に加えて、オムロンとの取り引きが増えたことも業績の急伸に寄与した。継続して受注を獲得することができたのは、顧客が求める高度な技術を同社が保有していたからであり、同社が顧客にとって付加価値の高いサービスを提供できていることがわかる。これらを受け、全体の売上高に占める割合は、前期比1.3ポイント増の7.4%まで高まっている。同カテゴリーは、付加価値型ビジネスモデルへの転換に向けて鍵となるカテゴリーであり、売上高が順調に推移していることは、ビジネスモデル転換が順調に進んでいることの証左と言える。
2022年11月期のトピックスとしては、2022年7月に熊本事業所を開設したことが挙げられる。同地域でTSMC(台湾積体電路製造)が2024年末から半導体の生産を開始するのに併せて、多くの半導体関連企業が進出するなか、新規顧客開拓に向けて新たな事業所を開設した格好だ。既に新規顧客として、Sonyグループと新たな取り引きを開始している。同社は中期的な戦略の1つとして「ユーザーエリアの拡大」を掲げ、キオクシアグループ、東芝グループ、日立グループに次ぐ、第4の顧客基盤を構築する方針である。新規顧客の獲得と業績のさらなる拡大に向けて、同事業所が貢献することが期待される。
2. KPI(Key Performance Indicator)の達成状況
同社が設定しているKPIの達成率(2022年11月期末時点)は、先進技術ソリューションカテゴリーの「年間受注工数」が93%、半導体カテゴリーの「派遣エンジニア数」が101%、ソリューションカテゴリーの「エンジニア数」が92%となった。2つのカテゴリーのKPIが未達となったものの、総じて順調な結果と弊社は見ている。
先進技術ソリューションカテゴリー、ソリューションカテゴリー双方において、同社のニーズに合致する人材を採用することができなかったことがKPI未達の要因だ。人材関して同社は、2023年11月期に投資を積極化することを計画している。新規の採用に加えて、既存社員の教育にも注力することで、顧客ニーズに対応できる人材リソースに厚みをもたせていく構えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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