今週は、まず29000円台回復を確実にすることができるかどうか

著者:出島 昇
投稿:2021/12/13 17:56

先週は、米国株高を受け、週前半29000円に近づくが、その後、失速

先週の予測では、週末の10日(金)にメジャーSQを控えて、日経平均は乱高下の可能性もあるとしました。オミクロン株の警戒心が続き下値固めの動きが続くことを想定しました。

オミクロン株は強い感染力を持っていると警戒されていますが、重症者が出ていないことでリスクが後退し、これを受けてアメリカ株式が急騰したことで、世界株高の動きとなりました。
日本株も連動して週始めの大きな下げのあとの反動も加わって29000円にあと100円ぐらいのところまで上昇しました。

しかし、何度か述べていたように29000円水準には日足での移動平均線が集まっているところであり、ここを上にぬけるのは難しいとしていました。
結局、週末のSQ前の9日(木)に28908円まで上昇後、売りに押され反落となり、週末は▲287円の28437円と続落して引けました。

週明けの6日(月)は、朝高後は一時▲335円の27693円まで下げ、売り一巡後は下げ渋って▲102円の27927円で引けました。

7日(火)は、前日の米国でホワイトハウスの主席医療顧問が、オミクロン株の重症化リスクは高くないと発言したことを受け、米株3指標はそろって上昇し、NYダウは△646ドルの35227ドルとなったことで、日経平均も連動し、先物の買い戻し中心に一時△691円の28618円まで上昇して終値は△528円の28455円と大幅反発となりました。

8日(水)も、前日の米国株式が3指標そろって大幅上昇となったことで、日本市場もオミクロン株への警戒ムードが後退し、一時△441円の28897円まで上昇し、終値は△405円の28860円と2日連続の大幅高となりました。
しかし、29000円水準に近づいたことで、9日(木)は戻り待ちの売りに上値を抑えられることになり、ザラ場で28908円をつけたあとは、ジリ安となり終値は▲135円の28725円と安値引けとなりました。

さて、週末の10日(金)は、前日の米国でハイテク株中心のナスダックが大きく下げたことで、日本市場でハイテク株中心に下げ、寄り付きは▲182円の28542円となり、メジャーSQ清算値は少し安い28523円でした。結局、日経平均は29000円をぬけることができずに上値が重くなり、買い戻しも一巡したために終盤には下げ幅を拡大し、▲287円の28437円となりました。

週末10日(金)の米国市場では、11月消費者物価指数は、前月比+0.8%、前年同月比6.8%と1982年以来の高い伸びを示したものの、コアPCIは予想と一致し、又、オミクロン株の影響は初期の調査が発表され限定的であったとされたため、3指標そろって大幅反発し、S&Pは最高値更新となりました。シカゴの日経先物は△180円の28580円でした。

今週は、まず29000円台回復を確実にすることができるかどうか

先週はメジャーSQを前に大きな動きとなって、29000円には接近しましたが、29000円近辺は、25日線、75日線、200日線などの日足の移動平均線が集まっているところで。

簡単に突破するのは難しく、29000円台を確実に回復するのはメジャーSQが終り、米国の14~15日のFOMCを終えてからだとしました。
先週末は注目の11月消費者物価指数は、39年ぶりの伸びでしたが、市場の予想の範囲内であったことで、米株3指標は大幅反発となり、あとはFOMCを通過するのを待つだけとなりました。12月3日(金)に27588円まで下げて下値を再度、確認した形ですので、今週、以降29000円台を回復すれば当面は確実な底入れを確認する動きとなります。

期待された11月相場は、冴えませんでしたが、チャートをみると12月に入って、12月3日のザラ場安値27588円から切り返して、9日(木)は28908円まで上昇して、28725円で終り、29000円に接近しました。
その結果、日足の移動平均線(25日線、75日線、200日線)、週足の26週線、52週線に接近、あるいはタッチしたところです。チャートは戻しの正念場にあるといえます。その結果、週末はいったん大きく下げました。

チャート上で戻しを確認するとすれば、日足の移動平均線では29100円以上、週足では9月14日の高値30795円からの上値抵抗線が29600円近辺となるので、ここを突破する必要があります。この正念場で29000円を突破できなければ、今年は大納会に向けての動きは期待できなくなります。

本日13日(月)は、寄り付きは、米11月CPIの上昇は想定内となりましたが、前週末の米国株式が上昇した流れを受け、投資家心理が改善し、また時間外取引での米株価指数先物高も支えとなり、前場は買いが先行しまし28793円まで上昇しました。しかし、買い一巡後は戻り売りや利益確定売りに抑えられ、後場終盤にかけて伸び悩み、その後は持ち直す場面もありましたが戻りは限定的で、またFOMC(14~15日)をにらみ積極的な売買も手控えられ、△202円の28640円で引けました。

(指標)日経平均

先週の予測では、12月10日(金)にメジャーSQを控えており、オミクロン株への警戒感や米国の金融緩和の方向もあり乱高下が想定されるとしました。日経平均は29000円の上値のフシを突破するのは難しいとしていました。

結果的には、週始めこそ▲335円の27693円まで下げて▲102円の27927円でしたが、その後は米国でオミクロン株への警戒感が後退して、NYダウをはじめ3指標が上昇したことで、日経平均は連動し、12月7日(火)は△528円、8日(水)は△405円と2日連続の大幅高となり、その後は29000円に接近すると上値は重くなり、9日(木)
のザラ場28908円を目先の高値に反落となり、週末は▲287円の28437円で引けました。

今週も引き続き、オミクロン株への警戒感が続き、米国での14~15日のFOMCでの金融緩和策が注目となります。市場では、2022年中に複数回の利上げの予想もあり、パウエル議長の発言に注目が集まります。
今週は、明確な底入れに向けて29000円台回復を目指す展開が想定されます。

 

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、オミクロン株の動向を睨んだ展開と11月消費者物価指数に注目が集まるとしました。

結果的にオミクロン株についてホワイトハウスの主席医療顧問がオミクロン株の重症化リスクは高くないと発表したことで、米株式の上昇は3日続き、NYダウは12月6日(月)は△646ドルの35227ドル、7日(火)△492ドルの35719ドル、8日(水)は△35ドルの35754ドルとなり、一服して10日(金)は△216ドルの35970ドルで終えました。
12月10日(金)の上昇は、注目の11月消費者物価指数は39年ぶりの高い伸びとなりましたが、予想の範囲内ということで材料出尽くしからの上昇でした。

今週は14~15日に開催される今年最後のFOMCが注目となります。パウエル議長が言及しているように声明文ではインフレが一過性との文言が削除される見通しです。高インフレが2022年まで続く可能性があるため、資産購入規模縮小の加速を協議する計画です。縮小を早期に終了することで、2022年の利上げも可能になります。経済は強く縮小ペースの加速に耐えられるとの見方を示しています。オミクロン株の影響を明確にするまでは、まだ時間がかかりそうですが影響は限定的で楽観的見方が相場をサポートするという見方が大勢を占めています。

 

 

(指標)ドル/円

先週の動き…オミクロン株の警戒感後退で円買い縮小

オミクロン株は、初期データによるとワクチンを接種することで予防効果が高まることや重症化のリスクは高くないとの確認がされ、感染拡大への警戒感は低下しました。これを好感して米国株式は反発し、ドルは12月8日の113.95円まで買われました。10日にはバイデン大統領の「インフレはピークをつけた」との見方が伝わってことで、ドル買い・円売りは縮小するものの、米国株式は強い動きをしていることで、113.40円で取引を終えました。

今週の見通し…米量的緩和の縮小ペース加速の可能性でドルは保ち合い

12月14~15日のFOMCで量的緩和策の縮小ペース加速に踏み出すと予想されています。ドル買い材料となり得ますが、1ドル=114円台に浮上すれば心理的フシの115円、11月20日の115.52円が意識され、ドル売りが上昇を抑えることになります。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム