引き続き「収斂圧力」がかかる…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2021/11/04 10:57

◆ 「利上げは時期尚早」とのスタンス崩さず… - FOMC


注目のFOMCは、大方の予想通り「テーパリング開始」が決定され、「概ね8ヶ月で完了」
と示されました。
ただし「利上げは時期尚早」とのスタンスは崩しておらず、公表後は幅広い通貨に対して“ドル売り”が進行しています。
もっとも早期の利上げが否定されたことによる巻き戻しから、米10年債利回りは“1.60%”へと駆け上がる場面が見られました。
また米株主要3指数は“史上最高値更新(NYダウは4営業日連続、ナスダック・S&P500は5営業日連続)”を続けています。
このため“金利選好→ドル買い”“リスク選好→円売り”は顕著であり、ドル円では“下げ渋り”が見られています。

◆ “金利選好/リスク選好”は根強いが…?


こうして今週最大のビッグイベント(FOMC)を終えたことで、マーケットは次なるイベント(米雇用統計)へと傾きつつあります。
昨日発表された米ADP雇用統計は“+57.1万人”と事前予想を上回り、“2ヶ月連続の50万人超”を記録しました。
同じく米ISM非製造業景況指数も“66.7”へと上昇したものの、一方で構成項目である雇用指数は“3ヶ月連続の低下(51.6)”を見せました。
足元の米景気楽観論が浮上する中で、これがどう影響するか?

「日米金利格差」を背景に、対円では“金利選好→ドル買い”は根強いものがあります。
一方で“リスク選好→円売り”も顕著とあっては、少なくとも東京タイムでは“上値模索”と見るのが妥当に思います。
ただ前記したように、米雇用に対しては些か懸念が燻っているのは事実です。
そうなるとマーケットテーマが米雇用統計に向かいつつある現状では、欧州タイム以降は“上値の重さ”が意識される可能性が否めないところです。

上下にこそ揺れ動いているものの、先週末(29日)以降の終値は全て“114.00円±10銭”に収斂している状況でもあります。
“様子見”といってしまえばそれまでですが、本日も「英BOE金融政策委員会(MPC)」を除けば「米雇用統計待ち」という状況に変化はありません。
“上値模索”への期待は持ちつつも、本日に関しては“期待先行”になり過ぎないよう、注意しておきたいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン


上値5:114.733(17/11/6高値、10/20高値《年初来高値》、ピボットハイブレイクアウト)
上値4:114.444(11/1高値、ピボット2ndレジスタンス)
上値3:114.378(+1σ)
上値2:114.217(11/3高値、ピボット1stレジスタンス)
上値1:114.136(11/3高値後の76.4%戻し)
前営業日終値:114.014(大台)
下値1:113.936(11/1安値)
下値2:113.806(20日移動平均線、日足・一目均衡表転換線)
下値3:113.719(11/3安値、ピボット1stサポート
下値4:113.458(11/2安値、ピボット2ndサポート)
下値5:113.389(10/29安値)

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想