■業績動向
1. 2021年12月期業績
電算システムホールディングス<4072>の2021年12月期業績は、売上高50,356百万円(前期比10.1%増)、営業利益3,139百万円(同10.7%増)、経常利益3,215百万円(同10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,978百万円(同3.3%増)となった。同社は2021年7月1日に設立されたため、前期比についての比較元は、2020年12月期は電算システムの実績、2021年12月期決算については、株式移転完全子会社となった電算システムの中間期(2021年1月1日~2021年6月30日)の連結業績を含む、2021年1月1日から2021年12月31日までの12ヶ月となる。
2. セグメント別業績
(1) 情報サービス事業
情報サービス事業の売上高は30,685百万円(前期比13.0%増)、営業利益は2,307百万円(同11.2%増)となった。営業利益は第3四半期までは前期を下回っていたが、第4四半期になると大幅に利益を伸ばした。情報処理サービスでは、請求書作成代行サービスの好調により売上高が増加した。一方、SI・ソフト開発や商品及び製品販売においては、オートオークション業務システム案件が前期の大口案件の反動から減少したものの、GIGAスクール関連や「Chromebook」「Google Workspace」、セキュリティ製品販売及びサービスが大きく伸長した。また、2020年12月期第3四半期よりピーエスアイ、2021年12月期第3四半期よりマイクロリサーチが連結範囲に含まれたことが、セキュリティ分野の売上伸長に寄与した。
SI・ソフト開発におけるGoogle事業については、Google(「Google Workspace(旧「G Suite」)」)導入企業数が2,019社に拡大したほか、クラウド関連サービスの売上高は前期比14.8%増となった。デジタルサイネージについては東京オリンピック・パラリンピックまでは特需があったものの、その後は需要が落ち着いた形となっている。また、「Chromebook」はGIGAスクール構想が2021年3月で終了したものの、4月以降売れ筋は企業向けとなっており、確実に増加している。学校向けについてはピークが一巡したとはいえ、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)における支援や今後の関係構築も期待され、長期的には安定的な需要が見込まれる。また、企業向けは学校向けと比べて高価格であるほか、他のサービスなど付加価値が加わることによって利益率が相対的に高いと弊社では考えており、利益成長の一因となりうると見ている。
情報処理サービスにおけるBPO事業については、処理件数が94,201千件となり、前期の77,297千件から増加している。請求書作成代行処理が好調となり、処理件数の約4割を占めた。売上高については3,622百万円となり、前期の3,390百万円から増加した。コロナ禍の影響は長引いたが、2019年12月期(3,601百万円)水準まで回復した。なお、2021年11月より請求書のワンストップ配信「DSKマルチインボイスサービス」の提供を開始した。請求書の受け取り方法をPDFダウンロード・メール添付・郵送・FAX・クラウドサービスから選択できる、受取側の希望に沿った請求書をワンストップで配信できるサービスであり、2023年10月から導入される適格請求書等保存方式(インボイス制度)にも対応している。ペーパーレス化、輸送量削減等を推進することによってSDGsにも対応できる。また先進ICTを活用した高度な製品やサービスの提供により、企業のDX推進と顧客へのサービス向上に貢献できるとしている。請求書作成代行が処理件数を伸ばしているなか、同サービスとの相乗効果によって事業成長が見込まれるだろう。
(2) 収納代行サービス事業
収納代行サービス事業の売上高は19,670百万円(前期比5.7%増)、営業利益は899百万円(同16.4%増)となった。主力のコンビニ収納の件数は前期に続き増加した。処理件数も着実に増加しており、2億4千万件に到達した。また、2020年12月期より取り扱いを開始した「DSK後払い」では、取引先ごとの本格稼働まで時間を要しているものの、契約先件数は増加傾向にあり、収納代行窓口サービスの設置店舗数及び売上の伸びの下支えとなっている。そのほか、地方自治体を含む新規取引先の獲得は、コロナ禍の影響により対面活動の制限があったが、順調に推移した。
決済イノベーションの状況については、WILL CALLの導入店舗数は前期に比べ増加したが、コロナの影響で事業撤退した取引先等、解約先が増加し伸びは鈍化した。収納代行窓口の導入店舗数は4,050店舗(前期3,776店舗)と4,000店舗を超えており、収納可能な窓口が増加し、消費者にとって利便性が向上した。国際送金サービスは、活動に制限があるなか送金件数の伸びは苦戦を強いられたものの、通期において利益を確保した。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<EY>
1. 2021年12月期業績
電算システムホールディングス<4072>の2021年12月期業績は、売上高50,356百万円(前期比10.1%増)、営業利益3,139百万円(同10.7%増)、経常利益3,215百万円(同10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,978百万円(同3.3%増)となった。同社は2021年7月1日に設立されたため、前期比についての比較元は、2020年12月期は電算システムの実績、2021年12月期決算については、株式移転完全子会社となった電算システムの中間期(2021年1月1日~2021年6月30日)の連結業績を含む、2021年1月1日から2021年12月31日までの12ヶ月となる。
2. セグメント別業績
(1) 情報サービス事業
情報サービス事業の売上高は30,685百万円(前期比13.0%増)、営業利益は2,307百万円(同11.2%増)となった。営業利益は第3四半期までは前期を下回っていたが、第4四半期になると大幅に利益を伸ばした。情報処理サービスでは、請求書作成代行サービスの好調により売上高が増加した。一方、SI・ソフト開発や商品及び製品販売においては、オートオークション業務システム案件が前期の大口案件の反動から減少したものの、GIGAスクール関連や「Chromebook」「Google Workspace」、セキュリティ製品販売及びサービスが大きく伸長した。また、2020年12月期第3四半期よりピーエスアイ、2021年12月期第3四半期よりマイクロリサーチが連結範囲に含まれたことが、セキュリティ分野の売上伸長に寄与した。
SI・ソフト開発におけるGoogle事業については、Google(「Google Workspace(旧「G Suite」)」)導入企業数が2,019社に拡大したほか、クラウド関連サービスの売上高は前期比14.8%増となった。デジタルサイネージについては東京オリンピック・パラリンピックまでは特需があったものの、その後は需要が落ち着いた形となっている。また、「Chromebook」はGIGAスクール構想が2021年3月で終了したものの、4月以降売れ筋は企業向けとなっており、確実に増加している。学校向けについてはピークが一巡したとはいえ、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)における支援や今後の関係構築も期待され、長期的には安定的な需要が見込まれる。また、企業向けは学校向けと比べて高価格であるほか、他のサービスなど付加価値が加わることによって利益率が相対的に高いと弊社では考えており、利益成長の一因となりうると見ている。
情報処理サービスにおけるBPO事業については、処理件数が94,201千件となり、前期の77,297千件から増加している。請求書作成代行処理が好調となり、処理件数の約4割を占めた。売上高については3,622百万円となり、前期の3,390百万円から増加した。コロナ禍の影響は長引いたが、2019年12月期(3,601百万円)水準まで回復した。なお、2021年11月より請求書のワンストップ配信「DSKマルチインボイスサービス」の提供を開始した。請求書の受け取り方法をPDFダウンロード・メール添付・郵送・FAX・クラウドサービスから選択できる、受取側の希望に沿った請求書をワンストップで配信できるサービスであり、2023年10月から導入される適格請求書等保存方式(インボイス制度)にも対応している。ペーパーレス化、輸送量削減等を推進することによってSDGsにも対応できる。また先進ICTを活用した高度な製品やサービスの提供により、企業のDX推進と顧客へのサービス向上に貢献できるとしている。請求書作成代行が処理件数を伸ばしているなか、同サービスとの相乗効果によって事業成長が見込まれるだろう。
(2) 収納代行サービス事業
収納代行サービス事業の売上高は19,670百万円(前期比5.7%増)、営業利益は899百万円(同16.4%増)となった。主力のコンビニ収納の件数は前期に続き増加した。処理件数も着実に増加しており、2億4千万件に到達した。また、2020年12月期より取り扱いを開始した「DSK後払い」では、取引先ごとの本格稼働まで時間を要しているものの、契約先件数は増加傾向にあり、収納代行窓口サービスの設置店舗数及び売上の伸びの下支えとなっている。そのほか、地方自治体を含む新規取引先の獲得は、コロナ禍の影響により対面活動の制限があったが、順調に推移した。
決済イノベーションの状況については、WILL CALLの導入店舗数は前期に比べ増加したが、コロナの影響で事業撤退した取引先等、解約先が増加し伸びは鈍化した。収納代行窓口の導入店舗数は4,050店舗(前期3,776店舗)と4,000店舗を超えており、収納可能な窓口が増加し、消費者にとって利便性が向上した。国際送金サービスは、活動に制限があるなか送金件数の伸びは苦戦を強いられたものの、通期において利益を確保した。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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