■今後の見通し
2. 今後の事業方針について
● 中期経営計画の概要
Nexus Bank<4764>は2021年2月に3ヶ年の中期経営計画「Nexus Growth Plan 2023」を発表している。同社グループの“Growth(成長)”を基本テーマに、業績数値目標として2023年12月期に営業収益250億円、営業利益50億円を掲げた。基本戦略として、「海外Fintechの安定成長」「国内Fintech基盤の再構築」「グループ経営に向けたコーポレート・ガバナンスの強化」の3点を打ち出していたが、このうち「国内Fintech基盤の再構築」の成長事業の1つとして位置付けていたクラウドファンディングサービスについては、前連結子会社であるSAMURAI証券及びSAMURAI ASSET FINANCEの全株式を譲渡したことにより当初の基本戦略から外れることとなった。
また、今後同社は、「人の想い」と「お金」をつなぎ新しい世界を創ることを目指し、既存事業である海外Fintechの安定成長と、国内におけるキャッシュレスサービス及びITソリューション事業のさらなる成長に向けた取り組みを推進していくとともに、既存事業とのシナジーに寄与する新規事業領域の開拓を進めていくことを明らかにしている。主には、スタートアップ企業を対象とした投融資や、新たなIT技術・プロダクトの展開に向けたM&A・資本業務提携・技術開発、エンタメ・コンテンツサービスの立ち上げに向けた関連事業者及びライセンス等への投資・資本提携、日韓ビジネスの立ち上げに向けた関連事業者やサービス等への投資・M&A・資本提携などを進めていく予定となっている。
2023年12月期の営業収益目標の内訳としては、海外エリアで230億円強を見込んでいる。JT親愛貯蓄銀行では今後も「営業戦略×Fintech×マーケティング」の三位一体の事業戦略により安定成長を目指していく。韓国では金融政策によって、2021年7月に個人向け貸付金利の上限が24%から20%に引き下げられたが、JT親愛貯蓄銀行は主に中金利帯の個人向け貸付を展開しているため、上限金利引き下げの影響はほとんど受けないものと思われる。また、JT親愛貯蓄銀行の強みの1つに、審査・モニタリングが厳格であり、貸倒率が極めて低いという点が挙げられ、こうした強みをより強化していく。貸付残高※については、個人向けを中心に2021年6月末の1,912億円から、2023年12月末は2,500億円まで積み上げることを目標としている。また、自己資本※も同様に2020年12月末の202億円から300億円に拡大し、BIS比率に関しては13.1%と、12%以上の水準を維持していく計画だ。
※いずれも韓国現地の会計基準(K-GAAP)に基づく実績・計画値。
一方、国内エリアはキャッシュレスサービスやITソリューション事業を中心に18億円強と、2020年12月期から3倍以上の成長を目指す。Nexus Cardでは、SNSやWeb広告等によるデポジット(保証金)型クレジットカードのプロモーション活動を展開していくことで、包括クレジット(包括信用購入あっせん業)の取扱高拡大を目指す。2020年12月期におけるNexus Cardの個別クレジット、包括クレジットの取扱高は15億円水準であったが、2023年12月期にはこれを80億円まで拡大することを目標としている。
なお、2023年12月期の営業利益目標50億円という水準は、JT親愛貯蓄銀行の2020年12月期の営業利益に相当するため、韓国における市場環境が今後悪化しなければ、達成する可能性は高いと弊社では見ている。今後、国内の事業の進捗状況次第でさらなる成長も見えてくるだけに、新規事業領域の開拓も含めた動向が注目される。
そのほか、中期経営計画を遂行していくため、グループ経営戦略機能の強化と各事業における自律的な専門性の強化を目的に、2021年4月より持株会社体制に移行している。また、東京証券取引所の株式上場において、「合併等による実質的存続性の喪失」にかかる猶予期間からの早期解消と新市場区分への対応や、株主をはじめとしたステークホルダーへの適切な情報開示等にも注力していく。こうした取り組みを推進するため、経営戦略・経営管理・グループ事業推進のための体制強化を図るべく専門人材の採用を進めていくほか、社内における人材育成にも取り組みながらグループ全体の組織力を強化していく方針だ。加えて、事業の特性上、様々な顧客情報を有することから情報セキュリティ強化のための社内教育・研修のほか、継続的なシステム機能の追加を実施し、情報管理体制も強化していくこととしている。なお、東京証券取引所が今後予定している新市場区分の見直し(2022年4月にプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に再編)では、グロース市場への移行を予定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 今後の事業方針について
● 中期経営計画の概要
Nexus Bank<4764>は2021年2月に3ヶ年の中期経営計画「Nexus Growth Plan 2023」を発表している。同社グループの“Growth(成長)”を基本テーマに、業績数値目標として2023年12月期に営業収益250億円、営業利益50億円を掲げた。基本戦略として、「海外Fintechの安定成長」「国内Fintech基盤の再構築」「グループ経営に向けたコーポレート・ガバナンスの強化」の3点を打ち出していたが、このうち「国内Fintech基盤の再構築」の成長事業の1つとして位置付けていたクラウドファンディングサービスについては、前連結子会社であるSAMURAI証券及びSAMURAI ASSET FINANCEの全株式を譲渡したことにより当初の基本戦略から外れることとなった。
また、今後同社は、「人の想い」と「お金」をつなぎ新しい世界を創ることを目指し、既存事業である海外Fintechの安定成長と、国内におけるキャッシュレスサービス及びITソリューション事業のさらなる成長に向けた取り組みを推進していくとともに、既存事業とのシナジーに寄与する新規事業領域の開拓を進めていくことを明らかにしている。主には、スタートアップ企業を対象とした投融資や、新たなIT技術・プロダクトの展開に向けたM&A・資本業務提携・技術開発、エンタメ・コンテンツサービスの立ち上げに向けた関連事業者及びライセンス等への投資・資本提携、日韓ビジネスの立ち上げに向けた関連事業者やサービス等への投資・M&A・資本提携などを進めていく予定となっている。
2023年12月期の営業収益目標の内訳としては、海外エリアで230億円強を見込んでいる。JT親愛貯蓄銀行では今後も「営業戦略×Fintech×マーケティング」の三位一体の事業戦略により安定成長を目指していく。韓国では金融政策によって、2021年7月に個人向け貸付金利の上限が24%から20%に引き下げられたが、JT親愛貯蓄銀行は主に中金利帯の個人向け貸付を展開しているため、上限金利引き下げの影響はほとんど受けないものと思われる。また、JT親愛貯蓄銀行の強みの1つに、審査・モニタリングが厳格であり、貸倒率が極めて低いという点が挙げられ、こうした強みをより強化していく。貸付残高※については、個人向けを中心に2021年6月末の1,912億円から、2023年12月末は2,500億円まで積み上げることを目標としている。また、自己資本※も同様に2020年12月末の202億円から300億円に拡大し、BIS比率に関しては13.1%と、12%以上の水準を維持していく計画だ。
※いずれも韓国現地の会計基準(K-GAAP)に基づく実績・計画値。
一方、国内エリアはキャッシュレスサービスやITソリューション事業を中心に18億円強と、2020年12月期から3倍以上の成長を目指す。Nexus Cardでは、SNSやWeb広告等によるデポジット(保証金)型クレジットカードのプロモーション活動を展開していくことで、包括クレジット(包括信用購入あっせん業)の取扱高拡大を目指す。2020年12月期におけるNexus Cardの個別クレジット、包括クレジットの取扱高は15億円水準であったが、2023年12月期にはこれを80億円まで拡大することを目標としている。
なお、2023年12月期の営業利益目標50億円という水準は、JT親愛貯蓄銀行の2020年12月期の営業利益に相当するため、韓国における市場環境が今後悪化しなければ、達成する可能性は高いと弊社では見ている。今後、国内の事業の進捗状況次第でさらなる成長も見えてくるだけに、新規事業領域の開拓も含めた動向が注目される。
そのほか、中期経営計画を遂行していくため、グループ経営戦略機能の強化と各事業における自律的な専門性の強化を目的に、2021年4月より持株会社体制に移行している。また、東京証券取引所の株式上場において、「合併等による実質的存続性の喪失」にかかる猶予期間からの早期解消と新市場区分への対応や、株主をはじめとしたステークホルダーへの適切な情報開示等にも注力していく。こうした取り組みを推進するため、経営戦略・経営管理・グループ事業推進のための体制強化を図るべく専門人材の採用を進めていくほか、社内における人材育成にも取り組みながらグループ全体の組織力を強化していく方針だ。加えて、事業の特性上、様々な顧客情報を有することから情報セキュリティ強化のための社内教育・研修のほか、継続的なシステム機能の追加を実施し、情報管理体制も強化していくこととしている。なお、東京証券取引所が今後予定している新市場区分の見直し(2022年4月にプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に再編)では、グロース市場への移行を予定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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