■要約
プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、ウォーターサーバーを設置した家庭や事業所に自社製造のミネラルウォーターを届ける宅配水業界の大手企業である。2016年に、天然水製造が強みの(株)ウォーターダイレクトと営業力が強みの(株)エフエルシーが経営統合して誕生した。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長だ。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切り、以後、強力な営業組織と販売ノウハウを武器に急成長する。保有顧客数136万件(2021年9月末時点)は2位に倍以上の差を付けており、宅配水業界でトップを走る。
1. 業績動向
2022年3月期第2四半期の売上収益は32,927百万円(前年同期比21.2%増)、営業利益2,932百万円(同37.8%増)、税引前四半期利益2,606百万円(同36.3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益1,618百万円(同45.3%増)となった。売上収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)においても新規契約獲得が好調に推移し、それに伴い保有顧客数が積み上がったことで前年同期比21.2%の増収となった。また、コロナ禍における在宅時間の増加や内食需要の高まりにより、1顧客当たりの水の消費量が増えたことも増収の要因となった。さらに、サービス対応の強化などによる既存顧客の継続率の向上等も保有顧客の維持(解約の防止)・向上に寄与した。営業利益に関しては、前期比37.8%の大幅な増益となった。売上総利益は、売上総利益率で前期並みを維持し、販管費は効率的な物流網の構築等の取り組みが奏功した。結果として営業利益額及び営業利益率で第2四半期としては最高業績(2016年7月企業統合以降)を達成した。
2. 業績見通し
2022年3月期通期の連結業績予想は、売上収益で前期比15.4%増の65,000百万円、営業利益は同22.9%増の5,400百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同3.3%増の3,300百万円としている。売上収益に関しては、第2四半期の売上収益の進捗率は50.7%に達しており、同社は期末に向けて保有顧客数が積み上がるストック型ビジネスであることから、売上収益は下期偏重となる通期計画をどこまで上回るかが焦点となる。利益面では、営業利益が前期比22.9%増と堅調な増益を予想する。営業利益率では8.3%と0.5ポイントの改善を見込む。2019年3月期に先行投資による損益分岐点を超えたため、現在は収益性が高まるフェーズにある。規模の拡大が順調に進めば工場の稼働率が高まり原価は低減できる。また、水の地産地消が進めば物流効率の向上によりさらなる販管費率の低下にもつながる。第2四半期の営業利益進捗率は54.3%に達しており順調な進捗だ。弊社では、以上のことから同社の売上収益、各利益の期初予想が保守的なものであると考えている。
3. 成長戦略・トピック
同社では、2022年3月期の施策として「他社製品のOEM製造の受託」「現状の営業体制の強化」などを打ち出しており、順次進捗している。「他社製品のOEM製造の受託」に関しては、強みである製造効率の高さを生かし、他社の宅配水の製造受託を推進する。「現状の営業体制の強化」に関しては、営業人員の計画的な採用、取次店等となる外部協力企業の開拓を行う。直販チャネルは、自社営業人員を巡行ペースで増加させ、12%前後の成長率の継続を図る。代理店チャネルは、より積極的な増員を図る。代理店に対しても、ブース販売におけるOJTやコールセンターのスクリプト・トークの共有など支援体制の充実により、成果を得られやすい体制を構築していく。
また、同社は岐阜県本巣郡北方町で8番目の工場(水源)の建設を進めている。稼働すれば、最大200万本/月の供給が可能となり、現在主力の富士吉田工場の75万本/月の供給量を超える。同社では、新規顧客獲得が順調に進捗しており、保有契約件数が増加したため、将来の宅配水の出荷量の増加に備えることが喫緊の課題となっていた。同社最大規模の生産量となるため、製造原価の面からも大きなスケールメリットが期待できる。総工費は土地代を含めて約50億円。建設工事は第1期と第2期に分かれ、第1期は2022年3月期には完了し、2022年2月から出荷が開始される計画である。
■Key Points
・宅配水業界で最大の規模と成長力。希少なナチュラルミネラルウォーターをワンウェイ方式で提供
・2022年3月期第2四半期は、大幅増収増益。保有顧客数が14万件純増し136万件に
・財務体質の強化が進む。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は19.1%
・2022年3月期通期は営業利益5,400百万円(前期比22.9%増)を予想。上期及び足元の順調な推移により上振れる可能性大
・OEM受託及び直販・代販の強化が基本方針。岐阜・北方の新工場は2022年2月出荷開始予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
プレミアムウォーターホールディングス<2588>は、ウォーターサーバーを設置した家庭や事業所に自社製造のミネラルウォーターを届ける宅配水業界の大手企業である。2016年に、天然水製造が強みの(株)ウォーターダイレクトと営業力が強みの(株)エフエルシーが経営統合して誕生した。率いるのは、エフエルシーを起業しプロモーション営業力で国内トップクラスに引き上げた実績を持つ萩尾陽平(はぎおようへい)代表取締役社長だ。ブランドを「プレミアムウォーター」に統一し再スタートを切り、以後、強力な営業組織と販売ノウハウを武器に急成長する。保有顧客数136万件(2021年9月末時点)は2位に倍以上の差を付けており、宅配水業界でトップを走る。
1. 業績動向
2022年3月期第2四半期の売上収益は32,927百万円(前年同期比21.2%増)、営業利益2,932百万円(同37.8%増)、税引前四半期利益2,606百万円(同36.3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益1,618百万円(同45.3%増)となった。売上収益は、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)においても新規契約獲得が好調に推移し、それに伴い保有顧客数が積み上がったことで前年同期比21.2%の増収となった。また、コロナ禍における在宅時間の増加や内食需要の高まりにより、1顧客当たりの水の消費量が増えたことも増収の要因となった。さらに、サービス対応の強化などによる既存顧客の継続率の向上等も保有顧客の維持(解約の防止)・向上に寄与した。営業利益に関しては、前期比37.8%の大幅な増益となった。売上総利益は、売上総利益率で前期並みを維持し、販管費は効率的な物流網の構築等の取り組みが奏功した。結果として営業利益額及び営業利益率で第2四半期としては最高業績(2016年7月企業統合以降)を達成した。
2. 業績見通し
2022年3月期通期の連結業績予想は、売上収益で前期比15.4%増の65,000百万円、営業利益は同22.9%増の5,400百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同3.3%増の3,300百万円としている。売上収益に関しては、第2四半期の売上収益の進捗率は50.7%に達しており、同社は期末に向けて保有顧客数が積み上がるストック型ビジネスであることから、売上収益は下期偏重となる通期計画をどこまで上回るかが焦点となる。利益面では、営業利益が前期比22.9%増と堅調な増益を予想する。営業利益率では8.3%と0.5ポイントの改善を見込む。2019年3月期に先行投資による損益分岐点を超えたため、現在は収益性が高まるフェーズにある。規模の拡大が順調に進めば工場の稼働率が高まり原価は低減できる。また、水の地産地消が進めば物流効率の向上によりさらなる販管費率の低下にもつながる。第2四半期の営業利益進捗率は54.3%に達しており順調な進捗だ。弊社では、以上のことから同社の売上収益、各利益の期初予想が保守的なものであると考えている。
3. 成長戦略・トピック
同社では、2022年3月期の施策として「他社製品のOEM製造の受託」「現状の営業体制の強化」などを打ち出しており、順次進捗している。「他社製品のOEM製造の受託」に関しては、強みである製造効率の高さを生かし、他社の宅配水の製造受託を推進する。「現状の営業体制の強化」に関しては、営業人員の計画的な採用、取次店等となる外部協力企業の開拓を行う。直販チャネルは、自社営業人員を巡行ペースで増加させ、12%前後の成長率の継続を図る。代理店チャネルは、より積極的な増員を図る。代理店に対しても、ブース販売におけるOJTやコールセンターのスクリプト・トークの共有など支援体制の充実により、成果を得られやすい体制を構築していく。
また、同社は岐阜県本巣郡北方町で8番目の工場(水源)の建設を進めている。稼働すれば、最大200万本/月の供給が可能となり、現在主力の富士吉田工場の75万本/月の供給量を超える。同社では、新規顧客獲得が順調に進捗しており、保有契約件数が増加したため、将来の宅配水の出荷量の増加に備えることが喫緊の課題となっていた。同社最大規模の生産量となるため、製造原価の面からも大きなスケールメリットが期待できる。総工費は土地代を含めて約50億円。建設工事は第1期と第2期に分かれ、第1期は2022年3月期には完了し、2022年2月から出荷が開始される計画である。
■Key Points
・宅配水業界で最大の規模と成長力。希少なナチュラルミネラルウォーターをワンウェイ方式で提供
・2022年3月期第2四半期は、大幅増収増益。保有顧客数が14万件純増し136万件に
・財務体質の強化が進む。親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は19.1%
・2022年3月期通期は営業利益5,400百万円(前期比22.9%増)を予想。上期及び足元の順調な推移により上振れる可能性大
・OEM受託及び直販・代販の強化が基本方針。岐阜・北方の新工場は2022年2月出荷開始予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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