今週は、27500~28400円のレンジの中での動きへ

著者:出島 昇
投稿:2022/12/12 17:29

先週は、8日(木)まで軟調だったものの、週末9日(金)はSQ通過し、一時28000円に接近

先週の予測では、前週末の12月1日(木)に、11月ISM製造業景況指数が予想を下回ったことで、長期金利の低下が続き、ドルは1ドル=135.21円までの急落となり、NYダウは▲194ドルの34395ドルとなったことで、日経平均は▲448円の27777円と25日移動平均線を切って引けたことで、目先、調整入りの可能性があるとしました。

これまでの経験則で12月はメジャーSQの前に天井を打つというものがあるので、先週は週末までは需給関係から下げは限定的で上値は重いものの戻りを試すことが想定されました。戻りが続いても今週は米11月消費者物価指数、FOMCの発表を控えており様子見となりそうです。

結果的に先週は、12月8日(木)までは低調で、25日移動平均線を下回る動きとなっていましたが、週末9日(金)は、前日の米国株式が高く、FRBによる利上げペース減速を背景に買い先行となり、半導体・電子部品関連のハイテクの値ガサ株中心に幅広く買われ、前場は一時△378円の27952円まで買われました。

メジャーSQ値は27576円でしたが、SQ通過により需給面がすっきりしたことや米株式が堅調で買い戻しを誘いましたが、28000円に近づくと戻り売りの警戒感から上値重くなりました。後場は伸び悩む場面もありましたが、下値は限定的で高値圏でのもみあいとなり△326円の27901円で引けました。前場は勢いよく上昇しましたが、後場はFOMCに向けた重要イベント待ちの状態で様子見となりました。

週末の米国市場は、NYダウは▲305ドルの反落となりました。朝方、発表された11月生産者物価指数が市場予想を上回ったことで、FRBによる利上げ長期化への警戒感が強まり、3日ぶりに反落し33476ドルで引けました。ナスダックは▲77Pでした。為替は1ドル=136.57円で、シカゴに日経先物は▲105円の27745円となっています。

今週は、27500~28400円のレンジの中での動きへ

先週は、円高基調の中で25日移動平均線(8日時点27894円)を切ったことで目先、調整入りのシナリオの可能性を指摘しました。

結果的には、8日(木)に27415円と75日移動平均線(8日時点27584円)を一時、下回りましたが、週末の9日(金)は、△326円の27901円と先物主導で反発しました。メジャーSQが終了して需給関係がすっきりしたための上昇のようにみえます。

今週は、米国では13日の消費者物価指数と13~14日のFOMC、15日には中国で11月の鉱工業生産など経済統計が発表されます。
ECB理事会も予定されており、内容によって強弱感が対立して荒い相場となる可能性もあります。下値では週足チャートでは、13週線、26週線、52週線が27400円近辺に集まっているため、この水準から切り返してもおかしくありません。

先週末の金曜の反発は、それを示していますが、チャートはいったん、25日移動平均線を割り込んで要注意となっていますが、相場の流れを上に戻すためには、11月24日の高値28502円を終値で上回る必要があります。
それを確認するまでは、戻り売りが続くことになります。下値は8日の安値27415円となります。

そうなると、しばらくは27500~28400円のレンジの中の動きとなります。この動きの中では、12月中旬以降は、個人投資家の節税対策売りや損失確定売りが出やすく、大きく膨らんでいる信用買い残も気になるところです。

(指標)日経平均

先週の動き

週始めの12月5日(月)は、前週末の大幅な下げの反動で△42円の27820円と小反発でした。6日(火)も前日のNYダウが大きく下げるものの、▲122円の27698円まで下げて△65円の27885円と続伸しました。その後は軟調となって7日(水)は▲199円、8日(木)は一時▲270円の27415円まで下げ▲111円の27574円と27600円を割り込みました。週末はメジャーSQでしたが、SQが通過すると前日の米国株高を受けて前場は△378円の27952円まで上昇し、後場は高値圏でもみあって△326円の27901円でした。

今週の見通し

先週は、一時、25日移動平均線(8日時点27894円)を割り込み27415円まで下げましたが、週末は一気に△326円の27901円まで戻しました。
しかし、メジャーSQ通過後の先物主導での戻りであり、継続するかどうかは今週の米国の13日の消費者物価指数と13~14日のFOMC次第となります。強弱感が対立し27500~28400円のレンジの中での荒い動きとなりそうです。

(指標)NYダウ

先週の動き

12月5日(月)は、ISM非製造業景況指数の予想を上回る強い結果を受け、利上げ長期化が改めて意識され▲482ドルの33947ドルとなり、6日(火)もJPモルガンのCEが景気先行警戒感を示したことを受け、▲350ドルの33596ドルと続落しました。

7日(水)は、一服し8日(木)は中国のコロナ規制緩和を好感し、△183ドルの33781ドルとなりました。週末の9日(金)は、11月生産者物価指数が前月比0.3%と市場予想を上回ったことで、FRBによる利上げ長期化への警戒感が高まり、▲305ドルの33476ドルと反落しました。

今週の見通し

今週は、11月消費者物価指数やFOMCが注目となります。11月消費者物価指数の伸びが鈍化すれば、インフレのピークアウト期待が出て、来年の利上げ観測が後退し、株式市場のプラス材料となりますが、逆に先週発表の11月生産者物価指数が期待されていたように鈍化しなかったように、11月消費者物価指数も予想を上回れば、株式市場のマイナス要因となります。FOMCではタカ派的内容が示さされれば過剰な利上げを警戒した売り圧力となりそうです。

(指標)ドル/円

先週の動き

先週は、週始めは134円台のスタートとなりましたが、12月5日のISM非製造業景況指数が予想外に上昇したことで、ドル売りは縮小し、ドル買い・円売りが活発となり、7日には一時137.83円までドル高・円安にふれましたが、中国でのコロナ対策を制限する観測が広がり、ドル・円は135円台後半で下げ渋りました。9日は、11月生産者物価指数が予想を上回ったことで、ドル買いが観測され136.56円で引けました。

今週の動き

FRBの金融引締めの長期化の見方は変わらず、底堅い動きが想定されます、FOMCでの0.5%の利上げは織り込み済みですが、11月生産者物価指数は市場予想を上回っており、金融引締めの長期化の思惑は広がっています。13日発表の11月消費者物価指数が予想を上回れば、ドル買いも想定されますが、市場予想の0.5%は十分に織り込まれており、世界的金融引締めのペースの鈍化の流れからはリスク選考の円売りが強まる可能性があります。

配信元: みんかぶ株式コラム