■成長戦略
1. 前中期経営計画の振り返り
芙蓉総合リース<8424>は、国内リース事業を取り巻く環境が大きく変化するなかで、「前例のない場所へ。」をスローガンに掲げ、2022年3月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画「Frontier Expansion 2021」を推進してきた。特に、1)戦略分野の選択と集中、2)フロンティアへの挑戦、3)グループシナジーの追求の3つの戦略軸により、事業領域の拡大・新規事業の創出を推進するとともに、積極的なインオーガニック戦略を通じた機能強化を進め、グループベースでの事業展開の加速に取り組んできた。
その結果、戦略分野(不動産、エネルギー環境、航空機、海外、医療・福祉)を中心としたビジネス領域の拡大に加え、BPOやモビリティビジネスなどの新領域の貢献により、ROAの向上と営業資産残高の積み上げを同時に実現した。経常利益は年平均成長率10%超の高い成長を続け、経営目標3項目(経常利益、ROA、営業資産残高)はいずれも超過達成することができた。したがって、競争が厳しい業界環境に加え、コロナ禍やウクライナ情勢など不安定な経済情勢が続くなかで、業績面・戦略面の両方において大きな成果を残すことができたと評価することができる。
2. 新中期経営計画の方向性
2027年3月期を最終年度とする5ヶ年の新中期経営計画では、「Fuyo Shared Value 2026」をスローガンとして、ひとの成長と対話を通じた「社会課題の解決」と「経済価値」の同時実現による持続的な成長を目指す方向性である。特徴的なのは、企業価値と社会価値の両面から企業価値の向上を実現していく戦略がベースとなっているところであり、経営目標についても財務、非財務の両方の項目を掲げている。
(1) 成長ドライバー
これまでの戦略分野(及び新領域)を軸として、1)社会的な地殻変動を捉えた戦略的な成長を目指すRT(ライジングトランスフォーメーション)分野、2)市場トレンドを捉えた加速度的成長を目指すAT(アクセラレーティングトランスフォーメーション)分野、3)中核分野の安定成長を目指すGP(グロウイングパフォーマンス)分野の3つの成長ドライバーに分類したうえで、マーケットの拡大・創出が見込まれるRT及びAT分野へ経営資源を集中投下するとともに、GP分野については差別化による収益性の向上を図っていく戦略である。なお、RT分野には「モビリティ」「サーキュラーエコノミー」、AT分野には「エネルギー環境」「BPO/ICT」「医療福祉」、GP分野には「不動産」「航空機」を位置付けている。
(2) 資源配分と収益ポートフォリオのイメージ
成長領域であるRT及びAT分野に約1兆円(5年間累計)を集中投下し、ROAの向上と営業資産残高の積み上げを同時実現させるほか、中核分野であるGP分野については、収益性をより向上させることで全体のROA向上につなげていく方針である。5年後の営業資産残高は3兆円レベル(2022年3月期比約0.5兆円増)を見込んでいるが、そのうちRT及びAT分野は4,000億円から8,000億円へと資産の入れ替えを伴いながら、倍増させる想定となっている。また、5年後の経常利益は750億円を計画しているが、その構成比を見るとRT分野が6%から9%へ、AT分野が13%から24%へと大きく高まり、GP分野は41%から40%とほぼ横ばいを維持する一方、従来の「一般リース・ファイナンス」については40%から27%へと大きく低下し、明らかに「脱ファイナンス・リース」「脱金融」が進む流れとなっている。
(3) 経営目標
3つの成長ドライバーによる事業戦略の成果指標として、財務目標と非財務目標の両方を掲げており、「経済価値」と「社会価値」の同時実現を目指す考えである。財務目標には、経常利益750億円、ROA 2.5%、自己資本比率13%~15%、ROE 10%以上の4項目を掲げている。そして、一定の財務規律と資本効率のバランスを取りながら、収益性のさらなる向上を図っていく。一方、非財務目標は、1)環境、2)社会とひと、3)人材投資の3つの視点から取り組むべき項目を設定し、脱炭素社会や循環型社会の実現などによる「社会課題の解決」を通じて、同社自身の持続的な企業価値の向上にもつなげていく方針である。また、気候変動対策として、引き続き2030年を目標とするカーボンニュートル及びRE 100※の達成に向けても取り組んでいく。
※事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる国際的な企業連合。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
1. 前中期経営計画の振り返り
芙蓉総合リース<8424>は、国内リース事業を取り巻く環境が大きく変化するなかで、「前例のない場所へ。」をスローガンに掲げ、2022年3月期を最終年度とする5ヶ年の中期経営計画「Frontier Expansion 2021」を推進してきた。特に、1)戦略分野の選択と集中、2)フロンティアへの挑戦、3)グループシナジーの追求の3つの戦略軸により、事業領域の拡大・新規事業の創出を推進するとともに、積極的なインオーガニック戦略を通じた機能強化を進め、グループベースでの事業展開の加速に取り組んできた。
その結果、戦略分野(不動産、エネルギー環境、航空機、海外、医療・福祉)を中心としたビジネス領域の拡大に加え、BPOやモビリティビジネスなどの新領域の貢献により、ROAの向上と営業資産残高の積み上げを同時に実現した。経常利益は年平均成長率10%超の高い成長を続け、経営目標3項目(経常利益、ROA、営業資産残高)はいずれも超過達成することができた。したがって、競争が厳しい業界環境に加え、コロナ禍やウクライナ情勢など不安定な経済情勢が続くなかで、業績面・戦略面の両方において大きな成果を残すことができたと評価することができる。
2. 新中期経営計画の方向性
2027年3月期を最終年度とする5ヶ年の新中期経営計画では、「Fuyo Shared Value 2026」をスローガンとして、ひとの成長と対話を通じた「社会課題の解決」と「経済価値」の同時実現による持続的な成長を目指す方向性である。特徴的なのは、企業価値と社会価値の両面から企業価値の向上を実現していく戦略がベースとなっているところであり、経営目標についても財務、非財務の両方の項目を掲げている。
(1) 成長ドライバー
これまでの戦略分野(及び新領域)を軸として、1)社会的な地殻変動を捉えた戦略的な成長を目指すRT(ライジングトランスフォーメーション)分野、2)市場トレンドを捉えた加速度的成長を目指すAT(アクセラレーティングトランスフォーメーション)分野、3)中核分野の安定成長を目指すGP(グロウイングパフォーマンス)分野の3つの成長ドライバーに分類したうえで、マーケットの拡大・創出が見込まれるRT及びAT分野へ経営資源を集中投下するとともに、GP分野については差別化による収益性の向上を図っていく戦略である。なお、RT分野には「モビリティ」「サーキュラーエコノミー」、AT分野には「エネルギー環境」「BPO/ICT」「医療福祉」、GP分野には「不動産」「航空機」を位置付けている。
(2) 資源配分と収益ポートフォリオのイメージ
成長領域であるRT及びAT分野に約1兆円(5年間累計)を集中投下し、ROAの向上と営業資産残高の積み上げを同時実現させるほか、中核分野であるGP分野については、収益性をより向上させることで全体のROA向上につなげていく方針である。5年後の営業資産残高は3兆円レベル(2022年3月期比約0.5兆円増)を見込んでいるが、そのうちRT及びAT分野は4,000億円から8,000億円へと資産の入れ替えを伴いながら、倍増させる想定となっている。また、5年後の経常利益は750億円を計画しているが、その構成比を見るとRT分野が6%から9%へ、AT分野が13%から24%へと大きく高まり、GP分野は41%から40%とほぼ横ばいを維持する一方、従来の「一般リース・ファイナンス」については40%から27%へと大きく低下し、明らかに「脱ファイナンス・リース」「脱金融」が進む流れとなっている。
(3) 経営目標
3つの成長ドライバーによる事業戦略の成果指標として、財務目標と非財務目標の両方を掲げており、「経済価値」と「社会価値」の同時実現を目指す考えである。財務目標には、経常利益750億円、ROA 2.5%、自己資本比率13%~15%、ROE 10%以上の4項目を掲げている。そして、一定の財務規律と資本効率のバランスを取りながら、収益性のさらなる向上を図っていく。一方、非財務目標は、1)環境、2)社会とひと、3)人材投資の3つの視点から取り組むべき項目を設定し、脱炭素社会や循環型社会の実現などによる「社会課題の解決」を通じて、同社自身の持続的な企業価値の向上にもつなげていく方針である。また、気候変動対策として、引き続き2030年を目標とするカーボンニュートル及びRE 100※の達成に向けても取り組んでいく。
※事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる国際的な企業連合。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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