今週は、休日を挟んでいるため29200~30000円のボックス相場続くか

著者:出島 昇
投稿:2021/11/22 17:42

先週は、政府の過去最大の経済対策出るが、日経平均は3万円に届かず「近くて遠い3万円」

先週の予測では、米国株式が堅調であれば、日経平均は3万円台に乗せることができるか注目とする一方で、アメリカ経済へのインフレ加速で株価が軟調な場合は、3万円台のせは難しいとしました。その理由は、最近の日本株式の相関的な動きをみると米株上昇でも日経平均は上昇せず、その例として最近の米株3指標の史上最高値更新にはほとんど連動していません。

逆に米株下落の場合は、日経平均は軟調な動きとなっています。

先週のNYダウの動きについて、11月8日(月)までは、3指標そろって最高値更新の動きとなっていましたが、その後はNYダウは8日の36565ドルをピークに3日連続安となって日足が10月1日の安値からの引線が下値支持線を割り込んでおり、日経平均は週の前半こそ、16日(火)まで4日続伸し、29960円まで上昇するものの、3万円接近で上値が重くなり、その後は18日(木)には▲285円の29402円まで下げ、終値では▲89円の29598円と2日続落となりました。

週末19日(金)は、NYダウは反落でしたが、前日の米国でフィラデルフィア半導体指数が大きく上昇し、ナスダックが最高値更新となったことで、東京エレクトロンと半導体関連株が上昇し、日経平均は△147円の29745円で引けました。3万円台への接近もこの日はありませんでした。

チャートの動きとしては、先週も「近くて遠い3万円」となっています。29000~30000円のレンジの中で、11月4日に29880円まで上昇し、ここからの下落で11月11日に当面の下値として29040円を確認したことで、先週は29880円を終値で上回れば3万円台のせが期待できるところでした。

16日(火)に一時29960円まで上昇しましたが、3万円接近での売り圧力強く、終値は29808円と29880円を突破できませんでした。

ここからいったん下値を探る動きとなって18日(木)には、29402円まで下げましたが、ここで午後2時に日本経済新聞社の電子版に19日に政府が経済対策費として過去最大の55.7兆円規模の財政支出をするとの報道を受け、一時29715円まで上昇してプラスに転じる場面がありましたが、戻り待ちの売りに押され▲89円の29598円で引けました。

この動きをみる限り「近くて遠い3万円」は、もっと明確な材料待ちということになります。

18日(木)のNYダウは反落しましたが、ナスダックやS&Pが最高値を更新したことで、東京エレクトロンを中心に半導体関連株が上昇したものの、29768円までしか上昇できず、終値は29745円でした。チャート上の目先の上値は29000~30000円のボックスの中で、11月4日の29880円とその上の16日の29960円となっています。19日(金)に政府が出した経済対策の55.7兆円にもそれほど反応していません。

週末の米国市場は、マチマチの動きとなりました。NYダウは▲268ドルの35601ドルと3日続落の一方で、ハイテク株主体のナスダックは2日連続の最高値更新となりました。NYダウの下げは欧州での新型コロナの感染再拡大を嫌気しています。

例えばオーストリアでは22日から飲食店などを閉鎖するロックダウンの再開、ドイツでは病床の逼迫懸念が出始めワクチン接種者への行動規制が始まっています。

この状況をみると日本の感染者の激減が信じられず、このまま大丈夫なのか懸念は出てきます。米国市場では、こうした動きが投資家心理を冷やし、幅広い銘柄で売りが先行しました。NYダウが下げた理由です。また、エネルギー需要も減少するとの思惑から昨日は原油価格も大幅下落となりました。シカゴの日経先物は▲155円の29625円でした。

今週は、休日を挟んでいるため29200~30000円のボックス相場続くか

今週の日経平均は、引き続き「近くて遠い3万円」が続きそうです。明日の休日をはさんでおり、3万円回復は難しいといえます。米国株式3指標が、それぞれ最高値更新となっても日本市場は追随しません。この理由は、買い主体の外国人投資家が、日本の政治に対する懸念があるということがあります。

19日に岸田政権が経済対策として、過去最大の55.7兆円の財政支出を発表しました。発表前日の18日(木)は、この報道を受けて一時大きく上昇しましたが、すぐに売りに押されてしましました。

今週は、改めて大規模な経済対策を受け上昇のキッカケになるかどうか注目となります。新聞の見出しは、「分配」柱、事業規模78.9兆円となっていますが、外国人投資家が、この経済対策に反応しないのは、資本市場が嫌気する「分配」を強調しているためだと言われています。

分配にお金を回すということは、投資家の取り分が少なくなるということを意味しますので、岸田政権の経済対策を評価していないということになります。

又、「金融所得税の強化」が再び頭をもたげてきたことも警戒感を抱かせているとも言われています。岸田政権は、外国人投資家が安心して投資できるように分配の前に成長政策を明確に打ち出さなければ株価は目先の3万円を超えてもさらに大きく上昇する期待がもてなくなります。

今は、29000~30000円のレンジの中でのボックス相場ですが、8月20日の26954円を底に10月6日の27293円、10月25日の28472円、11月1日の29040円と下値は着実に切り上げています。
それを考えるとアノマリーの11月下旬を迎え、新型コロナの感染が収束に向かい、企業業績は増額修正も多く、過去最大の経済対策も発表され上昇が期待されるところです。

チャートでは、日足の25日移動平均線(19日時点29302円)や10月6日の安値27293円から続く支持線(29700円近辺)を下値とする上昇基調を保っており、今週ぐらいは「近くて遠い3万円」もクリアーできそうです。本日22日(月)は、寄り付きは、欧州での新型コロナウイルスの感染再拡大を警戒し、また前週末のNYダウが下落した流れを受け、売りが先行し29542円まで下落しました。

しかし、さらに売り込む動きとはならず売り一巡後は持ち直し、時間外取引での米株先物高も支えとなり、後場は先物買いをきっかけに上げに転じ、一時29806円まで上昇し、△28円の29774円で引けました。

(指標)日経平均

先週の予測では、前週に29000~30000円のレンジの中で、11月11日に29040円と目先の安値を確認したことで、4日につけた29880円を終値で突破できれば3万円台の期待ができるとしました。

週始めは、米株式の堅調な動きを受け、また中国株の上昇にもサポートされ11月16日(火)には29960円と4日につけた29880円を上回りました、しかし、上値重く終値では△31円の29808円となり、終値では突破できませんでした。

18日(木)には、29402円まで下げたところで、19日公表の経済対策費が過去最高の55.7兆円と報道され、29715円まで反発しましたが、戻り売りで▲89円の29598円と続落しました。

週末の19日(金)の日経平均は前日のナスダックの最高値更新を受け、△147円の29745円で引けました。

今週は、明日23日(火)は休日で相場としては動きにくい週といえます。まずは19日の岸田政権の「分配」が柱の事業規模78.9兆円(財政支出55.7兆円)を市場の評価がどうなるのか注目するところです。

外国人が評価するようなら3万円台回復のきっかけになるところですが、分配に焦点が置かれ、成長政略が明確でないところが気になります。柴田罫線でみても2020年3月19日の16358円からの上昇トレンド(A)で9月14日に30795円の高値をつけたあと切って10月6日に27293円まで下げ、ここからの戻りで3万円水準は上昇トレンド(A)が上値抵抗線に変化しています。3万円台回復には大きなキッカケが必要です。


 

(指標)NYダウ

先週の予測では、10月小売売上高や小売の決算が好調ならば株価は上昇となるが、一方でインフレ高進が高まれば早期利上げ観測の思惑から株価は下落としました。

週始めは長期金利の低下からNYダウは上昇して始まるものの、翌日に小売売上の発表を控え様子見となりました。

翌日11月16日(火)は、10月小売売上高が予想を上回り、NYダウは一時△229ドルまで上昇するも上値重く△54ドルで引けました。その後はインフレ高進や新型コロナの再流行を受け、NYダウは3日続落となり、週末の19日(金)は、▲268ドルの35601ドルとなりました。但し、ハイテク株は上昇し、ナスダックは2日連続の史上最高値となっています。

今週の予想では、25日(木)は感謝祭で休場となり、26日(金)は短縮取引となるので正味の営業日は月、火、水の3日間となるため、大きな動きは出にくいという見方が多いとも。注目は感謝祭前のFRB議長の指名計画があり、大方の見方はパウエル議長の再任ですが、ブレイナード理事が指名された場合、短期的には不透明感が出て下げると見られています。

また欧州の一部では新型コロナの感染再拡大でロックダウンが計画・実施される国もあるが、これが広がれば株式市場にとってはマイナス要因となります。但し、ワクチンの接種によって大きな拡大にはならないと見られています。


 

(指標)ドル/円

先週の動き…経済指標改善で、ドル・円は年初来高値更新

米国の10月小売売上高が市場予想を上回り、10年債利回りが上昇し、ドル買い・円売りが強まりました。11月17日に114.97円までドル高が進行しました。その後、利益確定のドル売り・円買いが観測され、114円を下回る動きとなりました。

19日には一時113.35円までドルが売られましたが、欧州中央銀行総裁が「金融引き締めを急がない」と発言したことで、ユーロ売り・円買いが活発となり、この円買いがドル売りにつながりました。

しかし、FRB理事が量的緩和の縮小ペースを速めることを支持したことで、ドル売りは一服し114.01円で引けました。

今週の見通し…ドルは伸び悩みか

FRBによる早期利上げ観測は後退したが、欧州中央銀銀行(ECB)の金融緩和策は長期化するとみられており、安全資産としてドル買いが続きそうです。他の主要中央銀行も金融緩和縮小に慎重な姿勢を維持しており、ドル買いが活発化する要因となっています。

但し、1ドル=115円台は2017年3月以降の高値圏にあることから上値は重いといえます。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム