丸東産業 菅原正之社長インタビュー

新社長のもと独自の経営方針と事業戦略で持続的成長可能性を追求

 九州や北海道などの地方証券取引所が扱う上場銘柄は、東証銘柄の陰に隠れてしまいがちなため、全国的な「知名度」が低く、投資対象銘柄に選択される機会に恵まれない状況にある。しかしながら、福岡証券取引所の単独上場会社の会(通称:単場会)http://fse.irnavi.minkabu.jp/には、確かな実力と魅力溢れる銘柄が結集しており、一般投資家はその存在を知らないだけかも知れない。これまで複数年にわたって、単場会銘柄企業のトップインタビューを掲載してきているが、今回はコロナ禍という厳しい経営環境でも、独自の企業戦略により実力を発揮し、ビジネス展開する注目企業をピックアップした。トップ自らが語る持続成長可能性について、各社の意気込みと具体的な成長戦略をご覧いただき、ご自身の銘柄ポートフォリオの再検討にお役立ていただければ幸いである。

7894:丸東産業
代表取締役社長 菅原正之氏

菅原正之氏(丸東産業 代表取締役社長)
 
 創業以来培った独自の技術力を駆使し、時代に求められるパッケージを創造し続けることで、社会の発展と人々の豊かな生活に貢献することを理念に掲げる丸東産業 <7894> [福証]は、今年5月に経営体制を一新した。新社長に就任した菅原正之氏の新たな経営方針や事業戦略など、同社の持続成長可能性についての熱いメッセージを確認してほしい。

【1】貴社の事業の状況について伺います。
貴社の直近決算では、コロナ禍において減収増益となっています。この業績をどう分析し、評価されていますか? また、2022年2月期の見通しについてはどのようにお考えですか?

 直近決算の2021年2月期決算は、連結では減収増益となりましたが、丸東産業単独では増収増益で推移いたしております。連結の減収につきましては、香港の海外子会社の売上が社会情勢やコロナ禍の影響も重なり、厳しい数字で推移しましたが、その売上減少分を国内でカバーしきれなかったことが背景にあります。そのような状況であっても、「機能包材の丸東」として成長していくために、お客様である食品・医薬品・化粧品・トイレタリー製品などのメーカー様のお役に立てるよう、包装の機能を高めた新製品の開発を進めていくとともに、すでに販売しております機能包材においても改良を重ねて、ご案内・ご提案をさせていただいております。
 

 
 コロナ禍にあってインバウンドや観光客向けのお土産物などは、非常に厳しい状況であると捉えておりますが、インターネットやその他の通販で販売している健康食品や化粧品などのほか、一般の小売業界ではペットフードやインスタント食品などは堅調に推移しておりますので、弊社としても期末には増収で開示できますよう邁進してまいります。

 一方で、今期には、フィルム・樹脂など原材料の値上げが行われることが原料各社から発表されており、弊社におきましても受け入れざるを得ない厳しい情勢ですが、何とかして内部での吸収をするべく、様々な取り組みを開始しております。しかしながら、安定供給を確保するため、一部お客様への価格改定のお願いを回避できない可能性もございます。

 また生産面では、受注量の増加に対応するため、昨年は自動倉庫の建設および原料受入れの効率化の投資を行いました。今期はそれらを活用して生産面での効率化を推進するとともに、新しい技術を駆使した機能包材の開発を行ってまいります。

【2】貴社の事業展開についてお聞きします。
貴社独自製品は、市場から高い評価と多くの支持を集めています。今後も信頼される製品を創造し続ける貴社独自のビジネスの特徴やこだわりについてお話しください。

 「包装の機能を高めることで人類の豊かな生活に貢献する」という弊社の使命を果たすためには、お客様のお役に立ち続けることが重要です。すなわち、包装において今までに無い機能を付与し、また既にある機能を改良しながらブラッシュアップし、これを継続していくことであると考えています。当社の機能包材は、消費者の使い勝手だけではなく、商品を製造されるメーカー様にも使いやすくなければいけません。また、近年では環境配慮・二酸化炭素排出削減などについても社会の関心が高まっておりますので、今後は、製造・販売・使用・廃棄など包装のライフサイクルを考えながら、石化系以外のプラスチックも含めて検討し、社会に貢献できる製品づくりを行ってまいります。

【3】中長期における経営戦略について伺います。
現在の取り組みやビジネスにおける今後の持続成長可能性について具体的なご説明をお願いいたします。また、目標達成のための重要課題など、現在展開されている経営戦略のポイントをお聞かせください。さらに、国連が提唱しているSDGs(持続可能な開発目標)に絡めたお話をいただければ幸いです。

 国内の軟包装市場は、業界の専門誌によれば約1兆円程度の規模で、資料にもよりますが毎年1~3%程度成長しているとされています。この市場について弊社では、国内に限らず海外市場にも従来から目を向けており、香港およびタイ王国に販売子会社を有しております。現在はコロナ禍で出張や展示会出展などの活動が制限されておりますが、収束してくるにつれて活況を取り戻すものと考えているとともに、国内以上の成長市場として期待を寄せております。国内及び海外においての目標達成のための課題としては、「機能包材の丸東」としての知名度を向上させながら販売先の拡大をすること、またそれに見合った生産の増強及び機能包材の新規開発を推進することです。「包装の機能を高めることで社会に貢献する」という弊社の使命は、国内に限ったことではございません。すでに香港・タイ王国以外にも東南アジア・豪州・米国においても機能包材が使用されておりますが、まだ国内ほど包装についての要求は高くなく、市場浸透もこれからであることから、成長の余地は大きく残されています。例えば、コロナ禍だからこそアルコール消毒用の小袋用の高品質フィルムの需要が高まり、併せて、高速で充填する設備においても高性能な日本製が輸出されニーズに応えている現状など、今後もその機会は絶えないものと考えております。東南アジア・オセアニアの新興国などについても、国々の消費レベルが上がってくることによって、また高齢化が進むにつれて、さらに包装の品質や使いやすさを求めるニーズも高まってまいりますから、飛躍するチャンスが各国にあると言っても過言ではありません。加えて、バイオマスフィルムやバイオマスインキなどの環境配慮型の材料を使用した商品が、まさにこれから拡大していくという市場でもあります。その機会を国内のみならず海外でも「機能包材の丸東」でお応えすることにより、持続的な成長を見込んでおります。

 また弊社は、自社の事業活動を通じて国連が提唱しているSDGs(持続的な開発目標)に繋がる独自のMTGs(丸東GOALs)という取り組み目標を設定し、社員全員が身近なことから実践を積み重ねる活動を開始しております。まだ緒に就いたところですが、日常の事業活動も含めてSDGs達成への貢献に繋げながら、持続可能な成長戦略を実践してまいります。
 

 

 
【4】菅原新社長の経営方針とそのリスクについてお話をお願いします。
菅原新社長はトップとして経営方針をどのようにお考えでしょうか? また、ビジネス展開におけるリスクは何でしょうか? マーケット状況、新型コロナ感染症の脅威など具体的に想定されるリスクがどのように業績に影響するとお考えでしょうか?

 弊社は、100%受注生産のオーダーメイドの包装資材を製造・販売しております。お客様と社会、そしてステークホルダーに貢献し、何より社員が幸せになる会社であり続けるために、今期は「新しい丸東をつくろう!」というスローガンの下、「機能包材の丸東」を目指して全社一丸となって行動するといった取り組みを展開しています。それを実現するために、今までにない新しいことを見つけて、全員で取り組んでいく。挑戦もする。些細なことでも構いません。今まで通りは今まで通りの結果しか生まれないと考えています。積極的な投資の一方では、しっかりとムダをとり、利益も確保していく考えです。リスクについては、石化製品の値上がりに起因する原材料の値上げが今期最大の課題と捉えています。また、コロナ禍で不透明な状況が続く中、ワクチン接種並びに治療薬の開発による早期収束を期待しておりますが、さらなる変異型などの流行があれば振り出しに戻る可能性も否定できません。こうした環境変化を十分に予測しながらリスクを分析し、不測の事態と社内の状況を検討しながら、総合的な判断に基づいて柔軟に対応する経営を進めてまいります。

【5】最後に、投資家に向けてお話をお願いします。
さまざまなステークホルダーと関わりながら事業展開を推進されている貴社では、投資家に対してどのようなコミットが可能でしょうか? コーポレートガバナンスやコンプライアンス、経営理念に絡めた上でお話しください。
また、近年注目を集めるESG投資に対してのお考えをお聞かせいただければ幸いです。

 弊社は、福岡証券取引所に単独上場しておりますが、その福証単独上場会社の会の活動を含めて、株式市場の活性化並びに株式の流動化にもお役に立つことができますよう、弊社事業の安定的な成長はもとより、さらにご期待に応えられるような、新たな取り組みに挑戦してまいります。併せて、株主様への継続的な配当の実施とIR情報の発信などに努めてまいります。また来年4月には、東京証券取引所は3つの市場に再編成されることが決まっております。福岡証券取引所においてもコーポレートガバナンスコードについては、東証に準じた形で改訂などが行われていくことも予想されますが、弊社におきましても引き続き単独上場会社としての義務を果たしてまいります。

 弊社の経営理念は、「お客様第一主義」であります。弊社の事業はB-to-Bビジネスですので、直接のお客様はメーカー様や商社・問屋様ですが、当然その先には商品をお使いになる消費者がいらっしゃいますから、それら全ての皆様が、使いやすく便利で、さらに廃棄する際にも環境負荷の低い製品の安定供給に引き続き努めてまいります。こうした環境への配慮は、機運の高まりもあり、最も大切にしなければならないテーマの一つであると理解しております。

 これからも弊社は、ESGを念頭に置いて、固定概念を捨てて新しいことに挑戦する、会社や業界を取り巻く環境の変化に対応しながら、「お客様第一主義」という普遍的な弊社の理念を実践する、包装資材の製造販売を通じてお客様のお役に立ち続けることで社会への貢献をする、皆様から信頼されるガバナンスを徹底する、そして、社員が意欲をもって働くことで幸福感を実感できる会社にしてまいります。

 一昨年に創業80周年を迎えることができましたのも、日頃よりご支援ご協力いただいておりますお客様、お取引先様そして応援をいただいております株主の皆様のおかげであると感謝しております。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

【自社アピール】
 弊社は、昭和14年(1939年)福岡市博多区住吉に「丸東商会」として創業致しました。創業当時は、セロファン商品の仕入れ販売などを行っておりました。その後ポリエチレンの袋、紙器、シールなどを、製造販売するようになりました。そして、複数の種類のフィルムを貼り合わせることで、高バリヤー性や強度を持つ、ラミネート製品の製造販売を開始しました。

 製造については、製版・印刷・貼合せ・製袋まで一貫生産できる工場を、福岡市東区和白に九州ではいち早く立ち上げました。のちに茨城県結城市にラミネート製品を製造する東京工場を建設致しました。

 平成9年には、福岡県小郡市に福岡工場が竣工して和白工場を移転しました。本社も、現在キャナルシティ博多があります福岡市博多区祇園町から、福岡工場敷地内に移転致しました。

 福岡工場建設当時、バブル経済の崩壊やその後の長期不況など、激変する経営環境の中で赤字が続き、非常に苦しい時期もございましたが、皆様のご支援のおかげで安定的に収益を確保できる会社になりました。おかげ様で一昨年の2019年に創業80周年を迎えました。

 これからは、生産面では、効率的な生産と高品質を両立し続ける為に、設備投資を積極的に行います。

 技術・開発面では、独自製品の開発・改良を進めながら製造技術も高めて、次世代へのノウハウ継承も進めてまいります。

 営業面では「直進くん(R)」「掴めるくん(R)」「吸湿くん(R)」「遮光くん(R)」など、独自性のある製品の拡販に努めてまいります。

 総務・人事部門では安定的な人財雇用および教育をおこないながら、ESG投資についても、これから取り組んでまいります。

 そして今後は、「機能包材の丸東」の確立を目標に、包装の機能を高め続けてお客様のお役に立つと同時に社会への貢献を進めながら、すべての従業員が働く喜びと幸せを実感できる会社にしてまいります。株主の皆様には引き続きご支援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

●資料請求・問い合わせ先
丸東産業株式会社 総務人事部
〒838-0112 福岡県小郡市干潟892-1
TEL:0942-73-3845 FAX:0942-73-3848
https://www.marutosangyo.co.jp/
 

配信元: みんかぶ株式コラム

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