今週は、日経平均が27000円台での値固めができるかどうかに注目

著者:出島 昇
投稿:2021/08/23 17:41

先週は、週半ばまで27500円水準でもみあったあと、一時27000円割れ

 先週の予測では、現状のジリ高のような状況をぬけて、上に行く場合は日足のチャートではなく、週足の13週移動平均線のようなものを上にぬく必要があるとしましたが、現状の環境では厳しく、逆にさらに下値をさぐるとすれば、下のフシは52週移動平均線(27247円)しかなく、ここをぬけると下にはフシらいしいフシもないので27000円を切る可能性がありました。

 20日(金)は悪材料だらけでした。国外では米7月FOMC議事録で量的緩和の段階的縮小(テーパリング)が年内に始まるという見通しを受け、商品先物が軟調となりました。

 国内では、新型コロナの感染者数の拡大が増加し続けており、19日のトヨタの大幅減産も追いうちをかけました。又、やや円高への動きも出ていました。又、上海株式、ハンセン指数も軟調だったことで、先週、下に行く場合は52週移動平均線(27247円)を切ることになるとしましたが、アッサリ切って、一時▲326円の26954円と27000円を割り、終値ではなんとか▲267円の27013円と27000円を守りました。27000円を切っても早い段階で27000円台での動きを定着させなければ先行きは厳しくなります。先々週は、2日間ほど28000円に戻していましたが、先週は27500円水準でもみあったあと27000円を週末に一時的に切る動きとなり、流れとしては下向きになっているように見えます。

 週末の米国市場は、ハイテク株が相場をけん引し、NYダウは4日ぶりに△225ドルの35120ドルと35000ドル台を回復し、3指標そろって上昇しました。シカゴ日経先物は、26845円まで下げたあと反発し、△250円の27260円で引けました。

今週は、日経平均が27000円台での値固めができるかどうかに注目

 今週は、当面の下値抵抗線だった52週移動平均線(27247円)をアッサリ切って、一時26954まで下落し、終値は27013円でした。チャート上では、目先ここからの下値のフシが見当たらず、チャートの流れとしては下向きになっています。これを阻止するには27000円台で値固めをして、上昇の体制に入ることですが、現在の新型コロナの感染者数が増加を更新し続けている状況では、日本の景気回復の懸念が生じ、外国人投資家は日本株を買いにくい状況となっています。唯一のサポート要因としては、NYダウを始めとする3指標の動きですが、FOMC議事録で今年中に量的緩和の縮小(テーパリング)があるとの見方もあり、米国株が短期的な調整気味になっているのが気がかりです。27日にジャクソンホールで経済シンポジウムが開かれ、パウエル議長の講演予定ですので、今後の金融政策や量的緩和縮小の話に注目が集まります。ただ、先週末は、量的緩和の縮小に関して、ダラス連銀総裁がデルタ株が感染拡大した場合は、方針を修正すると発言したことで、早期の量的緩和縮小への不安が和らぎ、米株式は3指標そろって上昇し、シカゴの日経先物も△250円の27260円となっていました。

 今週、日経平均が27000円を守れるとすれば、アメリカ頼りとなりそうです。新型コロナの米国内での感染再拡大によって米国経済にブレーキがかかるようであれば、FRBは金融緩和の継続に再び言及するかもしれません。今週は日経平均は下値を模索する場面があるかもしれませんが、低PERなど個別の割安株が物色される可能性があります。

 相場の方向性は、米国次第ということになりますので、日経平均のレンジは27000円をはさんで上下500円というところでしょう。先週末は7ヶ月ぶりの安値をつけ、足元は予想連結PERは12.6倍の割安へ、又、騰落レシオは76%と売られすぎの80%以下に低下しており、目先、値頃感から買いが入ってもおかしくありませんが、問題は「買い手不足」の状況です。今秋の衆議院選挙を控え、政局不安が残る中、海外投資家を含め積極的な買いは手控えられる状況にあります。今は米国の金融政策の方向などを確認するために様子見の方がよいでしょう。

 本日23日(月)は、寄り付きは前週末の米国株式市場で主要3指数が上昇した流れを受け、買いが先行し、前週末に大幅続落して年初来安値を更新した反動もあり、自律反発狙いの買いも入り、いったん伸び悩む場面もありましたが、買い気は根強く盛り返し、時間外取引の米株価指数先物高や、上海株式やハンセン指数などアジア株高も支えとなり、後場には27541円まで上昇し、△480円の27494円で引けました。

(指標)日経平均

 先週も週末までは、米株式の史上最高値の更新が続き、為替も円安基調だったことで、8月15日(日曜で13日)信用期日が経過すれば、今月、後半は上昇期待がもてる可能性もあると考えていましたが、米国で13日(金)に8月ミシガン大学消費者信頼感指数が10年ぶりの低水準となったことや、為替も円高に傾いたこともあり、下落の可能性も出てきました。そのため1つのシナリオとして、52週移動平均線(27247円)を終値で切るようなことがあれば、さらに下を試すとしていました。結局、週末は一時▲326円の26954円まで下げて、終値は▲267円の27013円でした。

 今週は、チャートでは、先週末、一時27000円を切ったことで、下向きの流れとなっており、ここで27000円台で踏ん張ることができるかどうかとなります。今週は26~28日にFRBの経済シンポジウムが開かれ、パウエル議長が講演予定で、量的緩和縮小(テーパリング)についての発言が注目となります。国内では新型コロナの感染拡大の歯止めをどうするかが注目です。
 

 

(指標)NYダウ

 先週は、前週末の13日(金)に8月ミシガン大学消費者信頼感指数が10年ぶりの低水準となったことで、為替が110.24円から109.55円へドルが急落したことで、今週のNYダウは高値圏での一服を想定しました。

 週始めの16日(月)こそ△110ドルの35625ドルと最高値更新したものの、その後は17日(火)▲282ドル、18日(水)▲382ドル、19日(木)▲66ドルの34894ドルと3日続落となりました。週末の20日(金)は、ハイテク株が買われて相場を下支えし、△225ドルの35120ドルで終りました。

 FRBによる年内の金融緩和縮小開始の思惑が強まる中、今週は26日から始まるカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウムでパウエル議長が金融緩和縮小の具体的ヒントを出すかどうかが注目となります。デルタ株の感染拡大の状況によっては金融緩和縮小にもストップがかかるという見方もあり、思惑から相場は荒い動きとなるかもしれません。ただし、低金利は長期に渡り維持されるとしており、今年中の金融緩和縮小があったとしても下げれば押し目買いとなりそうです。
 

 

(指標)ドル/円

●先週の動き…安全逃避的なドル買い強まる

 先週は、8月16日の中国小売売上高と7月鉱工業生産指数が予想を下回ったことや、新型コロナの感染拡大もあり、リスク回避的な円買いが観測されました。しかし、安全資産としてのドル買いも根強く、ドル/円は下げ渋りました。さらに7月のFOMC議事録で段階的な金融緩和の縮小が必要とされ、ドル買い材料となりました。

●今週の見通し…経済正常化への期待持続しドルは底堅い

 FRBは、金融緩和策を縮小する方向に動きているが、足元の経済指標がマチマチのため方向感がでにくい。雇用は改善しているが、パウエル議長は、これまでの方向性を維持する可能性がある。しかし、米国経済の正常化に向けてテーパリング開始への期待が強くドルが買われやすいといえます。
 

 

配信元: みんかぶ株式コラム