アクシージア Research Memo(5):積極的な広告宣伝投資とチャネル横展開が奏功し、主力の中国市場が好調に推移

配信元:フィスコ
投稿:2022/04/07 15:05
■業績動向

1. 2022年7月期第2四半期累計業績の概要
アクシージア<4936>の2022年7月期第2四半期累計の売上高は3,934百万円(前年同期比49.7%増)、営業利益813百万円(同26.9%増)、経常利益835百万円(同30.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益542百万円(同37.1%増)と好調に推移した。また計画比では、売上高で15.6%、営業利益で31.4%、経常利益で36.2%、親会社株主に帰属する四半期純利益で36.4%上振れて着地した。

売上高について、地域別では主力の中国市場が前年同期比55.1%増の3,638百万円と好調に推移し、このうち、既存のECプラットフォームである「Taobao」他が同27.4%増、「Tmall Global」が同42.1%増、「RED」が同82.3%増と高成長を維持した。これに加え、動画プラットフォーム「TikTok」及びECプラットフォーム「JD.com」に旗艦店を出店したことも購入者の拡大に寄与しており、積極的な広告宣伝投資により成長を目指す戦略が奏功している。このほか、中国最大のECイベント「W11」開催期間中における同社の売上高は前年比57%増と大きな成果を上げた。製品別では、「W11」の好調や「TikTok」旗艦店の好調な立ち上がりが起因し、主力の「AXXZIA」ブランドの「エッセンスシート」が同74.0%増の1,862百万円、「AGtheory」ブランドの「AGドリンク」が同24.8%増の1,235百万円と第2四半期累計で過去最高売上を記録した。

利益面では、計画どおりブランド知名度向上及び販売基盤拡大のための広告先行投資を実施した結果、広告宣伝費が計画比3.5%増※の744百万円となったほか、支払手数料の増加(前年同期比309百万円増、ECプラットフォーム利用料等)により販管費が前年同期比78.4%増加したものの、増収による売上総利益の増加が上回り、営業利益は同26.9%増益となった。

※計画比超過分は中国EC売上増加に連動したものであり、ROIの観点では順調である。



自己資本比率90.3%と財務体質は優良。M&Aによる工場設備取得のための資金は潤沢

2. 財務状況及び経営指標
2022年7月期第2四半期末の資産合計は前期末比316百万円増の8,583百万円となった。このうち流動資産は同314百万円増の8,004百万円であったが、主な要因は製品が167百万円増加、現金及び預金が147百万円増加したこと等による。固定資産は同1百万円増であり、大きな変化はなかった。

負債合計は前期末比240百万円減の833百万円となった。このうち流動負債は同208百万円減の749百万円であったが、主な要因は未払法人税等が117百万円減少、1年内返済予定の長期借入金が67百万円減少したこと等による。固定負債は同32百万円減の83百万円となった。有利子負債は65百万円と現金及び預金6,082百万円と比較して少なく、実質無借金に近い。純資産合計は利益剰余金が増加したこと等により、同556百万円増の7,750百万円となった。

経営指標では、2022年7月期第2四半期末の流動比率は1,067.6%(前期末は802.6%)、自己資本比率は90.3%(同87.0%)と、短期及び中長期の安全性が高い。同社では2022年4月にM&Aによる工場設備の取得(株式取得コスト約860百万円)を実施したが、そのための資金は潤沢である。


2022年7月期業績は期初予想を据え置くも、進捗が好調であることから上方修正の可能性も

3. 2022年7月期業績の見通し
2022年7月期の売上高は7,117百万円(前期比23.0%増)、営業利益1,466百万円(同6.1%増)、経常利益1,424百万円(同3.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益930百万円(同7.1%増)とする期初計画を据え置いた。

売上高については、コロナ禍の影響から早期に脱却した中国市場を中心に成長を図る。1,329百万円の増収のうち約97%が中国市場の売上で、このうち997百万円は中国ECの売上となる。既存のECプラットフォームの深耕に加え、横展開(「TikTok」や「JD.com」への進出)により売上高の上積みを狙う。なお、日本国内市場に関しては、コロナ禍の長期化によるリテール(店舗小売り)の落ち込みを想定し、定期便モデルを切り口としたECを軸に販売基盤の構築と販促強化を推進していく。営業利益については、中国及び日本市場でのブランド知名度向上・販売基盤拡大のため、引き続き広告宣伝活動に先行投資する方針で、宣伝広告費の予算は前期比628百万円増の1,421百万円としている。販管費は増えるものの、増収効果により増益を目指す。

通期予想に対する進捗率については、売上高で55.3%(前年同期は45.4%)、営業利益で55.5%(同46.4%)と前年同期と比較しても好調に推移しているものの、オミクロン株流行により中国ではゼロコロナ政策をとっていることもあり、コロナ禍の物流及び化粧品消費への影響等を慎重に見定めるために期初予想を据え置いた。2022年7月期第2四半期累計業績にはほぼ影響はなかったものの、2022年1月にはコロナ禍により物流倉庫が1週間ほど出荷できない状況(影響はほとんどなし)となったことから、倉庫の分散等の対策をしている。弊社では、中国経済及び物流の部分的な混乱や中国ECプラットフォームの勢力地図の変化などが発生しているものの、これらは同社が対象とする化粧品EC市場の成長を脅かすものではなく、マルチプラットフォームに展開している同社にとってリスクは低いと考えている。一方で、2022年4月に子会社化したユイット・ラボラトリーズの業績寄与は、売上高で150百万円程度、営業利益で3百万円程度を見込んでいる。2022年7月期第2四半期累計業績や足元の堅調な状況、M&Aの寄与等を考慮すれば、通期業績は上振れて着地する公算が高いと言えよう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)


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配信元: フィスコ

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