■会社概要
1. 会社概要
フォースタートアップス<7089>は、「人材」と「資金」の両側面でスタートアップ企業等の成長を支援するハイブリッドキャピタルである。「for Startups」という経営ビジョンを掲げ、さらなるサービスの拡大や既存サービスの充実を図ることで成長産業のエコシステムを強化し、日本の再成長に尽力したいと考えている。同社の前身はウィルグループ<6089>の子会社である(株)セントメディア(現 (株)ウィルオブ・ワーク)において、2013年にスタートアップ企業に対する人材支援サービスの提供を目的としてネットジンザイバンク事業部を発足したことに始まる。その後、業容拡大及び変化の速いスタートアップ企業に対してより柔軟かつ機動的なサービスを提供するために、2016年に同事業部を会社分割し、(株)ネットジンザイバンクを設立した。なお、2018年3月に、現在の社名である「フォースタートアップス(株)」に商号変更している。
2. 事業内容
同社の事業は大きく分けてハイブリッドキャピタル分野とスタートアップエコシステム分野に分かれる。このうち、ハイブリッドキャピタル分野はタレントエージェンシーサービスとフォースタートアップスキャピタルに分かれ、スタートアップエコシステム分野はオープンイノベーションサービスで構成される。
(1) タレントエージェンシーサービス
タレントエージェンシーは、スタートアップ企業への人材紹介サービスやベンチャーキャピタルへの起業支援サービスを提供している。具体的には、「人材紹介」と「起業支援」に区分される。
a) 人材紹介
スタートアップ企業に対して、主に雇用期間の定めのない候補者を紹介し、当該候補者がスタートアップ企業に入社した際に成功報酬としてのコンサルティングフィーを受け取る。同社のヒューマンキャピタリスト(人材を取り扱う同社のコンサルタント)がスタートアップ企業から求人情報を獲得し、合致する候補者を他社の人材データベースを利用して発掘、ヘッドハンティングしている。また、成功報酬以外にも、毎月一定数の候補者の提案やターゲット人材の設定等のコンサルティングサービスも提供している。なお、(株)ビズリーチが運営する「ビズリーチ」経由での取引比率が高い傾向があり、2021年3月期の売上高のうち「ビズリーチ」経由での売上高は全体の51.0%を占めているが、今後もビズリーチとの良好な関係を保ちつつ取引を行うほか、複数媒体の利用推進によるリスク低減を図ってく方針だ。
b) 起業支援
起業支援サービスは2つに分かれる。まず、ベンチャーキャピタル※1と連携した起業家※2創出プログラムを推進している。具体的には、同社が発掘した起業潜在層を提携するベンチャーキャピタルに紹介し、当該ベンチャーキャピタルが相談や起業サポートを行っている。同社が紹介した起業潜在層が実際に起業に至った場合には、同社はベンチャーキャピタルから成功報酬を受け取るほか、新設会社に対して継続的な人材支援を行う。
※1 成長性の高い未上場企業等に対して投資を行う投資会社。
※2 スタートアップ企業の創業者を含む経営陣。
また、研究機関と連携した起業家創出プログラムも推進している。国内の研究機関(大学等)には、高い技術力をベースにした優れたアイデア・人材が多く存在している。しかしながら、このアイデアをビジネスとして実行できるケースは多くない。このため同社は、大学系ベンチャーキャピタルと連携して経営陣などの人材支援を行うことなど、起業サポートを行っている。同社が支援した経営陣等が実際に起業に至った場合には、同社は研究機関から成功報酬を受け取るほか、新設会社に対して継続的な人材支援を行う。
(2) オープンイノベーションサービス
オープンイノベーションは、同社が運営するデータベース「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」を活用し、大手企業や官公庁・自治体とスタートアップ企業の連携を促進するサービスを提供している。具体的には、「資金調達支援」「データベース課金」「Public Affairs」の3つに区分される。
a) 資金調達支援
資金調達ニーズのあるスタートアップ企業に、主に大手企業などの資金提供元を紹介し、資金調達規模に応じた手数料を受け取る。
b) データベース課金
同社が運営するデータベース「STARTUP DB」のデータを法人向けに提供し、定額利用料金を受け取るほか、顧客ニーズに応じたデータ販売により収入を得る。なお、「STARTUP DB」は、スタートアップ企業のデータベースと、起業家・投資家のインタビューコンテンツや業界・企業分析などの同社独自リサーチコンテンツを統合した「成長産業に特化した情報プラットフォーム」である。社内のエンジニア組織やスタートアップ企業・ベンチャーキャピタルとの連携を通じて情報を収集・統合している。
c) Public Affairs
官公庁・自治体によるスタートアップ業界関連の調査事業等を、競争入札を通じて受注するなどしている。産学官の連携を主体的に推進し、スタートアップ関連事業を受託するサービス(Public Affairs)を展開している。
(3) フォースタートアップスキャピタル
子会社のフォースタートアップスキャピタル(同)が設立した「フォースタートアップス1号投資事業有限責任組合」を通じて、成長企業に投資する。なお、出資総額は最大15億円としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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1. 会社概要
フォースタートアップス<7089>は、「人材」と「資金」の両側面でスタートアップ企業等の成長を支援するハイブリッドキャピタルである。「for Startups」という経営ビジョンを掲げ、さらなるサービスの拡大や既存サービスの充実を図ることで成長産業のエコシステムを強化し、日本の再成長に尽力したいと考えている。同社の前身はウィルグループ<6089>の子会社である(株)セントメディア(現 (株)ウィルオブ・ワーク)において、2013年にスタートアップ企業に対する人材支援サービスの提供を目的としてネットジンザイバンク事業部を発足したことに始まる。その後、業容拡大及び変化の速いスタートアップ企業に対してより柔軟かつ機動的なサービスを提供するために、2016年に同事業部を会社分割し、(株)ネットジンザイバンクを設立した。なお、2018年3月に、現在の社名である「フォースタートアップス(株)」に商号変更している。
2. 事業内容
同社の事業は大きく分けてハイブリッドキャピタル分野とスタートアップエコシステム分野に分かれる。このうち、ハイブリッドキャピタル分野はタレントエージェンシーサービスとフォースタートアップスキャピタルに分かれ、スタートアップエコシステム分野はオープンイノベーションサービスで構成される。
(1) タレントエージェンシーサービス
タレントエージェンシーは、スタートアップ企業への人材紹介サービスやベンチャーキャピタルへの起業支援サービスを提供している。具体的には、「人材紹介」と「起業支援」に区分される。
a) 人材紹介
スタートアップ企業に対して、主に雇用期間の定めのない候補者を紹介し、当該候補者がスタートアップ企業に入社した際に成功報酬としてのコンサルティングフィーを受け取る。同社のヒューマンキャピタリスト(人材を取り扱う同社のコンサルタント)がスタートアップ企業から求人情報を獲得し、合致する候補者を他社の人材データベースを利用して発掘、ヘッドハンティングしている。また、成功報酬以外にも、毎月一定数の候補者の提案やターゲット人材の設定等のコンサルティングサービスも提供している。なお、(株)ビズリーチが運営する「ビズリーチ」経由での取引比率が高い傾向があり、2021年3月期の売上高のうち「ビズリーチ」経由での売上高は全体の51.0%を占めているが、今後もビズリーチとの良好な関係を保ちつつ取引を行うほか、複数媒体の利用推進によるリスク低減を図ってく方針だ。
b) 起業支援
起業支援サービスは2つに分かれる。まず、ベンチャーキャピタル※1と連携した起業家※2創出プログラムを推進している。具体的には、同社が発掘した起業潜在層を提携するベンチャーキャピタルに紹介し、当該ベンチャーキャピタルが相談や起業サポートを行っている。同社が紹介した起業潜在層が実際に起業に至った場合には、同社はベンチャーキャピタルから成功報酬を受け取るほか、新設会社に対して継続的な人材支援を行う。
※1 成長性の高い未上場企業等に対して投資を行う投資会社。
※2 スタートアップ企業の創業者を含む経営陣。
また、研究機関と連携した起業家創出プログラムも推進している。国内の研究機関(大学等)には、高い技術力をベースにした優れたアイデア・人材が多く存在している。しかしながら、このアイデアをビジネスとして実行できるケースは多くない。このため同社は、大学系ベンチャーキャピタルと連携して経営陣などの人材支援を行うことなど、起業サポートを行っている。同社が支援した経営陣等が実際に起業に至った場合には、同社は研究機関から成功報酬を受け取るほか、新設会社に対して継続的な人材支援を行う。
(2) オープンイノベーションサービス
オープンイノベーションは、同社が運営するデータベース「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」を活用し、大手企業や官公庁・自治体とスタートアップ企業の連携を促進するサービスを提供している。具体的には、「資金調達支援」「データベース課金」「Public Affairs」の3つに区分される。
a) 資金調達支援
資金調達ニーズのあるスタートアップ企業に、主に大手企業などの資金提供元を紹介し、資金調達規模に応じた手数料を受け取る。
b) データベース課金
同社が運営するデータベース「STARTUP DB」のデータを法人向けに提供し、定額利用料金を受け取るほか、顧客ニーズに応じたデータ販売により収入を得る。なお、「STARTUP DB」は、スタートアップ企業のデータベースと、起業家・投資家のインタビューコンテンツや業界・企業分析などの同社独自リサーチコンテンツを統合した「成長産業に特化した情報プラットフォーム」である。社内のエンジニア組織やスタートアップ企業・ベンチャーキャピタルとの連携を通じて情報を収集・統合している。
c) Public Affairs
官公庁・自治体によるスタートアップ業界関連の調査事業等を、競争入札を通じて受注するなどしている。産学官の連携を主体的に推進し、スタートアップ関連事業を受託するサービス(Public Affairs)を展開している。
(3) フォースタートアップスキャピタル
子会社のフォースタートアップスキャピタル(同)が設立した「フォースタートアップス1号投資事業有限責任組合」を通じて、成長企業に投資する。なお、出資総額は最大15億円としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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