基本は、戻りを試すがレンジでは28500~29500円を想定

著者:出島 昇
投稿:2021/10/18 17:41

先週は、28000~28500水準でのもみあいのあと、週末29000円台回復

先週の予測では、NYダウの動き次第だが、大きな戻りを試すよりも上下動しながら下値を確認する動きを想定し、28000円台前半を中心に推移し、まずは移動平均線が集中する28500円水準を試すことになるとしました。

結果的に、日経平均は14日(木)までは、11日(月)の27893円を安値に、この日の高値28581円を高値とするレンジの中で上下動し、14日(木)の終値28550円で引けました。そして、この日のNYダウが△534ドルの34912ドルと大幅高となったことで、週末の15日(金)は、想定していた28500円水準のフシを突破して△517円の29068円となりました。

日経平均は、NYダウに連動する可能性が高いとしているように4日続落していたあとの14日(木)のNYダウの大幅反発を受け、日経平均は28500円水準を突破しました。

10月11日(月)の日経平均は、前週末の9月雇用統計は強弱まちまちだったことで、NYダウ横ばいだったものの、原油高でドルが買われて長期金利が上昇し、日経平均は、朝方は一時▲155円の27893円まで下げるものの、112円台の円安進行を受けて、△532円の28581円まで上昇し、ここからは上値重く、終値は△449円の28498円となりました。

12日(火)は、前日のNYダウは原油高からのインフレ懸念を嫌気し、▲250ドルの34496ドルを受け、日経平均はアジア株安、時間外の米株先物安で▲267円の28230円と4日ぶりの大幅反落となりました。

13日(水)もNYダウは、▲117ドルの34378ドルと3日続落したことで、一時▲237円の27993円まで下げましたが、IMFが世界経済成長見通しを引き上げたことで、一時△134円の28364円まで反発しました。しかし、買いは続かず再びマイナス圏に入り、▲90円の28140円と続落しました。

14日(木)は、前日の米国市場で、長期金利の低下を好感し、ナスダック株が上昇し、NYダウは大きな下げから下げ幅を縮小したことで、日経平均は△124円の28264円で寄り付き、その後、時間外取引で米株先物の上昇、株価先物への断続的な買いもあり、目先のフシの1つである13週移動平均線(28520円)を上回る△410円の28550円で引けました。

週末の15日(金)は、前日の米国株が3指標そろって大幅高となりました。その背景は好決算、新規失業保険申請件数の大幅減少、長期金利の低下によるインフレ懸念後退であり、これを受けて日経平均は△236円の28787円で寄り付き、その後もジリ高が続き、大引けは△517円の29068円と9月30日以来の29000円台のせとなりました。

日本市場の引け後の米国市場は、前日の△534ドルの34912ドルで柴田罫線では「買転換」が出現しており、これを受けて△382ドルの35294ドルと大幅続伸となりました。サポート要因は、ゴールドマンサックスなどの好決算は続き、9月小売売上高が予想を上回ったことによります。為替は1ドル=114.24円まで円安が進行し、シカゴ日経先物は△65円の29185円でした。

基本は、戻りを試すがレンジでは28500~29500円を想定

先週の予測では、28000~28500円水準の中での上下動が続き、NYダウ次第で上放れする場合も想定しました。

結果的には、28500円水準までのもみあのあと14日(木)の米国市場が好決算や長期金利の低下を受けて、大幅上昇となり、NYダウは△534ドルの34912ドルと大幅反発し、週末の日経平均もこれを受けて一気に△517円の29068円と29000円台を回復しました。

岸田内閣が勝利したのは9月29日ですが、9月28日の終値30183円から10月6日の安値27293円までの僅か1週間あまりで2890円(9.5%)の急落となりました。つまり、マーケット(海外投資家中心)は、岸田内閣の誕生を望んでいなかったと解釈できます。

10月1日までの1週間で1兆7569億円(現物と先物)も売り越したのがその証拠です。「金融所得税の引上げ」主張が原因と思われますが、その後、慌ててこの件を先送りしたことで相場は落ち着き、戻りに転じています。28500円水準には多くの移動平均線が集中していましたが、15日(金)には、米国株大幅高と急速な円安を受けて一気に突破して29000円台を回復しました。目先は半値戻しの28738円から3分の2戻しの29219円となり、その上は29500円のフシとなります。

10月31日が総選挙となりますが、10月下旬には日本郵政の株式の3次売り出しがあります。大規模な売り出し(約7000億円)ですので、政府が「株高」の演出に動くとの見方もあります。又、日本企業の決算本格化に向けて円安進行となっており、輸出関連株が外国人投資家に買い増しされる可能性もあります。マイナス要因には、中国の恒大集団の次の社債の利払いが、19日、23日、29日と次々と予定されています。このリスクをどう日本株は受け止めるかが気になるところです。それを考えると日経平均の想定レンジは28500~29500円というところです。

本日18日(月)は、寄り付きは、前週末の米国株高を支えに小高く寄り付いたものの、株価指数先物売りをきっかけに下げに転じ、一時29000円を割り込みました。やはり前週末に大幅続伸した反動で利益確定売りも出やすかったも模様です。その後、再度プラス圏入りする場面もありましましたが、買いは続かず再び軟化し、28924円まで下落し、押し目買いなどで下げ渋りましたが、戻りは限定的で大引けにかけて29000円近辺でもみあい▲43円の29025円とかろうじて29000円を守って引けした。

(指標)日経平均

先週の予測では、10月6日の27293円で8月20日の今年の安値26954円の水準まで下げており、ここから仕切り直しの見方がでるとし、上下動しながら下値を確認し、28000円台前半を中心に推移するとしました。但し、その間にNYダウが動けばそれに追随するともしました。

結果的に、週始めの11日(月)の安値27893円から28581円の高値までのレンジの中で上下動を14日(木)まで続けていましたが、この日の米国株(特にNYダウの△534ドルの34912ドル)の大幅上昇と円安進行を受けて、週末15日(金)の日経平均は、28500円水準を一気にぬけて後場には1ドル=114円台の円安加速となり、輸出銘柄が一段高となり、日経平均は△517円の29068円と2週間ぶりに29000円台を回復しました。

10月6日に27293円までの大きな調整を入れたあと、先週は28000~28500円水準で上下動をし、週末はNYダウの大幅高を受けて上放れし29000円台を回復しました。

今週は、目先は29000円前後は累積出来高が多いことから需給の関門と考えられます。これを乗り越えると再び3万円台を目指すことになります。19日に衆議院選が公示されるので、目先はこの動向をみながら28500~29500円の中でのもみあいとなりそうです。
 

 

(指標)NYダウ

先週の予測では、債務上限問題は暫定引き上げでリスクが後退し、景気敏感株中心に買いが再燃する可能性がありますが、一方でコロナ感染拡大の影響やサプライチェーンの波乱や原油高でインフレ懸念も心配されています。ただし、先週から決算シーズンの開始となり業績がよければ株価上昇を支えます。

週始めは原油高、長期金利の高止まりでインフレが意識され、11日(月)▲250ドル、12日(火)▲117ドルと前週末から3日続落となりました。その後、14日(木)は好決算、新規失業保険申請件数の大幅減少、長期金利の低下を受け、インフレ懸念が後退し、NYダウは△534ドルの34912ドル、ナスダック△251Pの14823P、S&P△74Pの4438Pと3指標とも大幅上昇となりました。柴田罫線では、NYダウに「買転換」が出現し、一段高の期待がもてます。そして週末のNYダウは△382ドルの35294ドルと大幅続伸となりました。

今週は、好調な企業決算が本格化し、下値を固めていく展開になりそうです。11月のFOMCで資産購入の縮小が見込まれますが、今後、8ヶ月ぐらいかけての縮小が続くとされます。

政府は11月8日からワクチン接種完了者に対する入国制限を解除するため、航空関連株は期待できると言われています。中国不動産大手、恒大集団のリスクは存在するも景気敏感株が相場をけん引するとみられています。
 

 

(指標)ドル/円

●先週の動き…原油高を受けて3年ぶりの円安水準

先週のドル・円は堅調。米長期金利の下げ渋りや原油高を意識し、リスク回避的なドル売りは縮小し、週始めに113円台へ上昇しました。原油相場は堅調に推移したことで、週後半はドル買い・円売りが活発となりました。15日には9月小売売上高の増加で長期金利が上昇し、ドル買い優勢となり、一時2018年10月以来となる114.46円まで上昇しました。その後は、11月中にFRBがテーパリングを開始するとの思惑で、ドルは下げ渋り114.20円で引けました。

●今週の見通し…ドルは伸び悩みの可能性

FRBは、11月中に資産の段階的縮小(テーパリング)に着手する可能性があることから伸び悩むことが想定されます。ただし、今週発表される経済指標が市場予想を上回る場合は、ドル買いは継続する可能性もあります。その場合は、115円近辺では輸出企業のドル売りも懸念され、一段のドル高は抑えられます。一方で中国恒大集団の債務危機が広がればリスク回避的な円買いが広がる可能性は残されています。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム