■業績動向
1. 2022年10月期の業績概要
ビーアンドピー<7804>の2022年10月期における売上高は2,915百万円(前期比14.4%増)、営業利益376百万円(同69.4%増)、経常利益377百万円(同39.1%増)、当期純利益は240百万円(同26.8%増)と増収増益となった。案件の延期などコロナ禍の影響は依然として受けたものの、大規模な行動制限がなくなり、イベント、展示会の開催が増加するなど外部環境が好転した。こうしたなか、主力であるインクジェットプリント事業が通年で好調に推移した。主要拠点である東京・大阪における営業体制の強化、名古屋・福岡エリアでの新規顧客開拓の強化によって全エリアで事業を拡大したことが要因だ。デジタルサイネージ事業などで大型案件の受注が増加したことも業績を押し上げた。加えて、利便性を向上させたプリント通販サービス「インクイット」を2022年8月に開設し、Webを通じた集客を強化したことも売上高拡大に寄与した。特に第4四半期にかけてはイベント、展示会の回復が顕著となり、同四半期の売上高は過去最高を記録した。
利益面に関しては、増収に加え、原価低減活動と生産性の向上が寄与した。2021年8月に実施した横浜ファクトリーへの生産機能集約による大規模生産体制の構築とソフトウェアを活用した業務の自動化によって、収益性が高まった。加えて、資材価格が高騰するなか代替品を調達することによって、コスト上昇圧力を吸収した。これらの企業努力により、営業利益は通期計画と比較して達成率124.6%と計画を大きく上回って着地した。これを受け、営業利益率も前期比プラス4.2ポイントの12.9%まで高まった。
売上高と営業利益は、コロナ禍前の水準(2019年10月期の売上高と営業利益は、それぞれ3,011百万円、426百万円)に回復しつつある。特に同社の収益性に関しては、今後も高まっていくと弊社は見ている。もともと定価のない商品で、「短納期」「高品質」という高付加価値を提供しているため利益をしっかりと確保することができるためだ。加えて、生産のオートメーション化などによって生産性が高まっていること、デジタルサイネージ事業ではサブスクリプション型のサービス拡販に注力していることも、同社の収益性を高めると弊社は見ている。
2. 販売区分別業績
2022年10月期の四半期別の業績推移に関しては、コロナ禍の影響が依然として残るものの、傾向としては前年同期を上回って推移した。2022年10月期第1四半期(2021年11月~2022年1月)は593百万円(前年同期は479百万円)となった。コロナ禍の影響が依然として残っていたものの、前年同期を上回る実績を残した。例年、年末年始の長期休暇がある関係で相対的に業績が伸びにくい時期ではあるが、着実に業績を伸ばした。第2四半期(2022年2月~4月)は808百万円(前年同期は813百万円)と、前年同期に比べてやや減収となるも好調に推移した。同四半期は、例年業績が好調に推移する傾向がある。3月期決算となる顧客企業が期末に向けて、売上高拡大のためのプロモーションを積極化することが要因だ。第3四半期(2022年5月~7月)は634百万円(前年同期は613百万円)となった。コロナ禍からの回復傾向が続き、前年同期を上回った。例年GWなどの長期休暇があることによって相対的に業績の伸びが鈍化する時期であるものの、営業体制の強化などによって回復する需要を確実に業績に取り込んだ。第4四半期(2022年8~10月)は878百万円(前年同期は512百万円)と、過去最高の売上を記録した。イベント、展示会の回復が顕著だったことが要因だ。
販売区分別の売上高推移については、販売促進用広告制作においてはコロナ禍による影響が依然として残ったものの、行動制限等がなくなり事業環境が改善した。イベント・展示会の開催が復活したことにより、売上高はコロナ禍前の水準に回復してきている。生活資材・製品制作についてはプリントシール機の安定した受注により、堅調に推移した。
新規事業であるデジタルサイネージ事業とデジタルプロモーション事業も好調に進捗した。デジタルサイネージ事業では、大型案件の獲得に成功した。デジタルサイネージは、病院、駅などにおいて導入が進んだ一方で、同社がターゲットとしているスーパー、家電量販店、ドラッグストアなどにおいては導入が始まったばかりである。こうしたなか、広告代理店とともに提案活動を強化し、大型の案件獲得に結びつけた。加えて、新商材やCMSによる映像配信システムの導入提案も積極的に行った。CMSに関する提案は同社の付加価値を訴求できる部分である。サブスクリプション型のビジネスモデルであり、安定した売上につながることから、今後もCMSの提案に注力する方針である。デジタルプロモーション事業においては、従来のネットショップ運営サポートに加えて、Webプロモーションを支援するサービスも開始した。これにより、顧客の課題解決をトータルサポートする能力をより強化した格好だ。契約件数も順調に積み上がっており、顧客からの評価は良好である。引き続き営業体制を強化し、受注拡大に注力する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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1. 2022年10月期の業績概要
ビーアンドピー<7804>の2022年10月期における売上高は2,915百万円(前期比14.4%増)、営業利益376百万円(同69.4%増)、経常利益377百万円(同39.1%増)、当期純利益は240百万円(同26.8%増)と増収増益となった。案件の延期などコロナ禍の影響は依然として受けたものの、大規模な行動制限がなくなり、イベント、展示会の開催が増加するなど外部環境が好転した。こうしたなか、主力であるインクジェットプリント事業が通年で好調に推移した。主要拠点である東京・大阪における営業体制の強化、名古屋・福岡エリアでの新規顧客開拓の強化によって全エリアで事業を拡大したことが要因だ。デジタルサイネージ事業などで大型案件の受注が増加したことも業績を押し上げた。加えて、利便性を向上させたプリント通販サービス「インクイット」を2022年8月に開設し、Webを通じた集客を強化したことも売上高拡大に寄与した。特に第4四半期にかけてはイベント、展示会の回復が顕著となり、同四半期の売上高は過去最高を記録した。
利益面に関しては、増収に加え、原価低減活動と生産性の向上が寄与した。2021年8月に実施した横浜ファクトリーへの生産機能集約による大規模生産体制の構築とソフトウェアを活用した業務の自動化によって、収益性が高まった。加えて、資材価格が高騰するなか代替品を調達することによって、コスト上昇圧力を吸収した。これらの企業努力により、営業利益は通期計画と比較して達成率124.6%と計画を大きく上回って着地した。これを受け、営業利益率も前期比プラス4.2ポイントの12.9%まで高まった。
売上高と営業利益は、コロナ禍前の水準(2019年10月期の売上高と営業利益は、それぞれ3,011百万円、426百万円)に回復しつつある。特に同社の収益性に関しては、今後も高まっていくと弊社は見ている。もともと定価のない商品で、「短納期」「高品質」という高付加価値を提供しているため利益をしっかりと確保することができるためだ。加えて、生産のオートメーション化などによって生産性が高まっていること、デジタルサイネージ事業ではサブスクリプション型のサービス拡販に注力していることも、同社の収益性を高めると弊社は見ている。
2. 販売区分別業績
2022年10月期の四半期別の業績推移に関しては、コロナ禍の影響が依然として残るものの、傾向としては前年同期を上回って推移した。2022年10月期第1四半期(2021年11月~2022年1月)は593百万円(前年同期は479百万円)となった。コロナ禍の影響が依然として残っていたものの、前年同期を上回る実績を残した。例年、年末年始の長期休暇がある関係で相対的に業績が伸びにくい時期ではあるが、着実に業績を伸ばした。第2四半期(2022年2月~4月)は808百万円(前年同期は813百万円)と、前年同期に比べてやや減収となるも好調に推移した。同四半期は、例年業績が好調に推移する傾向がある。3月期決算となる顧客企業が期末に向けて、売上高拡大のためのプロモーションを積極化することが要因だ。第3四半期(2022年5月~7月)は634百万円(前年同期は613百万円)となった。コロナ禍からの回復傾向が続き、前年同期を上回った。例年GWなどの長期休暇があることによって相対的に業績の伸びが鈍化する時期であるものの、営業体制の強化などによって回復する需要を確実に業績に取り込んだ。第4四半期(2022年8~10月)は878百万円(前年同期は512百万円)と、過去最高の売上を記録した。イベント、展示会の回復が顕著だったことが要因だ。
販売区分別の売上高推移については、販売促進用広告制作においてはコロナ禍による影響が依然として残ったものの、行動制限等がなくなり事業環境が改善した。イベント・展示会の開催が復活したことにより、売上高はコロナ禍前の水準に回復してきている。生活資材・製品制作についてはプリントシール機の安定した受注により、堅調に推移した。
新規事業であるデジタルサイネージ事業とデジタルプロモーション事業も好調に進捗した。デジタルサイネージ事業では、大型案件の獲得に成功した。デジタルサイネージは、病院、駅などにおいて導入が進んだ一方で、同社がターゲットとしているスーパー、家電量販店、ドラッグストアなどにおいては導入が始まったばかりである。こうしたなか、広告代理店とともに提案活動を強化し、大型の案件獲得に結びつけた。加えて、新商材やCMSによる映像配信システムの導入提案も積極的に行った。CMSに関する提案は同社の付加価値を訴求できる部分である。サブスクリプション型のビジネスモデルであり、安定した売上につながることから、今後もCMSの提案に注力する方針である。デジタルプロモーション事業においては、従来のネットショップ運営サポートに加えて、Webプロモーションを支援するサービスも開始した。これにより、顧客の課題解決をトータルサポートする能力をより強化した格好だ。契約件数も順調に積み上がっており、顧客からの評価は良好である。引き続き営業体制を強化し、受注拡大に注力する方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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