■事業概要
2. 事業内容
同社グループは持株会社である森六ホールディングス<4249>の傘下に、森六テクノロジーを中核会社とする樹脂加工製品事業と、森六ケミカルズを中核会社とするケミカル事業を擁する。競合会社としては、樹脂加工製品事業ではダイキョーニシカワ<4246>、豊田合成<7282>、日本プラスト<7291>など、ケミカル事業では長瀬産業<8012>、稲畑産業<8098>などが挙げられるが、同社グループでは以下のような強みを持っている。
樹脂加工製品事業では、複雑化する自動車業界のニーズに応え、多彩な技術で主に自動車の内装や外装向けの高品質な樹脂部品を製造・販売しており、自動車部品の「メーカー」機能を果たす。同社グループでは、1958年に生産事業に参入し、樹脂加工製品事業は近年のグループ業績をけん引している。同事業は、ホンダが主要な取引先だが、VW、日産自動車<7201>、SUBARU<7270>など、他の自動車メーカーへの販売も拡大中である。企画から量産までをカバーする一貫体制で、顧客の期待を超えるソリューションを提供している。先行開発による提案力、確かな品質保証、グローバルな生産体制などの強みを有している。
また、ケミカル事業では、生活材料、ファインケミカル、コーティング、電機・電子、自動車材料、樹脂加工製品などの事業領域で、幅広い分野の顧客をトータルにサポートしており、化学分野における「商社」機能を果たしている。創業以来の商社機能は、機能の成熟・拡大を続けてきた。顧客のニーズに応えるソリューションプロバイダーとして、商社としての知見、独自技術を持った関係会社のネットワーク、グローバルなビジネス展開などの強みを持っている。
同社グループは、世界13ヶ国、61拠点でグローバルビジネスを展開しており、2022年3月期の所在地別売上高比率では、日本28.4%、北米38.7%、アジア32.8%と、バランスの取れた地域ポートフォリオを形成している。北米やアジアの売上比率が高いのは、それら地域に進出しているホンダとの取引比率が高いからである。また、事業セグメント別では、樹脂加工製品事業が売上高の79.0%、営業利益(セグメント間消去などの調整前)の40.6%を、またケミカル事業が売上高の21.0%、営業利益の59.4%を占めている。樹脂加工製品事業は、コロナ感染再拡大や半導体不足による減産の影響により減益となり、営業利益の構成比は前期の76.7%から大きく低下した。一方、ケミカル事業は、ナフサ価格の高騰に加えて、化学品の需要堅調により増益となり、営業利益の構成比は前期の23.3%から拡大している。
樹脂加工製品事業とケミカル事業の概要は以下のとおりである。
(1) 樹脂加工製品事業
樹脂加工製品事業は国内外連結子会社13社および関係会社1社で構成されており、森六テクノロジーを中心に、主に自動車用樹脂部品の製品企画から設計、金型設計・熟成、試作・試験、量産にいたるまでを一貫して行い、高品質・高性能な製品づくりが可能な生産拠点をグローバルに展開することで、強固な生産・開発体制を構築している。社内においては、営業段階から、技術研究所、生産技術部、品質保証部などの関連部署が連携することで顧客のニーズを正確に把握し、柔軟できめ細かな対応を可能としている。また「環境保護」の観点から、製造現場レベルでのリサイクルだけでなく、企画段階から、後工程でのリサイクル性まで考慮した商品開発を行う。
樹脂加工製品事業の約95%がホンダ向けの部品であることから、海外、国内ともにホンダの生産拠点に隣接して開発及び生産拠点を有する。すべての生産拠点では同じ品質の製品を生産することができ、サプライチェーンにおけるリスク回避にも対応している。
四輪自動車用樹脂成形部品から二輪用外装部品、機能部品まで幅広い製品をラインナップしている。市場ニーズに基づく提案型の開発で生まれたアイデアは、試作とテストによって磨きぬかれた設計図となり、世界中の工場で、同じ品質基準を守って製品として量産されている。
内装部品においては、木目調、金属調、高光沢、高輝度等、多種多様な意匠が特長であり、より高い利便性や操作性を実現している。外装部品においては、完成車両と一体化した外装の樹脂部品が特長であり、高度な成形技術、塗装技術により、耐久性と合わせて非常に高い外観品質を実現している。
森六の樹脂加工製品事業の強みは、自動車の付加価値を高める技術力である。CAE(Computer Aided Engineering)解析による先端技術と匠による熟練技術を融合させた「金型熟成」、鉄から樹脂へ、時代のニーズを先取りした樹脂部品の「軽量化・薄肉化」、高級感やデザイン性の高い内装部品に仕上げる業界トップレベルの「加飾フィルム技術」、高い外観品質と耐久性を実現した「塗装技術」が森六の樹脂加工事業の強みであり、これらの技術により製品への高付加価値を追求することが差別化戦略となっている。
(2) ケミカル事業
ケミカル事業は国内連結子会社15社および関係会社5社で構成されており、森六ケミカルズを中心に、化学品の販売、輸出入を主とし、きめ細かいサプライチェーンと長年の取引で培われた信頼関係のもと、生活材料、ファインケミカル、コーティング、電機・電子、自動車材料、樹脂加工製品の6分野で幅広く事業展開する。また、「商社事業」に加えて、独自の技術力を持つグループ会社と連携し製品を開発・加工・製造する「ものづくり事業」を展開する。
商社事業においては、「トレーディング」「マーケティング」「物流」に加えて、樹脂加工技術を持つ森六テクノロジーと連携することで、成形部品による実物テストにグループ内で対応する。ものづくり事業では、安全、衛生、精密など優れた機能性を有し、主に医療、食品、電子分野などで使われる「高機能多層フィルム」を主力製品とする。コア技術の「共押出」は、2台以上の押出し機を使用し、同種あるいは2種以上の異なる樹脂を複層的に押し出すことによって生産される多層フィルムの製造技術である。なかでも医療用の高機能多層フィルムは、主に点滴バッグに使用されており、バッグ内が2~4室に分かれていて、使用する直前に圧力をかけると薬剤が混ざる仕組みになっている。薬剤取り違えミスの防止や、医療スタッフの作業負荷軽減に繋がる商品として国内で高いシェアを占めており、最新の自動化設備により高い生産性と品質を実現している。こうした技術により、四国化工(株)はケミカル事業の営業利益の約3割を占めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<SI>
2. 事業内容
同社グループは持株会社である森六ホールディングス<4249>の傘下に、森六テクノロジーを中核会社とする樹脂加工製品事業と、森六ケミカルズを中核会社とするケミカル事業を擁する。競合会社としては、樹脂加工製品事業ではダイキョーニシカワ<4246>、豊田合成<7282>、日本プラスト<7291>など、ケミカル事業では長瀬産業<8012>、稲畑産業<8098>などが挙げられるが、同社グループでは以下のような強みを持っている。
樹脂加工製品事業では、複雑化する自動車業界のニーズに応え、多彩な技術で主に自動車の内装や外装向けの高品質な樹脂部品を製造・販売しており、自動車部品の「メーカー」機能を果たす。同社グループでは、1958年に生産事業に参入し、樹脂加工製品事業は近年のグループ業績をけん引している。同事業は、ホンダが主要な取引先だが、VW、日産自動車<7201>、SUBARU<7270>など、他の自動車メーカーへの販売も拡大中である。企画から量産までをカバーする一貫体制で、顧客の期待を超えるソリューションを提供している。先行開発による提案力、確かな品質保証、グローバルな生産体制などの強みを有している。
また、ケミカル事業では、生活材料、ファインケミカル、コーティング、電機・電子、自動車材料、樹脂加工製品などの事業領域で、幅広い分野の顧客をトータルにサポートしており、化学分野における「商社」機能を果たしている。創業以来の商社機能は、機能の成熟・拡大を続けてきた。顧客のニーズに応えるソリューションプロバイダーとして、商社としての知見、独自技術を持った関係会社のネットワーク、グローバルなビジネス展開などの強みを持っている。
同社グループは、世界13ヶ国、61拠点でグローバルビジネスを展開しており、2022年3月期の所在地別売上高比率では、日本28.4%、北米38.7%、アジア32.8%と、バランスの取れた地域ポートフォリオを形成している。北米やアジアの売上比率が高いのは、それら地域に進出しているホンダとの取引比率が高いからである。また、事業セグメント別では、樹脂加工製品事業が売上高の79.0%、営業利益(セグメント間消去などの調整前)の40.6%を、またケミカル事業が売上高の21.0%、営業利益の59.4%を占めている。樹脂加工製品事業は、コロナ感染再拡大や半導体不足による減産の影響により減益となり、営業利益の構成比は前期の76.7%から大きく低下した。一方、ケミカル事業は、ナフサ価格の高騰に加えて、化学品の需要堅調により増益となり、営業利益の構成比は前期の23.3%から拡大している。
樹脂加工製品事業とケミカル事業の概要は以下のとおりである。
(1) 樹脂加工製品事業
樹脂加工製品事業は国内外連結子会社13社および関係会社1社で構成されており、森六テクノロジーを中心に、主に自動車用樹脂部品の製品企画から設計、金型設計・熟成、試作・試験、量産にいたるまでを一貫して行い、高品質・高性能な製品づくりが可能な生産拠点をグローバルに展開することで、強固な生産・開発体制を構築している。社内においては、営業段階から、技術研究所、生産技術部、品質保証部などの関連部署が連携することで顧客のニーズを正確に把握し、柔軟できめ細かな対応を可能としている。また「環境保護」の観点から、製造現場レベルでのリサイクルだけでなく、企画段階から、後工程でのリサイクル性まで考慮した商品開発を行う。
樹脂加工製品事業の約95%がホンダ向けの部品であることから、海外、国内ともにホンダの生産拠点に隣接して開発及び生産拠点を有する。すべての生産拠点では同じ品質の製品を生産することができ、サプライチェーンにおけるリスク回避にも対応している。
四輪自動車用樹脂成形部品から二輪用外装部品、機能部品まで幅広い製品をラインナップしている。市場ニーズに基づく提案型の開発で生まれたアイデアは、試作とテストによって磨きぬかれた設計図となり、世界中の工場で、同じ品質基準を守って製品として量産されている。
内装部品においては、木目調、金属調、高光沢、高輝度等、多種多様な意匠が特長であり、より高い利便性や操作性を実現している。外装部品においては、完成車両と一体化した外装の樹脂部品が特長であり、高度な成形技術、塗装技術により、耐久性と合わせて非常に高い外観品質を実現している。
森六の樹脂加工製品事業の強みは、自動車の付加価値を高める技術力である。CAE(Computer Aided Engineering)解析による先端技術と匠による熟練技術を融合させた「金型熟成」、鉄から樹脂へ、時代のニーズを先取りした樹脂部品の「軽量化・薄肉化」、高級感やデザイン性の高い内装部品に仕上げる業界トップレベルの「加飾フィルム技術」、高い外観品質と耐久性を実現した「塗装技術」が森六の樹脂加工事業の強みであり、これらの技術により製品への高付加価値を追求することが差別化戦略となっている。
(2) ケミカル事業
ケミカル事業は国内連結子会社15社および関係会社5社で構成されており、森六ケミカルズを中心に、化学品の販売、輸出入を主とし、きめ細かいサプライチェーンと長年の取引で培われた信頼関係のもと、生活材料、ファインケミカル、コーティング、電機・電子、自動車材料、樹脂加工製品の6分野で幅広く事業展開する。また、「商社事業」に加えて、独自の技術力を持つグループ会社と連携し製品を開発・加工・製造する「ものづくり事業」を展開する。
商社事業においては、「トレーディング」「マーケティング」「物流」に加えて、樹脂加工技術を持つ森六テクノロジーと連携することで、成形部品による実物テストにグループ内で対応する。ものづくり事業では、安全、衛生、精密など優れた機能性を有し、主に医療、食品、電子分野などで使われる「高機能多層フィルム」を主力製品とする。コア技術の「共押出」は、2台以上の押出し機を使用し、同種あるいは2種以上の異なる樹脂を複層的に押し出すことによって生産される多層フィルムの製造技術である。なかでも医療用の高機能多層フィルムは、主に点滴バッグに使用されており、バッグ内が2~4室に分かれていて、使用する直前に圧力をかけると薬剤が混ざる仕組みになっている。薬剤取り違えミスの防止や、医療スタッフの作業負荷軽減に繋がる商品として国内で高いシェアを占めており、最新の自動化設備により高い生産性と品質を実現している。こうした技術により、四国化工(株)はケミカル事業の営業利益の約3割を占めている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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関連銘柄
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4246
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611.0
(09:10)
|
+1.0
(+0.16%)
|
4249
|
1,946.0
(09:04)
|
+14.0
(+0.72%)
|
7201
|
435.6
(09:11)
|
-7.3
(-1.67%)
|
7270
|
2,579.0
(09:11)
|
-20.5
(-0.78%)
|
7282
|
2,697.5
(09:11)
|
-38.5
(-1.40%)
|
7291
|
339.0
(09:09)
|
+1.0
(+0.29%)
|
8012
|
3,161.0
(09:11)
|
+10.0
(+0.31%)
|
8098
|
3,195.0
(09:10)
|
0.0
(---)
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