発表までは“膠着”、発表後は“付いていく”が基本……!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2021/11/05 11:30

◆ “円売り”から“円買い+ドル買い”へ… - MPC


昨日は“リスク選好→円売り”でスタートしたものの、欧州タイム以降は“円買い+ドル買い”に転じました。
特に英BOE金融政策委員会(MPC)にて“現状維持(据え置き)”が決定されると、“ポンド売り”が優勢となり、これが円やドルへと波及していきました。
こうしてポンドが対円・対ドルで急落する中、ドル円は“円買い”が目立ち、NYタイム中盤には“113.510円”へと押し下げられていきました。

もっとも基本は“綱引き(円⇔ドル)”という状況ですので、一方向への動きは限定されました。
このためそれ以降は“下げ渋り”が目立ち、“113円後半”へと緩やかに値を戻して、昨日の取引を終えています。

◆ 期待値高いが、その分だけリスクも…? - 米雇用統計


こうした中、本日は注目の「米雇用統計」が予定されます。
事前予想は「非農業部門雇用者数(+45.0万人)/失業率(4.7%)/平均時給(前年比+4.9%)」となっていますので、まずはここからの乖離具合が注目ということになります。

前哨戦を見ると、「ISM製造業景況指数」は前月より“鈍化(61.1→60.8)”したものの、構成項目である「雇用指数」は“3ヶ月ぶりの高水準(52.0)”を見せています。
「ADP雇用統計」も“好内容(+57.1万人)”を見せましたが、一方で「ISM非製造業景況指数」は“大きく上昇(61.9→66.7)”したものの、「雇用指数」は“悪化(53.0→51.6)”しています。
これがどう影響するか?

◆ いずれにしても“大一番”…?


『労働市場の一段の回復を確認したい』とはFOMCでパウエルFRB議長に述べていますので、予想を上回ると“上昇(114円台にしっかり)”が見込まれる反面、期待先行の面があるだけに下回れば“急落(場合によっては113円割れも…?)”という可能性も秘めている分水嶺。

オーダー状況を見ると“113.50-40円”にドル買いオーダー、“114.00-20円”にドル売りオーダーが積み上がっていると聞き及びます。
個人的には“好内容→上昇”という展開を想定していますが、発表までは“(当該レンジ内で)揺れ動き”、発表後は“(抜けた方に)付いていく”と思っておいた方がいいかもしれませんね。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン


※米雇用統計が予定されていますので、いつもより値幅を拡大しています。

114.944(ピボットハイブレイクアウト、大台)
114.879(17/3/15高値)
114.733(17/11/6高値、10/20高値《年初来高値》)
114.608(ピボット2ndレジスタンス)
114.444(11/1高値)
上値5:114.273(11/4高値、+1σ)
上値4:114.181(ピボット1stレジスタンス)
上値3:114.093(11/4高値後の76.4%戻し)
上値2:113.982(11/4高値後の61.8%戻し、大台)
上値1:113.870(20日移動平均線、日足・一目均衡表転換線、11/4高値後の50%戻し)
前営業日終値:113.753
下値1:113.643(11/4安値後の61.8%押し)
下値2:113.510(11/4安値)
下値3:113.458(11/2安値)
下値4:113.389(10/29安値、ピボット1stサポート)
下値5:113.314(-1σ)
113.205(10/14安値、10/28安値、10/4~10/20の38.2%押し水準)
113.082(ピボット2ndサポート)
112.996(10/12安値、大台)
112.758(10/4~10/20の50%押し)
112.655(ピボットローブレイクアウト)

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想